ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、変態と姫に出会う

ナミの静止を振り切るように駆け出していくルフィとウソップを追いかけたレウスも早々に追いつく事に成功し共にウォーターセブンの入り口を潜ろうとしていた。

 

「いやぁ此処はどんな島なんだろうな!美味い飯屋とかあるといいなぁ」

「ワクワクしてきたぞぉ!なあレウス!」

「まあ、な。言っとくけど勝手にどっか行くなよ?俺がナミちゃんに怒られちまう」

 

ブレーキ役として大急ぎで駆け出して合流したレウスは自由奔放さにやや頭を抱えつつもこれが当然の日常の一部となりそれにもう当たり前のように対処できるようになっている自分に心のどこかで苦笑いを浮かべていた。この世界に来てからもう何年になるのかも数えるのも何時か止め、ルフィ達との航海を心から楽しみつつ日々を過ごしている。もう以前の世界の事など風化し始めていた。偉大なる航路の無茶苦茶具合にも慣れてきたのか次の島はどんな所なのだろうと言う純粋な興味も大きくなっている、そんな思いを胸に足を進める先に見えてきたのは街の入り口と思われる場所に掲げられた『貸しブル屋』という看板だった。

 

「貸しブルって何だ?」

「知らねえ、ブルドックか?んな訳ないか」

「すいませんブル貸してくださ~い」

「「いやまず何なのか聞けよ!!?」」

 

ブルと言われても全くピンと来ない一同、一体何なのかを探る為に聞いてみようと思ったがそれよりも早くルフィが足を進めて行き貸して欲しいと言ってしまった。兎も角追いかけて中へ入っていくと中年の男性がルフィの声に応えて人数を聞いて来ていた。

 

「三人か、ランクは〈ヤガラ〉〈ラブカ〉〈キング〉があるけどまあ男三人ならヤガラ二匹って所で良いかな」

「ああそれで頼む。美味しく焼いてくれ」

「いや可笑しいだろ今の会話の流れ!?」

 

兎も角レンタルの話は一旦ストップしてもらい自分達は記録(ログ)を辿って来た事とこの島に初めて来たのでブルについて何も知らないので説明を頼んだ。この島、ウォーターセブンは水路中心の街。陸路よりも水路の方が遥かに多くその水路での足として使用としているのがブルという魚、外見は馬のような魚だが頭が良い上に人懐っこい。加えて引越しにも使えるほどの馬力を持っている為重宝されているとのこと、ボートをヤガラの背中に載せてそのまま馬車や乗馬のようにして移動するらしい。

 

「へぇ結構可愛いな」

「なんか馬みてぇな魚だな」

「まあ大体あってるな」

 

二匹のヤガラがレウスとルフィを気に入ったのか近づいて顔をなめるのを見ると店主はその二匹にボートを引かせる事に決めた。

 

「えっと二匹で2000ベリーだったな」

「ほいどうも」

「そうだおっさん、この辺りで美味い飯屋ってあるか!?」

「飯屋か。飯屋じゃないけどブルーノって店主がやってる酒場は結構いけるよ、ほれこれサービスで地図もやるよ」

「うっしまずはそこ行こうそこ!」

「また勝手に……まっいっかんじゃ行こう!」

 

ルフィとウソップ、レウスと分かれて乗り込んだヤガラは元気良く声を上げて泳ぎ始めた。勢いよく泳ぎ始めた割には揺れもなく進んでいくヤガラに中々快適である。

 

「うっほ~い!良い天気だし気持ちいいし最高!おい頼むぞお前!」

「ニィ~」

「にしても世の中にはこんなに都合の良い生き物がいるんだなぁ」

「揺れも思った以上にないな、快適だ」

 

地図を広げながら周囲の町並みを見つめるレウス、水路中心と言うだけあって建物は水の上に建てられ歩道を一歩出たら広がるのは水路。古くも歴史のある町並みと美しい水路がマッチして奏でている不思議で優しい感覚にルフィもなんだか和んでいる。住人達も非常に良い表情をしておりこの島の保たれている治安と平和が確かな物であると語っている。

 

「え~っと……あっちだな」

「よっしあっちだな!あっちだヤガラ~!」

「ニィ~!!」

 

ルフィはルフィですっかりヤガラと打ち解けあったようだ、元気良くルフィが方向を指示すればヤガラもそちらへと勢い従って泳いで行く。本当に人懐っこい魚なのだろうと思わず頭を撫でた。そんなこんなで水上散歩をすること約30分、やや地図に苦戦しながらも目的としていていた酒場へと到着した。ヤガラは通りすがりおばさんに教えて貰った水水肉を食べてもらいながら近場のヤガラ止め場に待って貰う事になった。酒場に入ると食べ物の匂いに辛抱たまらなくなったのかルフィがカウンターへと飛び込んだ。

 

「やっほぉ~いなあおっさん食いもんくれ!」

「おやいらっしゃい、これは随分面白い注文が来たな」

 

