がむしゃらに夢中な少女、良いですよね…ニヤリ
2話 運命の男、夢、逃走
少女は駆けていた。
くすんでボサボサになって腰まである銀髪を揺らしながら走る少女の見た目は精々小学生位で140cmも無い。
顔は整っているであろう事は分かるが目付きが鋭く血や汚れにまみれた今の状態では判断も付かない。
孤児であった少女に両親の記憶も無く幼い頃に孤児院からこの研究所に連れて来られた事をうっすら覚えている位だった。
今までに無い素晴らしい素体でより多くの神秘を内包しても壊れないと担当研究者らしき人物が嬉々として少女に説明していた事を頭の片隅で思い出す。
鳴り響く警報音と音声が聞こえる。
『実験体No.45が暴走!無効拘束具は装着されてはいるが油断はするな!現在、収容区画からーーー』
繰り返し響き渡る実験体No.45の逃走という言葉に強化服や自動小銃を装備した戦闘員らしき者達は忙しなく走り捜索しているようだ。
「…行かなきゃ」
検査衣のような服を着た少女は1人、出口に向けて走り出していた。
研究所の構造を少女は全く把握していないが『出口が何処にあるか正確分かるので問題は無い』為、迷わず走り抜けていた。
ここに来た時から実験体は首に拘束具と呼ばれる物を強制的に装着させられた。
これにより実験体の力をコントロールしたり無効化したりする事が可能でここにいる実験体達の逃走を防いだり様々な実験を強要させる事が出来る。
少女も例外なくその管理下に置かれ様々な実験を強要されていた。
しかし、今はその枷が効果を発揮しておらず少女は思いのまま力を使用していた。
突如閉鎖される防御壁を身体に纏ったオーラのような物で破壊し戦闘員達を吹き飛ばす。
走っていた少女は力を使う事に慣れて来たのか走る事を止めるとその場で空中に身体が浮き上がらせてそのまま飛行した。
「…行かなきゃ!」
何かに囚われるように少女は呟く。
いつ終わるか分からない地獄の中で少女は夢を見た。
最近新しく身体に取り込んだ神秘が発現したのか複合されてそのような力に目覚めたのかは不明であるが、夢の中で見たあの男に会わなければならない。
その使命感にも似た思いが拘束具を上回る力を発揮し力を使用出来ているのは事実である。
何処にいるかも分からないが多分大丈夫、『行く道の先で男と必ず出会う事は分かる』少女は止まらない。
少女は夢を見た。
自分の傍らにいるその夢の男はどんな時も私を守り慈しみ不器用だけど愛してくれるそんな夢。
無感情だった自分に爆発的に芽生えた感情。
ただ、会いたい。
慈しみや愛は今の少女には分からない感情だと自分で理解していても尚、この熱い感情が抑えきれずにいる。
ただ、夢中に何もかもを破壊し尽くし巨大で堅牢な鋼鉄製のゲートに大穴を空けるとそこには夜空が広がっていた。
「ーーーキレイ」
辺りは人里遠い山の中。
雲一つ無い星が輝く夜空に思わず見惚れる。
「えっーーー」
ほぼ、反射的に研究所の方を振り向いたその時、少女は突如爆音と爆発が襲った。
『自分と同じ力』で攻撃された事を理解する間も無く空から弧を描きながら山中へと墜落したのだった。
基本的には主人公とヒロインのほのぼの日常、時々シリアスで描いていきたいと思ってます…
ただ、作者に文を書く実力が皆無故、暖かく見守っていただけると…
少女との日常、どのように書こうかしら。