文字通り海原に揺れる波を裂くように敷かれたレールを駆け抜けるかのように走り続ける
自らを犠牲にする事によって命を救われたとしても全く嬉しさが沸く事はなく、寧ろ何故そんな重大な事をたった一人で抱え込んだのかと憤りを隠さなかった。全員が直ぐにレウスを追いかける事を決めた、一切の迷いなく。しかし彼を乗せた海列車は発車してしまい間もなくと迫ったアクアラグナの高潮の影響で追いかける為の船すら出せないという最悪の状況に陥っていたが、そんな時であった。何とかエニエス・ロビーへと行く方法を探そうとした時、そこへフランキー達の手下を名乗る者達が現れた。
「麦わらさん、頼みがあるんだ!!俺達に、俺達に力を貸して欲しい!!!フランキーの兄貴が政府に連れて行かれちまったんだっ!!!」
身体中を包帯で補強するかのような治療をした姿で頭を地面に擦りつけながら懇願するフランキーの手下達の纏め役のザンバイが涙ながらに言う。政府の人間がいきなりアジトに殴りこみに来て政府からの任務だからとフランキーを罪人として連行すると言う。それを許せないと襲いかかろうとしたが、政府の人間達の圧倒的な強さの前に自分達はあっさりと倒れされてしまい気がついた時にはフランキーは連れさられた後だったという。そしてどうしたらいいかと自分達で相談した結果、フランキーと知り合いで尚且つ非常に強い自分達の力を借りたいと此処まで来たという。
ルフィ達はルフィ達でレウスを取り戻すためにエニエス・ロビーに乗り込もうとしていたので、それについては全く問題なく寧ろ仲間が増えると好意的に受け止めていた。何よりルフィはここである事を宣言した。
「よし決めたぞ、俺はフランキーを船大工として仲間に入れるぞ!!そして世界政府に喧嘩売るぞ!!レウスが笑顔で俺達の所に居られる為にな!!!」
そう笑顔且つ力強く宣言をしたルフィに皆は少し圧倒されつつもそれに大賛成で返した。やるべき事を定めたが問題はどうやってエニエス・ロビーへと行くかと言う事になったが、そんな所へやって来たのはココロであった。海列車を出してやるから付いて来いと言うので付いて行くと、そこでは襲撃されたと聞いていたアイスバーグと彼が経営するガレーラカンパニーの船大工達が海列車の整備を行っていた。
「こいつだよ、海列車の試作初号機。その名もロケットマン」
「うおおおおおおおっっ!!!!カッコ良いいいいいいぃぃぃぃっっ!!!!」
アイスバーグが見せ付けたのは海列車の試作機として製造された
「んががが、ほいじゃ行くよ!これより暴走海列車"ロケットマン"、行き先は政府直轄の島エニエス・ロビー……出航!!」
力強くも心地いい汽笛の音と共に、エニエス・ロビーに向けて海列車が動き始めた。徐々に力強く早く回転していく車輪の脈動を感じつつもルフィは大声で叫んだ。
「レウス今行くぞォォォォォオオオ!!!!」
水の都から飛び出した海列車は大海原へとその身を投げるように海を切り裂きながら行く。目指すは……政府直轄の裁判所、エニエス・ロビー!!
「フフフッ…」
「ッ……」
屈辱的な物に耐えるかのように顔を伏せながら歯軋りを続けるレウス。真横にいる女、レイアは心の奥底から溢れ出す幸せを噛み締めるかのようにレウスの腕を抱き締めように胸へと寄せていた。腕を通じて伝わって来る柔らかくて暖かな感触すらレウスを不快にしかしていなかった。
「ァァァァ心待ちにしておりました。貴方とこうして隣り合い肌を触れ合わせる事を……」
「ッッ…」
声を聞くたびに不快になっていき、精神が多大な負荷と汚染を受けていくかのような感覚に陥っていく。自分で決意しておきながら心底嫌になりそうになるが、それを抑え込まなければいけないと理性的なリミッターが働く。それもレイアの強さに起因する事であった、このレイアの強さは自分が今まで相対して来た中でも一際目立って感じられる。それは以前殺し合いをしたあの古龍との感覚に似ている。
「ァァァッ早く、早く辿り着きたいですわ……♪」
―――つまりこの女は古龍に匹敵すると自分は感じているのだ。
「エニエス・ロビー、海軍本部を通して貴方は正式のこちら側の人間となると同時に私の旦那様となり契りを交わす……はしたない事ですが興奮してしまいますわ……♪」
「そのまま、興奮し過ぎて死ねばいい」
思わず出てしまった本音だが、それを受けたレイアは更に表情を喜びで染めていく。
「であるのにも拘らず貴方は私を選んで下さったのでしょう?矢張り運命は私と貴方を引き合わせてくれているのですわっ!!!」
もしもあの
次回はエニエス・ロビーに到達後!!あの長官も、登場するかも……?