ソードアート・オンライン 緑の何でも屋   作:カエル帽子

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対の指輪と打ち上げ模様。

NPCのお爺さんの所へ戻った俺たち三人は、取ってきた花を渡して無事クエストクリアとなった。

報酬アイテムは、何かの木の実。これを食べさせることで新しい力に目覚めるだろう。と言われ、シリカはピナに食べさせる。

すると、シリカの前になにかウィンドウが表示され

 

「ピナのヒールブレスがパワーアップしましたぁ!やったねピナ?」

 

「きゅるる~♪」

 

と全身で喜びを表現していた。やっぱり年相応の女の子なんだな、と思っているところにロリコンとかいう言葉が聞こえたので蹴り飛ばす。

もう一つ、俺はNPCのお爺さんにLAボーナスとレアドロップで手に入った指輪について聞いてみた。

この二つの指輪、どんな効果があるのか表示されていなかったのだ。

もしかするとNPCのお爺さんに話せばわかるんじゃないかと言うことで聞いてみたのだが、思いもよらぬ言葉が返ってきた。

 

これは神殿に祀られている女神様の指輪で、ある日突然無くなっていた。じゃが、こうして、そなたらの前に指輪が現れた。

きっと女神様が指輪の主として選んだのやもしれぬな。

 

とのこと。

結局、効果は判明せず、鑑定がいるという結論に至った。

ので現在50層アルゲードの雑貨屋前である。

 

「えっと、大丈夫...なんでしょうか?」

 

と、シリカが少し震える声で聞いてきた。

迷路のような薄暗い路地、そんな中にある店だ。不安になるのも無理はない。

 

「大丈夫だ。ここの店主は見た目かなり厳ついが、プレイヤーの誰よりも優しい心の持ち主だから。」

 

「そうなんですか?それなら少し安心できます。」

 

「でっかいチョコレートとでも思っていれば大丈夫さ。」

 

「えっと...それはちょっと...。」

 

苦笑いするシリカ。今の発言でさらにわけがわからなくなっただろうな。

あれをチョコレートと表現できるのはカイトぐらいだろう。

というかあんなチョコあってたまるか。

 

「それじゃご対面といこうか。」

 

朝も開けたドアをもう一度開く。

からんころん。

 

ベルの音に気づいた店主がこちらに向き、朝と同じ挨拶が返ってくる。

 

「いらっしゃい!ってマナスじゃねぇか、今度はカイトも一緒か。」

 

「邪魔するぜ~。」

 

「久しぶりだぜ、エギル。儲かってるか?」

 

「ぼちぼち、な。っと、嬢ちゃんもいらっしゃい。」

 

俺たちの後ろにいるシリカに気づいたエギルが声をかける。

 

「こ、こんにちはです。」

 

シリカも挨拶は返すが若干声が震えている。やっぱり最初は怖いよね。

背丈の差も恐怖を助長してるのかも。

 

「こらエギル、シリカを怖がらせちゃ駄目だろう。」

 

「きゅるきゅる!」

 

カイトの言葉に賛同したのかピナまでそう主張するかのようにご主人の前に出る。

シリカが俺たちの後ろにいたからピナまでは見えていなかったのだろう。

エギルは少し驚いた顔をしたが、

 

「フェザーリドラ...ビーストテイマーと会うのは初めてだな。俺はエギルだ。よろしくな。」

 

自分の体躯に似合わない笑顔を向け、シリカと同じ目線になるまで姿勢を下げ、右手を差し出すエギル。

 

「シリカといいます。よろしくお願いします、エギルさん。」

 

その姿に安心したのだろう、躊躇なく握手に応じるシリカ。ピナも威嚇をやめて主の肩に落ち着いた。

 

「で、今度はどうしたんだ?また素材を売りに来たのか?」

 

「ん?いや..,まぁそれもあるか。ちょっと鑑定をしてほしいんだ。」

 

「ほぅ..,わかった。こっちの部屋に来てくれ。」

 

エギルの後に続いて俺たちも部屋に入る。さすがに四人も同じ部屋にいると狭く感じるが気にしない。

 

「それで鑑定してほしいやつはどれだ?」

 

「あぁ、これと...。」

 

「これだ。」

 

俺とカイトが一個ずつ指輪をテーブルに置く。

 

「へぇ、なかなか綺麗なもんじゃねぇか。」

 

そう言ってまずは俺の指輪の鑑定を始める。

 

「そりゃあ苦労してゲットしたクエスト報酬だからな。これぐらいないと釣り合わん。」

 

