剣豪将軍の孤独なグルメ   作:鳥辺野

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002:某県神山市喫茶「バクパイプ」

春を我が物顔に咲き誇っていた桜もすっかり散り、足ばやに半袖の季節が近づいて来た。

我はいつも、クリーム系のアイスよりかは氷系のアイスが美味しくなるこの時期は大変好きである。冬にコタツに丸くなり食べるアイスも良いが、やはりアイス片手に自然の暑さを楽しむのも剣豪将軍としての嗜みよ。

そんな季節の移ろいに思考を傾けつつ、ぶらりぶらりとしていたら何やら知らないところへ出てしまった。

むむっ、こう言う時はすぐにスマホの地図アプリを起動させるよりは、電柱の住所表記や店々の看板とかを見て地名を確認するのが我のお気に入りなのだ。浮世の喧騒から格別して時間も気にせず迷うことを楽しむのは実に趣深いものだ。

ふむ、我は今神山市なるところにおるのか。分かってはいたが全く知らないところに出てしまったな。まあ、知らない街を歩くのもまた一興ぞ。

都心よりやや離れた住宅地、緑も多くていい街だ。何だか制服の者が多いが近くに学校でもあるのだろうか?活気があって良きかな、良きかな。学校があると言うことは周辺に学生の溜まり場的な喫茶店の一つや二つあると言うことで、この街の少し昭和感漂うところから考えるにいい感じの店があるとふんだ。ちょうど読みかけの次回作用の設定資料も持って来ていることだし、何処かてきとうに店に入るのも良かろう!

 

 

 

カランコロンと小気味の良い鐘の音と共に入る喫茶店は、レトロ目だが決して古びているわけではない清潔の中に快適なアンティーク感がある“当たり”の店だった。少し外装からして高めの店かとも思ったが、我の先に童顔の小柄な女子が入って行ったのを見て安心して入ることができた。店員に案内されるまま窓際の席に座る。メニューを開きオーダーに考えを巡らせる。

うーむ、喫茶店でのオーダーに我はいつも悩むタイプなのだ。初めての店に時は、大抵コーヒーを頼むのが定番にして無難だとも思うが、ぶっちゃけ、我はコーヒー苦手なのだ。中学くらいの頃、剣豪将軍たるものコーヒーくらい飲まねばと思い飲んだが、あんな苦いもの飲むならコーラを飲むわと一人憤慨したものだ。しかし、いざ喫茶店に入るとなるとコーヒーを頼まねば損した気がするのも事実ここは一つコーヒーにしてみようぞ。

むむっ、何やら先ほどの童顔な女子がうぃーんなーコーヒーというのを頼んでおるぞ。こやつでも飲めるものなら、我にだってきっと飲めるぞ、我もそうしよう。あとは、喫茶の定番ナポリタンを頼むぞ!

 

 

定番喫茶メニュー

・ウィンナーコーヒー:芳しいコーヒーにクリームがたっぷり。

・ナポリタン:ケチャップで赤く色がついたスパゲティ。スパゲッティーというよりスパゲティ。

 

 

先に女子の方に来たのを見て、当たりは確信していたがこれは正解だ。ナルホド、このコーヒーなら我でも楽しめそうではないか。どれどれ、女子の方はせっかちそうにクリームをスプーンで崩していたが、剣豪将軍たるもの、まずは優雅にクリームを一口。うむ、甘いクリームだ。だが、きめ細かくてなかなかものだな。では、先人に習ってスプーンで崩してコーヒーを飲んでみる。これはあっぱれ!クリームがコーヒーの風味を損なわずに、まろやかに甘く包んで、コーヒーの苦さが苦手な我でも飲めるではないか!うむ、甘いコーヒーもいいな。我が友、八幡もなんか言っておったな。人生は苦いから、コーヒーくらい甘い方がいいとか何とか、、、我もそう思うぞハチマーン。

次は、ナポリタンに行ったみるとするか。ナポリタンといえば、喫茶メニューの王、喫茶店の真の実力が如実に現れるものだ。どれ、剣豪将軍材木座義輝推して参る。ふむふむ、ケチャップの甘みが優しい懐かしさを醸し出していて、それでいてパスタも食いでがあって非常に良いぞ。パンケーキのようなオシャレカフェのメニューとは一線を画す喫茶のナポリタンは、まるで日本の古き良き喫茶文化を守る歴戦の老兵と言うまである。全くこの店は当たりだ。

 

 

追加のコーヒーを楽しみながら、設定資料を読んでアイデア出しをしているといつの間に夕方になって来てしまった。むむっ、あの女子、すごい形相で漫画を描いておるではないか。ナルホド、先ほどから感じていたこの感覚は同志への共感であったのだな。こんなところで同志に出会えたのにもかかわらず声もかけずに去るのは名残惜しいが、しかし、産みの苦しみを知るクリエイター同士馴れ合いは無用。ここは黙って去るとしよう。それでは、サラダバー童顔の女子よ。

 

 




どうも鳥辺野です。今回は米澤穂信先生の小説「氷菓」とのクロスオーバーでした。作中に材木座君が出会った子は皆さんご存知のあの子ですが、材木座君のことなので案の定、話しかけたりすることもなく終わりました。次回もクロスオーバーにする予定ですが、以外と作中の飲食店って少ないんですよね。悩みます。何はともあれ、ここまでお付き合いありがとうございました、次回も気が向いたら寄っていってください。
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