とある青年が銀河英雄伝説の世界に転生した   作:フェルディナント
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第三十一話

 皇帝誘拐の直後から、僕は同盟領侵攻作戦の準備にかかった。戦略物資の集積、輸送艦隊の編成、警備部隊の編成など、やることは山ほどある。
 これまで放置されていた損傷艦艇にも修理を行って再就役させ、艦隊に編成した。
 そのような中、同盟から「帝国正統政府」の結成の報が届いた。
 「そうか。では、出撃の体制を整えなくてはな。まこと逆説的だが、これでローエングラム公は同盟をお討ちになる大義名分を手に入れられたわけだ」僕はロイエンタールに言った。
 彼が事態の一部を洞察していることを僕は原作で学んでいる。それでも、真実を表に出さない努力は必要だった。
 「そうだな。ならば準備を整えなければなるまい」ロイエンタールはそう言って三十枚ほどの紙の束を手に退室した。その時彼の肩から栗色の髪の毛が一本床に落ちたことを僕は見逃さなかった。
 「・・・そうか、また女を変えたのか」
 ロイエンタールの行為が道義上正しくはないことを知っているが、あそこまで女性に対する吸引力を発揮されると、羨ましくもなる。
 「向こうの世界でも、彼女なんていなかったからな・・・」小声で呟くと、僕は頭を振って邪魔な思いを頭から追い出した。やることはまだまだあるのだ。ボーッとなどしていられない。
 
 しばらくして、ラインハルトは同盟侵攻作戦の発動を提督たちに伝えた。それもこれまでのようなイゼルローンからの突破ではなく、フェザーンを占領しての侵攻である。
 ついに、「ラグナロック(黄昏)」が始まろうとしていた。
 直ちに本格的な準備が開始された。
 フェザーンを占拠し、同盟領侵攻の足掛かりを築くのはウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将である。彼の後にはナイトハルト・ミュラー大将、オスカー・フォン・ロイエンタール上級大将の艦隊が艦列を並べて続く。その後ろからルートヴィヒ・フォン・ヒルシュフェルト元帥の艦隊が進撃し、五人の中将を配下にいれるラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の艦隊が続く。旗艦「ブリュンヒルト」には総参謀長でもあるパウル・フォン・オーベルシュタイン上級大将、首席副官アルツール・フォン・シュトライト少将、次席副官テオドール・フォン・リュッケ中尉、首席秘書官ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフなどが乗り込む。
 その後ろからはヘルムート・レンネンカンプ、カール・ロベルト・シュタインメッツ大将の艦隊が続き、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト、アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト大将の艦隊は予備兵力として待機する。
 一方で陽動部隊であっるイゼルローン侵攻軍の布陣も重厚である。
 軍務尚書ではあるが、職務をメックリンガー提督に代行させて出撃した「帝国の剣」との渾名を持つジークフリード・フォン・キルヒアイス元帥指揮のもとにアウグスト・ザムエル・ワーレン大将とコルネリアス・ルッツ大将の艦隊が参戦し、その後方にはエルンスト・フォン・アイゼナッハ大将の艦隊が続く。
 原作で司令官の言うことを聞かず、独断を行ったレンネンカンプをフェザーン方面に置き、この世界ではまだ実現していないジークフリード、ワーレン、ルッツの三人をイゼルローン攻撃軍に配置したのだ。この布陣であればもしかしたらヤンを倒してくれるかもしれないという期待を込めてである。
 イゼルローン攻撃軍は約43000隻、フェザーン攻略軍は約105000隻。リップシュタット戦役がなかったお陰で、これだけの数の宇宙艦艇を結集させることができた。
 そして遂に作戦は開始される。第一段階として、ジークフリードの率いるイゼルローン方面軍が出撃した。
 そして他の艦隊も出撃の準備を整え、臨戦態勢にある。

 一方の同盟軍は、兵力が非常に少ない。イゼルローン要塞にいる艦隊が14500隻。本土に駐留する部隊に警備部隊も含めた艦数は35200隻だった。そして同盟軍は帝国軍がイゼルローンを突破するととらえており、ヤン・ウェンリー、アレクサンドル・ビュコックのさんざんの要請を無視してフェザーン方面の防御ラインを構築しようとはしなかった。

 ジークフリードの率いる艦隊はイゼルローン要塞を射程内に収めようとしていた。
 「閣下。いよいよですな」参謀長ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン中将が言う。
 「そうですね」ジークフリードも頷いた。
 (必ず、生きて帰ります、アンネローゼ様)ジークフリードは遠く数千光年を飛んだ先にいる人に心の中で呼び掛けた。
 「要塞、主砲射程内です!」
 「全艦隊、砲撃準備!」
 40000を越える艦隊が砲撃の準備を整える。砲手たちの手も汗で滑るようになっていた。 
 ジークフリードが右手を軽く挙げた。
 その姿を周りの人間が神経まで静寂にして眺めた。
 緊張の一瞬が過ぎ、ジークフリードは手を勢いよく振り下ろした。「ファイエル!」

 あとがき
 どうも。YOUTUBEの視聴回数が少しだけど増えていることをニヤニヤしながら眺めているフェルディナントです。
 寒すぎて手が悴み、小説を書くのに時間がめっちゃかかりました。というか疲労困憊しているなかで書くのは大変ですね。しっかり休みます・・・

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