この世界では考えられない錬金術を使って何が悪い   作:ネオアームストロング少尉

11 / 16
正直いうと今回の魔術競技編はフォルティスやその錬金術を上手く活かせらなく、また、私自身、あまり思いつかなかったこともあり要所しか書いてません。それも、あるので後半は殆ど原作とは異なる動きをします。フォルティスに関わる範囲で、ですが。
※後書きでタグに関することを説明しているので、見ていただけると幸いです。



十一話

 

『飛行競争』が一位という好成績を収めたことにより、クラス全体の士気はぐんっと上がった。それからもグレンのクラスの快進撃は奇跡的に続いた。

 自分たちもやればできる、戦える。勝負事において士気の高さが何よりも重要であることを体現するかのような二組生徒達の奮闘ぶりだった。

 

 さらに、使い回される他のクラスの成績上位者が後に残された競技のために、魔力を温存しなければならないのに対し、グレンのクラスの生徒達はその競技だけ全魔力を尽くせるという構造的有利。

 

 その後も何人も好成績を残していく。

 

『あ、()てた──ッ!? 二組の選手セシル君。三百メトラ先の空飛ぶ円盤を見事【ショックボルト】の呪文で撃ち抜いた──ッ!? 「魔術狙撃」のセシル君、これで四位内は確定!? またまた盛大な番狂わせだぁあああああ──ッ!?』

 

「や、やった。動く的に狙いをつけるじゃなくて、動く的が狙いをつけている空間にやってくるのを待ってろっていうグレン先生の言うとおりだ......これなら......ッ!」

 

 成績平凡な生徒達は、予想外の奮戦をして.......。

 

『さあ、最後の問題が魔術によって打ち上げられていく──これは......ちょっと、おいおい、まさかこれは、な、なんとぉ!? 竜言語だぁあああ──ッ!? これはえげつない! さっきの第二神性言語や前期古代語も大概だったが、これはそれ以上ッ!? 解答者達に正解させる気がまったくないぞぉ!? さあ、各クラス代表選手、【リード・ランゲージ】の呪文を唱えて解読にかかるが、ちょっと流石にこれは無理──』

 

「分かりましたわッ!」

 

『おおっとっ!? 最初の解答のベルを鳴らしたのは二組のウェンディ選手! 先ほどから絶好調でしたが、いくのかっ!? まさか、これすら解いてしまうのか──ッ!?』

 

「『騎士は勇気を宗とし、真実のみ語る』ですわ! メイロスの詩の一節ですわね!」

 

『いった──ッ!? 正解のファンファーレが盛大に咲いたぁ──ッ!? ウェンディ選手、「暗号解読」圧勝──ッ! 文句なしの一位だぁあああ──ッ!』

 

「ふふん、この分野で負けるわけにはいけませんわ。とはいえ......もし、神話級の言語が出たら、いきなり共通語に翻訳するのではなく、いったん新古代語あたりに読み替えろっていう先生のアドバイスには感謝しないといけませんわね......」

 

 成績上位者は安定して好成績を収め続ける。観客席も二組が参加する競技が始まる時は特に盛り上がった。より近い世界に住むグレンのクラスの方が見ていて熱が入るのだろう。いずれにせよ、二組は今回の魔術競技の注目の中心にあった。

 

 盛り上がる会場とは違い、フォルティスは『紅蓮の錬金術師』であるゾルフ・J・キンブリーの錬金術の研究をしていた。まあ、言えば午後まで出場する競技無いのでシスティーナが作ったサンドイッチを齧りながら休憩がてら、少し進めようと考えた。つまり、暇だったということだ。

 応援などすればいいかも知れないが、そんな事をするぐらいならシスティーナに小言を言われることが分かっていても研究をしていた方がマシだと考えている。

 

 ......少々、周りが五月蠅すぎる。ふと、見ればどうやらルミアが『精神防御』の競技で上位に残っているようで、素行の悪い生徒と一騎打ちになっていた。ある意味、当たり前とも言える結果だがもう一人の生徒の方がスゴイと感じた。

 ルミアは自分と同じ異常な人種とも言える。素の精神力の強靭さでルミアに敵う奴はなかなかいやしない。もし、自分にもあの強さがあればと思うがないものねだりをしたところでだ。

 

 勝敗は分かっている。少し静かな場所へといこう。

 

 

 

 

 

 ~Ω~

 

 

 

 

 

 人気が無い場所を見つけ少し休憩したところで実際に右掌、左掌に錬成陣を書いていく。流石に手袋に書くのはやめておこう。また、システィーナにダサいと言われそうだ。周りは樹木で覆われているが、一番近い木でも多少距離があるので被害はそうでないだろう。

 キンブリーの錬金術は陰と陽の概念に基づくものと推測できる。実際、キンブリーの右掌には下向きの三角と太陽、左掌には上向きの三角と月の錬成陣がそれぞれ刻まれている。それを合わせ対象物に触れることによりその対象物を爆発物に作り変える。

 

 陰と陽の概念は多くあり、西洋や東洋によって多少違いがある。しかし、根本的なものは同じだ。そこで自分はキンブリーの陰と陽は『陰陽転化』に準ずるものではないかと仮説を立てた。

