男性転生者だらけのインフィニット・ストラトス   作:鋳型鉄男

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執筆が大分遅れました。就活は無事終わったのですが執筆時間(≒移動時間)が無くなりました。書きたいシーンがあるので少なくともそこまでは実験と論文の合間を縫います。

また、今回から他作品ネタに当たる某ロマン氏の薫陶を受けたキャラが登場します。まだ出るだけですが、苦手な方は十分にご留意ください。


新たに来るモノたちの話 その1

「ふうん、ここがそうなんだ」

 

 4月末の生暖かい風が吹く夜。いつも通り小さくまとめた荷物を肩に、あたしこと凰鈴音(ファン・リンイン)はIS学園の正面ゲートに到着し、次の手続きを確認していた。

 ここには()()()が居るし、どうせなら丁度良くここに来て迎えてくれないかなーと夢想しつつ、メモを取り出して受付の位置を思い出す。

 

「こういう時だけはあのバカが居ると楽なんだけどねぇ」

 

 ついひと月半ほど前から共に行動…いや、やたらと絡まれる機会が多くなったあのバカは、この様にちょっと前準備していたらな、と思うようなタイミングでだけは役に立つと認められる。だが如何せん普段の絡みがウザい。

 

「本校舎一階総合受付……だからどこにあんのよ、それ。ああもう!自分で探すわよ自分で!」

 

 ウザいからと置いてきたのは失敗だっただろうか?いやそれは無い。出国の時点で撒いていなければあの数時間の拘束時間中ずっと絡まれるのだ。この判断に間違いはなかった。断言できる。

 だがそれとこれとは別の話だ。こういう時に役に立たなくていつ役に立つというのか。要らない時に居て要る時に居ないまさに役立たずと言うべき………

 

「ってなんであのバカに思考を埋め尽くされてるのよ!どうせなら一夏で一杯になってよ!」

 

 それはそれでどうかと思うが置いておく。

 さて気を取り直して受付だ。出来ればだれか案内のできそうな人は居ないか探す。学園のどの校舎も明かりが落ちていて、多少見回した程度では残念ながら人影は見当たらなかった。

 流石にISを展開して空から探す、などやった日には国に帰る事すら起こり得るので自重する。しかし、結局どうしたものか。

 

「あ、そうだ。この時間でもアリーナならだれか訓練してるはずよね。そこならだれかに案内してもらえるかも」

 

 各国でほぼ共通の形状を持ち、遠目にも分かりやすいアリーナに行けばきっと誰か案内役を見つけられるだろう。

 行動指針を決めたならば善は急げだ。早速アリーナに向か

 

「ぁえええええええええええ!!!!!!」

「きゃあ!ちょ…なになに!?」

 

 おうとした瞬間、突如突風と共に現れたここ半月で見慣れた緑色にそれを遮られる。

 

『……そこの女子、無事か』

「え…ちょっと、ホントにどういう事よ?意味が分からないんだけど!」

 

 さらに隣に降り立つ胸にライオンの顔を付けた(意味分からない)スーパーロボット?で混乱は加速する。

 あのバカはいったい何のつもりかも分からないが、それ以前に状況に全く付いて行けない。ただ少なくとも――

 

 

――学園生活の波乱を予感させるには十分な出来事なのは確かだろう。

 

 

 

 

  ◇新たに来たる者達 / 早速やらかす者達

 

 HQ、こちら白旗。いつもと少し違う朝のホームルームで異常を確認した。そろそろ凰鈴音が転入してくる頃なのでこのクラスにも新たな転入生が来るのは予想していたが、昨晩の内にやらかして早速折檻を受けているなどだれも予想していない。指示を求む。

 こちらHQ、どうしようもない。問題を起こさなかった残りの対応を厳にせよ。オーバー。

 

 そんな小芝居を挟みつつ今日起きた事の説明に移ろうじゃないか。

 4月の夜風も暖かくなってきた今日この頃、折角なので原作の如く一夏クラス代表就任パーティーでもするかとか一夏が白式の操作ミスってアリーナにクレーターを作ったとかそんな感じのイベントフラグが着々と処理されていく中、ついに中国の代表候補生と男性操縦者がIS学園へ飛び立ったという情報がとある筋から伝えられた。

 この報を受けた一部の男子が迎えに行こうとしたり秘密裏に阻止されたりしたが本筋に関係ないので放置するとして、今日にはこの14人しかいないクラスに新たな推定仲間が増える事を皆それなりに楽しみにしていた。

 今日来る予定だった転校生は専用機持ち4人。日本人が一人、中国人が一人、カナダ人が一人にフランス人一人がこのホームルームを以ってクラスの仲間入りするはずだった。

 

 しかし昨晩。なんとそのうちの日本人と中国人が学園内にも関わらず無許可でISを全展開していたというではないか。しかも原作キャラたる凰鈴音を巻き込んで!

