活動報告を読んでいただいた方が助かります。(これから色々やらかすだろうから
今日はおねぇさまがお話しに来てくれた。おねぇさまはとても素敵だ。私に会いに来てくれるんだもの。素敵じゃないわけがない。
扉を開けたおねぇさまに飛びついては、そのゆるいウェーブのかかった髪の毛とおねぇさまの甘い匂いが鼻をくすぐることへの喜びを噛み締めた。
「フラーン?嬉しいのはよく分かるけど、少しびっくりしたわ」そう言いながらもしっかり私を抱きしめてくれる。少しひんやりとした頰をくっつけて、頬ずりしてくれた。
「えへへ、ごめんなさい。でも、おねぇさまに会えることが嬉しくって...今日もお話聞かせて!」そう言っておねぇさまから離れて、嬉々としておねぇさまが座る椅子を少し後ろに引いた。
「あら、ありがとう。さて、今日はなんの話をしましょうかしらね」
対面する形でテーブルを挟んで座った。いつものお話を聞く時だ。しっかり聞かないとね。
おねぇさまは私が聞いてるからか、外のことを楽しそうに話してくれる。扉の外の人狼と話す時よりも楽しげな声色で。
そんなおねぇさまの声を聞きながら、私はその顔を眺める。私とよく似た顔。小顔でゆるいウェーブの青みがかった銀髪とツリ目がちな紅い、綺麗な瞳。その顔で優しく微笑むと、たまにドキッとする。とっても綺麗で、芸術品みたいな儚さを持ち合わせてて、触れてみたくなる。
触れたっておねぇさまは怒らないけど、なんだか恥ずかしくて、どさくさに紛れて触ったことがあるくらいで、堂々と触ったことはない。いつか、そのぷにぷにしたほっぺを触り続けたいなぁと思いながら、おねぇさまの話を聞く。
「それでねーって...フラン、眠いの?」少しだけ心配そうに尋ねてきた。
「...ん?あーううん。ごめんなさい、少し考え事してたの」おっと、知らないうちにぼーっとしてたみたい。
ふるふると頭を振って少しだけ揺れる景色を眺め終わり、おねぇさまの方を今一度見る。私の言葉と様子に安心したのか、話を続けるおねぇさま。
話の内容は屋敷の外の森の動物の話だとか、草木の話題ばかり。私が好きな動物と植物の話をしてくれる。
でも、父上のことと母上のことは話題に出さない。私も話したくないから、極力話さない。
父上のことはもちろん好きじゃない。あいつがいなければ私はこうはならなかったから。この無機質な部屋に閉じ込められることも、外に出られないなんてことも...おねぇさまが悲しむこともなかった。
でも、あいつがいないとなると、私は生まれなかったわけだし、もし生まれたとしても、この能力がきっと私には憑いて回るんだ。
母上は...知らない。生まれた時に腕に抱えられた事があったみたいだけど、その感覚も顔も覚えていない。肖像画を何度か見て、その髪色と顔は似通っていることを知った。
今はどうしているのかは知らない。私から聞くこともないし、おねぇさまの口から母上という言葉が出てくるわけでもない。私の今の現状に対して、なにもしてくれないのであれば、父上と同じだ。
...黒い感情が腹の奥底から湧き出てきはじめた感覚を感じる。嫌なことを考えるんじゃなかった。せっかくおねぇさまの話を聞いているのに、今日は変に思考が動く。
思考を断ち切るために、いつの間にか机上にセットされていた紅茶を飲む。紅茶はとうにぬるくなっていて、鼻に残る紅茶の香りはいつもより楽しめなかった。
暫くして向かいのおねぇさまは残った紅茶を飲み干して、話をやめた。
「さて、今日はここまでにしましょうか。明日もくるから、いい子にしてなさいよ?」そう言って微笑んだ。
いつもなら、その言葉と笑顔で安心して見送れるのになんだか、胸が痛い。
「...どうしたの?フラン」心配そうに話しかけるおねぇさま。言葉を、返さなきゃ。がたんと、音がした。私が急に立ち上がったから。
「...ぃや。」あれ、なんで。体が勝手に。
「...フラン?どうし「帰らナイでッ!」」口が、喉が、勝手に叫びはじめた。違う、そんなこと言いたいんじゃ。
ほら、おねぇさまが驚いちゃってる。それでも、口が勝手に動く。
「イツモ、そう!ワタシがクルシんでイルのに!ソウヤッテ、ワタシノトコからイナクナル!アイツラのトコロニモドル!ナンデ!ナンデェ!」やめ、やめて。そんなこと言ったって、どうしようもないのに。分かってるはずなのに。
自分の声が反響する。頭の中でずっと、ずっと。なんで、なんでって。煩くて頭を両手で押さえた。
「っ!!フラン!?貴方どうしちゃったの!?」おねぇさまが狼狽えてる。私の突然の変貌に、取り乱してる。
胸の痛みが増してきて、苦しくもなってきた。呼吸が乱れてきて、息が荒くなる。ぎゅっと胸元を押さえる。じわりと、汗が滲んできた。目の前が紅くなってきて、ふらふらと不安定な足取りになって。紅い視界のまま、目の前の、おねぇさまを見つめたまま、私は手を前に突き出して、いて。
「......ココカラ、デラレナイヨウニ、シテアゲルカラ。ズット、イッショニイテ。ワタシヲ、ミテ、サワッテ、アイシテ?」
あぁ、それは確かに、私の心の底からの本音で。隠しようが、なくなってしまった。
ズルリと這いずり出た黒い感情は、予想以上に大きくなってしまっていて。
愛と呼ぶには醜い皮が、骨が、自分の内側から突き出てきて、姿を現して。私の背中の異形の翼みたいに広がって。
あぁ、もう、反響する声が、声が、声が。煩いせいかな、目が眩んで、歪んで、目の前が紅から黒へ変わっていって。
おねぇさまに向けた手が握られて、いって、そして。
握られた瞬間に。
底の見えない暗闇に沈むように、私の意識は途絶えた。
入り方が微妙だったかもなって思ってるから、のちに訂正入るかも。(本当は自覚のない、すり替わるような狂気が書きたかった