ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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どうしても……ここまで書きたかった!!!


空の王者、竜と会う

-レインベース-

 

水が十分すぎるほどに溢れ潤っているレインベース。反乱とは無関係な人の欲望に溢れているギャンブルの街、美しい町並みが広がる街に大きく立っているカジノ、レインディナーズ。クロコダイルが運営するカジノをビビは恨めしげに、憎しみを込めたような瞳で睨み付けている。この街に入った瞬間にルフィとウソップは自分の渇きを癒す為に食事処へと駆け込んで行った。その際についでに水の調達を願われたが本当に調達してくるか疑問である。

 

「あっ俺ちょっと小便行ってくる」

 

チョッパーはトイレに立った、時間はあるだろうから大丈夫だろう。流石にあの二人でもお使い位は……。

 

「みんなぁ~逃げろぉ~!!!海軍が来るぞぉ~!!!

『だからなんでお前はこっちに逃げてくんだばかぁ!!!』

 

と思ったのが間違いだった。せめて一人は見張りにでも付くべきだったかと後悔する、樽を抱えながら背後から迫って来る海兵達から逃げ惑うルフィとウソップ。二人に怒鳴りながらも怒り心頭になりながらも共に逃げる一味、チョッパーを置いて来てしまったのは拙いかもしれないが彼の顔はバロックワークスにバレていないという点で安心だろう。

 

「ったく如何すんだまだ作戦だって練ってねぇのに!!なんでうちの船長はトラブルをこうも見事に呼び込める!?」

「ルフィだからに一票!!」

「同意に一票!!」

「ハハハそうだなって笑ってる場合じゃねえ!!もうどうせバロックワークスにバレちまってる!!もうカジノに行くしかねえぞ!!」

「だな!」

 

このまま海軍に追われるのも拙い、ならばこのまま散開し個々別々にレインディナーズを目指すのが一番だろう。目印は鰐の建物!ちょうど分かれ道、それぞれが別々の道へと入っていき海軍から逃げながらクロコダイルの元へと目指して行く。

 

 

「待てえ貴様も麦わらの一味だろうぉ!!!」

「逃がすなぁ!!」

「結構な数が追って来てるなぁおい!!」

 

真横の道へと入ったレウス、海軍はそれなりの数此方にも流れている。このまま撒くか倒すかしないと満足に皆と合流も出来ない。戦うにしても今無駄な体力を消費するわけには行かない、なら撒くしかない。建物の隙間へと入ると瞬時に竜化し跳躍と翼の羽ばたきを組み合わせ一気に上昇する。そして素早く建物の屋上へと隠れる。

 

「何処に行った!?」

「見失ったか!?探せ、まだ近くにいるはずだ!!」

「見当違いを探しやがれ馬鹿野郎共……ふぅ」

 

一旦深呼吸をして落ち着く、なんとか海軍を撒く事には成功した。このままカジノへと進むのが一番良い、だが慎重に行こう。バロックワークスに顔はバレていない可能性は高いとはいえルフィ達の顔は恐らくMr.2によって知られて居る筈、今降りるのは危険。このまま屋根の上を行くのが一番だと考えたレウスはそのまま屋根の上から上へと飛び移って行く。そして遂にカジノへと到達したレウスだが入り口へと続く橋には人が集まっている、怪我をしている人間もかなりいる。

 

「多分あれはバロックワークス……なら皆が!」

 

急いで橋を渡り中へと入ろうとするが奥へと進んで行こうとする自分を一人の手が止めた。

 

「おい待てよレウス」

「サ、サンジ!?それにチョッパーも!?来てたのか!?」

「ああ、とっくにな」

「うん!」

 

そこにはサングラスを掛けたサンジがチョッパーと共にいた。煙草を吹かしながら足元に転がっている男を捨て置きながら作る不敵な笑みは何処か頼もしげに見える。

 

「さっきちょっとした細工をやってな、クロコダイルは此処へと現れる」

「マジか!?」

「ああ。これからチョッパーが囮になって奴をひきつける、お前は俺を手伝ってくれ」

「う、うん俺は俺が出来る事をやる。だからレウスも、頑張ってくれ!」

 

人型となっているチョッパーは震えて入るがその声にはしっかりとした覚悟があった、絶対にやり遂げるという気持ちがそこにある。サンジの作戦では無事に逃げきれるという確証があるらしい、ならばそれを信じる。仲間として。

 

「解った!」

「おう!チョッパー頼んだぜ!」

「わ、わかった!!……うぉぉおおお俺の名前はミスタープリンスゥゥ!!!」

 

そう叫びながら走り出して行くチョッパーと別れる。チョッパーは自分はミスタープリンスだと叫びながら橋の前に集まりつつあったバロックワークスの社員達を薙ぎ払って行く。サンジと共に隠れて様子を見ているとカジノの中から明らかにオーラが違う男が出てきた、あれが王下七武海、サー・クロコダイル……!!

