魔法少女はなよ☆マギカ 創造と贖罪の物語   作:フィム

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何とか更新できました。最後の方はグダグダになりそうな所を砕いた形です。
ちなみに今回は南ことりちゃんが初(プロローグではいましたが)登場。かよちん以外のキャラは崩さない予定ですので、キャラ通りになっているか不安が残る所ですね。


第2話 友達

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

 

 

 

 

 

 

 

「きりーつ! きょーつけー! れーい!」

 

 

「はぁー…」

 

 号令を終えた生徒たちは、部活動の見学やら、掃除の支度やら、帰りの支度やらの準備をする。でも、凛はそのまま机の上に突っ伏してしまう。やっぱり英語は難しいな。付いていけないよー。

 本日最後に行った授業「英語」で嘆いていた……わけでもなく。

 

「マミちゃんに教えてもらえば、ね」

 

 マミちゃんのことだ。昨日のことでちょっと気まずく、今日はあまり凛からは話しかけられてない。話しかけても「今日、天気いいですね」ぐらいの低レベルな会話。お昼も凛のせいで″小泉さん状態″だったし…。

 しかも、昨日のことを少しでも口出すもんならすぐに逃げてしまう。最低だよ。何も悪くないマミちゃんに申し訳ないよ…。 

 

「……でも、このままじゃダメだよね」

 

 ちゃんと話さなきゃ。誤解したまま友達の縁が切れるなんてイヤだもん!

 凛は立ち上がり、マミちゃんの席の元へ。……でも、その席はもうもぬけの空だった。

 

「……はああぁー」

 

 椅子に座り直し、そして、また机の上に突っ伏する。愛想つかれちゃったのかな。凛に何も言わず帰っちゃったくらいだから…。

 しばらくはこのまま動けなかった。何だが自分自身に情けなくて涙が出ちゃう。凛、こんな意気地無しだっけ…。

 

「星空さん」

「っ! は、はい!」

 

 突然、凛を呼ぶ声が聞こえたので起き上がる。目の前には箒を持った小泉さんがいた。凛は慌てて涙を拭う。

 

「掃除当番。そこ退いてもらえる」

「あっ、ああ! ご、ごめ……って、小泉さん、どうしたのその包帯!?」

 

 制服に隠されて見えづらかったが、よくよく見ると首元の辺りに包帯が巻かれていた。小泉さんは特に痛そうな素振りもなく淡々と答える。

 

「猫に噛まれた」

「ね、猫!? 猫ってあの猫…?」

 

 小泉さんはコクンと頷く。い、意外。小泉さんって猫とか動物系が好きなんだ。あ、でも、飼育委員に入ったくらいだから好きなはずだよね。もしかしてじゃれ合ってたのかな。

 凛は思わずニヤニヤしちゃう。

 

「なーんだ、小泉さんも結構可愛い所―――」

「良いから退いて。時間の無駄だから」

「ちょっとーー!!」

 

 何さ! ようやく目も合って仲良くなりたいのかなーって思ったのに! 茶化したのは確かに凛も悪かったけど、存外に扱われる理由にはならないはずにゃ! さっさと退けは酷すぎるよぅ!

 凛は鞄を持ち、プンプンとその横を―――

 

「巴さん、中庭のベンチの方に向かってた…」ボソボソ

「え?」

 

「じゃ、頑張って…」

 

 凛は振り向く。小泉さんはもう掃除を始めていた。表情も知らぬ顔だ。でも、凛は何だが無性に嬉しくなっちゃった。さっきの退け発言も、早く仲直りしろって意味だったのかもしれない。

 やっぱり悪い子じゃないんだな、小泉さんって!

