ふう、満足した。まあまあいいデュエルができたと思う。
私はデュエルコートからみんなのいる方へはずれて、余韻に浸っていた。
「よし、では次のデュエルだ」
すると、お祖父さんがそう言う。
4と5。つまり、統治とエリカだ。2人は揃って前に出る。それを見ると私の中の余韻はたちまちに消えてしまった。
この一週間、エリカと何度かデュエルしてきたけど、明らかにエリカの調子は悪い。この前のデスガイドの話しから察するに、やっぱりこの場では本来の力を発揮できないようだ。
そんな状態で統治に、ひいては暗黒界に勝つのは難しい。エリカは統治を相手にどう戦うのだろう。
「「デュエル!」」
夜闇統治LP4000
常勝院エリカLP4000
私の思考をよそにデュエルは始まる。先行はエリカからだ。
「わたくしのターン、ドロー。⋯⋯わたくしは、モンスターをセットしてターンエンド」
常勝院エリカLP4000 手札5枚
セットモンスター1枚
「俺のターン、ドローだ! 魔法カード《暗黒界の取引》を発動。お互い1枚ドローして1枚捨てる。ドロー! そして《暗黒界の龍神グラファ》を捨てる」
「わたくしも同じく」
「このとき墓地に捨てられた《グラファ》の効果を発動。セットモンスターを破壊する!」
「⋯⋯セットモンスターは《マシュマロン》。そのまま破壊されますわ」
《マシュマロン》は戦闘では破壊されないモンスター。でも効果でなら容易く破壊される。
「《暗黒界の尖兵ベージ》を召喚。墓地の《グラファ》の効果で今召喚した《ベージ》を手札に戻し、《グラファ》を特殊召喚だ!」
《暗黒界の龍神グラファ》攻撃力2700
「バトル! 《グラファ》でダイレクトアタックだ!」
「⋯⋯」
常勝院エリカLP4000→1300
「俺はこれでターンエンド」
夜闇統治LP4000 手札5枚
《暗黒界の龍神グラファ》
「わたくしのターン、ドロー! わたくしは魔法カード《トレード・イン》を発動。手札の《虚無の統括者》を墓地に送り2枚ドローしますわ。そして《天空の宝札》を発動ですわ。《神聖なる球体》を手札から除外して2枚ドロー! そして魔法カード《死者転生》を発動。手札を1枚捨てて、墓地の《マシュマロン》を手札に加えますわ。さらにわたくしはモンスターをセット、カードも1枚セットしてターンエンドですわ」
常勝院エリカLP4000 手札3枚
セットモンスター1枚
セットカード1枚
「それだけなのか? 今回は4枚も手札交換したというのに」
「⋯⋯貴方のターンですわよ」
「つまらんな。ドロー。カードを1枚セットし、《手札抹殺》を発動する。お互い、手札を全て捨てて、捨てた枚数分ドローする」
《手札抹殺》は暗黒界におけるフィニッシュカードだ。このターンで決めにきたんだろう。
「今捨てたカードは《暗黒界の尖兵ベージ》、《暗黒界の軍神シルバ》、《暗黒界の龍神グラファ》が2体。よってそれぞれ効果発動だ。まずは2体の《グラファ》の効果でモンスターとセットカードを破壊する」
「チェーンしてセットカード、《光神化》を発動! 《ウィクトーリア》の攻撃力を半分にして、攻撃表示で特殊召喚!」
《ウィクトーリア》攻撃力900
「引き続き、《ベージ》と《シルバ》の効果だ。この2体を特殊召喚する」
《暗黒界の尖兵ベージ》攻撃力1600
《暗黒界の軍神シルバ》攻撃力2300
「そして特殊召喚した《ベージ》と《シルバ》を手札に戻し、墓地にいる2体の《グラファ》を特殊召喚だ」
《暗黒界の龍神グラファ》攻撃力2700
《暗黒界の龍神グラファ》攻撃力2700
3体の《グラファ》がフィールドに揃った。
だからと言ってなにかが来たりすることはないけど、これは壮観だ。正直統治が羨ましいし、私もアレをやりたい。
「攻撃力900のモンスターを攻撃表示か。あからさまだな」
「⋯⋯」
まあ、そうだろう。普通にバレる。
エリカは《オネスト》を手札に持っているんだろう。それかブラフとしてわざと攻撃表示にしたか。
どっちにしろエリカは《グラファ》3体を前にして、まだ諦めていないということだ。
「だが関係ないな。俺は《暗黒界の取引》を発動する。1枚ドローして《暗黒界の導師セルリ》を墓地に捨てる」
「わたくしはドローしたカードをそのまま捨てますわ」
「墓地に捨てられた《セルリ》の効果を発動。相手フィールドに表側守備表示で特殊召喚だ」
《暗黒界の導師セルリ》守備力300
「そして《セルリ》が《暗黒界》の効果で特殊召喚したとき、相手は手札を1枚選んで捨てる。この場合、相手とは俺のことだ。俺は《暗黒界の軍神シルバ》を捨てる。そして《シルバ》の効果発動。特殊召喚する」
《暗黒界の軍神シルバ》攻撃力2300
