男性転生者だらけのインフィニット・ストラトス   作:鋳型鉄男

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大分ご無沙汰しましたが、詰まっていた日程は乗り切ったので更新を再開します
場面・視点が飛ぶのは相変わらずなのに加え更に三人称視点の文章もあるので、読みにくかったらご指摘ください。
転校生第一波最後の一人と初期勢でセリフが一度しかなかった彼の出番&機体お披露目回です。


新たに来るモノたちの話 その2

 

「だああああっ!クッソ初乗りだからって二人がかりで来やがって容赦とかプライドとか無いのかお前ら!!俺の打鉄(訓練機)ばっか狙ってないでレイモンド(専用機)も狙え!」

「そうしたいが放っておくと援護射撃が痛くてな」

「半端に強いのが悪いんだよ。大人しく落ちろ」

 

 転校生がやってきた日の放課後。少し確認したい事があったためアリーナに出てみたレイモンドと白旗、と言うか主に白旗はクラスメイト2人にISで執拗に追い回されていた。

 追い回しているのは以前から何をしているのか分からない割に教師からの評判が悪くないダレル・カーチス。そして転校生の一人であるレイ・マクスウェルである。

 原作にはなかった機体を駆る二人に訓練機で対抗する白旗は控えめに言って可哀そうな鴨的な何かだが、六割くらい自分のせいなので仕方ない。

 

「あ、レイモンドお前観戦モードに入るな!もともとユートピア(お前の機体)の調子見に来たんだろうが!」

「白旗君が有能なおかげで最低限は確認できたからね。ダレル君とレイ君の分も付き合ってあげると良い」

「そちらの雇い主の許可も出たな。安心しろ、後で報酬は払う」

「そういう問題じゃなくて」

「悪いがオレ達のクライアント(専用機の提供元)からサブミッションが通達されてよ。内容は訓練相手(お前)の撃破。良いじゃないか、撃破に価値ありと認められたんだ」

「絶対に許さねぇ!企業連んんんんんん!!」

 

 

 

 

  ◇迫り来るモノ達 / 貧乏クジ

 

 時間を戻して放課後に入って少し後。昨晩の停電らしき現象で自分の愛機(ユートピア)にバグが発生していない事を確認したレイモンドは、アリーナにて打鉄装備の白旗と軽い模擬戦闘を行っていた。

 レイモンドから見て白旗は優秀な技術者かつ技能者(ついでに決闘者(デュエリスト)、デッキが無いのが悔やまれる)であり、開発者となった今世で彼と同僚であったのは幸運であると断言できる。

 彼の前世が如何なる職業であったか気になる所であるが、残念ながらこの一か月ではそれを聞き出せるほどの信頼を得る事は出来ていない。少なくともかつての自分より年上であったと予測している。

 

「ザっと打ち合った感じ腕回りには影響出てないっぽいな」

「そうだね。ムーンバリアも問題なし。足回りにも違和感は無いよ」

 

 2機で空中に留まり、得られた稼働データを簡単に見返す。ソフト・ハード共にバグが無い事が確認し、二人して昨晩から詰まっていた溜め息を吐いた。

 

「昨日の停電の影響が出なくて良かったよ。システム的な見直しをしたとは言え、実際に動かしてみないと分からないからね」

「然り然り。デクスターとも話したが、あの停電は何だったんだろうな」

「本当にね。と言うより、あれが停電だったのかも怪しい所があるよ」

「その心は」

「開発室の他の人間は誰も停電に心当たりが無かった」

「うげぇ……」

 

 昨晩の停電について機体のチェックの合間にいくらか確認を進めてみたが、得られた収穫は停電など起こっていないという証拠・証言のみであった。

 機体へ影響が出ないのは喜ばしいが異分子たる自分達にのみ感知できる異常など正面から歓迎できるものでは無い。

 

「俺ら宛てのイベントって事かねぇ」

「私は少しだけ高揚を覚えるよ」

「折角の希望皇を活躍させる機会って考えてるだろ」

「その通り」

「質悪い奴だ…」

 

 額縁に飾るレアカードではないのだから、活躍の場が欲しいと思うのは仕方が無いのである。

 

「まぁ分からない事は置いておくとして、この後どうする?Xyzチェンジ発動ラインまで続けるか?もう一個のシステムもまだ励起できてないし」

「こちらからお願いする事だ。ただで甚振られるつもりは無いけどね」

「まぢむり。引き撃ち(中距離射撃)で削ろ」

「止めてくれ白旗。その戦術は私に効く」

 

 そう言いながら二人で距離を取り、各々の武器を構える。こちらは長剣、あちらはわざわざ銃剣を付けたライフル二丁である。

 