 

「えへへ♪ ありがとね、小泉さんっ!」

 

 彼女にお礼を言い、凛は教室の外へと飛び出していった。

 もう迷わない。自分の気持ちをちゃんと伝えるんだ。小泉さんにそう教えてもらった気がするから…。

 

 

「……相変わらずだな、私も」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬉し泣き…じゃなかったかぁ…」

 

 中庭のベンチの樹の下、私は大きくため息を吐く。結局、今日は昨日のことに関して話せなかった。上手くはぐらされたっていうか…そんな感じだった。

 

「……」

 

 思えば中学から魔獣との戦いの連続だったので、まともな友達付き合いができていたかどうか分からない。佐倉さんの方だって最初の頃は弟子であり仲間であり、そして友達でもあった。でも、ちょっとしたすれ違いもあって私は彼女のことを傷つけてしまった。今は仲直りして一緒に住む仲ではあるが、シコリだけは残り未だに呼び方は「佐倉さん」のまま。結局は仲間止まりなのだ。

 そんな私にできた友達、いや、初めて友達になってと心から言ってくれた友達。私はそんな友達さえも傷つけてしまったのだ…。

 

「……はぁっ」

 

 佐倉さんには当たって砕けろとは言われたけど、私はあなたみたいに強くない。あなたみたいに割り切れない。それは凛さんも同じ。人には誰だって触れたくない部分がある。私はそれを簡単に触れてしまった。

 正直、何を言ってあげれば正解なのか分からない。今まで表面的に人と付き合っていたツケがこんな所で来ていた…。

 

「どうしたの? ため息ばっか吐いてると幸せ逃げちゃうぞ」

 

 そんな時、私に声をかけてくる人がいた。声質がちょっと特徴的で何だか変な気分になる。見上げると思わず可愛いと口出してしまいそうな温かい笑顔が広がっていた。

 

「隣、良いかな?」

「あ、え、えっと、はい!」

 

 思わず見とれてしまっていた。クスクス笑いながらその人は私の隣へと腰掛ける。

 赤色のリボンから見ると二年生で先輩だろうか。ミルクティー色の髪は背中の真ん中辺りで落ち着き、サイドテールはちょっと独特な結び方をしていた。失礼だけど頭の先のはトサカようにも見える。アレって、どうやって結んでいるのかしら。

 

「何かいきなりゴメンね。ことり、ちょっと気になっちゃって」

「い、いえ、別に…」

 

 可愛らしい顔立ちが私の顔を覗き込んでくる。一瞬、ドキッとしてしまった。

 

「あっ、自己紹介まだだったね。私、二年生の(みなみ)ことり。あなたのお名前は?」

「と、巴マミです。一年生…」

「巴マミちゃんって言うんだ。可愛くて素敵な名前だね。マミちゃん…って呼んでもいい?」

「あ、え、えっと……はい、構いません。南せん―――」

「ことりでいいよ。そっちの方が落ち着くし」

「え? でも…」

「むぅー、こ・と・り!」

 

 頬を膨らませてそう指摘してくる。普通、初対面で名前呼びは同性でも躊躇するところ。だが、この人はそういう所もお構いなしだった。

 

「わ、分かりました。こ、とり先輩」

「ふむ、よろしいぞ。この南ことりが許してしんぜよう」フンス

「……」

「そんれでマミちゃんはなぁんにに―――」

「ぷっ。ぷふふ…」

「あっ、ちょ、ちょっとこらー! 笑わないのー!」

 

 いきなり変な口調で変な顔されたら誰だって笑う。顔を赤くして怒ってますアピールを取ることり先輩。またまた失礼だけど、全然怖くないし先輩の威厳とかもちょっとない。もしかしたら怒るということに無縁な人なのかも。私の笑いはまだ止まらない。

 というか、この先輩は何しに私に近づいた…のかしら?

 

「んふふっ……ゴメンなさいね、ことり先輩」

「もぉー……でも、良かった。すぐ元気になって」

「え?」

「マミちゃん、落ち込んでるように見えたからさ。いっぱい笑って少しはスッキリしたでしょ?」

「あっ…」

 

 そう言われて我に返る。そういえば私、今日ずっと落ち込んでた。暗い顔でこのベンチの上に座ってたんだ。なら、今はどうだろう。もしかしてことり先輩は初対面にも関わらず私の心配を…。

 私の心中を察したかどうか、ことり先輩は笑顔のまま立ち上がる。

 

「私もね、二人仲の良いお友達がいるの。一人は太陽みたいに明るくて、やると決めたら絶対にやりとげる。そんな素直で真っ直ぐな人。もう一人は真面目で他人にも自分にも厳しくて、でも、誰よりも友達思いで優しい人。その二人はいつも些細なことで喧嘩してる。でも、ことりはそれを羨ましいなぁっていつも眺めてるの」

