ソードアート・オンライン 緑の何でも屋   作:カエル帽子

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食事会と少し昔の話

38層アメールにて。

 

「へぇ、こんなところに喫茶店なんてあったんだ。」

 

「この層は時間かけずに攻略したから、あまり記憶に残ってないんだよな。」

 

「まぁここは街の中心から離れると、田舎みたいなもんだしな。大抵のプレイヤーは35層とかにいるんじゃないかな。」

 

俺は涼風亭の扉を開け、ようとして手を止める。

 

「どうした?開けないのか?」

 

「んー。ちょっとね。少し待っててくれる?」

 

「わかった。いいわよ。」

 

なんだろう。嫌な予感しかしねぇ。でも二人を待たせるのもあれだしなぁ。よし、覚悟完了。いくか。

 

からんころん。

 

「ただい、」

 

「マナスぅ!!!」

 

バタンっ!ズドンっ!

 

「...。」

 

「...。」

 

「...。」

 

「ねぇ、今何かぶつかったような音しなかった?」

 

「俺にもなんか聞こえたんだが?」

 

「あーその、ちょっと騒がしいのが一人いまして。今日は帰るの遅いって聞いてたんだがなぁ。」

 

「俺は気にしないさ。アスナは平気か?」

 

「えぇ、お店なんだし、少し騒がしいのは普通じゃないかな。」

 

「ん、りょーかい。なるべく二人に迷惑かけないようするからさ。」

 

そして今度こそ扉を開ける。

 

からんころん。

 

「ただいまー。」

 

 

「マナスぅ!!!!!」

 

「おわっとぉ!?」

 

さっき思いっきりドアにぶつかっただろうに、カイトのやつ、またスタンバってたらしい。

 

「心配させやがってぇぇ!!!無事でよがっだぁ!!!」

 

「あーこら!くっつくなっ!泣くなっ!鼻水つけんなっ!きしょいぞ!」

 

引き剥がそうにもすごい力で抱きついていて、離れそうにもない。ったく参ったね。

 

「まぁまぁ、そう邪険にしないでください。剣虎のことを聞いて一番心配してたのはカイトさんなんですから。」

 

「せやで、ウチらおらんかったら今頃一人で森の中走り回ってたかもしれへんよ?」

 

「...抑えるの、大変だった。」

 

「それでこそカイトさんっていう所でもあるんですけどね。」

 

カノンに続いて喋るのは三馬鹿、もといレビンクロスの仲良し女子三人組。

順に、関西弁喋りの前衛で斧使いのジョーことジョーヌ、少し寡黙な遊撃手で短剣使いのノワことノワール、そして、いつも丁寧語で話す、同じく短剣使いではあるが、投剣を得意とするサポーターのベルことベール。

これにカイトが加わった四人グループが、現時点のレビンクロスの最強の形だ。

 

「うわぁーん!!」

 

...このめっちゃ泣きべそかいてるのがギルド内で一番強いってのがなぁ。

 

「後ろのお二人もどうぞ中に入ってください。席も準備できてますから。」

 

カウンターの所からカノンが声をかけてくる。

 

「あ、あぁ。」

 

「おじゃまします。」

 

さっきまでのやり取りで中に入れなかった二人を中へ。すると、

 

「え、うそ!?」

 

「もしかしなくても?」

 

「閃光のアスナさんっ!?」

 

「あなたたちは確か、レビンクロスの?」

 

「ウチらのこと覚えててくれてたんか!」

 

「...嬉しい。」

 

「感動ですっ!」

 

アスナの登場に三馬鹿が驚いていた。こいつらまさかの顔見知りかよ。

 

「なんだ?お前ら知り合いだったのか?」

 

「えぇ、他のギルドとの会議とかで団長の護衛として行った時に何度か顔を会わせているんですよ。」

 

「まさか、こうして話ができるとは思わへんかったけどな。」

 

「...うんうん。」

 

「へぇ...あの人ちゃんと仕事してたんだな(笑)」

 

「あ、そんなこと言うと言いつけるで?」

 

「ちょ、それは勘弁!」

 

あの団長さん、怒るとガチで恐いんだもんなぁ。聞かれたらどんな無茶苦茶言われるかわかったもんじゃない。

 

パンパン!

