幽香さんを赤面させたいだけの人生だった 作:棚の上からお餅
本当に『微』なので過度な期待はしないでね!
「ふぅ、この向日葵も育ったなぁ。」
朝方。まだ日も東から見えるか見えないかのギリギリのライン。
俺はそんな時刻に、向日葵の手入れをしていた。向日葵の手入れと言っても虫をどけたり、水やりをしたりするだけである。
向日葵はキク科の一年草で、日回りと表記されることもあり、また、ニチリンソウ、ヒグルマ、ヒグルマソウ、ヒマワリソウ、ヒュウガアオイ、サンフラワー、ソレイユとも呼ばれるそうだ。
これは1週間前ほどに、幽香さんから延々と聞かされた話の中のごく一部。
幽香さん、本当に向日葵とかの話になると長いんだよな。
そう思いながら俺は向日葵に水をやる。
水をやると向日葵は生き返ったかのように、葉を水滴を使って照らし出し、萎れたように見える茎を立たせた。
そんな光景に少しばかり感動していると、後ろから声を掛けられた。
「あら、今日も早起き? お疲れ様。」
そこにいたのは俺の彼女……幽香さんだ。
幽香さんはまだ日が昇るか昇らないかの時間帯なのに、すでに日傘をさしていた。因みに俺の太陽は幽香さんだけである。
「おはよう幽香さん。 今日も綺麗だね。」
「そ、そんな訳な……朝から何言ってるのよ……」
幽香さんはそう言うと、段々とリンゴのように頰を赤く染めて行く。
「あれ、幽香さん以外に照れ……」
「うるさい!」
幽香さんはそう言うと、俺に殴りかかろうとしてくる。
うん、知ってた。だって、これが幽香さんの愛情表現なのだから。
俺は幽香さんの拳をなんとか体を反らして避ける。
「幽香さん、そろそろその愛情表現やめたほうがいい、よ!」
迫り来る拳をまたなんとか避けると、俺はそう幽香さんに言うが。
幽香さんは頰を赤く染めたまま、何の悪びれもないように言った。
「あら、慎二? 私の愛情表現に不満があるのかしら?」
「いや、なんか抱き着くとかそう言う大胆な……危なっ!」
「ふふふ、避けるの上手くなったじゃない。 嬉しいわ。 分かったわ、慎二、貴方の首に抱きついてあ げ る。」
「それ、俺死ぬやつだよね?」
向日葵を踏まないよう足に全神経を、幽香さんに殴られないように目に全神経を注ぎながら、俺はそう幽香さんと会話する。
こんな愛情表現みたいなので戦闘をするのは、これで7回目。
7回目となれば、これの終わらせ方ぐらい学習する。
幽香さんには……コレだ!
俺は足に力を入れて、その場から少し跳ぶと幽香さんの背後へ回る。
幽香さんは戦闘慣れしているのか、それに合わせて後ろへと向く。
が、そんな事を気にせず、俺は幽香さんに飛びつくように
「!?」
「幽香さん、隙ありだよ。」
「ふぅん慎二、貴方一体なにを…? あっ…だめ…そこは……だめぇ!」
幽香さんの胸元へと飛び込んだ俺は、取り敢えず目の前の柔らかいものから目を離し、脇腹に手を伸ばし、刺激するように指先を滑らかに動かす。
それと同時に幽香さんの体はビクンと跳ね、幽香さんの頰はますます紅潮する。
「んっ……ぁっ…ぁ…」
それでも指を動かすのをやめない俺に、幽香さんは嫌そうな顔をしながらも、手を動かし行動で否定を表すことはしなかった。
(可愛い。)
ハァハァと吐息を漏らす幽香さんに、そう感じた俺は更に指を動かす速度を上げた。
それと同時に幽香さんの声のトーンも速さも上がる。
「あっ…くぅ…うっ…あっ…あぁぁぁぁぁ!」
俺の指もそろそろ限界に達して来るのと同時に、幽香さんの声の調子もそろそろと言うのを出させていた。
「あっ……しん…じぃ…らめぇ……」
「あれ、幽香さん前より体力落ちたのかな?」
「ひゃっ…! し…しんじ……もうげんか…あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶頂に達したのだろうか、幽香さんの体は大きく跳ね、そして断末魔のような声を上げる。
そこで俺はようやくこちょこちょを止める。焦点の合っていない幽香さんは、舌を出しかけていて少しエロかった。
そしてようやく正気に戻った幽香さんは、真っ先に下を向いてプルプルと震えた。
顔は耳まで真っ赤になっており、怒っているのか、照れているのか、分からなかった。
「こ…の………」
顔を上げた幽香さんは傘を折り畳み、こちらへゆらりゆらりと歩いてくる。その歩いてくる姿はまさに殺人鬼のようだった。
「ゆ、幽香さん? さっきのはちょっとした冗談で……ほら、幽香さんだって喜ん「うるさぁぁぁぁい!」グボァッ!」
幽香さんの鉄槌を喰らった俺は、そのまま後方に吹っ飛ばされてしまう。周りにいた要請はみな、怯えた顔をして何処かへと逃げて行った。そして、そんな吹っ飛ばされた俺に躊躇なく、幽香さんは更に近づいてくる。
あ、これは終わったな。
俺はそう思ってギュッと目を閉じる。
最後にふと、手先に向日葵が当たるのが分かった。
向日葵の花言葉……それは『私はあなただけを見つめる』。
思いを伝えるのが少し苦手で、すぐ手が出ちゃうけど、本当は優しくてエロい花妖怪さん、俺は貴女だけを見つめます。なので、これからも末長くよろしくお願いします。
俺は心の中でそう思い、意識を手放した。