とある青年が銀河英雄伝説の世界に転生した   作:フェルディナント
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第三十四話

 ヤン艦隊をキルヒアイス艦隊が追撃しつつあると言う情報は直ちにフェザーンに集結しつつある帝国軍本隊にも伝わった。
 「よし、キルヒアイスがヤンを拘束している間に同盟領に食い込むぞ。直ちに出撃準備を」ラインハルトはすぐに決断した。
 こうして、宇宙歴798年12月30日、フェザーンよりミッターマイヤー、ヒルシュフェルト艦隊が出撃した。
その後方に続くのはロイエンタール、シュタインメッツ艦隊である。
 帝国軍本隊の役目はキルヒアイス艦隊がヤン艦隊、可能であれば同盟軍本隊を拘束している間にハイネセンまで進撃することだった。何よりスピードが求められ、帝国軍は高速輸送艦をかき集めて投入した。

 迎え撃つ同盟軍は苦慮していた。
 戦力優勢な敵別動隊に追撃されているヤン艦隊を他の戦線に投入することはほとんど不可能である。だからと言って、敵別動隊の排除に全兵力を投入すると首都前面の防備が薄くなる。艦隊を分散して対処するなど無意味な兵力分散にしかならず、敗北が必至である。敵からすれば同盟首都にたどり着けば良いのであって、別動隊がやられたところで大したことはないだろう。
 こうした事態に対して同盟軍統合作戦本部は何ら有効な対処をし得ず、宇宙艦隊司令部のみが同盟の盾となっている状態だった。
 司令長官ビュコック大将は新任の参謀長チュン・ウー・チェン少将と会議を重ねたが、妙案の扉を叩くことはできなかった。
 だが、座して待っているわけにもいかない。ビュコックはついに決断した。
 「これより全艦隊は直ちに出撃、ヤン艦隊を追撃してくる敵艦隊を撃滅し、直ちに首都へ転進。首都前面で敵主力を迎え撃つ」
 仮に講和するとしてもカードを用意しなければならない。今同盟に残された交渉カードは「戦術上の勝利」だけだった。
 同盟政府もこれを了承した。直ちに第一、第一四、第一五艦隊合計35300隻が出撃した。
 帝国軍本隊は刻々と首都へと迫ってきており、ヤン艦隊と合流して敵別動隊を撃破できるかは歴戦のビュコック元帥と魔術師ヤンの采配にかかっていた。

 「敵艦隊多数確認!数、およそ35000!」
 「ヤン艦隊、回頭!我が方に接近しつつあり!」
 「敵の合計兵力、45000以上!我が方不利!」
キルヒアイス艦隊旗艦「バルバロッサ」に報告が次々と舞い込んだ。
 「ついに敵の本隊が出てきたようですね」ジークフリードは指揮下の二人の提督に向けていった。
 「いかがなさいますか?敵の司令長官は手練れのビュコック提督、さらにヤン提督もいます。数の上でも我が方が不利です」ワーレンが聞いた。
 「戦いましょう」ジークフリードは躊躇わずに言った。
 「ここで私たちが敵を拘束することによって最終的な勝利が手にはいるのです。私たちがこの場所で勝つ必要はないのです」
 ルッツも、ワーレンも若い司令官の意志を汲み取った。「はっ!」
 「全艦隊砲撃戦用意!」
 「陣形を左右に展開!」
 「輸送船は下がれ!」 
 「航空部隊出撃用意!」
 次々と指示が出され、戦闘用意が整って行く。
 「今ここで敵軍を拘束すればするほど、最終的な勝利に近づく!これが我々の最終決戦だ!」指揮官たちはこう言って将士を鼓舞した。
 「今回は時間を稼ぐことが目的です。両翼に陣形を広げて包囲されることを阻止し、突出する敵艦隊に逆撃を加えて敵の行動を鈍らせます」
 「了解!」ジークフリード、ワーレン、ルッツも自分の役目を果たすため、指揮に集中した。

 「敵艦隊左右に展開しつつあります」
 「・・・提督」フレデリカは指揮コンソールに座る自分の司令官の姿に呼び掛けた。
 「分かっている。ここで彼を倒さないと民主主義の未来は潰えるんだ。必ず勝つさ」ヤン・ウェンリーは言った。
 「・・・はい!」フレデリカ・グリーンヒル・ヤンは確信を持って頷いた。
 
 漆黒の宇宙空間を航行する一隻の帝国軍駆逐艦。だがこの船に乗るもの達の中に帝国軍に所属する人間は一人もいなかった。
 「・・・もうすぐ始まるようです」ルイ・マシュンゴ准尉が傍らに立つ亜麻色の髪の青年に言った。
 「僕は一番大事なときに提督のお側にいれなかった」ユリアン・ミンツは無念さを感じていた。
 (だから祈ることしかできませんが、提督、必ず勝って、帰ってきてください)

 ベイオウルフ級戦艦三番艦「レーヴェ」が同盟軍と接敵したと言うキルヒアイス艦隊からの通信を受信したのは僕がちょうど艦橋にいたときだった。
 「そうか」僕はそれだけ言ってその通信を総旗艦「ブリュンヒルト」に伝達するよう命じた。
 (ジーク。絶対に死ぬなよ。ラインハルトもアンネローゼ様もお前を失うことはできないんだ)
 
 「レーヴェ」から転送される前に「ブリュンヒルト」でもキルヒアイス艦隊からの電文が受信されていた。
 「そうか。キルヒアイスがか」
 「どうなさるのです」総参謀長オーベルシュタインが聞いた。
 「キルヒアイスが同盟軍主力を押さえている。今の間に同盟首都を占領するだけだ」
 「ですが、キルヒアイス提督と言えど、ヤン提督などを相手にすれば・・・」 
 「オーベルシュタイン!おれ・・・私の前でその事を絶対に口にするな」ラインハルトは立ち上がった。「キルヒアイスが敗北することはない。我々はそれを信じて進むのみだ」
 「・・・御意」オーベルシュタインは引き下がった。
 ラインハルトはジークフリードが生きていることでオーベルシュタインの言うことに振り回されないようになっていた。彼が必ずしも間違っているわけではないと言え、ラインハルトは「キルヒアイスがいればどう思うか」という考えをするようになっていた。
 その考えが銀河の歴史に何をもたらすかは分からないが、このときはラインハルトは確信に満ちてジークフリードを信頼したのである。
 
 細かに見れば数人の、広く見れば数十億人の思いが集中するエルゴン星系。ここに集まった同盟、帝国両軍の兵力は90000近く。
 今、同盟の未来を賭けた一戦が開始されようとしていた。


 あとがき
 インフルになった・・・
 文章が崩壊していますがごめんなさい。インフルのせいです(言い訳)







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