「クエストの報酬なのか...と終ったようだな。えーとなになに、ってこいつはすげぇな。」

 

鑑定が終わり、ウィンドウに説明文が載る。それを見たエギルは今度こそ驚く。

 

「一体どんな効果なんだよ?」

 

気になって仕方ないカイトがエギルを急かす。

 

「あぁ、固有名称は"アネモネの指輪"。効果は麻痺の状態異常を100%カットだ。」

 

「んなっ!?100%!?」

 

「それだけじゃねぇ、その他の状態異常を20%の確率でカットだ。」

 

これには俺達3人も驚いた。実は俺達、かなり凄い拾い物をしてきたのでは?と今更になって思いはじめた。

 

「マジかよ。中層でゲットできるアイテムじゃねぇだろうよ。」

 

だが、位置的にフィールドの端で隠れるように配置されてたのを考えると、やはりレア度の高いものだったんだろう。

ボスも麻痺からの強攻撃と完全にプレイヤーを潰しにかかってきたものだったし。

 

「なぁなぁ、こっちも早く頼むぜっ!」

 

「まぁまぁ落ち着いて!エギルさんが鑑定できないですよ!?」

 

「早く知りたいなら急かしちゃ駄目だっての。」

 

俺の指輪がかなりのレア物だとわかって、期待してるのだろう。さっきよりもエギルを急かすカイト。それをシリカと俺で宥める。

シリカがいなかったら頭に全力ではないがチョップかましてたところだな。

 

「ふむ、終わったぞ。」

 

そうこうしてるうちに鑑定が終わっていた。

 

「こっちの指輪、固有名称はサザンカの指輪だ。効果は...敏捷力がプラス5だ。」

 

「な、なんだとぅ!?」

 

エギルの言葉に一気に消沈するカイト。

 

「嘘だぁ...嘘だと言ってくれよ...。」

 

「嘘だぞ。」

 

「おいぃぃぃぃ!!!!」

 

エギルに殴りかかかる瞬間に羽交い締めにする俺。こいつ本気で殴るつもりだったな。

 

カイトのあまりの剣幕に怯むあとの二人。先に立ち直ったのはシリカだった。

 

「え、えっと、それで効果は?」

 

「お、おぉ。こいつも麻痺を100%カットの効果だ。マナスのと違うのは20%カットがデバフ効果になってるところだ。対になってるようだし納得の効果だな。」

 

「や、やったぜぇぇえぇぇ!!!」

 

今度はうってかわって全力で喜び出す。

 

「騒がしい奴だな(人だな)。」

 

3人の心が一つになった瞬間だった。

 

 

 

 

からんころん。

その指輪を売ってくれないかというエギルのお願いを即座に却下し、店をでた俺達3人。

 

「指輪の効果もわかったことだし、これで完全に依頼完了ってところかな?」

 

「あ、はい!今日はホントにありがとうございました!」

 

「きゅるる!」

 

今日何度目かの礼と共に頭を下げるシリカ。

 

「いや、こっちこそ礼を言うよ。今日は楽しかったよ。ありがとう。」

 

「俺もギルドの連中とばっかり組んでたから新鮮だったよ、ありがとうね。」

 

「ふぇ!?」

 

そう言って頭を下げる俺とカイト。

まさか自分に頭を下げてくれるとは思わず、少しパニックになっているようだ。

 

「お、そうだ。シリカはこの後時間あるかな?」

 

唐突にそんなことを聞くカイト。

 

「はい、大丈夫ですよ?」

 

困惑しつつも答えるシリカ。俺はもうこの後の言葉がわかっている。やれやれ、まだ今日は終わりそうにないな。

 

「ならカノンちゃんの店で打ち上げやろうぜ!」

 

 

 

 

 

「おーい!こっちに飲み物追加だぁ!!」

 

「はーやーくー持ってきてやぁー!!」

「追加ついかぁ~!」

 

「りょーかいでーす!すぐ持っていきますね!」

 

こちら打ち上げ会場の涼風亭です。カイトのテンションが最初からおかしくて、三馬鹿とロミオも巻き込んで酷いことになってます!

