とある青年が銀河英雄伝説の世界に転生した   作:フェルディナント
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第十話

アムリッツア星域会戦は終わった。

 誰がどうみても帝国軍の勝利だった。同盟軍はその兵力の大半を失い、帝国領侵攻はおろか防衛すらも満足にできなくなった。

 だが、僕にとっては「敗北」だった。ヤンを倒すことができなかったのだ。転生しておきながらこの醜態。少しも自慢できない。

 アムリッツアからの帰路、僕はブラウヒッチ少将を謹慎からといた。

 彼の打撃力は十分に大きい。彼がいなかったからアムリッツアではヤンを迅速に撃破できなかったのだ。

 また、会戦直後にラインハルトとジークフリードの交わした会話を思い出して謹慎を解いたのだった。

 また、僕はジークフリードと同じく上級大将に昇進した。指揮下の艦隊は18000に達した。

 

帝国軍艦隊は惑星オーディンに帰還した。だが、新たな戦いが彼らを待っていた。

 すなわち、「リップシュタット戦役」。貴族連合軍との戦いである。

だが、この戦いは多くの艦隊を失い、ジークフリードも死んでしまった。また、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツが亡命してしまった。これがなければ後々うまくいっていただろうに。せめてジークフリードは守らないと。そのために何ができるか・・・よし、ブラウンシュヴァイクとリッテンハイムを早めに倒してしまおう。

 そのためにはオーディンを脱出するあのタイミングで倒してしまえばいい。軌道上の艦隊は僕が指揮し、あの金ぴかの客船を残骸にしてやろう。

 

 それから数ヵ月後。

 「閣下。市内各所に火の手が!開始された模様です!」新たな艦隊参謀長ナイトハルト・ミュラー中将が報告した。

 ミュラーはとても温厚な性格で、むしろ上司にしたいくらいいい人だった。彼は本来ブラウンシュヴァイク公の屋敷に踏み込むはずだったが、その役はワーレンが勤めている。

 彼の助言は攻撃向きの僕にとって非常にありがたい。お互いの弱点を補いあう、いいコンビだな。

 ここまで妄想して僕は前方のモニターを見た。数隻の船が上昇してくる。

 「全艦戦闘用意!事前に配置したワルキューレ隊に攻撃を命令!初弾は当てるな!だが、従わなかったらすぐに撃沈しろ!」

 「はっ!」ミュラーが敬礼し、艦隊に命令を伝達する。すぐに砲撃が開始された。

 「金色の客船がブラウンシュヴァイクの船だ!見つけたらすぐに撃沈しろ!」

 「見つけました!」すぐに報告が入ってきた。

 っと。早いな。「よし、取り囲め!」

 数分後、

 「ブラウンシュヴァイク公の客船を捕らえました!」

 まったく。どこまで展開が早いのやら。よくやった。他の船も同じようにしろ。宇宙艦隊司令長官につなげ」

 モニターにラインハルトの姿が写し出された。「ヒルシュフェルトか。どうだ?」

 「公爵を捕らえました。他の貴族も大半を捕らえ、リッテンハイム侯もその中にいます。ファーレンハイト提督も捕らえました」

 「よくやってくれたヒルシュフェルト。こちらも目標を達成したようだ」ラインハルトの声には心からの喜びが感じられ、僕は心のなかで小躍りした。

 「では、残敵を掃討して帰投いたします」

 ラインハルトは頷き、モニターは暗くなった。

 「他の残敵も掃討しろ。抵抗するなら撃沈して構わない。ここで取り逃がすと、後々多くの民が死ぬことになる」僕はミュラーに言った。

 「はっ。直ちに伝達します」

 僕は、銀河英雄伝説の歴史が代わり始めていることを実感した。必ず、より良い世界にして見せる。前方での攻防を見ながら、僕は思った。








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