「喧嘩するほど仲が良い…ってことですか」

「ことりはあまり二人と喧嘩しないからそう思っちゃうだけだけどね。でも、私はね。そういうのも全部含めて友達だって思ってる。仲良くすることだけが友達じゃないでしょ? 時には自分の思ってることも吐き出さなきゃ。まあ、あの二人はそういうのばっかりなんだけどね…」

 

 微笑ましそうに、それでいてちょっとだけ寂しそうに笑う。その姿は仲間や友達ができず羨ましがってた私の面持ちと似通っていた。

 

「……ことり先輩は、どうして私が友達関係で悩んでいるって気づいたんですか?」

「昔ね、その二人が大喧嘩しちゃった時、ことり、二人の仲裁をしたことがあるんだ。その時の二人の顔とそっくりな顔してたから、もしかしたらそうなんじゃないかなーって」

「……」

「だからね、マミちゃん。伝えたいことはちゃんと伝えないとダメなの。それで仮に喧嘩になっちゃったとしても、喧嘩すること自体は別に悪いことじゃないんだから。もちろん、最後は二人で頭を合わせないといけないよ。喧嘩も手とか上げちゃダメ」

「ことり先輩はその……伝えられてます…?」

「……あはは、何か逆に言われちゃったね。でも、ちゃんと思っていることは伝えてるつもり。ただ単にことりが二人と喧嘩しないだけだよ」

 

 

 

 

 

♪♪ だいすきだばんざーい。負けない勇気ー…

 

 

 

 

 

「綺麗な声だね…」

「そう、ですね…」

 

 音楽室からだろうか。ピアノの音色が響き、同時に演奏者の透き通るような歌声も耳に届く。

 歌と音楽というのは不思議なものだと思う。私のモヤモヤした気持ちもほんの少しだけ晴らしてくれるような気がした。それはもしかしたらことり先輩も同じだったのかもしれない…。

 

 

「ふふっ。それじゃあね、マミちゃん。ちゃんとお友達と仲直りしないとダメだぞっ♪」

「が、頑張ってみます。あの、ことり先輩……また会えますよね?」

「うーん、もしかしたらすぐに会えちゃうかもね。マミちゃんって可愛いから、穂乃果ちゃんから真っ先に狙われそう♪」

「え?」

「ううん、何でもなーい♪ ばいばーい♪」

 

 最後に意味深な言葉を残したことり先輩は、笑顔で手を振りながら校舎の方へと姿を消していった。私もそれに会釈をして答える。

 ことり先輩、か。最後の最後まで不思議な方だったな。だって、表情だけで、私の悩みを看破するんですもの。それでいて見知らぬ後輩にアドバイスと来たものだ。私にはちょっとできそうにない。……私は本当に人に恵まれてるな。いつかはそういった人たちに恩返ししなきゃ。

 

「マミちゃーん!」

「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー……はぁー……やっと着いたー」

「凛さん…」

 

 息を整え、樹の下に座っているマミちゃんと相対する。マミちゃんは凛のいきなりの登場にちょっとビックリした様子だった。そりゃあ、ここにいるなんて直接伝えてないもんね。

 

「どうして私の場所を…?」

「小泉さんが言ってた。ここにいるだろうって」

「……そう」

 

 マミちゃんは落ち着くためか一回深呼吸をする。これから発せられる言葉は何となく凛でも分かった。……でも、それは凛のセリフだ。

 

「あのね、凛さん―――」

「ゴメンなさい、マミちゃん!」

「……え?」

「昨日はマミちゃんほったらかしてゴメン! 今日もあからさまに避けちゃってゴメンなさい!」

「い、いや! 謝るのは私の方じゃ―――」

「違うの! 悪いのは全部凛なの! マミちゃんは何も悪くない!」

 

 思えば自分のイヤな部分を友達に話したことはなかったかもしれない。でも、キチンと言葉に出して伝えないと。自分の気持ちから、マミちゃんから逃げちゃダメなんだ…! 