「ここで《シルバ》の効果だ。相手の効果によって捨てられた場合、相手は手札を2枚選んで、デッキの1番下に戻す。その2枚の命綱をデッキに戻すんだな」
「くっ」
エリカの手札は0枚だ。フィールドには攻撃力900のモンスター1体のみ。たとえ守備表示だったとしても、《グラファ》3体と《シルバ》がいたのでは、なににもならない。
これはもうどうしようもない。エリカはここで、負けてしまう。
「バトルだ。《グラファ》で《ウィクトーリア》を攻撃」
「⋯⋯」
常勝院エリカLP1300→0
エリカのライフが為す術もなく0になる。そのとき、ちょうどエリカと目が合ってしまった。
私は慌てて感情を見られないように無表情を作る。そうしないとエリカを傷つけてしまうと思ったからだ。私の沈んだ顔を見ると、エリカが負けたことを重く捉えるという想像がついた。
たった一敗かもしれないけど、負けず嫌いなエリカならそうなると思うし、なにより全力を出せずに負けたというのが大きい。
こうなったら、そっとしておいて時間が解決するのを待つのが良いと判断した。
デュエルが終わり、エリカと統治はこちらに向かってくる。統治がスタスタと歩くのに対して、エリカの足取りは重い。
「次だ」
お祖父さんの短い言葉があり、私は真っ直ぐ向かう。
エリカとすれ違いざま、「ドンマイ」となるべく感情を込めずに言うと、エリカはピクリと反応して離れて行った。
所定の位置につく。私は対戦相手の圭と向き合うことで心をデュエルに集中させた。
「さて、始めるか?」
「うん」
「「デュエル!」」
夜闇圭LP4000
保科優姫LP4000
「私から始めるよ、ドロー。まずは《魔界発現世行きデスガイド》を召喚、効果でデッキから《魔サイの戦士》を特殊召喚する」
《魔界発現世行きデスガイド》攻撃力1000
《魔サイの戦士》攻撃力1400
「そして《二重召喚》を発動、このターンもう1度通常召喚を行える。フィールドの2体のモンスターをリリースして《フレイム・オーガ》を召喚だよ」
《フレイム・オーガ》攻撃力2400
「墓地に送られた《魔サイの戦士》と召喚した《フレイム・オーガ》の効果を発動する。まずは《フレイム・オーガ》の効果でデッキからカードを1枚ドロー。次に《魔サイの戦士》の効果でデッキから悪魔族モンスター、《トリック・デーモン》を墓地に送る。墓地に送られた《トリック・デーモン》の効果で《戦慄の凶皇—ジェネシス・デーモン》を手札に加えるよ」
よし、このくらいでいいか。初ターンで無駄に回しても意味ないしね。
「私はこれでターンエンド」
保科優姫LP4000 手札5枚
《フレイム・オーガ》攻撃力2400
「オレのターン、ドローだ。オレは《終末の騎士》を召喚、召喚に成功したとき、デッキから闇属性のモンスター、《ヘルウェイ・パトロール》を墓地に送る」
《終末の騎士》攻撃力1400
「墓地の《ヘルウェイ・パトロール》を除外して発動。手札から攻撃力2000以下の悪魔族を特殊召喚する。特殊召喚するのは《ディアバウンド・カーネル》だ」
《ディアバウンド・カーネル》攻撃力1800
これはまた珍しいな。たしか効果は、攻撃宣言時に攻撃力を600上げるのと、相手モンスターの攻撃力を自身の攻撃力分下げて、その後自身を次のスタンバイフェイズまで除外するものだ。
偏見だけど、レベル5で、攻撃力1800で、その渋い効果はどこか古臭いと言うか、懐かしさを覚えるカードだ。まあ、そこがこのカードの良いところでもあるけど。
「《ディアバウンド・カーネル》の効果だ。《フレイム・オーガ》の攻撃力を、このカードの攻撃力分下げて、このカードを除外する」
《フレイム・オーガ》攻撃力2400→600
「バトルフェイズに移行する。《終末の騎士》で《フレイム・オーガ》に攻撃だ」
保科優姫LP4000→3200
こうして相手取ると《ディアバウンド・カーネル》は結構厄介だな。攻撃力1800ダウンは大きい。しかもこの効果は私のターンでも使える。
対処しようにも除外で逃げられるし、難儀するよ、これは。
「私は戦闘ダメージを受けたとき、手札から《トラゴエディア》を特殊召喚するよ」
《トラゴエディア》攻撃力2400
「ちっ、そいつは面倒だ。オレはカードを2枚セットして、ターンエンドだ」
夜闇圭LP4000 手札2枚
《終末の騎士》攻撃力1400
セットカード1枚
「私のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズ、除外されている《ディアバウンド・カーネル》が帰還する」
「《トラゴエディア》も手札が増えたことで攻撃力が上がるよ」
《ディアバウンド・カーネル》攻撃力1800