店主のブルーノと思われる男性は人当りの良い笑みを浮かべながら取り合えず水でも飲みなさいとよく冷えた水を出してくれる。それを一気に飲み干しつつルフィは腹が減っている事をアピールする。

 

「すいませんうちの船長が」

「いやいや大丈夫だよ。うちには色んな奴が来るからね、荒くれ者に比べたら愉快な者だよ。じゃあこの島のお勧めなんて如何かな?」

 

ブルーノは一度店の奥へと入ると更に山盛りになった肉を持ってきて差し出してきた。ルフィは涎を垂らしながらそれにむしゃぶりつくように喰らい付いたが一口食べた所で停止した。ウソップとレウスはあのルフィが食事中に止まった事に驚きつつ声を掛けるが途端にルフィはカウンターに凭れ掛るようになりながらうっとりとした声を上げた。

 

「や~わ~ら~け~ぇ~♪うんめぇ~♪」

「そ、そんなにか!?(モグモグ)すっげなんだこの柔らかさ!?たまんねぇ!」

「な、何だこれ……!?数週間タレに漬け込んだ肉よりも柔らかいのに歯ごたえもある!?」

「気に入ってくれたかな?それは"水水肉"というんだ」

 

初めての食べ物に大感動をしながらも肉を食べていく一同に店主はニコニコと笑顔を浮かべながらドリンクを出して話を振ってくる。ルフィとウソップは夢中で食べているのでレウスがそれに答え雑談をしながら水水肉を食べている時店の扉が蹴飛ばされるように開けられた。逆行の光の中に立つ一つの影は大きくポーズを取りながら声を上げる。

 

「アウ!調子は如何だブルーノ!?スーパーに繁盛してるか!?」

 

景気良さ気に声を上げて入ってきたのは青いリーゼントに赤いアロハシャツを羽織った男……だが下には海パン一丁という変態的な出で立ちをしている珍妙な男だった。

 

「な、なんだあの男は……?」

「余り相手にしない方が良い、あいつは解体屋フランキー。このウォーターセブンの裏の顔として知られている男でね、船の解体を専門にしている奴なんだが副業として賞金稼ぎをやっている。かなり腕は立つ」

「げっレウスまずいんじゃねえか……!?」

 

小さく焦ったように声を上げるウソップと困った表情を浮かべるレウス。自分とルフィは億越えの賞金首、賞金稼ぎからすれば涎物の獲物。そんな自分達の正体に気付かれるとかなりまずい事になる。ルフィにも何気なく静かにしておけと注意する、が

 

「お前面白い奴だな~!何何だ?」

「おう兄ちゃん、この俺のスーパーさが解るか?」

 

そこはルフィ、忠告など馬耳東風で聞き流しフランキーに興味深深という表情を浮かべている。煌びやかでヒーローに憧れるような視線と褒め言葉で機嫌を良くしていくフランキーにレウスはもうバレタらバレたでなんとかするしかない気がしてきた。

 

「この俺の今週のスーパーさが分かるとはいい目してるじゃねえか兄ちゃん、今週の俺がとんでもなくスーパーなのを見せてやるぜ!!外に来な!」

「おおっもっと面白いのが見れんのか!?」

「お、おいルフィ!?」

「あ~マスター、直ぐに連れ戻すよ」

「大丈夫だよ、食い逃げしてくれない限りね」

 

フランキーに付いていくルフィを追っていくウソップとレウス、店の外へと出たフランキーはサングラスを掛けなおすと腰を落とし腕を構えた。

 

「行くぜ……ストロング(ライト)ォォォ!!!」

 

大砲のような音と共にフランキーの右腕が射出され空へと飛んで行く、勢いよく伸びていく腕は鎖で繋がっているようである程度伸びると巻き戻されぐわんぐわんと鎖をしならせながら腕を戻したフランキーは良い笑顔を見せるとルフィとウソップは大興奮を露わにし声を上げた。

 

「「スッゲェエエエエエッッ!!!スーパーだぁぁぁっっ!!!!」」

「アウ!!もっと言ってくれ今週の俺はマジでスーパーなんだぜ!!?よし兄ちゃん達気に言ったぜ!!酒場の中でもっと俺様のスーパーさを語ってやるぜ!!」

 

機嫌をよくしたフランキーはルフィとウソップを連れながら中へと戻っていく、それを見送ったレウスも肩を竦めながら戻ろうとするが何処からか自分へと投げ掛けられる視線に気付いた。思わず能力の発動が出来るようにしつつ視線を巡らせると建物の間の影から何かが此方を見つめていた。

 

「何だ……?」

 

小さな足音が此方へと迫ってくる、壁の方向を見つめると一人の女性が影から出てきた。緑と白、そしてピンクを基調としたドレスに身を包んだ金髪の女性は王族のようなオーラを纏いながら此方へと近づきながらレウスの顔を見ると僅かに涙を流しながら笑顔を浮かべた。

 

「漸く、御会い出来ました……心の奥底から会いたかったです。レウス様……♡」

「君は……誰だ?」

 

To be continued……。


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