「距離はこれ位にしよう。それじゃあ模擬戦再か……どうする?」

「続ける。あれらにもやってみたい演出あるだろうし乗ってやろう」

「分かった。ではそれなりで模擬戦を再開しよう。行くよ!」

 

 

◆◇◆

 

 

ほぼ同時刻のピットにて、今日この日を待ちわびた男は眼前にある()()に感嘆の息を溢していた。

 

「これだよ()()、オレが求めていたモノは」

「まだまだ()()()()()()()()()()は少ないんだけどね。満足してくれたようで何よりだ」

「老舗だのベテランだのには良い顔されなくて参ってたんだよねー」

「それを踏み倒して完成に漕ぎ付けた敏腕共がよく言う。カーチス、装着の手順は分かるか」

「あー、悪ぃ。教えてくれ」

 

 彼らの前にあるISは二機。学園に転校してきたレイ・マクスウェルが愛機、流線型を多用し如何にも突撃に特化したと言わんばかりの黒の機体と、ダレル・カーチスの一か月の交渉の成果たる赤銅の機体の二機だ。

 

「これが()()()()のアーマー…いえ、『ヴァリアブル』方式のIS、ですか」

「ええ山田教諭。我らレナード社の記念すべき第一号強襲型フレーム、レイ君の『エグザウィル』と」

「ダレル君の『トリスタン』タイプ汎用フレームだよ~。あ、武装はあっちのコンテナだから装着したら自分で取りに行ってね」

 

 山田先生の疑問に対し、それぞれの企業から派遣された技術者が応える。

 『ヴァリアブル』方式。それは近年第三世代に僅かに遅れる形で提唱され始めたISの規格の一つであり、その特徴として対応する規格のパーツであれば、対応するコアに対し多様なフレーム・武装を自在に採用できることにある。その自由度は既存のパッケージシステムや後付武装(イコライザ)の幅を大きく上回り、採用するフレーム次第では全く別のISと言えるほど姿を変える事が出来る。だが、

 

「さっき()()呼びかけたのを見るに、山田()()()()()も『ヴァリアブル』が気に入らないたち?」

「えっと……やっぱり、思う所は…その、あります」

 

 この『ヴァリアブル』は根強い反発が二種類存在する。一つは初期からISの開発を行ってきた()()企業による反発、そしてベテランISパイロットらによる反発である。

 老舗企業による反発は簡単に言えば利権の問題である。この『ヴァリアブル』方式を推進する企業の多くは『ヴァリアブル』方式ISパーツからISの利権に手を掛けようとする新参であり、これらの本格的な参入を嫌った老舗企業らが難癖をつけて反発を表明している。

 そしてベテランと呼ばれるISパイロット、特にセカンドシフトを経験した事のある専用機持ちの反発は『ヴァリアブル』方式の導入を大きく遅らせていると言われている。こちらは彼女らのISに対する感情論に起因しているため、企業のそれより根深く面倒な問題だと捉えられている。主張の概略はこうだ。

 

『ISとはコアさえあれば完成するものでは無い。機体を構成するフレーム、武装その一つ一つをパイロットが使いこなす事によって初めて真価が発揮されるのである。使いづらいから、相性が悪いからと次々浮気する事を前提とした『ヴァリアブル』方式はISの一個体をあまりに軽視したシステムであり、禁忌とすらされるべきモノである』

 

「故にあなた方(ベテラン)はアレらを侮りこう呼ぶのですね。アーマード・コア(不完全機種)と」

「ガワだけ被せた別物扱いって中々ヒドイ事言うね~。山田教諭も大人しそうな顔してそっち側だったなんて知ったら。ダレル君、悲しむよ~?」

「茶化さないでください…。思う所こそありますが、彼らが預けられたコアとどのように付き合うかは彼ら次第です。自分なりの付き合い方を見つけられた時、それが正しい事であるよう指導するだけです」

 

 

◆◇◆

 

 

「さぁてダレル君もレイ君も装着が終わったね?中々様になってるじゃない。実は前世で扱ったことがあるとか?」

 

 山田先生と機体担当の技術主任らが雑談しているのを横目に、ダレルとレイは各々の機体の装備を完了していた。

 不意打ちで来た前世と言う単語に僅かに脈が速くなるのはご愛敬である。

 

「ま、何だって良いけどね。それじゃぁ俺達がIS学園で君達に課す最初の課題(ミッション)を説明しようじゃないか」

「依頼主はわたし達“企業連合”。目標は各自のISで戦闘を行い、制限時間中に稼働率80%以上を記録する事です」

「戦闘の形式は問わないけど全武装で弾薬の半分は消費してね。これ稼働状況のテストだし。他の細かいサブミッションは今送った内容を見れば分かるけど垂れ流すだけじゃないんで考えて撃ってね」

