こんにちはフィムです。ちょっと文字数が多くなりそうなので前編後編分けました。後編は明日辺りに更新できればなって思います!
ちなみに今回はややシリアスっぽいかな?
「はぁ~……まさかこんな事になるなんてー…」
音ノ木坂学園一年の星空凛は机の上に突っ伏する。この学校に入学してからある程度日にちが経った。そろそろ部活動の勧誘とかに熱が入り始める時期。
でも、そんな熱が一気に冷めるような事件が今朝全校集会で起こった。ていうか、凛もちょっと意気消沈かも…。
「まあ、一年生のクラスに至っては一クラスしかなかったからね…」
「それにしてはいきなりすぎだにゃー…」
この学校は近々″廃校″になるらしい。まだ本格的な決定はしてないけど、ほぼ確実にそうなっちゃうらしい。原因は近年の生徒不足。凛たち一年生の生徒数が良い例だにゃ。前にも言ったけど、音ノ木坂に入学した中学時代の同級生は凛を含めても数少ない。
廊下の掲示板には「廃校」の張り紙がキレイに並べられていた。
「うぅー……せっかくマミちゃんと友達になったのに…」
「うん?」
「だって、新しい学校に移るのに編入試験とかしなきゃならないんでしょ? そうなったら凛の人生は絶望的だにゃ!」
せっかくこの高校に入学できたのにあんまりだにゃ! 今だって勉強ギリギリなのに……特に英語なんかは付いていけてすらない。凛の運命は絶望まっしぐらなんだにゃ!
そんな今にも谷底に落ちそうな凛に、マミちゃんは苦笑いで答える。
「あのね、凛さん。それは私たちが卒業した後の話だから、今すぐ廃校ってわけじゃないのよ?」
「え? ホント?」
「早くても三年後かしらね。まあ、編入試験が大学受験より先に来ることは多分ないわ」
「やったー! マミちゃん、だ~いすき♪」
「もう、何でそうなるのよ」
思わず安心してマミちゃんに抱きつく。ここ数日でマミちゃんといっぱい仲良くなれた気がする。マミちゃんも笑顔が多いって感じだ。まだ家に招いたりとかそういうことはしてないけど、お泊まり会とか今度そういうこともやってみようかな。マミちゃんの両親にも挨拶したいし!
「でも、私たちに後輩ができないのは寂しいわよね。新しく生徒は取らないだろうし…」
「あっ、そっか…」
凛たち三年生になったら廊下はガララーンになっちゃうのかな。それはそれで寂しいなー…。
「……」
「……凛さん。早く食べないと時間になっちゃうわよ?」
「ハッ! そ、そうだった。マミちゃん、ちょっと待っててね!」
「はいはい♪」
マミちゃんから離れ、お弁当のごはんを一気にかき込む。
ちなみに今はお昼休み中で、マミちゃんと一緒にお昼ごはんを食べている。この時期になるとみんな慣れてきたのか、教室内には仲良しグループがボチボチと作られていた。
「……」ガララ
「んぅ! ほふじみふぁん! のんいってらの?(あっ! 小泉さん! 何処行ってたの?)」
「口の中を空にしてから話なさいね…」
そんな中、相変わらず小泉さんは一人だった。西木野さんもあんまりみんなと仲良くしてない。話しかけるなオーラっていうのかな? どっちもそんなオーラが強くて、特に小泉さんの方は先生が話しかけるのを躊躇するほど。まあ、凛は全然そういうのは気にしないんだけどね。話してくれさえもしないけど…。
もぐもぐしてたものを飲み込み、小泉さんに言う。
「小泉さん。お昼、いつも一人で食べてるんだったらさ、今度凛たちと一緒に交ざって食べようよ! マミちゃんも良いよね?」
「え、ええ、まあ…」
「……」
「ねえねえ、良いでしょ小泉さん? 凛たち、小泉さんと友達に―――」
「余計なお世話」
「え?」
それだけ言うと、小泉さんは自分の席へと戻っていった。やっぱり、あんまり話してくれないな。目も合わないし、もうちょっと仲良くなりたんだけど…。
「気にしないでね、凛さん。ああいう子、たまにいたりするから…」
「うん。でも、凛は小泉さんと仲良くなりたいんだ…」
「放って置けばって言っちゃったら失礼だけど、どうして?」
「……何でかな。凛も分からない」
ただ、一人でいる時の小泉さんが、小泉さんの目が、何だか悲しそうに見えるから…。
小泉さんの方を見る。いつものような目つきで一人折り紙を折り続けている小泉さんの姿がそこにはあった…。
「そういえば気になっていたんだけど…」
授業が終わりいつものようにマミちゃんと帰っている。マミちゃんは何やら考える仕草を取っていた。
