男性転生者だらけのインフィニット・ストラトス   作:鋳型鉄男

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就活でむしゃくしゃした勢いで投稿
間に入ってるタイトル的な奴はノリで付けています。十中八九意味は有りません。


二日目

 

「ハァァ」

「なぁ大志(たいし)、溜め息吐きたくなるのは分かるけどホントに吐くの止めてくれよ。せっかくの朝食が冷めるぞ」

 

 目の前にはホカホカの大盛り白飯、焼き鮭の切り身、味噌汁に浅漬けの和食セットにゆで卵を加えたもの、そしてほぼ同じ朝食セットを食べながらこちらに難題を吹っ掛けてくる世界初男性IS操縦者様がいる。

 

「仕方ないっしょ。また昨日みたいに女に囲まれて質問攻めになると思うと溜め息も吐きたくなるって」

「考えないようにしてるんだから言葉に出さないでくれよ。俺だって昨日の勢いは引いたんだからよ」

 

 結局、二人そろって溜め息を吐く。

 現在時刻7時38分、ここはIS学園一年生寮の食堂の一角で、まだ早いのか人は疎らだ。

 疎らなんだが、俺達の二人の座っているテーブルから一定の距離だけ開けて他の女子達が耳目をこちらに向けてヒソヒソ話しているのが分かる。

 

 自己紹介が遅れたが、俺は幸島大志(こうじまたいし)。この世界に生まれてから14年の世界で最も希少な人種「男性IS操縦者」の一人だ。

 この世界が「インフィニット・ストラトス」の世界だと気づいてから約十年、俺はついに発見された男性IS操縦者のニュースに飛びついた。

 年は足りないものの、俺こそオリジナル主人公の一念に基づき男性向け起動試験でIS「ラファール」に触れたところ、原作一巻にあった様なアナウンスを聞きながら起動することに成功したんだ。

そこからはまぁいろいろあったが割愛。中学卒業の資格を持たないまま保護の名目でIS学園に入学した。

 

「最初は男だけのクラスとか最悪かよって思ったけどこれで良かったわ。四六時中あの勢いとか耐えられねぇ。耐えられる奴いたらちょっと神経疑う」

「だよな。あの勢いはトラウマになりそうだった」

 

 そう、この世界にはやたらとIS操縦できる男がいた。それも全部で19人も。

 昨日を越えた俺達からすればいてくれたことに感謝しかないが、当初はこの世界の神様を恨んだもんだ。これじゃ原作ヒロインのハーレム作れないじゃんってな。馬鹿なことを考えてたもんだ。

 

「あ、そういえば昨日の幼馴染とは何かあったのか?久しぶりなら積もる話も合ったっしょ」

「箒か。去年の剣道大会で優勝してたみたいで、その話をちょっとだな。あー、あとそのうち一緒に飯食おうぜってくらいか」

「剣道ねぇ。織斑もなんかやってんの?スポーツとか武道とか」

 

 原作知識で知っているが、念のため本人の口から聞く。実は織斑の幼馴染系転生者がいて原作では辞めていた剣道を続けさせてるかもしてないし。

 ちなみに俺は陸上部だった。長距離のエースである。

 

「いや、今は何もやってない。昔は俺も剣道やってたんだけどな。ちょっと思うところがあってバイトしてたんだ」

「バイト。そんなに貧乏だったのか…ってそんなわけねぇじゃん。お前自分の姉の収入じゃ足りなかったのか?」

「そこは家庭の事情ってことで。ちなみにそっちはどうだったんだ?箒に連れ出された俺よりもさらに大人数に囲まれてたけど」

 

 …体が昨日の惨状を思い出し震えだす。やめろ、やめてくれ。そんなに一度に質問されても答えられない。来るな、囲むな、引っ張るな、う、うわ、あ…あ…ああ

 

「あ、これ聞いたら駄目な奴だったか…おーい。戻ってこないと飯が冷めるぞー。おーい、おーい」

 

 暫らくして様子を見に来たらしい先生に叩き起こされるまで俺はフリーズしていた。

 ついでにこの日、俺は昨日ほど激しい質問攻めに遭わず、また話し相手(男)が増えたことでだいぶ癒されたが、こちらを見る女の目が微妙に変わった気がするのはなんでだ?

