小桜 悠咲は平凡な夢を見る。   作:遮嗚鴉

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初投稿です。
私、完全なる素人故にマジで文はめちゃめちゃごっつぁんですって感じです…




1話 雨、遭遇、始まりの娘

1章 雨、遭遇、始まりの娘

 

 

雨が降っていた。

 

 

夜の街は街灯やネオンの光が優しくも怪しく光り、歩く人々の背中を薄暗く照らしている。まだ、2月で深夜になれば氷点下まで下がる気温に急かされて帰路を早足で目指す。

 

 

黒傘を差し、黒いスーツ姿に黒いコートを羽織るその男も寒さから逃れる為に早足で帰路を目指す者の1人であった。

 

 

「寒い、腹減った。早く帰りたい寒い」

 

 

思わず独り言が零れる。

この男、 見た目は黒短髪で鋭い目元に三白眼それなりに顔は整っているが、カッコいいというより厳ついという印象が残るような顔つきで体格は185cmほどでかなり筋肉質。

 

 

パッと見れば10人が全員、男を堅気の者では無いと答えるくらいには威圧感が有り見知らぬ者なら反射的に道を譲る程の怖さを兼ね備えているこの男の名前は神崎 九郎(かんざき くろう)。

 

 

寒さで歪む表情が更に人を近付き難い状況を作っていると本人は全く気づいてはいない。

 

 

「まったく…今日はスムーズに仕事が完了したのに終わった途端これだもんな。俺は寒いのが嫌いだってのに神様はお優しく無い事で」

 

 

九郎はまた独り言を呟き、ため息を1つ。

吐き出された息は白く夜の街に溶けるように消えていく。

 

 

仕事をする際は証拠を残してはいけない為、プライベートな品物は一切持てないし、連絡手段は使い捨てで旧式の2つ折りの携帯電話が1つだけしか持たない。

 

 

それに今は商売道具を装備した状態であるため、警察に職務質問をされようものなら1発でブタ箱行き確定である。

 

 

スーツの内側にホルスターを装着しそこに収まっているのは自動拳銃が1挺、コートに隠れて見えないが腰周りに2本、艶消しをされた肉厚のコンバットナイフを装備していた。

 

 

本人はあまりに怖がれる事に少なからずショックを受けてしまう性格のようだが、やってる仕事は怖がれるような事なのでその点に関しては自業自得である。

 

 

まあ、もし職務質問されても彼の特殊な立場から逮捕される事は無いが裏で工作をするであろう本家から嫌味を延々と吐かれる事は間違いない。

 

 

「それは不味い…親父、いや母上を怒らせたらどうなる事かわからん、ああ恐ろしい」

 

 

ブルッと身体を震えた。これは寒さのせいだと自分に言い聞かせ歩くスピードを更に早めた。

 

 

一応、警察にも顔見知りや協力者はいる。が、あまりお世話になりたくないので警察の巡回ルートを避けるように歩く。

 

 

巡回ルートを回避する為、路地裏に入るとマナーモードにしてある携帯が振動が伝わる。

携帯を取り出すと登録されていない番号からの着信だった。

 

 

「………」

 

 

無言のまま携帯を取り数秒間待つ。

通話に応じたが掛けてきた相手は無言のまま何も聞こえない。

まさか、イタズラ電話が奇跡的にこの番号を直撃したのだろうかと考えていると携帯からか細い声が聞こえた。

 

 

『………けて…』

 

 

一度だけ、確かにそう聞こえた。

その言葉の後、通話は切れてしまった。

 

 

「何だったんだ?」

 

 

九郎は不振に思いながらも携帯を懐に戻そうとした時、路地裏のビルとビルの隙間、何とか子供が通れそうな隙間から何かが飛び出して来た。

 

 

「ーーっおお!?」

 

 

唐突に飛び出して来た何かは九郎に飛び込み、九郎は驚きながらもそれを受け止める。

 

 

「………ああ」

 

 

受け止めたそれはボロ布で全身を隠している子供のようで九郎の顔を見ると口元が安心したように微笑えむとそのまま気を失う。

 

 

「ーーーお、おい、待て」

 

 

頭の部分のボロ布がはだけるとまだ幼い10歳にも満たないであろう少女であった。

そして、おそらく少女を追っているのか殺気立った複数の気配が近付いて来るのを感じる。

 

 

「厄介事は勘弁だ…!こんなヤツに構ってられるか」

 

 

そうは言っているが九郎は少女を大事そうに抱えて直ぐその場を走り出した。

 

 

九郎は困惑していた。

争い事は慣れているしそれが本職であるから仕事中に様々なトラブルに見舞われるのも仕方ないとは思っている。

 

 

何かの事情で逃げる子供、これもこの業界では珍しい話しではなく有り得る件で同情や憐れみの感情とか湧く筈もなく、九郎が少女を抱えて逃げる義理は無い、のだが。

 

 

「コイツは何で俺を見て安心した?何故、全くの不安や疑念もなく俺に飛び込んで来たんだ?」

 

 

九郎は理由が知りたいと思った。

自身は無いが九郎の中で少女との面識は全く無い。

 

 

「…まずはこの場を切り抜けないとな」

 

 

ため息をつきたい衝動に駆られるが、腕に抱く少女の安堵した顔を見て眉をしかめた。

 

 

九郎は『自分の力が発動している』のを感じたが、それは少女が目覚めた時に聞けば良いと頭を振る。

 

 

「…もしもし、トラブル発生だ。俺を追跡して車を回してくれ」

 

 

追手が来る可能性を考慮して部下に連絡を入れておく。

 

 

「さて…行くか」

 

 

九郎は雨に濡れないようコートを少女に掛けると横抱きしてから歩き出した。

 




少女が儚く微笑む姿ってこう神秘的ですよね。
そんな笑顔を奪い絶望に染め上げる謎の組織、こいつぁ許せませんわ…
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