ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、危機を覚える

「ゴッド・エネルのメェ~において貴様らを排除させて頂く。この必殺の斬撃貝(アックスダイヤル)の威力をご賞味あわぁああ!?」

「ガタガタ言う前に攻撃すりゃいいのに」

「これで大体4人位倒しましたね」

「だな。さてと、有難くお前らのダイヤルは貰っていくぜ」

 

神官シュラを打ち破ったレウスとビビのペアは書き写した地図に従いながら髑髏の右目へと向かっていく。その途中シュラのようなエネルの配下と思われる神兵という者達が襲いかかってきたが、それを容易く返り打ちにしながら、神兵の所持していたダイヤルを奪い足を進めて行く。自分たちは海賊であって正義の味方などでは無い、寧ろ正義の味方の敵側のような存在。追い剥ぎのような事をしたとしても可笑しくは無いし貴重な空島の資源の確保にも繋がる。

 

「これで斬撃貝が4つ、炎貝(フレイムダイヤル)が1つ、衝撃貝が2つですね」

「この神兵って連中に共通して言えるのは斬撃貝を持ってるって事だな。一人だけ予備なのか知らんけど他のも持ってたが」

 

明らかな敵意を持ちながら攻撃を仕掛けてくる神兵と名乗る敵。先程倒した神官シュラといい、エネルは自分達青海からやってきている人間全員を敵と認識させている。普通に考えてこれからもこちらを狙って攻撃してくるだろう。この神兵が襲いかかってくる分には特に問題は無い。神官と違って此方の動きを読む事は出来ないようでビビも倒す事が出来る程度の強さしか持たず、斬撃貝に頼っている部分も強い。

 

「ついでにこの槍も槍自体が燃えるじゃなくて内部に熱を発する貝が仕込まれてたんだな。ちょっと残念だな、燃える槍とかカッコいいのに……」

「まあでも戦力アップじゃ無いですか、それにレウスさん槍術が得意って言ってませんでしたっけ?」

「棒術ね、こういったランスは使えないんだよな……棒状で先が刃になってるだけなら使えるんだけど」

 

シュラから手に入れた槍は所謂円錐型なので棒術を使えるレウスには余り使えない代物となっている。それでも投擲武器としては十二分な武器となるのでそう言った方針で運用しようと思っている。貴重な武器である事に変わり無いので背負ったまま足を進めて行くと、森を抜け、島雲に侵食されてしまっている古代の遺跡群へと足を踏み入れた。

 

「遺跡、か?」

「みたいですね……アラバスタでもこんな感じの遺跡を見た事あります」

 

此処も嘗てはジャヤの黄金郷の一部だったのかもしれないが、400年も前に空に打ちあげられた事で空の環境にじわじわと侵食されていったのだろう。長い時の流れには人が作った建物など容易く飲み込まれて消えて行くのが定めなのかもしれない。僅かな悲しさを覚えながらも足を進めて行くと、ビビが急に悲鳴を上げた。慌てて振り返ると、ビビの下半身が雲に沈んで行っていた。

 

「な、何これ!?か、身体が沈んでいく!?」

「ビビちゃん掴まれ!!何だこれ沼か何かか!?」

 

まるで沼のような雲、それに足を取られどんどん引きずり込まれていくかのように沈んでいく彼女の手を掴み引っ張り上げる。幸い引き上げるのに余り力は入らず簡単に引き上げられたが、何とも不可解な雲だ。まるで罠のように仕掛けれていたような印象まで受けてしまう。

 

「あ、有難う御座いますレウスさん……」

「ああ、だけどこれは雲の上を進んで行くのは危険だな。遺跡の上を行こう」

 

共に遺跡の上へと飛び乗りその上を歩いていく、流石にあの沼のような雲も遺跡を行けば沈む事も無い。足場は悪いか沈んでいくのに比べれば楽な物といえる、そのまま歩いていくが

 

「あれ、トニー君!?」

「チョッパーお前何やってるんだ!?」

「お、おおおおっレウスにビビィ~!!良かった無事だったんだぁ!!」

 

そこには身体中に傷を作っているチョッパーが腰掛けながら水筒をぐびぐびと飲んでいる。身体の傷から察するに自分たちと同じように戦いがあったのだろう。

 

「大丈夫かチョッパー、お前傷だらけじゃないか!」

「え、えへへ……ちょっと神官と戦ってたんだ。でも俺、一人だったけど勝ったぞ!!これで俺も立派な海賊だ!!」

「ト、トニー君一人で神官に勝っちゃったの!?」

 

思わず驚きの声を上げてしまった、先ほど自分たちもシュラと戦ったがこの空特有の戦い方や相手の動きを先読みする能力もありかなり厄介な相手だというのにそれをたった一人で打倒したという言葉に驚いてしまった。シュラは相棒であるフザを倒された際の怒りに身を任せていたせいで容易く倒す事が出来たがチョッパーは正真正銘の真っ向勝負だった、相応の傷を受けてしまったがそれでも倒したチョッパーは立派と褒められて良いだろう。

 

「兎に角チョッパー良くやった、正直に驚いたよ。強くなってるんだなチョッパーも」

「馬鹿野郎そんな褒められても嬉しくねえよこのやろう♪」

「ねえレウスさん、なんでトニー君ってこんなに可愛いんでしょうね」

「だよね」

 

兎も角応急処置を終えると次はこれから如何するかと言う話になった。この遺跡には何もなさそう故、チョッパーはあの巨大な蔓を登って上に行こうと考えているらしい。それに賛成しいざ蔓へと向かおうとした時、森から凄まじい速度で此方へと迫って来る何かを感じ取りレウスは二人を脇に抱え一気に飛びあがった。

 

それは森の大樹を移って行きながら姿を現した。先ほどまで自分たちがいた遺跡は粉々に吹き飛ばされた、だがそこに何もいないと解ると日の元へと優雅に姿を現しながら嘶きを上げた。伝説などに登場する幻獣、ユニコーンのように頭部に生やした一角。美しい白銀に光る体毛に覆われたその姿は酷く幻想的で、この世の物とは思えない美しさは神々しささえ垣間見える。

 

「何あれ……凄いキレイ……」

「すっげえ……」

 

ビビとチョッパーがその幻想的な光景と美しさに心を奪われている際もレウスは思わず汗を垂らしながら自らの不幸を呪ってしまった。なんという存在がこの空島にいるのだろうかと。あれは自分と同じくモンスターと区分される生き物、だがその常識外れの生態と力故に他とは一線を画されている存在。通常の定義に収まり切らない、"存在自体が例外"とでも言うべき絶対者。

 

 

古龍種、幻獣 キリン 出現。

 

 

今、アッパーヤードにて―――幻獣と空の王者の戦いが始まろうとしていた。




ビビがキリン装備をしたら……凄く、良いと思うんだ。

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