ソードアート・オンラインが半分異世界転生ぽくなったら 作:黒天使
どうも黒天使です。二話は後半部分以外は原作とあまり変わりません。ご了承下さい
薄っすらと感じていたベットの感覚が消えるまで感じていた俺はスタリと床に降り立った足の感覚で少しボーッとしていた浮遊感から目が覚めた。
胸いっぱいに仮想の空気を吸い込み、心の中で「この世界に帰ってきた」と呟き、まずはβテストと正式サービスの違いを確かめる為にこの《SAO》の最初に降り立つ街である《はじまりの街》というわかり易い名前の広大な街の路地裏にある通常の武器屋と比べて若干の安い価格で武器を販売している店へと足を進めた。
パッと見た所、あまり大きな変化は見られない為、恐らくはβテスト時代と同じなのだろう。少なくともこの《はじまりの街》には無いだろう。
武器屋へと足を進めていると、いきなり肩を叩かれた。
俺はβテストどころか、他のMMORPGですら余り他人と関わった事がない。その為か思わず背中に吊り下げている鞘から剣を抜剣しそうになったが流石にそれは思いとどまった。
後ろを振り向いて見た、そこにいたのは赤い髪を下ろしている美形の成人男性のアバター姿だった。MMOである《SAO》は当然、アバター機能を搭載しており、道ですれ違うプレイヤー達の容姿は現実とは違い一から創り上げられた美形の集まりである。それに、声さえも変更できる《ボイスエフェクタ》と呼ばれるシステムを導入している為により深くゲームに入り込む事が出来るのはこの《SAO》だけだろう。
「その迷いのない足………兄ちゃん、元βテスターだろ?俺、VRゲーム初めてでさ、ちょいレクチャーしてくれねぇか?」
「この通り!」と頭を下げる男を見て俺は、なんとまぁ豪快というか人が良いというか……と、目の前の男のコミュ力に脱帽していた。
「あ、ああ……じ、じゃあ武器屋にでも行く?」
まるでそこらに突っ立っているNPCかよ、と自虐しながらも俺は目の前の男……《クライン》と出会った。
「へぶぁ!!」
情け無い、声を上げながらクラインが吹っ飛ばされ、地面に突っ伏す。
今、俺たちは《浮遊城アインクラッド》の第一層の《圏外》の草原フィールドにいる。あれからクラインの武器選びを終えてから、さらにポーションなどの戦闘アイテムの補給を経て今に至る訳だが………。
どうも戦闘の仕方が身につかないのか、はたまた俺のアドバイスが下手くそなのか、クラインは先程から某国民的RPGでいうところのスライムクラスの敵である青いイノシシ、《フレンジーボア》に斬りかかっては吹き飛ばされというのを繰り返している。
「くっそー……何で《ソードスキル》がきまんねぇんだ……?」
《ソードスキル》とはこのゲームの大きな特徴の一つである。この《SAO》では弓矢や魔法といった遠距離攻撃の代物は全てカットされている。その代わりに搭載されたのが《ソードスキル》である。その数は無数に存在し、通常の攻撃と組み合わせることでかなり多くのバリエーションの戦い方が出来る。クラインはさっき武器屋で《曲刀》選んでいる。《曲刀》はその名の通り、刀身が曲がっている剣の事で、その《ソードスキル》はなかなかにユニークな物もある。
「ちがうちがう、もっとシステムに動くことを任せるようにもっとこう……ズバーン!と」
数時間前とは違い、だいぶ俺はこのクラインという男とくだけて話す事が出来るようになった。これもこの男の人の良さが成せる業なのだろうか。
「ズバーンて、お前なぁ……」
呆れ顔で俺を見るとクラインは愛剣を杖代わりにして立ち上がった。それと同時に《フレンジーボア》が再びクラインに向かって突進する。
クラインは今度こそと体を下げて、剣を構えた。すると、漸く《曲刀》の初期《ソードスキル》の《リーパー》の初動モーションがシステムに認識され、クラインの剣はオレンジ色のライトエフェクトを描き、青いイノシシに体を引き裂いた。
派手なポリゴンの飛散音が一つ響いた。これがこの世界における《死》である。
「お、おお!できた!できたぜ!」
「おお、やっとできたな」
「おう!これもキリの字のお陰だありがとうな!」
この成功が勢いに乗るキッカケになったのかこの後クラインと俺は互いにモンスターを狩りまくり、気づくとレベルがお互いもうそろそろ上がりそうだった。
午後一時にログインして、その後直ぐにクラインと出会い気づくともう午後五時半前になっていた。
「………ふう」
お互いに愛剣を鞘にしまいモンスターがポップしない大樹の根の近くに座り込んだ。
「結構狩ったな……どうする?俺は一回街に戻って防具とか見て回るけど」
「ああ…悪いな俺、五時半にピッツァの予約してるから一回落ちるわ」
クラインのそのある意味見事な用意周到さに俺は呆れて、少し笑いが込み上げてきたがどうにか堪えた。
「わかった、じゃあ一回別れよう。何かあったら連絡くれ」
俺とクラインは互いに狩りを始める前に《フレンド登録》をしていたのた。フレンド登録を行うとそのプレイヤーにメッセージを送れたりするので何かと便利である。
「おう、わかった。世話になったなキリの字またな!」
「ああ」
そしてクラインは《ログアウト》しようと右手を振り、システムメニューを開けた。
その間俺は改めてこの風景を眺めていた。アインクラッドは基本的には上から太陽の光が差し込むことはないが、横からの光がよく差し込むように設定されているのか俺の真上や地平線にも思える向こう側には金色の光を浴びて輝く白い雲の流れが漂っていた。
サーッと流れる初冬の涼しい風が足元の草を揺らす。俺は改めてこの世界の広大さとこの世界を創造したある一人のゲームプログラマーに偉大な尊敬を抱いた。
その瞬間だった
「あれ?……」
「どうした?クライン?」
世界はその在り方を《二度》変えた。
「《ログアウトボタン》がねぇぞ………」
「はぁ?」
中途半端ですがここまでです。あまりにも長くなりそうだったので。一回の話の長さはどれぐらいが良いんでしょうね。誤字脱字報告や感想を書くついでに教えてくれると幸いです。
では、また。