 おかげでその対応をしているらしい織斑先生は不在、山田先生もどことなく覇気がないまま現在、授業後の昼休みに至る、と言うわけである。

 

「なるほど。白旗は解説キャラか。キャラ付け?」

「否定はしねぇよ。わざわざ前線に立つタイプでもないんでね。斬った張ったは滾ってる奴らに任せてるんだよ」

 

 現在卓を囲んでいるのは転校生のフランス人、デクスター・トリコット(15歳)だ。何でも親の縁で欧州宇宙機関なる組織に所属しているらしく、開発室に近い人間と仲良くなりたかったそうだ。

 

「そういうお前は何枠のつもりだ?技術者枠はレイモンドが居るぞ?」

「被ってもいいじゃないか。僕の機体は題目的には非戦闘用。レイモンド氏とは方向性で違いが出るさ」

「あの濃いのが増えても困るがね」

 

 因みに他の転校生の分布はまだお説教だか尋問だかから解放されない()()()()勢と何かの手続きをしに消えたレイ・マクスウェル(カナダ人)と言う様相だ。余談だが説教ホント長いな。

 

「そうだ。折角だからクラスメイト達のそれぞれの立ち位置を教えてよ。聞いておくに越した事は無いだろう?パッと見た感じ大きく二つのグループみたいだけど」

「大きいのはな。詳しくは後でスレイマン・エクシオウル…浅黒い眼鏡にでも聞いてると良い。新聞部に人物相関図を出すための観察をかなりしてるみたいだぞ」

「放課後に新聞部名義のアポを取って来た彼だね。じゃあしっかり質問させてもらうよ」

 

 スレイマンの分析でも俺の工作員説が出てるのは勘弁して欲しかったが、他についてはかなり正確っぽいので丁度良いだろう。彼には人を選んでる節があるが、多分大丈夫だ。

 

「話が変わるけど、他の転校生二人は何があったんだろう。もう噂があったりする?」

「特に聞いてないな。ほとんど目撃者居なかったそうだ」

 

 話題が変わって残りの転校生についてか。残念ながら本当に情報が無い。原作でも凰鈴音が来たときは人もまばらな時間帯。それに則って誰もその瞬間を見ていないのである。

 

「そうか。白旗君の予想は?」

()()の襲撃じゃないことを祈る。昨日の停電?も関係ありそうだけどどうだか」

「ああ、確か8時ごろだったかな?宿泊したホテルも電子錠や内線が壊れていた時間があったよ」

「こっちでは整備室の装置がうんともすんとも言わない時間帯があってな。データ死んだと思ったが大丈夫だったのも謎」

「技術者としてゾッとする。まぁ後で聞ける程度の内容だと良いね」

 

 言ってなんだが()()の仕業ではないだろう。彼女らが直接動き出すのはまだあとのイベントだし。

 しかし停電は何が起こってたのんだろうな。レイモンドと一緒に居たが全機器(整備室の電子扉含む)が同時にフリーズして操作を受け付けなくなるとか二人して心臓が止まりかけた。

 

「午後には居ると良いな、残りの二人」

「その心は」

「一夏クラス代表就任パーティー兼転校生第一波歓迎会の予定をとっとと決めたい」

「もしかして白旗の方がクラス代表してない?雑用好きでしょ」

「おっと周囲で聞き耳立ててる女子にお前を売りたくなってきたぞ」

「その時は逃がさないよ?」

「面倒な奴め」

「自己紹介かい?」

 

 おのれ釣ったのを少し後悔して来たぞ。

 まぁそれはそれとして織斑組が食堂に入って来たしそろそろ視点を移そうか。人の波の向こうにさっきからサイドアップテールがチラついてるし。イベントの予感と言う奴だ。

 

 

◆◇◆

 

 

 恐らく白旗と転校生デクスター・トリコットの視点で昼食の場面が掛かれたであろう頃、織斑組(いつもの面子)も昼食に向かっていた。少し遅れたのは一組の女子(箒、セシリア、四十院さん達数名)と合流するためだ。