《トラゴエディア》攻撃力2400→3000
《トラゴエディア》の攻撃力は手札の枚数×600になる。けど、攻撃力に期待して特殊召喚したわけじゃない。
「《トラゴエディア》の効果を発動。手札からモンスターを墓地に送り、そのカードと同じレベルの相手フィールドのモンスターを奪う。私は《デーモン・ソルジャー》を墓地に送る。よって、レベル4である《終末の騎士》のコントロールを奪うよ」
「ああ、やるよ」
「そして2体のモンスターをリリースして《ヘル・エンプレス・デーモン》を召喚」
《ヘル・エンプレス・デーモン》攻撃力2900
「バトルフェイズに移り《ヘル・エンプレス・デーモン》で《ディアバウンド・カーネル》に攻撃する」
「《ディアバウンド・カーネル》の効果発動だ。《ヘル・エンプレス・デーモン》の攻撃力を1800下げて、このカードを除外させる」
《ヘル・エンプレス・デーモン》攻撃力2900→1100
「だったらダイレクトアタックだよ」
「いや、それは無理だ。《ディアバウンド・カーネル》の効果はダメージステップに発動できるから、巻き戻しは発生しないんだ」
「えっ、そうなの? 強いなぁ、それ」
そうか、コンバットトリックになるのか。そういえば、除外が後だもんね。
ああ、いよいよ欲しくなってきたな。私持ってないんだよなぁ。
「私はカードを伏せてターンエンドだよ」
保科優姫LP3200 手札2枚
《ヘル・エンプレス・デーモン》攻撃力2900
セットカード1枚
「ドロー、スタンバイフェイズ、《ディアバウンド・カーネル》が戻る」
《ディアバウンド・カーネル》攻撃力1800
「オレはリバースカード《リビングデッドの呼び声》を発動する。墓地の《終末の騎士》を特殊召喚だ」
《終末の騎士》攻撃力1400
「効果だ。デッキから、《暗黒の侵略者》を墓地におくる。そして《終末の騎士》をリリースして《死霊操りしパペットマスター》を召喚」
《死霊操りしパペットマスター》攻撃力0
「《死霊操りしパペットマスター》の効果。ライフを2000支払い、墓地の《終末の騎士》と《暗黒の侵略者》を特殊召喚する」
夜闇圭LP4000→2000
「っ、私はセットカード《悪魔の嘆き》をチェーンして発動。《暗黒の侵略者》をデッキにもどして自分のデッキから《暗黒界の龍神グラファ》を墓地に送る」
これは多分、決めに来てる。《パペットマスター》で蘇生したモンスターはそのターン攻撃はできないけど、なにか勝ち筋があって攻めてきてるのがわかった。
「ちっ、オレは手札から《イリュージョン・スナッチ》の効果をチェーンして発動する。このカードを特殊召喚だ」
圭には色々思惑があっただろうけど、それをどのくらい崩せたのか。
《イリュージョン・スナッチ》攻撃力2400
《終末の騎士》攻撃力1400
今、圭のフィールドに特殊召喚されたモンスターはこの2体だ。そして、《ディアバウンド・カーネル》と《死霊操りしパペットマスター》もいる。
トータルでこの4体。
「《ディアバウンド・カーネル》の効果。《ヘル・エンプレス・デーモン》の攻撃力を1800下げてこのカードを除外。そして手札から、《真魔獣ガーゼット》を自分フィールドのモンスターを全てリリースして特殊召喚する」
《真魔獣ガーゼット》攻撃力3800
《ヘル・エンプレス・デーモン》攻撃力2900→1100
「攻撃力3800か」
「本当なら、6700だったんだけどな。狙ったかのようなセットカードだったよ」
《悪魔の嘆き》のおかげだ。別の使い方をしたくて伏せてたけど、助かった。
「《真魔獣ガーゼット》で《ヘル・エンプレス・デーモン》を攻撃だ」
保科優姫LP3200→500
「《ヘル・エンプレス・デーモン》の効果発動。墓地の《トラゴエディア》を特殊召喚する」
《トラゴエディア》攻撃力1200
「だろうな。オレはこれで終わりだ」
夜闇圭LP2000 手札0枚
《真魔獣ガーゼット》攻撃力3800
「私のターン、ドロー」
《ディアバウンド・カーネル》攻撃力1800
「《トラゴエディア》の効果、手札にあるレベル8の《戦慄の凶皇—ジェネシス・デーモン》を墓地に送り、《真魔獣ガーゼット》のコントロールを奪う。そして《暗黒界の狩人ブラウ》を召喚、墓地の《暗黒界の龍神グラファ》の効果で《ブラウ》を手札に戻して、《グラファ》を特殊召喚する」
《暗黒界の龍神グラファ》攻撃力2700
「バトルフェイズ。総攻撃で終わりだよ」
「ああ」
夜闇圭LP2000→0
ふう、ちょっとヒヤヒヤしたけど勝てたな。
これで私は決勝進出だ。私と決勝でデュエルするのは、かなみか統治。
どっちが勝つのか、なんとなく予想はついていた。