「これはあなた達の試金石でもあります。確実なミッション遂行を期待しています」

 

 漸く舞台へと上がる(ISを手に入れた)二人へ課題が通達される。所謂チュートリアルに相当するのだろう。

 二機の新造ISが言葉少なにカタパルトに並ぶ。先にダレルの赤銅の機体がアリーナへ飛び、続いてレイの漆黒の機体が位置に着く。

 そのレイから企業へ確認が入る。

 

『ところで一つ確認したいのだが』

「構いません。何でしょう」

『戦闘の形式を問わないと言うが、誰か巻き込んでも構わないな?』

「ミッションオブジェクティブは指定の稼働率の達成です。手段は問いません」

『了解した。ではクラスメイトに協力を願おうか』

 

 聞くや否やレイもアリーナ内へ飛ぶ。山田先生が何か叫んでいるが、彼らに気にした様子はない。

 そしてレイモンド機、白旗機をロックした二人はそのまま戦闘に突入する。

 

『何だお前らは…?』

『乱入してくるとは、とんでもない奴だね。訓練は一旦停止して、邪魔者を排除しようか。協力をお願いするよ』

『了解した』

 

 襲撃を読んでいたのか、先制攻撃を防いだレイモンド達は小芝居を挟みつつ応戦する。彼らの行動もノリと勢いで出来ている。

 四機分の火線と刃が交錯し、各機の稼働率が上がる。ダレルらはまず近接主体で中距離以遠への攻撃手段の少ないユートピアを狙うも防御機構(ムーンバリア)に防がれ、近接攻撃は二刀に捌かれる。

 その隙に入る白旗の打鉄の援護も見過ごせる精度ではなく、伊達にレイモンド(専用機持ち)の相手をしていない事が伺える。

 

 翼を手にしたダレル()レイ(山猫)の戦いはこれからである。

 

 

 

 そして冒頭に戻るわけだ。白旗君が死にそうな風に見える機動でどう見てもアーマード・コアな二機の攻勢を凌いでいる。表情も死にそうだがああなんという事だろうこの希望皇はまだ追加武装の覚醒(シャイニング・ドロー)に成功していないから有効な援護が出来ないせめて隙を見て攻撃できる位置に居なければ(棒読み)。

 ダレル君の機体は確かACV系の機体だったか。ライフル、ガトリング、パルスマシンガンとバトルライフル(中型グレネードランチャー)を肩部ハンガーも活用しながら使い分け間断ない弾幕を張り続けている。因みにまだ()()()は無いらしい。

 そしてレイ君の機体、アーマード・コア4の時のAALIYAH(アリーヤ)フレームをそのままISにしたような機体、は右手のサブマシンガン、左肩のプラズマキャノンで打鉄の浮遊盾を一枚中破させている。しかも如何にしてかプライマルアーマーを張っているようで、流石の白旗も対処に困っている様だ。

 

『そのプラズマキャノン反則だろ!直撃どころか変に掠めただけで盾の表面赤熱してんぞ!あとセンサーめっちゃチラつく!ダレルのパルマシもだ……ってブレードォっ!』

『実弾は上手く弾かれるからな。しかしクイックブースト(QB)を使ってもギリギリエネルギーダガーの圏外に逃げるその機動、やり込んでいるな。仮想敵とダブったか』

『射撃がある分お前のが凶悪だよ!ロングレンジブレード(月光)だったら死んでいた!』

 

 どうやら転校生(レイ)とも早速仲良くなっているらしい。このコミュ力は見習わないといけないな。

 そんな雑談の合間にもダレル機からの射撃が入る。まだ飛行する感覚を掴めていない様だが、白旗君が地表に追い詰められた際の攻勢には目を見張るものがある。特に連携もあったとはいえ三次元機動を熟す白旗君にブーストチャージ(脚部シールドバッシュ)を直撃させたセンスは称賛に値する。地面を転がされる白旗君はその時初めて見た。

 

『おのーれ俺が何したってんだよ』

『丁度良く訓練機に乗っていたな』

『かつ近接攻撃しかできない専用機より汎用的な武装を積んでいる』

『付け加えるとレイモンド氏より回避機動に優れ、二機から撃たれているにも拘らず応射もそれなりに適切です』

『文句言いながらもちゃーんと戦ってくれるしね~。ホント、付き合ってくれてアリガトネ~』

 

 同僚がとても絶賛されているようで何よりである。彼の打鉄の実体ダメージは中破判定手前(浮遊盾は大破)、シールドエネルギーも二割が目前だが、AC勢もシールドエネルギーが四割程度は削られている。希望皇ではこうはいかなかったからだろうから、彼らの判断は妥当だろう。