 

「シリカちゃん楽しんでるかーい!!!」

 

「へ!?はい、楽しんでます、よ?」

 

「違う、違うで!シリカちゃん!ここは楽しんでるでぇ!イェーイ!!!って言うところや!!」

 

「ワンモアプリーズ!楽しんでるかーい!?」

 

「い、イェーイ!!!」

 

完全にシリカがホールドされてるな。あれは疲れきるまで放しちゃくれねぇだろうなぁ。と、厨房から様子を伺う俺。

 

「飲み物とパスタ追加でーす!」

 

「はーい!」

 

注文をとってきたバイトの子が戻ってくる。それに答えるのはカノンだ。手際よく飲み物とパスタを準備してバイトの子に渡す。俺がなぜ厨房にいるのかだって?それはな、

 

「パスタ一つとフレンチトースト2つとピザ一つです!」

 

「はーい!マナスさん!パスタとフレンチトーストお願いします!」

 

「りょーかいっ!」

 

カノンのサポートをやってるからだ。

俺も実は料理スキル持ちで、カノンほど料理の熟練度はないが、簡単なものなら作れるので時々こうしてカノンの手伝いをすることもある。

基本的には自分の飯を作るために用意してたんだけどね。ここの連中に知られてからは作ってくれと頼まれることもある。

それでもカノンには及ばないけどね。

 

「なぁ、俺がいなくても厨房回るんじゃない?」

 

「そんなことないですよぉ。マナスさんがいてくれて、私助かります!とっても料理やりやすいんですよ~?」

 

と話をしつつ、ピザに使うだろう香料等を見つけた俺はカノンに渡す。

ちなみにこの香料とかは、元々俺が今までに作ったものだったりする。

レシピ集をカノンに渡して、それをさらにアレンジしたのが今の喫茶店に置いてあるのだ。ちなみにカノンの料理スキルは900を越えている。

 

「ほらやっぱり。私が探す前に用意してくれるじゃないですか。」

 

「まぁ、これぐらいは、な。」

 

「ふっふふ~ん♪」

 

上機嫌に鼻歌を唄いだすカノン。俺がカノンのことをわかってるように聞こえるが、それは違う。

彼女、実はうっかりやなところが結構あるのだ。

料理はホントに美味しく作ってくれるのだが、料理に使う調味料とかをどこに置いたのか忘れて、5分ぐらいずっと探していたりなんてことも。

なのでカノンが料理するときは必ず誰かが横にいて、夕飯時に料理をせずとも俺が厨房に立ってるなんてこともざらである。

...今思った。これってカノンのことわかってるってことか?

 

「ピザできましたよ!」

カノンの声に我に返る俺。いけないいけない、今は料理中だった。

 

「フレンチとパスタもできたぞ!」

 

できた料理をもってくバイトの子。

 

店内から「待ってましたぁ!」と馬鹿の声が厨房にまで響いてきた。

 

「ありゃあまだまだ終わらねぇな。」

 

「ふふっ、とっても楽しそう♪でもシリカちゃん大丈夫かなぁ?」

 

「...あまり大丈夫じゃないだろうなぁ。」

 

シリカの無事を祈りつつ、次の料理に備える俺なのでした。

 

 

 

 

 

時刻は夜九時を回る。騒ぎ疲れて大人しくなった馬鹿どもから、なんとかシリカを引きはがして、今は夜の街をシリカ、カノンの2人と歩いている。

カノンの提案でシリカをホームまで送ろう、ということになったのだ。

もちろんシリカは断ったのだが、

 

「こんな遅い時間にシリカちゃんのような子を一人で行かせるわけにはいかない!」

 

の一点張りで、断るたびに同じ言葉を返してきて、一種のエンドレス状態となり、先にシリカが折れたのだった。

 

「カイトさんって普段からあんなに騒がしい人なんですか?」

 

これで今日何度目の質問だろうか。レビンクロスってどんなイメージ持たれてるんだろう?まぁそれは置いておこう。

打ち上げの時のカイトは、そこいらの酔っ払い以上のテンションだった。

さすがに二度もアレに巻き込まれたくはないんだろうなぁ。少し不安げにシリカが聞いてきた。

 

「打ち上げの時のテンションは明らかに異常だったな。よほど指輪が気に入ったらしい。」

 

「エギルさんのお店でも凄かったですもんね・・・。」

 

あの時のはしゃぎようを思い出したのだろう。苦笑するシリカ。

 

「でも指輪だけじゃないと思いますよ?」

 

俺の言葉に待ったをかけるカノン。

 

「今日一日、シリカちゃんとマナスさんと三人で冒険できたことを喜んでるんだと思います。」

 

その言葉に首を傾げるシリカ。これは普段からあいつと一緒にいないとわからんだろうな。

 