 

「はい、お話はとりあえずここまで。とりあえずお互いに自己紹介と料理の準備をしちゃいましょう?」

 

カノンの一声で互いに自己紹介する。

三馬鹿とアスナさんの話で存在が消えかけていたキリトも黒の剣士当人だとわかるやいなや、存在感を取り戻した。

しかし、やはりというべきかカイトがレビンクロスの副団長と名乗ると二人共信じられないような顔をして、俺達は大笑い。

いや、三馬鹿はフォローすべき立場だろう。笑ってていいのか?あとカイト、この手を洗わないネタはこの間やったからな。アスナさん困ってるから。

 

こっからはダイジェストでいこう。

事前に準備してあった食材を使ってカノンのフルコース料理でお食事会の開始。

 

「...う、うまい。」

 

「ん~!美味しい!このソースどう作ってるんですか!?」

 

「えーとですね...。」

 

と二人から言葉をもらい上機嫌のカノン。アスナさんも料理スキルを持っているのか、カノンからレシピを聞き始め、完全に意気投合。

 

「キリトさんはどんなスキル持ってるんですか?」

 

男子組、というかカイト組はキリトに攻略組が普段どんなことをしてるのか質問攻めしていた。

いや、さすがにスキル聞くのはマナー違反だからね?

 

 

 

 

「アスナ、ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「オンシジュームの花言葉って何か知ってる?」

 

初め俺の質問の意味がわからず首を捻る閃光様。だけどすぐに理解したようで答えてくれた。

 

「はっきりとは覚えてないですけど、確か可憐とか清楚って意味があったと思いますよ?」

 

「な、なるほど...くっ。」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

急に咳き込んだように見えたのだろう、少し心配した顔を見せるアスナ。いや嬉しいんだけどそうじゃない。花言葉聞いたら笑いが込み上げてきたのだ。あの団長に清楚...。ちょっとキツい。

 

「あの、オンシジュームで思い出したんですけど、もしかしてオンシジューム団長がよく言ってる最強のお手伝いさん、というのはマナスさんのことですか?」

 

「んー。まぁ多分そうだろ、確か前にそんなこと言われた気がするし。」

 

「やっぱり。そちらの団長さんが頼りにしているわけですね。」

 

「俺じゃなくて団員を頼りにしてほしい所なんだがなー。」

 

その団員のナンバー1は現在ロシンアンルーレットの当たりを引いて部屋の隅でくたばっている。

 

「...はぁ~。」

 

「あはは...。」

 

その様子を見て俺は深い溜息をついて、アスナの口からは渇いた笑いがこぼれた。

 

まぁそんなこんなで盛り上がるお食事会にも終わりがくる。カイト達はもっとやりたいというが、向こうにも都合があるということでお開きとなった。

というか副団長ってアスナさんぐらい忙しいのが普通だからな?

そして現在、俺とカノンはキリトとアスナさんを転移門まで送っていく途中だ。

居残り組は後片付け中。

以前のシリカの時は完璧に潰れていて、最後まで俺とカノンが片付けをやったし。今日はやってもらわないと割に合わん。

 

「~♪~♪」

 

「その鼻歌、帰りの時もしてたけど、なんの曲なんだ?」

 

「あぁ、ここに来る前にやってたゲームの一曲さ。静かな曲でな、笛の音と弦楽器がいい味をだしてるというかでね、とても落ち着く曲なんだよ。」

 

キリトが興味を持ってくれたらしい。ゲームの事を教えると向こうに戻ったら絶対聞くと言ってきた。

ここで仲間が増えるとはおもわなかった。願わくは現実に戻った時にも同じ話題で盛り上がりたいものだ。

...死亡フラグじゃないよな?