「音ノ木坂学園ってそんなに悪い学校じゃないわよね? 伝統や歴史もあるし、自然も豊かで過ごしやすい。部活動も活発で学校内の設備、施設もしっかりしている。何で生徒不足になってるのかしら?」
「ああー、それね」
確か凛の鞄にまだ入ってたよね。えーっと……
「あった! コレ!」
「うん? 何?」
マミちゃんは覗き込む。凛の手に持っているのはUTX学院の紹介パンフレット…の二つ折り。興味なかったから折っちゃったんだよねー。
「ちょっと前に秋葉原にできた高校なんだ。この学校の登場で近くの学校はだんだん生徒数を減らしてるって話だよ。つまり、戦犯はこの高校のせいなんだにゃ」
「戦犯って…」
苦笑いしながらマミちゃんはパンフレットを受け取り、パラパラと捲る。やがて、あるページで止まった。
「ねえ、凛さん。これは?」
「? あっ、これは
「スクールアイドル?」
「うん。凛も詳しくは知らないけど一番人気なんだって」
「へぇー…」
マミちゃんは興味深い声を上げる。もっと言うと、UTX学院に人気があるのはこのスクールアイドルA-RISEが一役買っている。実際、前の友達もそれが目当てで入学したようなもんなんだ。あまり興味のない凛そっちのけでキャッキャッしてたのをよく覚えてる。
凛的にはその学校に友達を奪われたみたいでちょっと面白くない。別に恨んでるとか憎んでるっていうか、そういう感情じゃないけど……何かね。
「……」
「あ、あのー、マミちゃん?」
「! あっ、ゴメンね。凛さん、コレ返すわ」
あまりに真剣に見てるからビックリしちゃった。マミちゃん、もしかして……
「スクールアイドルに興味ある?」
「! え、ええ、まあ。実際にどういうものか気になっちゃって…」
「じゃあ、凛も一緒に行くから見に行こうよ! 実物には会えないかもしれないけど、学院前のでかいスクリーンにプロモーションビデオ風にやってるからさ! 時間的にもちょうど良いし!」
「え? 良いの?」
「友達でしょ? そんなの当たり前だにゃ!」
案内は凛にまかせてよ! マミちゃんの手を取り、凛たちはそのまま走り出す。
「ちょ、ちょっと凛さーん!?」
「よぉーし! UTX学院行っくにゃーー!!」
「ところで何でそのパンフレットが凛さんの鞄に?」
「近くを通り過ぎようとした時に貰って、そのまま鞄の中に…」
「……凛さんちゃんと勉強してる?」
「えへへ、危なくなったら教えてね?」
「もう…」
電気屋さんやビルが多く立ち並ぶ繁華街、秋葉原。短い言葉で略すとアキバ。オタクの聖地なんてよく言われてる。音ノ木坂から近くとも遠くない位置にあり、歩きで行こうと思えば行けなくもない。凛もちょくちょく通ってはいるけど、人ごみの多さや喧騒といったものには未だに慣れない。ごちゃごちゃしてるのはあまり好きじゃないんだにゃ。
「わぁ……人がいっぱい…」
都会が初めてのマミちゃんなんか尚更だった。今日も人でごった返している。
「マミちゃんは見滝…原市だっけ。そこから来たんだよね?」
「ええ、公共施設が多く建ち並ぶ町だったけど、こんなに人が多かったのは初めてね」
「へえー…」
見滝原市かぁ、どんなとこなんだろ? 今度マミちゃんと一緒に行ってみたいなー…。
「あっ、それでね、こっちなんだよ」
逸れないようマミちゃんの手を引っ張りながら、目的の場所へ足を進める。しばらくするとお目当てのものが見えてきた。
「マミちゃん、UTXってあれなんだ!」
「え、ええ? あれって会社とかのビルじゃないの?」
「パンフレットの表紙に載ってたでしょ! ビルじゃなくて学校なんだ!」
「いや、ビルは合ってるでしょ…」
そんなことは良いの! 手を引っ張りながら目的地へと近づく。その目の前にはたくさんの人が
『UTXでーす!!』
「にゃっ! マミちゃん、ちょうど始まるみたいだよ!」
「な、何で分かるの?」
「そういうパターンだからにゃ!」
急いで群衆の後ろ方に並ぶ。それとほぼ同時のタイミングで画面が暗くなった。確かこの後、A-RISEが登場して歌とダンスを披露するんだよね。そういう記憶がある。
暗い画面から照明が伸び、三人組のスクールアイドルユニットA-RISEを映し出された。群衆からは歓声が上がる。曲の音楽が流れ始めた。
「ねえ、凛さん」
「ん? 何?」
「これってほぼ毎日やってるの? プロモーションビデオ風だから…」