 

 

  ◇各々の魂 / やたらある専用機

 

 

 二時間目、山田先生によりISの基礎知識の授業が進んでいく。織斑一夏はついて行けていないらしく、最前列中央の席で腕を組み教科書を睨んでいる。

 俺、リチャード・ラッセルは後方の席からそのザマを眺め悦に浸りつつ

 

(…デリックがいなければ俺も分からなかった)

 

 ほぼ同レベルである自分に軽く絶望していた。

 おかしい。俺は奴とは違い転生者だ。前世でもそれなり程度には勉強していたし、今世でも全く勉強しなかったわけではないはずだ。それがこのザマである。

 

(奴と同レベル…いや、まともに勉強を聞ける相手が最初からいる分、俺の方がマシだ。そしてクラス代表の座を手に入れれば原作の専用機持ち達に…ぐふhアウッ!!」

「うるさいぞラッセル。今は授業中だ。考え事は後にしろ」

 

 いつの間にか隣に立っていた織斑先生に出席簿で断罪される。一瞬意識が飛んだぞ。どうなってるんだあの出席簿。

 それはそれとして授業は進む。原作ではブラジャーがどうと例えて気まずい空気になった生体補助機能については流石に男子のみのクラスだからか、特記するイベントも無く進んだ。

 

「そしてISにも意識に似たようなものがありお互いの対話――つまり一緒に過ごした時間だけ分かり合うというか、ええと、操縦時間に比例して、IS側も操縦者の特性を理解しようとします」

「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになるわけです。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください」

「特にこのクラスには専用機持ちとしてISに非常に長い時間触れる事になる生徒が多くいます。この事は、しっかりと心に刻んでくださいね」

 

 専用機。選ばれたIS操縦者のみに与えられる、魂のパートナー。俺ももちろんオリ主の特権として、アメリカで最初に見つかった男性操縦者として、そして()()()()()()()()()()()()()()()()()者として、専用機が預けられる。

 邪念ももちろんある。だが、それと同等以上に掛けられた期待は重い。

俺の、そして男たちの力を示す舞台に立つ義務は、あの呆けた鈍感男にだけは渡してはならないのだ。

 

「あ、チャイムが鳴りましたね。では次の時間では空中におけるIS基本制動をやりますからね」

 

 そう言って二人の先生は教室から出て行った。

 とほぼ同時に教室内に女子が流れ込んできた。

 

「うっ」「あ!幸島がショックで倒れた!」「大変!私たちが保健室に連れて行ってあげる!」「大丈夫。悪いようにはしないわ。だって彼にはまだまだ聞くことがあるんだもの!」「やめろ元凶共!その勢いで来られたらどっちにしろドン引きするに決まってるだろ!加減を知れ!」

 

…昨日の生贄2号君か。ご愁傷様だな。

 

 

 

 

 出席簿(ギロチン)が唸り、教室内に充満していた女子がそれぞれの教室に戻ったところで三時間目が始まる。

「さて、邪魔な人間が散った所で授業の前に事務連絡だ。織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」

「へ?」

「学園で用意する予定だったが、技術的な問題だと聞いている」

 

 原作通り、織斑の専用機が遅れるようだ。一方俺の専用機は明日到着予定で、アメリカ代表候補生で3年生のダリル・ケイシーと共に一次移行(ファーストシフト)及び慣らし運転の予定となっている。

 

「そしてマッケイ、ついさっき開発室および整備科から正式に設備の使用許可が出た。以降研究をそちらで進めてくれ。詳しくは放課後、職員室の北野先生を訪ねるように」

「分かりました、織斑先生。これで論文が書ける」

 

 もう一つの連絡は残るクラス代表候補レイモンド・ウーマー・マッケイ、クラス最年長にしてIS研究員の男に宛てられたものだ。既に機体を学園に持ち込んでいるか。準備のいい奴だ。

 …原作知識で予想できる織斑一夏と違いこいつは偵察が必要だな。IS研究員を豪語するのだ。それに値するかっ飛んだISの情報、前もって手に入れているか否かはブルー・ティアーズのBT兵器の情報の有無並みに重要だ。

 