 

「どうした一夏、何か気になるのか」

「ああ、転校生がクラスに来たんだけど、お昼に誘えなくてさ」

「五組に転校生が来たという噂は本当だったんでわね」

「二人来たんだけど、どっちも先に居なくなっちゃってさ」

 

 織斑にはクラス代表としてとかそんな理由を付けて新しく来る転校生とは出来るだけ仲良くするように言い含めておいたことから、実際に転校生が来たことでそれなりにやる気が出ていたらしい。ただし残念ながら振られてしまいほんのりショックを受けている様子。

 

「南路も一夏みたいに考え事?転校生が白旗についてったのってそんなにまずい事だった?」

「良い質問だ幸島。どちらかというと一夏を中心にしない物語の派生が不安要素だ」

「ああ、原作ブレイクの可能性って奴?今更だと思うんだけど」

「今更だからこそ少しでも、と言う事だ。下手をすると命に係わるからな」

 

 個人的には出来るだけ主人公グループとしてクラスに纏まっていて欲しい。何か派生する物語があってもすぐ目の届くところにあれば何か対応が可能であるからだ。

 

「原作ほどセシリアがデレてないとか原作以上に箒さんが理性的(当社比)とか四十院さんがフラグ建てられてるっぽいとかどうすんの」

「正直どうしようもない。箒については良い傾向だが、他の二件は個々人の自由の範疇だ。何もこの世界観では精神論で戦力が向上するわけではないし、なる様になって貰うほかあるまい。それとない方向修正くらいはするがな」

「マリアーノが結構わかりやすくセシリアが一夏に接する機会を増やしてるから()()()()方向性かと思ってた。そうでもないんだ」

「そうでもないのだ。相手は意思のある人間、杓子定規で原作沿いにしても拗れるのは見えているともいう」

「玉虫色な…」

 

 一応自覚しては居るのだ。だが前世も併せて精々40行くか行かないか程度の集団の浅知恵で介入出来ることなどたかが知れている。

 妥協は必要なのだ。

 

「さて、そろそろ食堂に着く。恐らく凰が居るだろうがイベントはどう転がるか」

「ああ、そっか。でも教室には来なかったよね。どうすんだろ」

「見て楽しむしかあるまい」

 

 食堂の入り口の少し先には想像通りのツインテールが見えている。もはやイベントマーカーが頭上に見える気がするまである。

 では大人しく外野として事態の推移を見守ろうか。

 

 

「待ってたわよ、いち「りいいいいいいいいいいいいいいいんちゃああああああああああん!!!!!」

 

 イベントブレイク早すぎワロス。

 どーんと一夏の前に立ちふさがった凰が一夏に声を掛けようとしたまさにその時、聞きなれない叫び声が廊下の後方からドップラー効果を伴いながら響いてきた。

 無駄に手練れを思わせる小気味良い足音を伴い突撃してきた()は颯爽と凰に駆け寄り腕を広げ飛び掛かり

 

「邪魔ァ!!!」

「おぐ」

 

 うわエグイ音。額に青筋を浮かべ落ち着いた様子で手元のラーメンを卓に預けた凰に腹部への一切容赦無い掌底で沈められた。

 派手に跳ね返る様なギャグ補正的演出も無く学園の制服を着た男がくの字に折れその場に膝をつき動かなくなる様は、ざわついていた食堂内を黙らせるに余りある衝撃をもたらした。

 

「コホン。待ってたわよ!一夏!」

「お、おい鈴、この人大丈夫なのか?」

「一夏は何も見てないわ。それよりラーメン伸びちゃうじゃない。もっと早く来なさいよ」

「いやこっちにも都合があるからな、約束もないのに早くは来ないって。それよりこの人」

「放っておきなさい。良いわね?」

「お…おう」

 

 いやいや放っておいたら駄目だろう。流石に保健室へ持っていくくらいした方が…

 

「鈴音、(ミン)は俺が預かろう。久しぶりの幼馴染との昼食、ほどほどに楽しめよ」

「あ、助かるわ。焼却場に棄てておいてちょうだい」

「保健室宛で承った」

 

 昨日から展開速すぎではなかろうか。恐らく転校生の残り一人であろう男が颯爽と現れ、(ミン)と言うらしい男を抱えて食堂から立ち去ってしまった。

 