 

クロコダイルとそのパートナーであるミス・オールサンデーが完全に橋を渡り終えると同時にサンジが橋を落とし大急ぎでカジノへと入る。中へと入ると橋を落とした際の衝撃と橋が落ちたという事実によって軽いパニックが起きていた、それに便乗して奥へと進もうとすると奥の通路からビビが走ってきた。

 

「レ、レウスさんにサンジさん!!大変なの、ルフィさん達が牢屋に!しかも水が入ってて来ててこのまま皆溺れちゃう!!」

「おいおいかなりこっちも切迫してんな、ビビちゃん案内を頼む!」

「ビビちゃん安心して、俺がナミさんを助けるぜ!!」

 

ビビの案内で店の奥、本来はVIP専用の通路を進んで行く。奥へと通じる階段を駆け下りて行くと周りはガラスと石造りの通路、通路の外はレインディナーズを取り囲むようになっている湖。その水が入って来ているという事になるのかと思いながら三人は急いだ。そして開いている扉の奥に見えた牢屋のような物と巨大な鰐、あれは倒して良いのかとビビに確認すると勢い良く頷いた。

 

反行儀(アンチマナー)キックコォォオオス!!!」

「竜脚・毒浴ェ!!」

 

二人の海賊は一気に加速する今にも牢屋へと襲いかかろうとしてる二匹の巨大な鰐へと向かった。サンジはそのまま鰐の腹へと潜り込むと真下から渾身の力で鰐を蹴りあげる、その際の爆音と衝撃によって鰐は一瞬で白目を向きながら瓦礫を吐き出す。竜化を行ったレウスは鰐の脳点目掛けてそのまま毒が滴る爪を尖らせながら浴びせ蹴りを放つ。肉を抉りながら毒が注入され鰐は苦しむ間もなく絶命する、そのまま鰐の上へと着地する。

 

「間に合ったか、皆」

「待ったか?」

「「うぉぉぉぉおプリンスさぁぁああん!!!!!」」

「レウスゥゥゥゥウ!!!」

「間に合ったか……!!ビビよくやったぞぉ!」

 

ゾロの上げた声にサムズアップするビビ。まだ間に合ったと確信するレウスは鍵を探すかあれを吹き飛ばした方が速いかと迷ってしまったが直ぐに吹き飛ばす方が速いと理解する。

 

「サンジ、あの檻は俺が火球で吹き飛ばす!鰐は頼む!」

「おう。レディを襲う行儀の悪い鰐は徹底的にマナーを叩きこんでやるぜ」

 

ジャンプしながら完全竜化を行い檻の上へと位置づける。

 

「レウス早く開けてくれぇ!!」

「解った!全員伏せてろ、水に被ってろ火球ぶつけんぞ!!」

 

全員はどうするかを察すると急いで既に水が満ち始めている床に伏せた、同じく囚われているスモーカーがレウスの変身に驚いている。本人はそんな事お構いなしに思いっきり息を吸い込んだ、そして限界まで吸い込むと内部で爆発するかのように火球を吐き出した。

 

「大・竜火球!!!」

 

爆発をそのまま火球にしたかのような凄まじい炎は牢獄の天井部分に炸裂した、爆発を伴いながら牢を焼き骨組みごと焼き尽くしデカデカと大穴を開けた。ナミ達は動けなくなったルフィを担いでその穴から牢獄を脱出する。

 

「やったレウス有難う!!」

「レウスマジでよくやったぁ!!」

「気にすんな!!それよりも早く外へ!!サンジィ!!」

「おう今行く!!」

 

レウスの背中などを叩いて次々と出口へと走っていく仲間を見送り最後に出ようとしたレウスだがスモーカーがじっと此方を睨み付けていた。あちらからしたら自分達は海賊、捕らえない訳には行かない。だがスモーカーは握っていた十手を背中へと戻すとレウスの隣を通り過ぎ様に

 

「今回は見逃してやる、だが次はこうはいかねえぞ」

 

と告げると同じように出口へと走って行った、海軍の癖に律儀な奴だと呟きながら自分も大急ぎで出口を駆け抜けて行く。クロコダイルにバレない内に急がなければ……!!