「ラッセルとマクグラスの二人はそれぞれアメリカ政府から連絡を受けているな。そしてレッドパーラ、お前のテンペスタは今日の放課後に第三アリーナへ搬入される。そこで「初期化(フォーマット)」と「最適化(フィッティング)」を行うから、本日最後の授業が終わり次第私と山田君に付いてくるように」

「分かりました。所で先生、その時に数人ついてきても大丈夫でしょうか」

「構わん。ISが専用機化されていく所を見るのも一つの学習になる」

 

 続けて更に専用機関連の事務連絡が通達されていく。原作では織斑の機体についてのみだった連絡は5人分となり、どこからこんなに空いたコアが湧いてきたのか少し不安になる。残念ながら原作知識があるだけの小僧ではそこら辺の深い所まで探る事は出来なかった。

 ちなみに当の織斑一夏は原作同様に専用機が何か分からずちんぷんかんぷんの様相で、見かねた織斑先生から教科書の音読を命じられていた。

 

「え、えーと……『現在、幅広く国家に……世界中にあるIS467機、そのすべての……禁止されています』…」

「そう、IS専用機は本来なら国家、企業に属する人間しか与えられない。が、状況が状況なので、データ収集を目的として各国家・企業・組織から専用機が用意されることになった。理解できたか?」

「まぁ、特別待遇(イレギュラー)が多すぎて、専用機を任される意味がどこかへ飛び去ってそうな気もしますけどね…」

「…カーチス、私も専用機を所持したことがある一人として思うところが無いわけではないが、これが現実だ。その上で意見があるならば、相応の行動を起こすしかない」

「…それもまた道理ですねっと。オレも欲しかったなー専用機ぃー」

 

 教室の中ほどで、ダレル・カーチス――俺と同じくアメリカで見つかった男性操縦者だが、専用機が与えられなかった――が嘯く。

 流しても良い。むしろクラス代表としてまとめ役になるつもりならば余計な不和の種は持ち込むべきではない。だが、その意見には反論する。

 

「専用機を任される意味が飛び去っている?反論させてもらうぞダレル・カーチス。任される意味は有るとも。男だからというだけではない。偶々見つかったからだけではない。機体に応える気概があったから、相応しい才を持っていたからこそ俺たちは専用機を任された。ただ貰えそうだからなどという理由で望むんじゃない」

「ハイハイご両親ともに軍のIS関係者なサラブレッド様は意識が高ぇや。織斑、頼むからアイツだけはクラス代表にしてくれるなよ」

「お、おう」

 

 やる気なさそうに織斑一夏に声を掛けたダレルを睨むものの堪えた様子はない。後は実力で示すべきだと自己完結して、やっと始まった授業へ耳を傾けた。

 

 

  ◇誇りと覚悟 / やる気になって貰わないと困る者達

 

「現場の北条です。これから専用機を任されることになった織斑一夏さんにインタビューしたいと思います」

「ん?…ってお前!よくもクラス代表に推薦しやがったな!あんなのやる気がある奴に任せるべきだろうが」

「ハッハァー!他薦が認められたからには()()()看板を選ばせてもらうまでだ。期待しているぞぉナンバー1」

「ナンバー1ってなんだよ…で、何の用だ?専用機を任された感想って言ってもまだ実感すらないから何も言えないぞ」

 

 現場のインタビューは北条に任せスタジオの南路が解説させていただきます。メタ発言は以上。

 現場では今朝の打ち合わせ通り、北条が織斑を昼食、そして放課後にあるマリアーノの専用機搬入の見学に誘っている。狙いはマリアーノが別行動で篠ノ之箒を誘い、専用機化作業中に原作通り二人の訓練の約束を付けさせることだ。

 現在のやる気のない状態では、恐らく他の二人に気後れ、下手するとワザと敗北しに行くことまで予想されるためである。

 ちなみに朝食の間に一年女子から収集した情報によると、一組のクラス代表はセシリア・オルコットだった。クラスで唯一入学前からISの操縦経験があり適正もAランクと高水準である事から、他の対抗馬を下し代表となったらしい。余談だが対抗馬は他薦で篠ノ之箒だったとの事。

 

