一誠の鎧の背中から出ている八つの頭の蛇がライザーを食い尽くさんとする。だが、食い尽くしても食い尽くしても、その部分は再生する。食われては再生し、また食われては再生する。それは激しい痛みを伴う無間地獄。
ライザーが気を失っているが、それはどこまでも続く。最早、この状況を打開するのは不可能と思った、その時だった。
「全く、手間のかかる義兄さんね」
「ここまでですよ、イッセー!」
ーーー霊符『夢想封印』
ーーー奇跡『一子相伝の弾幕』
異なる2種類の弾幕が一誠に襲いかかる。一誠は難なくそれを弾き飛ばすと、それが飛んできた方へと見やる。そこに居たのは、霊夢と緑の巫女服の女性、金髪に赤い瞳、宝石を散りばめたような羽をぱたつかせている少女、緑髪に帽子をかぶった少女、黒髪に赤と青の不可思議な羽を生やした槍を持った少女だった。
それらを邪魔と判断したのか、五つの蛇の頭がそれらを食いにかかる。だが、
それら全ては、攻撃の対象をすり抜けてしまう。
「無駄よ義兄さん。私の夢想転生とー」
「私の『奇跡を起こす程度の能力』の合わせ技、その名も!」
ーーー奇跡神域『真・夢想転生』
幻想郷の2人の巫女、博麗霊夢の夢想転生と東風谷早苗の奇跡が合わさって出来た荒業。霊夢と早苗を中心に一定領域にいる存在に夢想転生の効果を付随する能力。だが、一誠は性懲りも無く攻撃を続ける。実は、一誠には彼女達が黒いローブを纏った5人組に見えている。
これは、黒髪の槍を持った少女、封獣ぬえが「正体を判らなくする程度の能力」を5人に使ってるから。
「別に好きでやってる訳じゃないけど…、お兄ちゃんが暴走してるのを見るのは、もう嫌だよ。戻って来て…」
更に、そもそもどうしてその5人のみを襲うのか。それは、もう1人の緑髪の少女、古明地こいしが2人の巫女の弾幕を弾いた時に、それらが倒すべき相手だと「無意識に」認識させたから。
「帰ってきて、お兄ちゃん!」
そして、十数分くらい経って、一誠に疲労の色が見え始めた。それを見計らい、霊夢たちはダメ押しを行った。
「今よフラン!」
「待っててお兄様。今度はフランが助けてあげる…」
最後の金髪の少女、フランの右手に謎の球体が現れる。そして、
「きゅっとして、ドカーン!」
それを粉々に握りつぶした。すると、一誠を纏っていた鎧が突然砕け散り、一誠はその場に倒れ込んだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何だろう。甘い匂いがする…。誰かが俺に覆いかぶさってるのか?緑の髪から女の子特有の香りがして、その胸のたわわな果実が…って…。
「早苗姉?俺に何するつもりだったの?」
「別にナニも考えてないよー?」
早苗姉が居るということは守矢神社か?でも、そうか、なら良かっ…
「今から既成事実作ってイッセーに守矢神社の神主をやってもらおうなんて考えてないよー?」
ワオ、全然良くねーよ。むしろ、もっとヤベーこと考えてたよ。
「お兄様!次は私!」
「私はアンタのこと好きってわけじゃないけど、お礼くらいしなさいよ?」
「ゴメーン、私もうやっちゃった」
上から順にフラン、ぬえ、こいしの発言だったが、今なんか聞き捨てならないワードが出てきた。
「こいし?それは、どういう…」
「えー?お兄ちゃん鈍すぎー。まぁ、無意識にやってしまったから仕方ないかなー」
ガチャン
お椀か何かが落ちる音がした。同時にそこを見ると、
ハイライトが仕事をしていない霊夢、引き気味な仕草のレイちゃん、そして、同じくハイライトが仕事をしていない朱ちゃんの姿があった。更に、目の前には獲物を見つけた眼になった早苗姉、上目遣い+涙目でこちらを見るフラン、ゴミを見るような目のぬえがいた。
神器に話しかけようとしたら、どうやら(覇王の力を解放したせいか)反応無し。
こうなったら、決めるぜ覚悟(ヤケクソ)!
この日、俺は別の意味で死にかける羽目になった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
目が覚めた次の日、朱ちゃんと霊夢からフェニックスの件の顛末を聞いた。ライザーは冥界の病院に入院中で現在、フェニックスの再生スピードを元に戻す治療をしてるとのこと。どうやら、アナンタ(Z-ARC発動時に背中についていた蛇)にはフェニックスのみならず、あらゆる回復スピードを遅延させる能力があるらしい。
そして、判明したもうひとつの事実。これは、オーフィスから聞いた話だが、あれでもZ-ARCの力を1割も解放していないらしい。どんだけだよ覇王龍。
その日の夜、博麗神社の境内で大規模な宴会が開かれた。名目は、邪龍異変の解決とリアスの婚約阻止。今度の宴会は幻想郷だけじゃなく一部の悪魔(グレモリー眷属とその関係者)が参加していた。宴会は大いに盛り上がり、ある程度酒が回ったと思ったところで、俺は博麗神社の自分の寝床に戻ることにした。
そして、そこに朱ちゃんとレイちゃんが座っていた。
「2人とも、どうしたの?」
2人とも顔が赤い!?待て、この酒は…鬼殺し!?待てや、誰だこんなの飲ませたやつ…。心当たりあるな。次会ったら覚悟しとけ。
「「イッセー…大好きー…」」
詰め寄ってくる2人。正直理性が限界…。
「「だから、一緒に寝よ?今夜は、イッセーの温もりを…頂戴…」」
あ、これ理性が完全に崩壊する…。もう無理…。
俺は、この時の記憶がぷっつりと消えていた。
そして、目が覚めると…
「…過去最高記録、更新した…」
両脇に朱ちゃんとレイちゃん、俺の体の上にフラン、こいし、ぬえ、更に、両足に霊夢と早苗姉がしがみついていた。そして、この状況を見て一言。
「動けない…、誰か助けて…」
その後、様子を見に来た神無に全員を起こしてもらってようやく解放された。実は起きていたドライグは遠い目でこんなことを思っていた。
今代の赤龍帝は女難の相が絶えない、と。
女難の相がありすぎてハイライトが仕事をボイコット。
間違えがあったら報告してください。随時訂正します