「うーん……流石に毎日、じゃないかな。多分曜日によると思う。後、これは一日に二、三回くらいしか流さないらしいよ」
「そうなの?」
「それに歌とダンスも新しくなるごとに変えてるらしいんだ。皆を飽きさせず楽しませるため、何より観客に笑顔になってもらうためにだって」
「……詳しくないって言ってたけど、凛さんずいぶん詳しいわね。この映像が流れる曜日も時間帯も知ってたし」
「あ、あれ? そういえば確かに…」
友達に教えてもらったっけ? でも、凛はスクールアイドルにはあまり興味がない。仮に教えてもらっても、半分以上は右から左だろう。何回もしつこつ聞かされないと記憶に残らないと思うんだけど…。
むぅ、何か頭がもやもやする。凛、もしかして忘れちゃいけないことを忘れているのかな…。
「凛さん、大丈夫?」
「う、うん、大丈夫! そんなことより見よう、マミちゃん!」
「? ええ…」
変な違和感を感じる凛を余所に、映像の中の三人組は当たり前のように踊り続けていた。
「マミちゃん、A-RISEどうだった?」
「凄かったわ! ダンスも歌も洗練されてるっていうか、可憐っていうか、人を引き込む力があるっていうか…!」
帰り際、マミちゃんに感想を聞く。マミちゃんの目はキラキラと輝いていた。あのプロモーションビデオも真剣に見てて、最後の方にはいっぱい拍手してたからなー。すっかりA-RISEの虜だにゃ。
「本当にここまでとは思わなかったわ。スクールアイドルって言うから部活感覚でやってるのかなって思ったけど全然違う! むしろ、あれは戦いにも近かったわっ!」
「た、戦い?」
「あっ、こ、こ、これは言葉の綾でっ!」
そ、それは凛は感じなかったな。マミちゃんってアクションゲーム好きなのかな。あたふたしているマミちゃんにちょっとだけ苦笑い。
しばらくして落ち着いたマミちゃんは静かに呟く。
「正直、人気が出るのも仕方ないって思った。近隣の学校も大変になるはずよ…」
「そっか…」
やっぱりそうだよね。素人目でもあのダンスと歌は凄いと思う。あんなもの見せつけられちゃったら自然と体がそっちの方に行っちゃうよ。凛の友達が良い例だ。しかも、スクールアイドルは今凄く人気。人気なものに他の学校が何をぶつけようと全部砕けちゃう。
凛はため息を吐く。結局、廃校は免れないんだ…。
「凛、嫌いじゃないんだけどな。音ノ木坂のこと…」
「私も。でも、どうしようもならないのよね…」
でも、諦めきれないよ。何とかならないのかな…。
(ん? 人気のものには…)
「そうだよ! 何でこんな簡単なことに気がつかなかったんだろう!」
「り、凛さん? どうしたの?」
「マミちゃんマミちゃん! スクールアイドルやってみない?」
「……え?」
凛は自分が閃いたことをすぐさま口に出す。
「凛、思ったんだよね。人気なものには人気なものをぶつけるしかないって。そうじゃないと同じ土俵際にも立てないって」
「目には目を、歯には歯をってこと?」
「そう! 音ノ木坂にもスクールアイドルを立ち上げてさ、皆に興味を持ってもらえれば…!」
「来年の生徒不足は解消され、廃校を免れる…って? でもね、凛さん。スクールアイドルって人一倍努力して練習して時間をかけないとできないものだと思うわ。知識も当然必要よ。今日見たA-RISEだって、最初から上手かったわけでも人気があったわけでもないの。思いつきで行動しても…」
「だから、マミちゃんなんだよ!」
「それに何で私…?」
困惑気味にマミちゃんは言う。にゃっはっは、マミちゃんは全然分かってないにゃ!
「だって、マミちゃんってスクールアイドル以前にプロのアイドルっぽいじゃん! 輝いてるよ! 顔立ちは整ってるし、スタイルも良いし、お胸も大きいし、笑顔も可愛いし、大人っぽくってカッコいい! 凛は凛で比較されて何か悔しいんだよ!」
「最後の方は凛さんの嫉妬になってないかしら、それとそこまで言われると何か恥ずかしい…」
「と、とにかく、マミちゃんはアイドルっぽいんだよ! 凛が保障する!」
「えっと……歌とダンスは…」
「ダンスは体力測定の合計で上から三番目だったから大丈夫! 歌も何とかなる! というか上手そう!」
「衣装に作詞、作曲…」
「それは凛が適材の人を探す! ちなみに凛はマネージャーね!」
凛は胸を張る。ホントは陸上部に入ろうかなって思ってたけど、凛が言い出しっぺだし付き合わないわけにはいかないよね! しっかりマミちゃんのお手伝いをするにゃー!