「あ~そうかも。基本的にクエストってなるとレビンクロスで調査ばっかりだもんな。いい気分転換になったのかもしれん。気分転換じゃ済まない内容ではあったがな。」

 

「ふふっ♪あそこまで騒いだのは、マナスさんが来た時以来です。」

 

「あ、こら!それを言っちゃ・・・!」

 

「マナスさんの時も・・・って、ああなるのわかってたから厨房に喜んで入って行ったんですね!?」

 

「さて、ナンノコトカナー?」

 

「棒読みじゃないですかっ!」

 

「ふふっ♪」

 

シリカが俺に掴みかかろうとするが、華麗に躱す俺。その様子を眺めながら微笑むカノン。

 

「きゅるる~♪」

 

「ピナも笑ってないで手伝ってよぉ!」

 

俺たちの追いかけっこにピナも参戦するものの、それでも捕まらない。

というかピナが本気で捕まえようとしてきていないので、結局シリカと1VS1状態となり、さっきと状況はまるで変わらない。

だが、終わりが見えない追いかけっこも何気ない一言で終わるのだ。

 

「こうして見てると、まるでお兄さんと妹みさんたいです。」

 

「「へ?」」

 

俺とシリカの動きが同時に止まる。突然のことに少々思考が。

 

「私、おかしなこと言いましたか?」

 

「い、いや、おかしなことというかなんというか。」

 

「え、えと、あの、その、キリトさんもお兄さんで、・・・!!!」

 

「?」

 

うっかり、天然、マイペース。この三つがうまい具合に溶け込んでいるのがカノンという女性だ。

忘れた頃にやってくる、こういう発言はホント心臓に悪い。

まぁ俺は実際兄貴だから、ドキッとはしたがそこまで大きな被害はない。

が、シリカの心には結構刺さったようだ。目がぐるぐる回ってるように見える。

思考回路を元に戻そうと言葉を紡ごうとするのだが、

 

「そ、そしたらカノンさんはお姉ちゃんですね!?」

 

回復どころか、さらに思考の沼に入っていくシリカ。

 

「やったー!私シリカちゃんのお姉ちゃんになっちゃいましたよ♪」

 

そこでなんで俺に向かってVサインなのか・・・ん?

 

「なぁシリカ。俺はシリカの兄ちゃんで、カノンはお姉ちゃんなんだよな。」

 

「ふぇ!?」

 

「落ち着け。例え話だからさ?」

 

「えぇ!?そんなぁ・・・。」

 

「そっちは本気だったの!?」

 

「当たり前ですっ!」

 

当たり前とか言われたっ!?やっぱりカノンの思考は読めないなぁ・・・じゃなくて。

 

「俺が兄貴でカノンが姉なら、俺とカノンはどっちが上なんだ?」

 

少し想像してみる。

 

 

 

~俺が上の場合~

 

「兄さんっ。今日は何を食べたいですか?」

 

「じゃあカレーにしますね、ふっふふ~ん♪」

 

 

 

「ごぶはっ!?」

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「い、いや何でもないぜ?」

 

カノンに兄さんとか呼ばれるのか、悪くはないかも。すまん、弟よ。次だ、次に行こう。

 

 

 

 

 

~俺が下の場合~

 

「カノンお姉ちゃん!」

 

 

 

 

「ぶほぉ!?」

 

「マナスさん!?ホントに大丈夫ですか!?」

 

「今日の疲れがでてきてるんじゃ?」

 

お姉ちゃんと呼ぶだけでもかなりくるものがあるなこれ。心配して俺の顔を覗き込む二人。特にカノンの顔が近い。さっきの想像のこともあり、胸の鼓動が早くなっていく。

 

「い、いや、ホントに、だいじょぶ。」

 

なんとかいつも通りに振る舞おうとする俺。でも心音は全く治まらない。

 

「ぷっ、くすくす♪」

 

「む、なんで笑うのさ!」

 

「慌てるマナスさんって、あまり見れないですから少し可笑しくって。」

 

「俺だって人間さ、慌てることぐらい、ある。」

 

「でも、以前は・・・あ、そうだ!手をつないで行きませんか?」

 

危うく昔話になりそうな所をセルフカバーして、シリカの右側に回るカノン。

俺は今シリカの左に立っているから、シリカを挟む形となる。

 

「私はこっちで、マナスさんはそっちですよ。」

 

「へ?」「え?」

 

気付いた時にはシリカの右手はカノンの左手と繋がっていた。

いつの間に手を取っていたのか。シリカも気づいてなかったようだ。

 

