溶岩島の設定捏造しましたので、気をつけてください。
――溶岩島
溶岩島とは、危険度の高い古竜や伝説と謳われるようなモンスターが生息する危険なエリアである。
溶岩島は海底火山の影響で出来上がった島々を纏めた総称で、とある海の一角にぽつぽつと小さな島が円形に浮かんでおり、中央に存在する一際大きな島には標高5000mは超えるであろう巨大な活火山が聳え立っている。そんな巨大な活火山の内部――溶岩と極炎に包まれた深奥には、かの覇竜アカムトルムが座しているとか。
群島の一つ一つ、例外なく外縁部をどろどろに溶けたマグマが囲っており、夜だというのに眩しささえ感じてしまう。
そんな危険度マックスなエリアに、俺とフキョウは訪れていた。
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事の発端は、フキョウの誕生日から一週間ほど経ったある日、ギルドの連中が血相抱えて持ってきた一つの依頼を、フキョウがあっさりと受けてしまったことだ。
数々の困難なクエストをクリアした彼女なら、と一方的な期待を寄せられた彼女は、嫌な顔一つせず、と言うか無表情で(実際の所、安心させるためか少し……ほんの少し微笑んでいたのだが、長く連れ添ったものにしかわからないもの)即答した。苛酷な環境でその危なさは計り知れないというのに。
その危険度を考えて俺も同行すると強引に認めさせ、数時間の飛行船移動の後、ベースキャンプへと到着。今は持ち物と装備の最終確認中だ。
「あっぢぃ~……ランスで来るんじゃなかった、くそおめぇ……」
「ナナシだらしない。気を引き締めて。もし危なくなっても助けてあげないからね」
「そんな事言っちゃってー、助けてくれちゃうんだろ? かわいいフキョウちゃん?」
「……まずはこのセクハラ親父を討伐したほうがいいかな?」
顔を赤くしながら、背負った太刀へと手を伸ばし近寄ってくるフキョウ。その赤みを指摘したら、このエリアが暑いからだと可愛い言い訳でもして来そうだが、別のことを考えていた俺にその選択はなかった。
いつもの軽口を交わす中で俺の口から出た言葉。
――助けてくれちゃうんだろ?
いつもの調子で言ったが、俺はそんな状況にならないように精神すり減らしてでも注意しなければならない。
彼女はあんなことを言っているが、俺の自惚れじゃなきゃ絶対に助けてくれるだろう。いやほんと、そうであってほしい。おじさん愛されたい。
……だが、フキョウは俺を助けるために何をしでかすか全くわからない。注意を引くために何か投擲して攻撃するとか、閃光玉で視界をつぶすとかであれば、少しの危険はあれど構わない。ただ……自分の体を省みず命すらも投げ出すような危険な行動に出る可能性だってある。それで俺が助かりフキョウが死ぬ、なんてことになれば俺はこの世の全ての不幸を背負ったような絶望に深く沈みこむだろう。
だから、俺はフキョウの助けを受けるわけにはいかないのだ。
むしろ俺がフキョウを助け、傷を負わせないように立ち回るべきだ。
時間は有限で、無情に過ぎていくものだ。今こうしている間もフキョウを助けるための手立てを探す時間は削られていく。こんなとこで足踏みしちゃいられない。
俺は、絶対に、愛する少女を救うのだ。
決意の篭った視線を彼女に向ける。
彼女もそんな俺を見て表情を引き締める。
「すぅ……はぁ……、よし、行くか」
「うん、油断せずいつも通りに、ね」
「あぁ」
今は目の前の敵を倒すことだけに集中だ。
余計な考えは捨て、ただひたすらにフキョウと協力してあのモンスターを狩ることだけを考える。
一歩一歩前進して、溶岩島の縁、モンスターからは見えない位置にある崖へと到着。
高さ的には飛び降りても大丈夫な高さだ。ただ、俺が高所恐怖症なだけで。
震える足を叩きもう一度深呼吸。
フキョウと共にモンスターを討伐する。どうやってフキョウを助けるだとか、助かったらなにをしたいか、なんて考えは一旦蓋をしておく。油断も怠慢も許されざる行為だと心に刻みつけ、目の前のモンスターに集中だ。
「ふふ、ほんと高い所だと情けないなぁ。……大丈夫、いつも通りの私達なら勝てるよ。私とナナシは最強のペアなんだから。絶対勝てる、だから、いつものかっこいいナナシを――私に見せて、ね?」
ニコリと、灼熱のこの場に涼やかな銀白の花が咲いた。
目を焦がすような赤熱の光をも押しのけ、儚げでありながら確かな光で俺を照らす彼女の言葉は、全身が歓喜に打ち震えるほどの力を持っていて。
そんな彼女は再び口を開き「先行ってるよ」と凛々しい瞳を向けながら、崖を飛び降りる。
残された俺は、「ハッ」と複雑な感情が混ざったような息を吐き、
「せっかく、人が敵倒すことだけに集中しようとしてんのによぉ……ぐちゃぐちゃに掻き乱していきやがって。20半ばのおっさんをドキドキさせんじゃねぇよ……更に愛おしく感じるじゃねぇか、くそっ……!」
自然にやける口元を押さえながら、槍と盾を握り締めて、天然小悪魔な一面が現れだした少女の後を追った。
「私達が揃って立ち向かって勝てない相手なんて、激怒したオリーブだけなんだから」
なんてセリフは没になりました。