ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者は海を往く

「すっっっごおおおい!!!お宝の山~♡」

「おいおい本当にすげえなこれ!」

 

島の砂浜で出会った男、モンキー・D・ルフィ。彼が率いる海賊団、麦わら海賊団。無人島で一人で住んでいた男は彼らの船に乗船し次の島まで乗せて貰う事にしている。そしてその代金として宝を換金した際の4割を譲るという契約を結んだ。

 

「なあこの4割貰って良いのか!?」

「ああ。どうせあの島じゃ使うに使えねえからな、使えるようにする為に乗せて貰うんだからな」

「私の眼によると総額3000万ベリーはするわよ!その4割……1200万ベリーが私の手にー♪」

「おいナミこの船の船長は俺だぞ!?」

 

目の前で繰り広げられている漫才に近いやり取りに思わずクスリとする、何年も一人で過ごしていたせいか人間と人間のやり取りが酷く新鮮に感じられる。それに加えてこの海賊団は陽気で楽しげ。所謂平和主義(ピースメイン)な者達、今まで自分が狩って来た略奪主義(モーガニア)とまた違うタイプ。

 

「そう言えば名前なんて言うんだお前」

「んっ……名前、言ってなかったか」

 

金髪のグルグル眉毛の男、サンジにそう尋ねられる。名前……正直名前などあまり気になどしていなかった、んなものを気にするぐらいなら身体を鍛える事の方が大切だったからだ。この世界に来る前の名前は当然あった、名無しなど生きて行ける世界ではない。加えて本来知っていた筈のこの世界(原作)の知識の殆どが磨耗し使い物に成らなくなっている。それが残念でならない。

 

「名前か……人に言うのも久しぶりすぎてピンと来ねえな」

「おいそれ大丈夫かよ」

「はははっ数年無人島に一人だったんだ、人に名前を言う機会なんて無くてな。宝目当ての海賊にわざわざ名乗る必要もなかったしな」

 

名、か……変えてみるのも悪くない。もう以前の自分ではない。過去の自分(それ)を捨て去って新しい今(これ)を名乗ってみるのも面白いかもしれない。

 

「レウス。レウス・R・リオスだ」

「は~ん……全部ラ行だな」

「ほっとけ」

 

適当に考えた名前だ、そんな事一々気になどしていない。それに基本はレウスで通せばいい。

 

「なあレウス!」

「お、おういきなり呼び捨てか……悪くないな。んでなんや」

「お前、俺の仲間にならねえか?」

「あっ?」

 

思わず妙な声を出してしまった。まだ出会って小1時間しか経っていない正体不明な人間を仲間に勧誘?普通なら頭の中身を疑うレベルの発言だがレウスは自然と納得していた。ルフィの事は少なからず知っていた、幼い少年がそのまま大人になったかのような性格をもった彼に妙な意思は無い。ただ仲間に欲しいから誘っているのだろう。

 

「だからオメェ俺の仲間になれ!」

「おいルフィてめぇいきなり何言ってんだよ?」

「そうだぜ。まだ会って間もないいきなり勧誘して受ける訳がないd「いいぞ」っていいんかい!?」

 

ズビシッ!と擬音が立ちそうなほどに鋭く突っ込みを入れてくる狙撃手を担当する長鼻のウソップ。

 

「俺自身旅をしようと思ってたんだ、お前達といると楽しそうだしな。俺で良ければ宜しく頼むよ」

「おいおいそんな簡単な理由で……」

「そうよもうちょっと考えた方が良いじゃない?」

「そうかな?俺としては平和的ならそれで十分だけど。あっそうだ仲間になるんだから4割じゃ可笑しいよな。んじゃえっとナミちゃんで良いんだっけ?君に渡す割合を6割に増やすよ」

「ようこそ麦わらの一味へ!!!」

「うぉい!!!!」

 

自分に入ってくる金が増えると解ると一気に態度を変えるナミ。言っちゃ悪いがかなり扱いやすい、金は掛かるだろうが……。

 

「まあ良いじゃねえかキャプテンが決めたんだからよ」

「良いんじゃねえか。俺はナミさんがいればそれで十分だ」

「ゾロ、サンジまで……まあいっか」

 

既に一味の5人中4人が容認している事が解るとウソップも少々肩を落としながらも笑顔を浮かべて一味への仲間入りを歓迎した。

 

「では改めて自己紹介を……レウス・R・リオスだ。先程まで無人島で数年間過ごしてた……時折来る海賊相手に戦いをして生きてきたから腕には自信がある、そして……悪魔の実の能力者でもある」