「ほら、早く?」

 

「うぇ!?えっと、・・・シリカ?」

 

「私は大丈夫です、どうぞ///」

 

大体カノンがどんな人なのか理解しただろうシリカは諦めの境地にはいったようだ。

左手を俺に差出し、俺は右手で優しく握る。

思っていたよりも、ずっとずっと小さな手の感触に驚いたが、弟のことを思い出して納得がいった。

・・・もし手を繋いでるのがカノンだったら、やばかっただろうな。

 

「それじゃしゅっぱ~つ!」

 

カノンの声で歩き出す俺達。

カノンはとにかく笑顔だ。言い出しただけあってすっごい楽しそうにしている。

そんな笑顔を見せられたら、こっちとしても何にも言えないわけで。

シリカとピナと俺は顔を合わせて笑うのだった。

 

 

「ここまでのお見送りありがとうございました。」

 

「私が言い出したことだから、お礼なんて。」

 

「そうそう、俺もついてきただけなことだしな。」

 

場所は転移門前。結局、遅い時間なだけあってプレイヤーとは遭遇しなかった。三人で手を繋いで歩いてるところを見られたら絶対噂になるからな。ほんとよかった。

 

「カノンさん、またお店に遊びにいってもいいですか?」

 

「もちろんですよ!営業時間外でもきちゃっていいですからね♪もちろんピナもだよ?」

 

「きゅるきゅる~♪」

 

「やった!」

 

また一人、お店の常連が増えるようだ。騒がしくなりそうだな。

 

「マナスさん。今日はホントにありがとうございました。」

「こっちこそ、ありがとうな。楽しかったよ。」

 

俺の方に向き直ったシリカ。お礼を述べた後も何故かずっとこっちを向いたままだ。何か逡巡しているようだが、覚悟が決まったようで口を開く。

 

「マナスさん・・・一つお願いがあるんですけど、いいですか?」

 

「まぁ、できるものであればいいけど。」

 

「あのですね・・・今度また私とパーティ組んでくれませんかっ!?」

 

今この子なんて言った?俺とパーティ?でも俺は”緑の何でも屋”だし・・・。かと言ってここで断ったら悲しむだろうし・・・。

困った俺はカノンの方を見やる。しかしカノンは微笑むだけで何も言わない。参ったな、できれば他の人達を噂に巻き込みたくはないんだが。

悩むこと数秒。

 

「・・・依頼が無ければ、組んでもいいよ。」

 

そう言っていた。まぁ四六時中一緒なわけでもないし、

ホントにやばい時はカイトやエギル達に頼めばいい。

 

「ありがとうございます!これからよろしくお願いしますっ!」

 

「そんなに固くならなくてもいいんだがな。」

 

「きゅるきゅる!」

 

「もちろん、ピナもよろしくな。」

 

頭を撫でてやると「きゅるる。」と気持ちよさそうにしていた。

 

 

おやすみなさいっ!と別れの挨拶を済まして、シリカは自分のホームへ転移していった。

 

「それじゃ俺達も帰ろうか。」

 

「そうですね。まだ片づけも残ってますし。」

 

「・・・うへぇ。」

 

そういえばあの馬鹿ども放ってきたんだった。せっかく綺麗に一日が終わりそうだったのになぁ。そんな俺の考えを全部わかっている上で、

 

「マナスさんも手伝ってくれますよね?」

 

満面の笑顔でそう言ってきた。

俺の答えは当然決まっている。

 

「もちろんやるさ。じゃないと明日の朝飯がまずくなる。」

 

「ありがとうです♪」

 

そう言ってカノンは俺の手をとって歩き出す。

 

「へ?」

「ほら、はやく行きましょうマナスさん!」

 

そしてぐいぐい引っ張られていく俺。 突然だったから反応できなかったが、握られたカノンの手、温かいな。

 

「待って待って、ちゃんと歩くから引っ張らないで!」

 

「早くしないと明日が来ちゃいますからね!?」

 

結局カノンに引っ張られたまま店に戻ることとなった。ちなみに店と馬鹿どもを片づけた時には0時になっており、本気で今度レビンクロスの団長に金をせびってやろうかと思ったのだった。

 




第一部完。というわけで最初の原作キャラはシリカになりました。理由?友人がシリカが一番好きだったからです。
しばらくはこのような形で原作キャラと関わらせていきたいと思います。
作中のギルド、レビンクロス(稲妻の十字軍)はオリジナルです。名前は友人が考えてくれました。

それでは、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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