とある青年が銀河英雄伝説の世界に転生した   作:フェルディナント

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第二十五話

 メルカッツを失った帝国軍は既に崩壊寸前にある。

 ファーレンハイトが統率を回復したときも、同盟軍の苛烈な攻撃は終わっていなかった。

 「直ちに撤退する!艦隊陣形を再編して損害の多い部隊より先に後退させろ!」

 元々ファーレンハイトは速攻を得意とする猛将である。だが、彼は敗北が確定してもなお戦い続け、部下に無用な損害を出させるようなことはしない理性ある指揮官だった。

 彼は少しでも全面崩壊へのスピードを遅らせるべく処置をとった。自身が直接指揮する3000隻の戦艦部隊が他の巡航艦、駆逐艦部隊の盾になって同盟軍の攻撃を受け止めた。

 それでも既に同盟軍との数の差はいかんともしがたく、損害は拡大する一方だった。

 また、撤退する味方が邪魔でガイエスハーケンも砲撃できない。

 「くっ!どうにか打開策はないのか!」ファーレンハイトが歯軋りしたその時、

 「後方に味方艦隊!ミッターマイヤー、ロイエンタール艦隊です!」

 

 この状況下でやっと帝国軍の双璧と謳われる二人の青年提督が率いる30000隻の兵力が到着した。

 「メルカッツ!ファーレンハイト!応答しろ!」ミッターマイヤーは旗艦「ベイオウルフ」艦橋から呼び掛けた。

 「こちらはファーレンハイトだ・・・」ファーレンハイト艦隊旗艦「アースグリム」から返答が帰ってきて、ミッターマイヤーは僚友の生存にとりあえず安堵した。

 「状況はどうなっている?メルカッツは?」ミッターマイヤーは矢継ぎ早に質問を浴びせた。

 「そこまで説明している暇はない!すでに敵艦隊は目の前まで来ている!」ファーレンハイトの顔には焦慮がはっきりと浮かんでいた。

 その事はミッターマイヤーにもわかる。バラバラに帝国軍が逃げてくるのだ。このままではミッターマイヤー、ロイエンタール艦隊の戦列に突っ込まれて陣形が崩壊する恐れもあるのだ。

 「わかった。細かい報告は後でだ」ロイエンタールの冷静な声がミッターマイヤー、ファーレンハイトの鋭利な頭脳を戦術へと引き戻させた。

 次に発せられたロイエンタールの命令は苛烈極まるものだった。「今すぐガイエスブルグに総員退去を命じろ。要塞をイゼルローンに突っ込ませろ」

 一瞬だが、ファーレンハイトは耳を疑った。「何だと!?」

 「今すぐだ!そうしなければ我が艦隊は全滅するぞ!」

 「・・・了解した!」

 すぐにガイエスブルグ要塞に総員退去命令が発せられた。

 兵士たちは必要な作業を終え、シャトルベイへと走り出す。

 ガイエスブルグはイゼルローンへと向かい始めた。

 

 「敵要塞、イゼルローン方面に直進!あと30分で激突します!」

 その報告はキャゼルヌを唖然とさせるに十分だったが、ヤンは自分の部屋に一匹の蚊を見つけた程度の動揺もしていない。

 「全艦隊、一旦後退。全艦隊、敵要塞のエンジンを狙い撃て!」

 特攻するガイエスブルグに向けて砲撃するため、同盟軍艦隊は全てが後退した。

 「よし!敵が要塞に食いついた!ファーレンハイト!離脱しろ!」ロイエンタールは命じた。

 ファーレンハイトは艦隊をまとめて脱出を開始した。それを追撃する同盟軍は居なかった。

 その間にもガイエスブルグはイゼルローン要塞に向かって直進し続ける。その姿は亡きメルカッツの最後の意地のようにも思えた。

 「全艦隊、砲撃準備完了!」

 ヤンは右手を挙げた。

 「全艦・・・」

 そう言って振り下ろす。「撃て!」

 同盟軍の15000隻の艦隊が一斉に砲撃した。各艦から放たれた光の矢は束となってガイエスブルグの表面に露出しているエンジンを刺し貫いた。

 エンジンを破壊されたガイエスブルグは進路をずらし、迷走し始める。

 「撃てー!」

 そこにイゼルローン要塞主砲トールハンマーの光の鎚が叩きつけられた。

 ガイエスブルグは苦悶にのたうち回るかのように震え、遮光フィールドも通用しないほどの光を放って爆発した。

 この瞬間、帝国軍によるイゼルローン攻略作戦は同盟軍の勝利に終わったのだった。だが、ガイエスブルグが最後に稼いだ時間はファーレンハイト艦隊が脱出するのには十分な時間だった。

 

 

 

あとがき

 

どうも。風邪ひいて学校早退し、ベッドの中で三十分で書き上げたフェルです。

ここ最近寒すぎます。これ以上言うと住所ばれるので言いませんが。

今度新たな小説を書こうかどうか検討中です。

それは・・・

 

 

 

機動戦士ガンダム

とある青年がウォルフガング・ワッケインに転生した

 

 

となります。

では、ご意見、ご感想お待ちしております。

熱辛い・・・


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