ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、空島に上陸する

ガンフォールから得た情報を頼り滝のように流れている雲の元へとやってきたメリー号、そこにあったのは天国の門(Heaven's Gate)と刻まれた大きな門のような建造物だった。ここまで雲ばかり見てきた皆は少々面を喰らったがその門から一人の老婆が出てきた、がその老婆は背中に羽を生やしている一般的にイメージされている天使のような形相をしているのでもしかして自分たちは既に死んでいるのではないかという事をビビが言ってしまい周囲は少々顔を青くするのであった。

 

「あ、あの~」

「私は天国の門の監視官アマゾン。あんた達観光かい?それとも、戦争かい」

「空島に行きたいんだ!此処からいけるのか!?」

「行けるよ」

「戦争って答えたら如何するんだよ……っというか普通にそう聞くか?」

 

意味ありげに笑うとアマゾンは別にと口にする。如何にも食えない老婆だと思いつつも怪しさを感じてしまう。本当に真っ当な人間なのだろうか。

 

「上層に行くのなら、一人入国料として10億エクストル置いておきなさい。それが法律」

「10億ゥ!?」

「すっげえ値段だなおい」

「えっと、1ベリーが1万エクストルだから……10万ベリーで9人で90万ベリーですよナミさん」

「90万ベリー……結構な大金…」

 

エクストル換算では途方もない大金のようにも思えてしまうがベリー換算では何とかなりそうな金額になった。ナミは如何にも渋い顔をしてしまう、幾ら入国に必要な物だとしても90万と言う大金を支払っても良い物なのだろうか……。

 

「あのーアマゾンさん、ベリーでも大丈夫なんですよね?」

「青海の金かい、使えるよ」

「でも90万でしょ……?レウスの鱗とかその他でお金は稼いであるから大丈夫だけど……」

「別に払いたくないなら別に構わないよ」

 

悩むナミに払わずとも良いと告げるアマゾン、その発言に思わず目を輝かすナミだが他のメンバーは如何にも解せない顔をする。門番でも衛兵でもない、だから意思を聞くだけというアマゾンだがサンジは如何にも解らなそうな顔をする。監視官なのに入国料も払わずに国に入ろうとするよそ者を放置するか?と思わずそれを王女であるビビに尋ねて見る。

 

「ビビちゃん、如何思う?仮にアラバスタに入るのに入国料がいるとして」

「普通なら考えられませんよ、職務放棄みたいなものだし不法入国を認めるって事。このまま入ったら確実に犯罪者扱いを受ける事になると思います」

「だよなぁ……ナミさん、ここは確り払っておいた方が良いと思うぜ。空島には海軍もいないと思うし追われる事もない、それなのに態々追われる立場になる事はねえぜ」

「……解ってるわよ、レウス。後で鱗お願いね♪」

「この船での俺の役割って何なの?」

「「金策?」」

「……ビビちゃんにロビン頼むからやめてくれ、俺を苛めないでくれ……」

 

かなり渋い顔をしながらナミは90万ベリーをアマゾンへと渡す、アマゾンは受け取った金を入念にチェックし90万ベリー、90億エクストルであることを確認すると一冊の手帳のような物を手渡してきた。

 

「それに今名前を書きなさい、全員分をね。それが正式に入国した証明になる」

「解ったわ。ねえ、もしも払わずに入ってたらどうなるの?」

「……さあね。知ってどうなるんだい」

 

何処か言葉を濁すアマゾンを警戒しつつ再び船に乗り込んだナミ、それを確認したかのように船の下に巨大な影が映りこんだ。そして海のような雲から二本の巨大な鋏が姿を現すとがっしりと船体を両サイドからはさんだ。

 

「な、何これ!?ア、アマゾンさん何これ!!?」

「白海名物、特急エビ」

 

鋏の下には赤い甲殻をした巨大なエビが潜んでいた、ゾロは思わず刀を抜こうとしたがそれよりも早くエビは動き始め曲りくねっている歪な滝の流れを遡るかのように凄まじい速度で移動し始めた。激しく揺れ動きながら自然的とは思えぬ雲の道を進んでいく船にしがみ付く一同。

 

「チョッパー無事か?!」

「あ、ああああ!!!?助かった……」

「なあサンジ、あのエビってうめえのかな?」

「今んな事聞くな!!」

 

右へ左へと傾きながらどんどん上へと向かっていくエビ、だがそれも遂に終わりが訪れる。暗い周囲に降り注ぐかのように輝く光、エビもそこへ向かっていく。その途中で看板のような物が見つかった、そこにはこう書かれていた。『神の国 スカイピア』と、有無も言わさず加速したエビはメリー号を打ち上げるかのように放り出し暗い空間から太陽の光が降り注ぐ上へと導く自分は下へと戻って行った。打ち上げられたメリー号は海面、と行っていいのか不明だが着水する。そしてルフィが大きな声を張り上げた。