 

「昨日のアレはね、ホントは嬉しかったの。凛に可愛いって本気で言ってくれる友達"多分"初めてだったから。凛には無縁な言葉だってずっと思ってたから…」

「で、でも、泣いてて…」

「……凛でもよく分からないの。ホントは嬉しいはずなのに、マミちゃんの言葉が信じられなかったのかな。もしかしたら上辺だけじゃないのかって。それで悲しくなって、訳が分からなくなって……逃げ出しちゃったの」

「……」

「小学生の時ね。一度だけズボンだったものを思い切ってスカートに変えたことがあるんだ。でも、男の子たちからは変な格好してるってからかわれた。凛は女の子のはずなのに、女の子っぽくないって…」

 

 今だって制服以外、スカートの格好で外には出られない。そのイヤな思い出が残り、周りの目を気にしちゃうからだ。男の子っぽい凛が履いてたらそりゃ気持ち悪いもんね…。

 

「凛はマミちゃんみたいに髪も長くないし、女の子っぽい趣味もない。料理も下手で大雑把でスカートも履けない…」

 

 それでも―――

 

「それでもマミちゃんは……凛のことを可愛いって言ってくれるの?」

 

 涙をグッと堪える。正直怖かった。こんなこと一度も口に出すことはないと思っていた。でも、マミちゃんにはどうしても知ってほしかった。自分勝手だけど、凛は何でも話せる友達がほしかった…。

 マミちゃんはふぅと息を吐き、ゆっくりと立ち上がる。そして、凛の元に近づいてくる。思わず目を瞑ってしまう。受け入れてくれなかったらどうしよう、そんな不安な気持ちでいっぱいだった。

 

 でも、マミちゃんはそんな凛の気持ちを優しく包み込んでくれた。

 

 

「あっ…」

「当たり前でしょ、凛さん…」

 

 

 凛の頭にふわりと風が流れた気がした。目を開けると柔らかい表情で凛の頭を撫でるマミちゃんがいた…。

 

 

 

 その後、マミちゃんからお返しとばかりにいろんな話を聞いた。主に凛に会うまでの話だった。マミちゃんが中学の時に両親と共に交通事故に遭ったこと。マミちゃんだけが奇跡的に助かったこと。その事で周りから腫れ物のように扱われたこと。一歩引くような性格になり、新しい学年になっても友達が作れなかったこと。話せる相手は実質三人だけだったこと。……まともな友達は凛が初めてだったこと。だから、本当に嬉しかったこと。

 涙が出ちゃった。何で凛さんが泣くのって笑われたけど、凛は自分のことばっかりでマミちゃんのこと何も考えてなかったから。ホントは泣きたいのはマミちゃんのはずなのにズルいよね…。

 でも、今日も一緒に帰ってくれたら許すと言ってくれた。凛はまたマミちゃんの優しさに甘えたんだ。いつかは凛も支えてあげたいな…。

 

 あっ、それとスクールアイドルの件だけど、お互いに保留という形になった。凛もそうだけど、マミちゃんも自分がスクールアイドルになるという想像がまだできてなかったんだ。でも、前向きに考えてみると、マミちゃんは最後には言ってくれた。……凛もちょっとは考えてみようかな。

 

 

 

 

 

 そんなすれ違いも解消され、お互いに仲直りもできた次の日。凛たちにとって興味深いニュースが掲示板に貼り付けられていた。

 

「これってスクールアイドルのお知らせだよね?」

「初ライブって書いてあるわね。……まさか凛さん?」

「ふにゃーっ! 凛じゃないにゃー!!」

 

 

 

 

 見知らぬスクールアイドルの初ライブのお知らせだった。

 

 




花陽「……」ワシャワシャ

猫「ニャー!」ヤダヤダ

花陽「……」ワシャワシャ

猫「ニャッ!」ガブッ

花陽「っ!」

猫「ニャー…」タチサル

花陽「……痛い」



あくまで凛ちゃんの想像です。どうしてこうなったw
さて、今回の話で「ラブライブ!」第1話が終了。凛ちゃんたちがいろいろやっている間、ことほのうみも行動中です。
で、次は第2話。「初ライブ」までに上手く繋げられれば良いんですけどねー。

最後に今回お気に入り登録をしていただきました、
緑竜さん、堕天使ヨハネスブルグさん、ありがとうございます! 何とかまた更新できるよう頑張っていきます!
次回もよろしくお願いします!
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