『直死の魔眼』のことはひとまず、置いておこう。
まず、わたしは高校2年のころに戻った。
たしか事故あったのは、夏休みに入ってすぐのことだったらしい。
なにせ、かなり前のことだったんでほとんど覚えていない。
違和感なく学生生活に溶け込むには、今の自分のことを調べなければ。
1つ入院している間疑問に思っていることがあった。
わたしの母が一回も病院に来なかった。
わたしの母が死んだのは親父がガンで、死んだ後だ。
まだ、死んでいない。
母はわたしを虐待するほど溺愛していた。
別に母を恨んでるわけではないがね。
母のおかげで平穏をこそが、幸福だと知ることができた。
まあ、そんな母がわたしが事故にあったと知って病院に1回も来ないはずがない。
今日はわたしが退院する日だ。
退院したわたしは親父と共に自分の家に向かっている。
家に着くとそこはいつもと同じ見慣れた家だった。
家の中に入り、母の仏壇を見つけ「やはりか」と思った。
母は既に死んでいた。
なんだ……この気持ちは。
この吉良吉影は悲しんでいる…のか?
たしかに母を恨んではいない。
むしろ感謝すらしているが、悲しみなんていう気持ちが湧くような関係ではないはずだ。
いや違う!
この感情は悲しみではない。
母が死んでいるということは、時が戻る前とこの世界が違う世界だということになる。
わたしはその事実に動揺していただけ…
それだけだ…
:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
わたしはいつも通り10時に床につき、次の日の6時に起きた。
朝は軽い運動をした後は朝食を食べ、夏休みの宿題を済ますことにした。
今日の分を午前中にやりおえるとわたしは爪を切り、これからどうするかを考えた。
今の親父はわたしの殺人衝動への理解などないはずだ。
親父と同居している限り、彼女を作るのはまずい。
もしも、見つかったら親父を始末しなければならなくなる。
それは避けたいことだ……。
仕方ない……彼女を作る場合は家の前でお別れすることにしよう。
◆◆◆◆◆◆
ついにチャンスが来た。
今週は父が出張でいなくなるらしい。
短い期間にはなるが、これで安心して彼女を作ることが出来る。
わたしは夜に外出することにした。目的はもちろん彼女を作りに行くことだ。
「フフフ……実にすがすがしい気分だ。湊さん………いっしょにわたしの家まで来てくれますね……」
わたしは美しい女性を見つけるといつものように殺して、彼女にした。
それにしても………
「うっとおしい………これじゃあ彼女の綺麗な『手』がよく見えないじゃあないか」
『直視の魔眼』による『線』はわたしの彼女までにも見えていた。
『点』は目を集中させなければ出てこないが、彼女にまで見えるとは……
分かっていたことだ……。
きっと生活しているうちに慣れてくる。
そう思いわたしは家へと帰宅するためにその場を離れた。