とある青年が銀河英雄伝説の世界に転生した 作:フェルディナント
ラインハルトと出会って十年が過ぎた。階級も少将になった。
今僕はラインハルト・フォン・ローエングラム上級大将の旗艦「ブリュンヒルト」艦橋にいる。立場としてはラインハルト艦隊副司令官だ。
ラインハルトの副官のジークフリード・キルヒアイス准将も僕の横に立っている。
今まさにアニメ版第一話に当たるアスターテ会戦が始まろうとしていた。
僕はふとここまでの記憶を思い出した。
ラインハルトと出会って数ヵ月後、アンネローゼが皇帝に「さらわれた」。
その時、僕はラインハルトとジークフリードと共に誓ったのだ。「ゴールデンバウム王朝を倒す」と。
そして僕らは帝国幼年学校に入学し、五年後に次席で卒業した。首席が誰だったか、言うまでもない。
僕はそれほど頭の良い方ではなかったが、銀英伝についての知識が豊富だったため、次席になれた。
その後三人で惑星カプチェランカに行き、アニメ通りの展開で終わった。僕がいて変わったことはそれほどない。
さらに駆逐艦「ハーメルンⅡ」の機関部員を担当した。ここでの展開もそれほど変わりがない。
軍務省での仕事は退屈だった。ラインハルトと同じ思いでいた。
今度はラインハルトが駆逐艦の艦長となり、僕は砲術長となった。そして第五次イゼルローン攻防戦に参加し、その後ラインハルトが艦長を務める巡航艦の砲術長になった。
僕はどうやら砲撃とその延長線上にある攻撃が得意らしい。ファーレンハイトににてるのかな。
ピンチに陥ったときにアイゼナッハが助けてくれた時は僕も歓喜した。
任務が終わると、ラインハルトが大佐になり、僕は中佐になっていた。そして、幼年学校の連続殺人では正確な分析をし(知ってるからしょうがない)かなり早く犯人を見つけれた。
そしてラインハルトは准将になり、少将、中将と上がっていった。僕も少将になっていた。そして、第四次ティアマト会戦でラインハルトは上級大将となり、今に至る。
「敵第四艦隊、正面!」
「全艦、攻撃開始!ファイエル!」
アスターテ会戦が始まった。
最初、第四、第六艦隊を殲滅するところまで、僕は何もラインハルトに忠告しなかった。ここまでのラインハルトの戦術は完璧だし、僕は別にラインハルトのよりも良い案を持っているわけではない。
だが、第二艦隊と交戦に入り、しばらくたってラインハルトが敵中央を突破する策に出たときは止めることにした。
「閣下。今の敵艦隊の動きは先程とは違います。多分、指揮官がより有能なものに変わったのでしょう。今中央を突破すれば、逆に敵によって後背を衝かれかねません」
「ほう。ではヒルシュフェルト。お前はどうすべきだと思う?」
「敵の右翼か左翼のどちらかに突撃し、さらに中央を攻撃するのです。そうすれば、両方から包囲されることはなくなります」
ラインハルトは頷いた。「お前はよくわかっているじゃないか、ヒルシュフェルト。よし、そうしよう。敵の左翼を攻撃する!全艦、突撃隊形に移行せよ!」