「おーい意識がどこかへ飛んでいる南路。改めて自己紹介の要求が一夏から出てるぞ」

「む、すまんな。南路純三。名前は響きが古臭いから呼ぶときは南路で頼む。俺もお前には何かあると期待している。サポートするから応えてくれよ」

「う…まぁいいか。知ってるみたいだけど織斑一夏だ。こっちは一夏って呼んでくれ。」

 

 北条に促され名前を交換する。某魔砲少女曰く名前を交換すると友達らしいので、ここで友誼を結ぶことに成功したと言えるだろう。

 

「あ、ここに居る三人は全員名前に数字が入るのか。なんか運命を感じるぜ」

「だなぁ。今ここに居ない日本人も数字持ちだったりしてな」

「ここに居ないと言えば大志は四って言えるな。来年から男の子の名前に数字を入れるのが流行りそうだ」

 

 俺たちの名前はニュースで報道されてしまったので似たような考察に至った男子達が起動試験に殺到したのは言うまでもない事である。残念ながら名前は関係ない事が立証されただけだが。

 

「しかし安心したぜぇ一夏にも専用機が来て。持ってるもんがあっても訓練機と専用機じゃ月と隕石くれぇの差があるからな」

「専用機ってそんなにすげーのか?クラスに何人も持ってるから余計分からないんだが」

「逆に男というだけでは貰えない奴が居て、かつこの学校中の専用機が数えられる程度だという事から察してくれ。基本的に専用機を手にするのは一つまみのエリートか、よほど期待されている者だけだ。手に入れる力の意味と期待。一夏も自覚しろ」

「フン。安心するんだな織斑一夏。それを自覚する必要が無くなるくらいの敗北をくれてやる」

 

 不意に外野から声がかかる。意外と絡みたがりかリチャード・ラッセル。流石に外野から急に飛んできた挑発に織斑も機嫌を損ねたようで、声のした方に嫌そうな顔を向けている。

 

「無様なハチの巣に成りたくなければISで土下座する練習をするんだな」

「そこまで言われると負けたくなくなるな。そっちこそ覚悟しとけよ。絶対なます切りにしてやる」

「そうだぜぇサラブレッド殿よぅ。あんたが何を背負ってるつもりなんか想像できねぇ訳じゃねぇが、だからって譲らせるつもりもねぇからな」

「チッ。その呼び方はムカつくからやめろ。後悔させてやるからな」

 

 面倒くさい絡み方をされたが、兎角織斑のやる気が出たので良しとする。残る問題はこのやる気に少しでも実力と誇りを肉付けするだけである。

 

 この後、俺達は保健室に居た幸島、教室の外に待機していた女子を加え昼食へと向かった。

 

 

 

 

 

「で、白旗君。君はマリアーノ君の専用機を見に行かなくていいのかい?」

「どうせ後でいくらでも見れるでしょうし、それなら仮にも推薦した人の手伝いに回るべきじゃないですか」

「律儀だね。本音は」

「レイモンドさんが勝ち馬か確認。駄目なら立ち回り変えないと」

「そのうえ正直と来たか。いいさ。ただ残念ながら私は勝ち馬じゃないよ。意味も無く負ける気はないけどね」

「そこそこの自信はあるんすね。専用機に秘密でも」

「当然あるとも。後で見せてあげよう。私達が研究していた最初期生産の、39番目のコアを持つIS。私が託された、希望の現身」

「あ~。大体で予想できました。絶対デザインあんただろ。少なくとも他の転生者。確か国家主導の共同研究でしょ?全力で趣味に走りましたね。」

「失敬な。真面目にやったとも。ただ、理想を求めた結果がこの形になっただっただけさ」

「…俺らが居なけりゃあんたがこの話の主人公だったよ。」

「誉め言葉として受け取っておくよ。それは置いておくとして白旗君。放課後は機体の調整、手伝ってくれるんだよね」

「出来ないことは出来ませんからね、俺。理解できるランクで指示をお願いしますよ」

「大学院レベルの知識を吸収する機会だ。上手く活用しなさい」

 




キャラがブレるリチャードは作者の力量の犠牲者。成長をお待ちください。
以上。感想・誤字脱字報告・ご意見・助言お待ちしております。
リアルの都合と作者の力量の為、次話更新はまた気長にお待ちください。
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