【凶狼】が闇落ちしたのは間違っているだろうか。 作:ほしぞら
「……何よ、これっ」
怒りを抑えた声が地下水路に響く。
ざぁざあと流れ続ける水音が、やけにうざったく金の剣士の耳朶を打った。
「……雑魚ってLvが低い人のことかな」
ぼそり、と呟いた女戦士の妹の声に、あからさまな怒気を含ませるLv.4以下が多数。
サポーターを減らす作戦か、と姉のアマゾネスが眉を顰めるのを横目に、首脳陣三人、そして、アイズ、ラウル、アナキティ__リーネの七人はお互いの顔を見あっていた。
「フィン、この字はあやつの__」
「ンー、そうだね。まだ、確証は持てないけれど……」
「……ちょ、待ってくださいっす!?それって、あの人が『闇派閥』に__ッ!?」
「言わないで、ラウル。他の団員にまで混乱が広がるわ」
大柄なドワーフの問いを肯定する小人族の団長に、黒髪のヒューマンが悲鳴染みた声をあげる。
動揺を隠しつつ青年の口を押さえる黒猫の少女は、有り得ない、と本音を確かに吐露した。
「………アイズ」
「うん、わかってる」
あまりに短い意思疎通、だがその中で交わされたのは、あまりに深刻な事態の対応策。
一年と言うあまりに短い所属時間、それでも【ロキ・ファミリア】に居た彼の強さは身に染みて知っていた。
「………きっと、事情があるんですよね」
「何の話ー?」
「いえっ、なんでもないんですよ、ティオナさん」
お下げを小さく揺らし、ティオナの心配に笑みを返す。
彼女等姉妹の来るたった数日前に去った青年のことを知るものは少数だ。
知っているのは、否、字体を覚える程に接していたのは、治療師のリーネ含め、この七人しかもう居ない。
だからこそ、とアイズは銀色の扉を見詰める。
_何が有ったかなんて自分にはわからない。
あの頃は、誰かに構うことなく、彼と同じようにひたすら強さを求め続けていた。
彼のことは、きっと自分にとって鍛練の相手でしかなかった。
_分かろうとする権利がない。
彼の苦しみを知ることが、出来ないまま別れはやって来た。
誰よりも、特に戦いの中では多く彼と接し何度も言葉を交わし、そして何時でもお互いを高めあっていた。
それなのに、知ることすらしようとしなかった。
「………行こう」
きっとこれは、その時の埋め合わせだ。
自分がしなければいけない、もうひとつの悲願だ。
そう、心の中で言い聞かせ、一歩扉に近付いた。
▼▼▼
「………ちっ」
魔法道具の水晶の中、確かに映る金色の少女に舌を大きく弾きならした。
そして、その後ろに居る小柄なお下げの少女を見て、目を細めた。
「……彼奴あの時の、治療師」
昨日は思い出せなかった、記憶の奥底。
そこに沈んでいた少女は、自分を覚えているのだろうか。
「……何、考えてんだ」
郷愁にも似た感情を振り払う。
今の自分は彼女等の敵、そんな感情を持てば只徒に傷を受けるだけ。
それがわかっているから、ベートは視線を水晶から外し、銀色の長靴を鳴らし、歩いていく。
待っている、彼女等との戦いに、僅かに心を踊らせながら。
アニメも無事進んでいますね。
凄く縮んでいるなぁと思いながらも見てしまいます。
そう言えば、肌の接触を嫌うって言うエルフだからこそみたいなフィルヴィスさんのを分かりやすくするためでしょうか、ベートさんの手袋?から肌色見えててちょっと萌えました。
ヤバイですね、ちょっとどころじゃなく()