(それにマミちゃんの衣装姿絶対可愛いだろうなー。ちょっと想像しちゃうよー♪)
「でっ、でっ! どうなの、マミちゃん♪」
「う、うーん…」
ここに来て、マミちゃんは深く考える仕草を取る。そして、凛の顔を見つめる…と思ったら恥ずかしそうに俯く。んっ? どうしたんだにゃ?
「……しょなら…」
「?」
「凛さんと一緒にスクールアイドルやるなら……考えてみる…」
「え? ええ? ええええええええええ!?」
何で凛までスクールアイドル!? 凛はマネージャー一本で決めてるんだにゃ!
あまりの予想斜めの答えに凛は仰天してしまう。凛がA-RISEみたいな可愛いらしい衣装を着るなんて…!
「ムリムリムリ! 凛がスクールアイドルなんて絶対無理だよ! 良くてマネージャーだよ!」
「そんな! 凛さんも可愛いし…」
「可愛くない可愛くない! マミちゃんと比べたらそこら辺にいる猫と同じだよ!」
「人と猫?を比較するのは違うと思うわ。凛さんはいつも元気で皆を笑顔にしてるし、表情もコロコロ変わって―――」
「男の子っぽい凛は全然可愛くないもんっ!!」
「り、凛さん…」
凛は……ああいう可愛い服を着るの想像できないんだよ…。
思わず顔を隠すように俯いてしまう。そんな凛の両肩にマミちゃんの手が伸びた。
「そんなことない…」
「そんなこと…あるよ」
「そんなことないっ! 凛さんは他の誰よりも女の子らしいわよ! 私が保証する!」
「!」
マミちゃんの大きな声、初めて聞いた気がする。凛はゆっくり顔を上げた。
「過去に何があったのか分からないけど、自分を卑下するのは止めましょ? ね?」
「で、でも…」
「凛さんは、可愛いわ!」
『凛ちゃんは、可愛いよ!』
「っ!?」
な……何? 今…の?
「? 凛さん?」
分からない。分からないけど……凛は前に一度、同じ言葉を…言われた気がする。そして、救われたことが…ある? でも……誰…に?
「泣いて…るの?」
「え? あ、あれ…?」
頬を触ってみる。濡れていた。拭ってみる。止まらない。全然…止まらない…!
「何で? 何…で?」
「り、凛さん、落ち着いて…」
別にマミちゃんの言葉で傷ついたわけじゃない。過去に至っても泣くほどのものでもない。我慢なんかできる範囲だ。なのに…!
突然のことでマミちゃんも困惑してるようだった。ダメ、見ないでっ。こんな弱虫で泣き虫な凛、見せたくない!
「マミちゃん、ゴメンっ!!」
「! 凛さん!」
その場から、マミちゃんから……逃げ出しちゃった。
ゴメンね、マミちゃん。嫌だったわけじゃないの。むしろ、嬉しかったんだよ。凛のこと可愛いって言ってくれて…ホントは嬉しかったんだ。
でも、分からないの。何で涙が出てきたのか。何で涙が止まらないのか。……何で悲しい気持ちになっちゃうのか、
「うあっ、ひっぐ、うわあああああああああぁぁん!!!」
ぜんぜん…分からないんだ…。
はい、凛ちゃんで始まり凛ちゃんで終わりましたが、展開的にまさかこうなるとは思ってなかったです。
また、マミさんがスクールアイドル(アイドルに関しては「まどマギポータブル」でありました)に!? まさかμ'sに!? と思う方もいらっしゃいそうな気がします。
というわけで、作者はかよちんが嫌いなんじゃないか疑惑その①、
・かよちん差し置いてマミさんをμ'sに入れるんじゃないか?
作者はかよちんが好きですよ。ええ、ホントです(汗
ちなみに一年生の体力測定ですが、
1位 星空凛
2位 小泉花陽
3位 巴マミ
・
・
・
中間 西木野真姫
・
・
・
となっております。ねっ、嫌いじゃないでしょ? ←少し無理がある
最後に今回お気に入り登録をしていただきました、
レックス89さん、ほのりんさん、未来怪獣さん、ペコーシャ(旧名:真姫リコット)さん、本当にありがとうございます! お気に入りの数は自分を勇気づけられます!
それでは次回も頑張っていきます!