 

「島だ!空島だぁぁぁぁっっ!!!!」

 

目の前に現れたのは雲のような大地で形成されている島、木々が茂り建造物と思われる物まである。ナミは一応記録指針を確認すると間違い無くこの島を示していた、間違い無い。ここが目的地であった空島、そしてルフィが海底に沈んだ船から手に入れた地図にあったスカイピアという島、本当に来れたのだ。

 

「冒険の臭いがプンプンするぞ!!行くぞ!!」

「ああおい待てってルフィ!?底が無いかもしれねえのに!!」

「大丈夫だ足付くぞ!しかもふかふかだぞ!!」

「あールフィウソップ俺も俺も~!」

 

我先にと飛び降りたルフィ、ウソップそしてチョッパーは空島は自分たちでも触れるようなふかふかした雲で出来ている事に嬉しそうにしながらキラキラとしながら上陸していく。ゾロは少々怪訝そうな顔をしつつも試しに錨を降ろしてみると半ばまで沈むとそのまま突き刺さった。どうやら普通の雲ではなく自分たちが慣れている地面のような雲のようがあるようだ。

 

「にしてもたまげたなこの光景は……まるで夢だ」

「ああ、流石に、面食らうなこりゃ」

 

流石のゾロとレウスも現実離れしすぎている光景にやや気疲れているような言葉を漏らしてしまう、突き上げる海流に乗って空までやってきてそこからもう驚きの連続だ。寧ろ疲れない方が可笑しいかもしれない。また一人、サンジがはしゃぎまくった声を上げながら飛び込んでいくのを呆れた目で見つつ自分も行くかと腰を上げた。

 

「レウス、お前は?」

「んっ……ビビちゃんたちと一緒に行くよ」

「そっか」

 

飛び降りるゾロを見送ったレウスは目の前が本当に現実なのかと疑ってしまい思いっきり頬を抓ってみるが凄まじく痛い。どうやら夢ではないようだ。すると船の中からナミの痛い痛い!!という声がする、其方を見て見ると上を水着に着替えたナミの頭の上でサウスバードが突いている光景が見えた。気がすんだのかサウスバードは飛び立ち何処かに行ってしまった。

 

「サウスバード、連れて来ちゃったんだっけ……逃がすの忘れてた……」

「……まあ鳥なんだし何とかなるんじゃないか?」

「ナミさん、こんな感じですけど如何でしょ?」

「わぁお似合ってるじゃない!レウスみなさいって」

 

ナミに言われて船首からデッキへと移動するとそこには白いショートパンツに明るい緑のビキニを身に付けているビビの姿があった。レウスが現れるとやや恥ずかしいのか頬を赤らめながら口元に手をやる仕草をするがそれが妙に愛らしくビビの容姿も相まって凄まじい破壊力となってレウスに襲いかかってきた。ナミの水着姿もかなり刺激が強いのに水着美女二人が視界の中にいるのはかなりきつい。

 

「そ、そのレウス、さん……如何です、似合います……?」

「あ、ああ……眩しい位にね。流石砂漠の国のお姫様だ。ナミちゃんと一緒だと、水着美女二人って感じで凄い良いよ。可愛いよ二人とも」

「もうレウスったら当然の事言わないでよん♪」

「て、照れちゃいますよ……♪」

「さあお早く行って来たら如何かな?うずうずしてたまらないって感じだけど?」

「「行ってきま~す!!」」

 

その言葉で二人は船から飛び降り笑いながら上陸して行く、その様子は如何にも女性に慣れないレウスには眩しい物なのだ。そこへ同じく水着に着替えたロビンがやって来るがロビンの水着はビキニのような肌を大きく露出させた物ではないのでまだなんとかなる。

 

「皆行ったのかしら?」

「ああ行ったよ」

「貴方は行かないの」

「いや行くよ、エスコートでもしようか。ロビンお嬢さん?」

「ならお願いしようかしら、お兄さん?」

「お兄さんって歳じゃないよ。もう直ぐ30だし」

「あら、意外と歳が近いみたいね」

「あれそうなの?」

 

ロビンを紳士的にエスコートしながら船を降り上陸したレウスはお互いの年齢を改めて知りロビンと様々な事を交わしながら暫し話す。それを見ていたナミは少しムスっとしつつビビはふむふむと興味有り気な表情でそれを見つめている。

 

「何よレウス……あいつ誑しなの?」

「いいえあれは単純に同年代である事を知って嬉しいって顔ですね。良かったですねナミさん。ロビンさんは違うみたいですよ?」

「そう……ってなんでそうなるの!?」

「フフッ♪レウスさ~ん一緒に遊びましょ~!!」

「あちょっとビビ!?待ちなさいって!!!」


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