「なにぃ!!?レウスと会ったぁ!!!??」
「ええ……言わないでくれって言われたんだけど」
一度集合した一味は食事を終えるとロビンが話があると口を開いた、その内容は先程一人でいる時にレウスと遭遇し自分が助けられた事と何やら政府に手を貸すかのような行動を取っている事の告白だった。
「意味が分からねぇ……あいつが政府と手を組んで何をするっていうんだロビンちゃん!?」
「何とも言えないけど多分青キジが言ってた事と関係があるんじゃないかしら」
「あのノッポ野郎が言ってた事!?」
―――世界政府としては如何してもその国の力が欲しい、その為の鍵になるのが……お前だ、レウス。
海軍大将が言っていた言葉、元々レウスの力はある国にしか存在しない酷く希少な物であり政府としてはそれを喉から手が出るほどに欲している。その国の力がどれほどの物かは計る事は出来ないが政府そのものが欲するほどなのだからよほどの物なのだろうと推測出来る。
「で、でもだからってレウスが政府に手を貸すなんてあり得ないよ!!俺は信じないぞ!!」
「だが今もこうしてあいつは行方知れずだ、割と納得が行く話だ」
信頼が置けて心が通じ合った仲間である彼が敵である政府と自分から手を結ぶなんてありえない、誰もが信じられないと首を振った。だがそこへロビンが自らの事を含めて話した。何故自分が懸賞金をかけられたのか、何故政府に追われているのかを全て。それらを聞いた全員は驚愕しながらも確りと耳を立てて聞き入っていたがルフィだけは納得出来ないような表情をしていた。
「ロビンが狙われてる理由は良く分かった、でもそんなの関係ねえよ俺の仲間だ。でもあいつがいなくなった事は全然納得が行かねぇ!!なんであいつが居なくなるんだ!?此処まで一緒に旅をしてきたのに、必要だって言うなら俺は、世界政府にだって喧嘩を売ってやるぅぅぅ!!!!」
―――その真っ直ぐさが、恐ろしいんだよ麦わら。
その時、声が聞こえた。その声は紛れもなくレウスの物、皆はその声に反応して飛び出した。夜の帳は完全に降りて外は真っ暗となっていた。月も顔を見せない暗黒の夜の中、此方を見つめるかのように立ちながらローブを羽織っている一人の男がいた、それは紛れもなくレウス本人であった。
「全くロビンの話を聞いて本当に不安だったんだから!!」
「レウスさん良かった!!」
思わずナミとビビが駆け寄ろうと走り出した、誰もが心を一緒にしながらレウスに駆け寄ろうとする。が刹那、ナミとビビの足元に何かが飛来し地面に穴を開けた。それは彼によって握られた拳銃が吐き出した銃弾であった。銃口からは煙が立ち登りレウスが引き金を引いた事の証明にもなっていた。それに真っ先に反応したのはサンジだった。
「テメェ……ナミさんとビビちゃんに何をしやがる!!!!」
「……相変わらず女に甘い奴だ、海賊になった以上仲間が傷つく事も考えられないのか」
「んだとぉ!!!」
「余り、動くな。次は当てる」
聞く事がないような冷たく冷徹な言葉は麦わらの一味から動を奪い去って行く、何故彼がこんな事をするのかという混乱が頭を支配して身体に命令が行かなくなってしまった。あの仲間思いで他人を気遣っていた彼がする筈の無い行為に誰もが凍り付いた。
「今日は、お別れを言わせて貰いに参上した」
「別れ……!?」
「ああ。短い間だったが俺は麦わらの一味だったからな、せめてもの礼儀って事だ」
「何言ってるんだお前、意味が分からないぞ!?」
思わず前へと踏み出したルフィが叫んだ、それにレウスは反応を見せながら銃を下ろし口を開く。
「俺は俺の価値を引き出してくれる所へと行く、そしてリオレウスという竜の故郷へというべき島へと行く」
「そ、それってブロギー師匠が言ってた!?」
「そうだ。その為にはもうお前達に居ても無駄だ、それにお前たちの世話をするのも疲れたんでな……」
吐き捨てるように呟いていると彼の頭上に巨大な竜が飛来してくる、それは頭上でホバリングをしながら待機をしている。それを見上げながらレウスは迎えかと呟いた。
「それに政府は言った、協力するならば俺への莫大な報酬を用意し相手まで見繕ってやるとな……こんな話に乗らない手は無いだろう」
「嘘だ!!」
「嘘じゃねえよ」
「なら、何で泣いてんだよ!!!」
ルフィに言われ頬に手を当てて見る、すると涙が流れていた。無意識のうちに自分は泣いていたと言うのか……。なんて格好がつかない……そしてこれじゃあ覚悟が緩んでしまう……。
「待てレウス!!」
「……それじゃあな、船長。もう二度と会う事なんてないだろうな」
涙を拭いながらレウスは一気に跳躍すると翼を広げてルフィが届かない距離へと上昇すると竜の背中へと飛び乗った。
「フフフッさあ参りましょう」
「嗚呼……」