 

『ほ、報酬を要求する!労働には対価が必要だ!』

『え?……無いよ?』

『少なくとも事前に用意はしておりません』

『マジで許さんからな企業連!!!!』

『せ、先生が後でデザートを奢ってあげますから』

『山田先生は癒し。はっきり分かりました』

『聴いたかレイ。白旗はデザート一品で新武装の的を担ってくれるらしい。今後も頼もうぜ』

『奉仕精神豊かだな。実に有難い事だ。……そしてこれで終わりだ』

『オノーーーーーレーーーーーーーーーー!!!!!!』

 

 あ、遂に訓練機放課後使用の限界ダメージを越えたみたいだ。希望皇にもその旨を示す通知が出る。

 流石に20分間ほぼ完全に手を出さなかったわけだから、機体の片付けくらいは手伝ってあげよう。

 ()()()最後のプラズマとグレネードを同時に受け車田落ちまで披露した白旗君のそばに寄る。ザっと被弾個所を確認すれば殆どの被弾は浮遊盾に集中しており、別の場所を見れば機体を大きく損じる被弾は無い。

 こいつマジで最後まで見てるだけだったわあり得ねぇという目で睨んでくる白旗機に肩を貸し、ピットへと下がる。転校生歓迎会でこの三人にマスタードシュークリーム食わせるとかうわ言を吐いているのも無視して機体をハンガーへと移す手伝いをこなし、最後に希望皇のIS活動記録(アウト・ログ)の出力を行う。

 今日の模擬戦における希望皇の稼働率は七割。いつもと同程度だが、先の模擬戦、ほとんど見ていただけだが、はなかなか良い刺激になったらしい。仕込んであったシステムの稼働率も高まっている。

 後はこれの解析を行うわけだ。さて、もう一仕事彼に熟して貰うとしよう。報酬はデザート一品だ。

 

 

◆◇◆

 

 

 転校生が沢山来たとか主人公が幼馴染と再会したとか夕食時に皆の前で盛大に叩かれたとかブラック企業連とかいろいろあったその次の日。

 

「……ずいぶん奇麗な紅葉咲かせてるな織斑一夏。馬に蹴られたか?」

「あー、昨日幼馴染とちょっとな。そう言う白旗も目の下に隈が出てるし、ちょっとやつれてるぞ?」

「IS関連で面倒なデータが転がってきてあんまり寝れなかったんだよ。その紅葉と違って化粧した甲斐はあったけどな」

「うぐっ…」

 

 織斑一夏は日課のランニング前にトイレで鉢合わせた白旗から頬の紅葉について弄られる。咲いた経緯について色々主張しておきたい事はあるが、どれを採用しても隈が出来るほどデータ処理よりは下らない事なので言い返すことは出来ない。

 

「聞いたぞ?女子との約束を間違えたとか。近頃新聞部の深淵に染まりだしたスレイマンの追及を覚悟しておくことを勧める」

夜中のメール(昼食の誘い)はそれか…なぁ、白旗マジックでどうにかならないか?」

「そういう呼び方があるのは知ってるけど面と向かって言われると背筋が痒くなるな。因みにお断りだ。今日の学内新聞楽しみにさせて頂こうか」

「そこを何とか!質問攻めはこりごりなんだよ」

「拝まれても断る。デザート付きでもだ。大体お前も仲間を連れて行けばいいだろう。付いて来てくれればだがな」

 

 夕食時の食堂に誰も席についていない時間を作れると噂の白旗マジックなら新聞部(エネミー)の追撃を軽減できるかと考えたが、そう安請負はしてくれないらしい。

 ならば当初の通り、スレイマンに手心を加えた取材を頼んでみるしかないだろう。

 

「何も骨までしゃぶられる訳じゃあるまいし、偶には違うメンバーと食卓を囲むのも良いだろ。スレイマンも新聞部も悪い奴じゃないしな」

「それもそうか。それじゃ皆を待たせてるからお先に」

「今日はランニングで迷子になるなよ~」

 

 そんな朝の一幕。

 

「爽やかな青春、気の置ける仲間達。この世界の主人公は恵まれてるなぁ」

「さて、レイモンドにデータ渡しに行くかね。隈取分の小遣いも分捕らにゃだし、裏方も大変だよ~っと」

 




アーマードコアな彼らの機体は今後しょっちゅうフレーム・武装が変化する予定なので、ご留意願います。

以上。感想・誤字脱字報告・助言・ご意見お待ちしております。
次回、想定外 その1(仮称)の更新はそう遠くならはいはず…
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