 

『陰陽転化』とは循環律とも言い、陰陽の質的な変化である。陰極まれば、無極を経て陽に転化し、陽極まれば、無極を経て陰に転化する。

 簡単に言えば、陰が大きく増加して限界に達すると陽となり、陽が大きく増加して限界に達すると陰となる。

 

 例えば、ニトログリセリンを錬成したいのであれば、まずグリセリンを硝酸と硫酸の混酸を錬成し、硝酸エステル化する、という行程が必要だ。それが、手合わせ錬成によって錬成したとしても時間がかかり過ぎる。

 

 そこで『陰陽転化』を利用した錬成陣を使用することで行程そのものを簡易にし、錬成することによって戦闘に運用できるようにまでした、と考えた。

 言ってしまえば、陰と陽の原初.......『混沌』の状況を作り出し、そこに爆発物にする材料を入れ混ぜ合わせる。そして、混ぜ合わせた物を対象物と変換させることによって、酸素と触れ合う酸化反応で起こす爆発か、衝撃による爆発を起こすどれかの爆発が起きる。

 

 それを踏まえ一度試したが、失敗に終わってしまった。あの時、アルフォネア教授に見られたが術式は殆ど消した上に基盤である中心部分は吹き飛んだ。まさか、爆発物を錬成していたとは思わないだろう。

 

 そして、あれから改良に改良を重ねて......と言うか、魔術(こちら)よりにしたものだ。無論、本来のような威力は出せそうにないかもしれない。しかし、こちらであのような爆発を必要とする敵はそうそう現れないだろう。

 故に、今回は最初から威力を抑えたものにしている。まあ、爆発物によって量など関係無い物もあるが、そこは上手く抑えるようにしよう。

 

 その中でも、自分が一番試したいのは火薬の錬成だ。

 

 もし、地面を火薬に変換して置いて、そこにマスタング大佐の錬金術を発動させ爆発を起こすことが出来たらどれほど戦術の幅が広がるのだろうか。

 

 錬成したところで爆発させればいい、と考えるのもいいが、それは簡単に対策を立てられてしまう。しかし、地面の下辺りに錬成した爆発物を置いておき、上手く誘導した所でマスタング大佐の錬金術を発動させれば今回作った威力の弱い方でも十分な殺傷効果は期待できる。

 

 それに、雨や湿気など、またこの手袋と錬金術の関係を見破られ水などの魔術で対策された場合はこちらを使えばいい。

 それに手合わせ錬成でできないこともない。しかし、この手合わせ錬成自体も改変をしなければ現象させられない。正直にいうと手合わせ錬成を現象させるたびに酷い()()を起こしている。

 

 まあ、もうこの二つを主力としていくつもりだから、当分の間は頭痛に悩まされることは無いだろう。

 

「これぐらいの石とか良さそうだな」

 

 握れば見えなくなるぐらいの大きさの石を見つける。そして、手合わせ錬成のように手を合わせ、石を爆発物に変換させる。今回、錬成したのは衝撃によって爆発する物だ。衝撃としては自分の背の半分ぐらいから落ちた衝撃で爆発するぐらいだ。

 一応、慎重に拾い上げ、距離をとって近くの木へと下投げで放り投げる。コンッ、と木と石がぶつかった音の後に、軽く光を伴って風船が割れた音のような破裂音がした。

 

「......威力としてはまあまあ、上出来かな」

 

 木を見れば幹の四分の一程度を削った痕がある。あの石ころ程度でここまでの威力だ。十分だろう。

 

 実験が上手くいき、戻ろうとしたとき茂みの奥から何か近づいて来た。姿がハッキリとしたと同時に目を見開く。

 

「アナタは......ッ!?」

 

「ごきげんよう──フォルティス・フィーベル様」

 

 そこには、ここに......自分の目の前に現れるハズが無い人物がいた。薄ら冷たい笑みを浮かべて。

 

 




さて、今回もツッコミどころが多いそうな話ではありましたが、キンブリーの錬金術に関しては一個人の考えです。もし、こういった解釈があってる、また、作者自身がこう述べていた、とあるのでしたらぜひとも教えて欲しいです。他にも爆発物に関することや、陰と陽の記述の方でも、違うのでは? といった箇所があるのであれば指摘していただけると嬉しいです。
それとどういった所を魔術よりにしたのかは次話辺りで説明できたらいいなと思っています。後、手合わせ錬成の頭痛の件など等も。

これはまた違うことですが、その、確かに『チート』とタグには入れてますが、読んでいて余り無双というか、全然チート感が無いですね。ある意味、チートといった所はチラホラ出ていると思いますが(知識などの)そういう所ではなく、戦闘などの箇所でチートといった解釈なんですね。正直、終盤辺りでしか錬金術無双しませんのでチートタグを外した方がいいかなと思っています。なので、次話までに外れているかも知れません。

さて、次話は最後の人物の正体とグレン達が原作通りに行くなか、フォルティスはまた違った展開をしていきます。主にそちらの方を書きますので原作の方は余り描写しません。後、二話ぐらいで魔術競技編を終わらせられたらいいなぁ......。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。