【凶狼】が闇落ちしたのは間違っているだろうか。 作:ほしぞら
リアルの事情によりこれからもこのペースになるかも知れません、。
申し訳ありません、。
風が、空を切る。
風が、吹き荒ぶ。
風が、近付いてくる。
バクバクと煩く跳ねる心臓がやけに苦しくて、青年は戦闘衣の上から胸を手で押さえた。
止めろ、来るな、違う、此方ではない。
ぎりッッ、と歯を割れんばかりに噛み締め、通路を睨んだ。
風は止まない。
風は途切れない。
風は近くへ来る、自分の方へと来るのだ。
少女に会いたくない。
あの風に当たりたくない。
少女に__今の自分を見られたくない。
彼女の視線は、まるで死なせてしまった少女達のようだから。
きっと、このような行いをしている自分を、死んでいった少女達は許してくれないから。
頭に彼女等の死に様がよぎる。
そして彼女等の笑顔が、脳裏を掠めて、消えていく。
思い出すことも忘れていた寂苦がベートの身を、心を焦がして収まりを見せない。
「__ッ」
無様に泣き崩れた小さな自分を目の前に幻視する。
止めろ、うざってぇ、泣くんじゃねぇ。
そう願っても、風の音が聞こえなくなるほどに泣き声は脳内を侵していく。
__気色悪ぃ精霊の場所より、此処は一つ、上だ__気にしねぇ、だろ__?
気付かないこと、見付けないこと、見付けても関わろうとしないこと。
また三つ願いを重ねて、ついに堪えきれなくなったように、青年は目を、耳を塞いでうずくまった。
▼▼▼
自身が鳴らす風に、金色の髪が揺れる。
アイズは何かに導かれるようにこの道を走っていた。
__ただ、どこか遠回りをさせられている気がする、けど。
離れたかと思えば近付く感覚にじれったさを感じ、少女は速度を上げる。
風も静かに煩さをまし、顔に当たる髪に擽ったそうに目を細めた。
三つの階段を降り、何度も曲がった事で方向感覚はほぼ麻痺しているが、異様に感じる違和感に導かれ、少女は確実に近付いていった。
……前の階層には感じなかった、確かな人の気配。
__焦って移動するような様子は感じられないので、【ロキ・ファミリア】ではない。
なら、無視をして仲間を探す。
そう結論付けては、前方に見えた下への階段へと、また足を進めて__そして気付いた。
気付いて、しまった。
「……ベート、さん?」
子供のようにうずくまり、拒絶を表したような彼の姿を。
極度の緊張状態に陥っているらしい、腰の尻尾も頭に生えた獣耳も、ビン、と立ち上がったままで、彼の手は、耳を無理矢理押さえつけていた。
聞こえて居ないようだった。
焦りと共に煩かった風を一旦消して、近付いてからもう一度、名前を呼んだ。
「ベートさん」
「っ」
顔を振り上げた青年は、今最も会いたくなかった少女を視界に収め、ぎりっっ、と歯を割れんばかりに噛み締めた。
そのまま何も言わず立ち上がり、剣呑な瞳で少女を射抜く。
そうして、構えた。
「ベート、さん……?」
「__……行くぞ」
再三自分を呼ぶ声は、不安げに揺れる。
それを無視するように、宣戦布告。
恐れていた戦いを、始めた。
閲覧ありがとう御座いました。
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「……で、話と言うのは……」
数分続いた静寂に耐えきれず、リーネがおずおずと口を開いた。
「わかってんだろ。昨日のことだ」
ぶす、とした不機嫌顔を向けられ、う、と言葉に詰まる少女は、言うなってことですよね?と確認の言葉を捻りだし、答えを待つ。
「……それは」
「それは?」
途切れた言葉を鸚鵡返しし、言葉の続きを待った。
▽▽▽
すみません短いですが次回も書きますので、()