「マジか!?」

「どんな能力なんだ!?」

 

悪魔の実の能力者であると解るとルフィとウソップは眼を輝かせながら見つめてきた。どうやらどのような能力なのかひどく気になるようだ。レウスは軽く笑ってから能力の一部を開放し背中に翼を生やした。

 

「「うおおおおおおおおおお!!!翼が生えたぁああああああ!!!カッコいいいいいいいい!!!!」」

「これが俺の能力だ。動物に変化する能力を持ってる、後は……飛べて火を吐ける」

「「すげええドラゴンみてえ!!!」」

「(まっドラゴンなんですけどね……)」

 

この後ルフィやウソップを背中に乗せて空を飛んだり火を吐いて見せてくれとせがまれたり、竜化した際に鱗が宝石のように美しかったためナミに鱗を剥いで良いかと迫られたりと割と散々な経験をしたレウス。若干一味に加入したこと後悔するのであった。

 

 

 

「サンジ、包丁砥ぎは終わったが他の仕事はあるか?」

「んじゃ皿洗い頼むぜ」

「承知した」

 

麦わらの一味に加入してから数日、順調に大海原を行く海賊船"ゴーイングメリー号"。可愛らしい羊の船首を持った船を使用して旅を続ける麦わら海賊団、今レウスはそんな一味の雑用係として活動していた。

 

「助かるぜ。お前が皿洗いしてくれるってんなら俺は何時もより時間を掛けて、ナミさんのおやつの調理が出来るぜ」

「役に立ててるなら何よりだ。一味に入ったからには何か仕事しねえとな」

「良い心掛けだ、ルフィにもその10分の1ぐらいの気持ちを持ってくれたらな」

「いや無理だろ。入って数日な俺でも解るぞ」

「だな」

 

皿を洗いながら調理を続けるサンジと雑談をするレウス。今現在一味の中で一番仲良くなっているのがサンジだった。それなりに話に乗ってくれるのでかなり接しやすい、それに食事のリクエストにも対応してくれるからだ。

 

「うーん本当に綺麗ね……これなら結構な値打ちになるわね」

 

ラウンジではナミがレウスから貰った鱗をじっくりを観察しつつ鑑定を行っていた。剥いで良いかと迫ってくるので鱗をいくつか自分で剥ぎそれを渡したのだ。少しだけ痛かった、この鱗は自分でいう所の皮膚だからしょうがないが。

 

「ねえレウス、もっと鱗貰えないかしら?」

「勘弁してくれナミちゃん……金欠になった時なら良いがそれ以外じゃ拒否するぞ」

「解ったわよ、まあ緊急時の資金面が解決したと考えれば儲け物ね」

「勘弁して欲しい物だ………」

 

ちょっぴり女性(ナミ)に恐怖心を抱きつつ左手を変化させ竜頭の口から温風を吐き出し洗い終わった皿へと浴びせていく。能力の有効活用なのだがなんだか食器洗い機のような事をしているせいかちょっぴり複雑な気分になるレウスであった。

 

「洗浄と乾燥終わったぞ」

「いやマジで助かったぜ。誰かがやってくれるってのは良いもんだな」

「食器洗い機という扱いの定着は勘弁願いたいがな」

「まあそういうなって。また頼むぜ」

「………まあ頼まれればやるが」

 

溜息を吐きつつナミの隣の席に座りつつ部屋の隅に置かれている袋を傍に寄せ中身を取り出してじっくりと見る。茶とおやつの準備が済みそれをナミに差し出したサンジと鱗を綺麗に拭き値打ちを出来るだけ高めようとしているナミはその行動が気になったのかそちらへと視線を向けた。袋から取り出したのは爪や牙のように見えた。

 

「レウスそれってなんだ?牙に見えるが」

「ああこれ?竜化してた時に抜けた俺の牙や爪だよ、何かに使えないかなぁって取ってあるんだ」

「へぇ~それも貰っても良い?もしかしたら売れるかも」

「商魂逞しいなぁナミちゃんは」

 

そう言いつつ袋から幾つか牙や爪を差し出して渡す。

 

「結構硬いし鋭い、道具としてかなり使えそうね」

「まあ好きにしたらいいさ、その内また抜けたりするだろうし」

 

そのようなやり取りをしていると船は目的地であったローグタウンへと到達した。別名始まりと終わりの町、"海賊王”ゴール・D・ロジャーの出生地であり処刑地でもある事で有名であるこの町が東の海(イーストブルー)から偉大なる航路(グランドライン)へ行く時の玄関口となる町である。そのため東の海中の無法者達が偉大なる航路を目指しこの島に集結している。