 

 

「よぉおし外に出たぞぉ!!」

「な、なんとか無事に出られたわね……」

「ほっとしてる場合じゃねえぞ!おいビビ、アルバーナはどっちだ!?」

「あっちよ!!」

 

無事に外に出る事に成功した一同はそのまま街の外へと走っていく、なんとかクロコダイルの魔の手から逃れる事は出来た。だがまだ終わっていない、急いで首都アルバーナへと向かわなければならない。だが此処から行くには距離がありすぎる、走っていくには無理がある。

 

「俺が飛ぶか!?」

「いやそれだとお前が体力を使う!ナミさん香水を吹いて!急いで!!」

「えっ香水!?わ、解った!!こう!?」

「はぁぁあああんメロリンラァアアブ♡」

「やってる場合かサンジ!?」

 

何をやっているのかと咎める前に街の外へと着いてしまった。もう竜化するしか無いと思ったがサンジが三度やら無くて良いと止め前を見ろと催促する。その言葉の通り前を見て見ると其処には先程の鰐と如何サイズの巨大なカニが此方へ迫って来ていた、何事かと思ったらその蟹の頭の上にはなんとチョッパーが乗っていた。

 

「チョッパー!?」

「何だありゃ!?」

「ヒッコシクラブ!!凄い、幻のカニよ!!」

「皆乗って~!マツゲの友達なんだ、アルバーナまで行ってくれるって!!」

 

なんと言うラクダのコミュニケーション能力。まさか一匹のラクダの友達にこんな巨大なカニがいるとは想像も出来なかった、鋏に乗って頭の上に乗ると手綱を持ったチョッパーが出発させた。身体を起こし巨体に見合ったスピードで足を動かし移動して行くカニ、これは頼もしい。ビビも何とか間に合うと希望に満ちた顔をしている。

 

―――だがその姫にクロコダイルの牙が迫った。ビビの身体に黄金のフックのような爪が食いつきそのままビビを攫うかのようにビビを連れ去った。それに超反応したのはルフィだった、素早く腕を伸ばし爪を掴みビビを救出しそのままカニへと投げた彼女を救ったが変わりにルフィがそのままクロコダイルの元へと連れされてしまう。

 

「お前ら先に行け!俺一人で良い!!ビビをちゃんと家まで送り届けろよぉ!!!」

 

そう言って遠ざかっていくルフィ、チョッパーは思わずカニを止めようとするがゾロがそれを止める。このまま進めと、何があっても進めと叫ぶ。

 

「ルフィさあああん!!!!」

「ビビィ!!また後で会おう!!!」

 

小さくなっていくルフィ、クロコダイルを抑えられればなんとかアルバーナへの間に合う可能性は多いにある。このまま進むしかない……!!がクロコダイルも甘くは無かった。ヒッコシクラブを追跡するかのように地面から土煙が上がっていた。

 

「おいなんか付いて来てるぞ!?」

「何だあれ!?」

 

それはまるで悪魔、頭部に生えた二本の捻り狂った角と鋭い牙が凶暴性を誇示しているかのよう。背中に鎧のような甲殻を持ち、強靭な両足と先端がまるで斧のようになっている巨大な尻尾。それはアラバスタに生息している生き物ではない、レウスだけがそれが何かを知っていた。双角猛る砂漠の暴君と呼ばれる自分と同じ竜、ディアブロス。

 

「なななななな何だありゃ!!?」

「化けものだぁあああ!!!?」

「あ、あんな生物アラバスタにいない筈よ!?」

「次々と!!」

 

刀を抜こうとするゾロよりも早く、カニから飛んだ者がいた。

 

『レウスぅ!!!』

「先に行けェ!!」

 

完全竜化を行いリオレウスと化した彼は砂漠の暴君へと襲い掛かった。両角を足で押さえつけながら背中に噛み付き一気に体重を掛けた地面へと押し付ける。衝撃を伴いながら地面へと押し付けられたディアブロスから離れるとディアブロスは徐々に姿を変質させて行き、全身に傷を作っている褐色の大男へと変じた。それに合わせるようにレウスも竜化を解いた。

 

「へぇ……お前も竜に成れるのか」

「てめぇ……俺と同じ悪魔の実を……!!

「ドラドラの実モデルディアブロス。砂漠の暴君っていう竜なんだぜ……?邪魔してくれるなよ、てめぇ……」

「はっ何が暴君だ。空の王者が相手してやるよ!!」


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