「邪魔者も片付いたし、早く席に行きましょ」

「せめて説明を…とりあえず、あそこの空いてるテーブルで良いか?」

 

 

 

「つまりさっきの二人が残りの転校生って事か?」

「そうよ。明はともかく檜山は昨日知り合ったばかりだけどね。変なISに乗ってたことくらいしか分からないわ」

「変なIS?」

「なぜか胸にライオンの顔がある全身装甲(フル・スキン)

「かっこいいな」

「カッケェじゃねぇか」

「それは格好良いと思うが」

「カッコいいと思う」

「私はどうかと思う」

「え、ライオンの顔ってことは磐長(いわなが)の?ホントに使うんだ……」

 

 と言う事で凰と共にだいたいいつもの十数人は同じテーブルについてさっきの男二人について軽く説明を受けた。

 沈められた明 天文(ミン・ティアンウェン)なる男は中国で見つかった男性操縦者で、操縦者育成施設で合流して以来かなり付きまとわれているらしい。

 先程それを回収した檜山護(ひやままもる)は昨日の()()で始めて合流したから凰はいまいち知らないらしいが、一組の情報通によると磐長(いわなが)重工という日本の財閥系メーカーが手掛けたISを駆る、企業専属内定の操縦者と言う事だ。人柄までは流石に伝わっていない。

 

「一応面倒見は良いみたいよ。昨日も結構頼りになったし」

「あ、そうだ。なぁ鈴、その昨日の事について聞いても良いか?変な噂しかないから気になってたんだ」

「あ、ごめん。あたしも昨日何が起きたかは良く分からなかったし、あの二人も詳しく話さないように言われたみたいなのよね」

 

 箝口令が敷かれるような事態?確かこのタイミングにそんなイベントは無いから、この世界特有のイベントか。

 ……駄目だ、情報が一つもないのに考えてもどうしようもない。ここは諦めて大人しく

 

「一夏、二人で盛り上がるのも良いがそろそろその幼馴染の子をきちんと紹介して欲しい。これも縁だ。可能なら仲良くするに越した事は無いからな」

 

 目の前の学園生活から片付けていく事にしよう。もちろん夕方には転校生の立ち位置を聞きに行くが。

 

 

◆◇◆

 

 

 IS学園地下、極秘とされる特別区画に存在するとある情報端末の前。秘密の多い学園設備の中でも特にデータ解析に秀でた機器の表示を眺め、織斑千冬は溜め息を吐いた。

 

「これだけ解析しても何も変わらない、か」

 

 彼女が解析にかけていたデータは2つのIS活動記録(アイエス・アウトログ)。記録された日付は昨晩で、容量は数十分間のISバトルのそれに等しい。

 だが二つのデータにはどうやっても説明が付かない、そして記録として致命的な()()が存在する。

 

「織斑先生、何か分かりましたか?」

「いや、何もだ。彼らの言い分が正しければ学園は攻撃を受けていた事になるというのにな」

 

 解析の補助を頼んでいた山田先生から声が掛かる。予想よりも怪奇な事態に彼女も困惑が晴れないらしい。その表情は複雑だ

 

「彼らが嘘をついている様子はなかった。だがその証言は到底信じられるものでは無かった」

「金と白磁、臙脂に鈍色の2体の生物型自立兵器なんて聞いたことも見た事も、そして当日の目撃情報もありません」

 

 学園内どころか学園に着く前にISを無断で起動したという彼ら二人の証言。その二人が口を揃えて示す謎の存在、生物型自立兵器。無論、そんなものに心当たりは無いし、()()()に問い合わせても該当するものは存在しないと断言された。

 だが、荒唐無稽な彼らの言い分をすべて無視する事は出来ない。それはこの活動記録の異常性に立脚する。

 

「――再生時間0秒の記録。あらゆる移動、動作がその瞬間に全て行われたという証拠。……まさか、時間が止まっていたとでもいうのか?」

 




この場を借りて、オリキャラが露骨に影響下にあることを受け止めて頂いた葉川柚介さん(ID:82020)に感謝を示しますと共に、連絡から初登場までかなりの時間がかかったことをお詫び申し上げます。


以上。感想・誤字脱字報告・助言・ご意見お待ちしております。
次回、新たに来るモノたちの話その2は下手すると来月以降になります。心の片隅でも更新を期待して頂ければ幸いです。
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