 

「っつう訳で俺はこの財宝を換金してくる、ゾロ悪いが手伝って貰えるか?この量だ、一人じゃ骨だからな」

「ああ分かった。その後で武器屋に寄りてぇがいいか」

「俺は良いぜ興味あるからな、でもお前金あるのか?」

 

試しに聞いてみた所ゾロはうげっと言いたげな表情をした。数日共に過ごしたがこの一味の財布は如何考えてもナミが握っている。そして守銭奴な彼女が普段から金を渡しているとは考えにくい。

 

「んじゃ俺の元々の取り分の4割から工面してやるよ、それで買うってのは」

「ああ悪いがそうさせて貰うぜ」

「んじゃ換金所へ出発~」

 

ゾロと共に宝を分けて中央街へと歩いていく。中央街は活気に溢れ多くの人がいる、そんな所にあった換金所は大きく宝は容易に換金出来そうだ。

 

「んじゃ俺は換金してくるから先に武器屋にでも行っててくれ」

「ああ解った、んじゃ……あそこの店にいるからよ」

「おう」

 

一旦ゾロと別れ宝を担ぎ上げて換金所へと入っていくレウス、入ると直ぐに周囲から喜々とした目の店員から見られる。それを流しつつ換金の受付へと向かう。そこには如何にも頑固そうな老人が席に着いていた。

 

「………おう。それを換金すんのか」

「頼むぜ」

「物を見せな」

 

ドスン!と大きな音を立てながら宝を老人へと差し出す。袋から宝を取り出すと老人は猛禽類のような眼光で宝を品定める。時折目に付けるタイプのルーペで細かい部分などを見つめている。それを宝全てへと行っていくがかなりペースが速い。かなりのベテランのようで僅か1時間半で全ての宝の鑑定を終えた。

 

「………待たせたな小僧、中々の上物ばかりで久しく嬉しくなっちまって長々と見ちまってた」

「いや結構早かったと思うけどな、この量を1時間半でやるんだから」

「んで査定額だがな……こんぐれぇだな」

 

老人が査定をしながら計算していた算盤に示した金額を紙に書き起こして見せてくれた。そこにはナミの査定額を上回る5000万ベリーの文字が書かれていたので思わず口笛を吹いてしまう。

 

「こりゃうちの航海士の査定以上だぜ、この額で頼むよ。爺さんサンキュ」

「へへへっこっちこそ良い宝見せて貰ったぜ小僧、しかもこれは小僧が取ったもんだろ」

「おっ解るの?」

「長年こういう仕事してると解るもんさ、中々いい腕だ。お前さんの幸運を祈る」

 

老人と最後に握手をし他の従業員が持ってきた5000万の入ったアタッシュケースを持って換金所を出る。このうちの6割、3000万がナミに入るから自分の取り分は2000万ベリーという事になる。まあ2000万という大金を持ち歩く訳には行かないので基本的に管理はナミに任せるつもりでいるが。先程ゾロがいるといった店に入ってみるとそこには腕を突き出しているゾロと地面にへ垂れ込んでいる眼鏡の女性と店主と思わしき男性、そして床に突き刺さっている刀が目についた。

 

「おいゾロどういう状況?」

「レウスやっと来たか。いやちょっと妖刀と勝負をな」

「ふ~ん……んで買うもん決まった?」

「一本はな。なあもう一本選んでもらっていいか?」

 

地面に刺さった刀を抜きつつ女性に頼むゾロ、その後ゾロの男気に惚れたのか店主が店で最高の刀である良業物"雪走"という刀を先程の妖刀と共に無料で手に入れた。

 

「やっぱ三本あると落ち着くな」

「そういう物なのか……?まあいっか、なあゾロ。金使わなかったんだし飯でも盛大に食って行かねぇか?5000万って額が入ってよ、俺の分だけで考えても2000万だ」

「そりゃすげぇな、んじゃどっかの店で派手にやろうぜ」

 

この後、ゾロと共にたっぷり飲み食いした結果、20万ベリーの支払いとなった時流石に食いすぎたかなと顔を見合わせたそうな。




【名前・異名・所属】
 
レウス・R・リオス
異名なし
麦わら海賊団雑用係

身長:184
体重:88

年齢:27歳

容姿:燃えるような赤い髪が特徴。
   青色の瞳が特徴
    
服装:赤いTシャツに黒のジーンズを着用。
   他にも海賊から奪った服はあるがこの二つを一番気に入っている。

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