 

 

「今日はありがとうございました。あんなに美味しい料理作ってくれて。」

 

「俺もだ。ありがとう。」

 

「いえいえ。私にはこれぐらいしか、いつも頑張ってる皆さんにしてあげられませんから。」

 

笑顔を見せるカノン。でも少し無理してるような感じが見えた。ここは話題を変えるか。んーっと、じゃあ...。

 

「あ、そういえば。二人は何か俺に聞きたいことがあったんじゃなかったっけ?」

 

「え?」

 

「えーっと?」

 

涼風亭に戻るときも、食事会の時も、時々俺を見てたんだよな。いい機会だし聞いてみることにした。

顔を見合わせる二人。どうにも聞こうか聞くまいか悩んでる様子。

これは...あれについて気づいたのか。んー...後味悪いお別れも嫌だしな。二人にならいいか。

 

「いや、やっぱり」

 

「悪鬼羅刹。」

 

「っ!?」

 

「マナスさん...。」

 

目を見開く二人。ま、当然の反応か。

 

「本人...なんですか?」

 

「あぁ、間違いないよ。皆が噂した悪鬼羅刹は俺のことで間違いない...まぁあんなこと、二度とやるつもりはねぇけどな。んで、何か聞かないのか?」

 

俺のカミングアウトに静まり返る場。

最初に口を開いたのはアスナさん。

 

「噂は全部本当なんですか?パーティを置き去りにしたり、狩場を一時期占有していたり、プレイヤーをデュエルで死ぬ間際まで追い詰めたりしたことは。」

 

「...あぁ本当だ。出回った噂は全て本当。今更否定はしないよ。」

 

「そうですか...。」

 

キリトは口を挟もうとしない。何か思うことでもあるのだろうか?

 

「あのっ!」

 

「!?」

 

と、急にカノンが大きな声をだす。時間帯的に夜で田舎町ということもあり、その声は普段よりも大きく聞こえたため、

思わずびくっとしてしまった。

 

「マナスさんはもう悪鬼羅刹なんかじゃありません!今は皆のことを誰よりも心配してくれる優しい人なんです!だからっ!」

 

「ストップ!ストップだカノンさん!」

 

捲し立てるカノンをキリトが止める。

 

「俺達は別にマナスを牢屋に入れようとかなんて考えてないよ。...そうだろ、アスナ?」

 

「もちろんよ。ごめんなさい、勘違いさせてしまって。ただ噂の真偽を確かめたかっただけなの。今年の初めあたりから話を聞かなくなったから、貴方の名前を聞いたときに思わず...。」

 

「そ、そうでしたか。すみません、早とちりを。」

 

「そういうことだったのか。俺もてっきり血盟騎士団にマークされてるのかと思ってたんだがな。」

 

「あー、噂が立った時はこちらもマークしてたんですけど、すぐに噂が消えましたから。」

 

「まじか。その時に会わなくてよかったぁ。」

 

「はははっ。」

 

いやでもやっぱギルドにマークされてたか。まさか俺が知らないだけでどっかのギルドプレイヤーをやっちゃってたなんてことないよね?...ね?

 

「そうだ、もう1つ聞いていいかな?」

 

「あぁ、いいよ。答えられる範囲でならな。」

 

「じゃあ...。」

 

 

 

二人がそれぞれの拠点へともどった後。

 

「...よかったんですか?お二人になら話しても?」

 

「...あれに答えたら、どっかから皆にも話が伝わる可能性がある。奴等と関わらせないためには、誰にも話すべきじゃない。」

 

なにより、

 

「これ以上、皆に負担をかけたくないしな...ごめんな、こんなことに付き合わせて。」

 

「あの時に約束したはずですよ?皆には言わないと。だから謝ることなんてないんです・・・マナスさんが謝る必要なんて、最初からないんです。」

 

「...ありがとう。それじゃ帰るか。あいつらちゃんと片付け終わったんだろうな?」

 

「大丈夫ですよ、私のお願いは何故だかちゃんと聞いてくれますから。」

 

「ははっ。まぁあいつは基本、頼まれたら断れない口だしな。」

 

笑いながら俺とカノンは帰路につく。

また明日も皆でテーブル囲んでカノンの料理食べられるよう頑張らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ、もう1つ聞いていいかな?」

 

「あぁ、いいよ。答えられる範囲でならな。」

 

「じゃあ、碧眼って呼ばれるプレイヤーを知ってますか?」




前回より少し短かったかな?でもこれぐらいの方がちょうどいいのかな?
読み返して思う。キリトが喋ってない!
そして、やっと出てきました碧眼。まぁしばらくは原作キャラの絡みのつもりですが。
ここまでお読みくださりありがとうございました。

5/22誤字編集しました。
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