IS~科学と魔術と… 番外編   作:ラッファ

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第22話

簪対箒の熱戦が繰り広げられる中、観客席では一人の女性…国家代表の咲夜がその試合を観客席の後ろで見ていた

 

「(簪ちゃん、落ち着いとるやないか。それでいいで、勝負は焦ったら負けや)」

 

咲夜は日本の国家代表と言う事もあり、今まで何度も簪に対し指導を行ってきたのだ

指導と言うのも戦闘技術から、心構えまで様々な事を教えてきた。

その中でも簪に何度も教えてきたのは、どんな状況でも冷静に判断を行えるようになれと言ってきた

IS同士の試合…特に相手が専用機持ちだった場合事前の情報は少ないゆえ、いかに試合中に相手と機体を観察し、特徴を見抜くかが勝敗を分けると彼女は考えているからだ

ISの勝負においては千冬の使っていた機体ように圧倒的な攻撃力を用いるか、機動力特化型の機体で相手をかく乱し確実にダメージを与えるか、防御型の機体を用いて相手を観察し攻撃を防ぎながら僅かな隙を突きダメージを与えるか。

ちなみに、鈴の機体のように安定性に特化していたとしても、使用武装や彼女の戦い方から機動型であろうと考えている

大きく分ければこの三つに分類されると咲夜は考える…なおこの理論は近接型の話であり、射撃型は彼女の管轄外の為詳しく考えたことは無いが、他国の代表と戦う限りでこの理論を使えば射撃型にも十分対応できると思っている

 

ちなみに試合はあの動きの後大きなアクションは無く、箒は石割をしまい再び雨月と空裂の主力武装で簪に攻撃を行い、簪は回避を行いつつ射撃で応戦と言う形になっている。彼女の放つ弾丸は途中で破裂し周囲に粉をまき散らしているがジャミングボムの影響もあり箒は気が付いておらず、観客席の一年生や二年生の大半も気がついていない

 

「(ジャミングが続くのは後10分って所か…簪ちゃん、そろそろ攻めないとアカンで)」

 

 

 

 

 

そんな咲夜の思いが届いたのか簪は今まで使用していた武器をしまい新たな武器を呼び出す

簪はあの後近接を諦め射撃へと戦法を移行したのだ。彼女はセシリアやシャルロットのように正確な射撃は行えないが、相手を牽制するだけの射撃なら行える

 

「(あの機体…ダメージが大分蓄積されてる。でも本当にこれで大丈夫?話を聞く限りだと大ダメージを与えたのにほとんどダメージが無かったなんて事もあったらしいし…)」

 

簪としてもジャミングの残り時間は把握しているため、早々に勝負を付けたいが、これが失敗すれば簪の負け。その事もあり簪としては紅椿のスペックを探っておきたいが生憎それを行うだけの時間はもう無い。だからこそ彼女はここで勝負をかける

 

彼女は箒と大きく距離を取る。性格にはアリーナの端まで移動し後ろには壁しかない

すると持っていた武器のトリガーを引く。放たれたのは一発の弾丸。それが箒に向かっていく、はずだったのだが弾丸が有る程度進んだところで彼女は

 

「…着火」

 

その一言を放つと弾丸が小さく破裂する

ここで現在のアリーナの状況を確認しよう

このアリーナは簪は試合の最初にジャミングボムを放ち、大量の粉がアリーナ全体に舞う

そして粉が有る程度少なくなってきた所に簪は再びジャミングとは違う粉…正体は何の変哲もない小麦粉である。勿論この小麦粉は消費期限が切れるなどの理由で市場には出せない商品の一部を企業が買い取ったものだ

そうなるとアリーナには大量の粉じんが舞っていると言う。そこに弾丸が破裂したことにより火花が舞う

粉じんが舞っている状態で火花がまき散らされるとどうなるか…答えは簡単

 

 

 

 

粉塵爆発である

 

 

 

 

着火と同時にアリーナ中央では大爆発が起こる

それこそ壁ギリギリまで下がらなければいけないほど広い範囲だ。箒は爆発の圏内に居た為逃れるすべはなく爆発に巻き込まれる

内部では何重にも爆発が起こり、防御しても装甲は砕け、シールドエネルギーは一気に削られていく

その爆発は一分弱ほどで収まり、アリーナには小さな炎が上がっているが爆発は収まり粉もないためもう爆発が起こる心配はないであろう

そうしてそれを受けた箒と紅椿はと言うと機体の絶対防御が発動したためか機体に大きな損傷があるものの箒は大きな怪我もなく五体満足であるがその影響で機体のエネルギーがゼロとなり、箒の敗北となる…しばらくして放送席では

 

「き…決まったー!!更識選手、最後は超ド派手な止め演出で決勝戦進出ー!!いや本当に派手過ぎ…決勝戦出来るのかなぁ…とにかく更識選手、篠ノ之選手の二名には大きな拍手を!!」

 

そしてアリーナの観客席では大拍手が起こる中、アリーナの中では箒が簪に

 

「どこまでも姑息な手を…!!」

 

「そうかもね…でも姑息でもなんでも貴方の負けは負け。知らなかった?前々回の世界選手権や一回目のモンドグロッソでも粉塵爆発をやった選手はいるし、それを防いだ国家代表だっている。あなたの言葉は言い訳にしかならない…」

 

簪の言葉に箒は黙り、その直後、両者アリーナを後にする

この結果は機体の性能や技術ではなく、精神面ですでに勝敗は付いていたのかもしれない

 

 

 

 

 

そして場所は変わり第二アリーナ。

ココでの試合は第一アリーナとは打って変る試合展開になっていた

これは鈴、もしくはサラがボコボコにされていると言う訳ではない。この試合は観客ですら手に汗握る試合となっていたのだ

その理由と言うのは簡単

 

「せぇぇぇぇい!!」

 

「何の!!」

 

そう言いながら両者は再び交差し剣劇の打ち合いに突入しつばぜり合い、そして距離を取り再び交差

しかもそれを両者共にリヴァイブと打鉄と言う学園の訓練機が出せる最高速度で打ち合っているのだ。

時にイグニッション・ブーストも惜しみなく使うためこの試合は高速戦闘になっているのだ

 

試合開始直後からこのような状態が続いている。

両者ともに一度も射撃などは使わず近接オンリーで戦っている

 

サラの近接はパワーではなく技術、相手の攻撃を見極めロングソードを使い正確に攻撃を打ちみ、鈴は青竜刀を使いとにかくパワーで押し切ると言う近接でも相反する戦い方を展開する

 

するとサラは肩で息をしながら鈴に

 

「やりますね…この戦闘に付いてこられる人は久しぶりに見ました。代表決定戦や準々決勝では付いてこられなかったのに」

 

「あの二人はどっちかと言えば射撃型だから…とは言えこっちも本気出してるのに全然致命傷が入らないとは…」

 

ちなみに両者の機体はダメージが蓄積されており機体は大きく傷つきサラのロングソードの二つは折れ、鈴も青竜刀の一つが刃が欠けた為、両者ともに残る武器は一本だけである

 

機体のエネルギーもそうだが決勝を考えるのであれば、そろそろ決着を付けたい

残る武器は両者ともに一本ずつ、エネルギーも残りわずか。ならば残された手は一つ

 

「次の一撃が、勝負になりそうですね。貴方に敬意を表し全力で行かせてもらいます」

 

「えぇ、でも最後に勝つのはこの私よ」

 

サラ、鈴の二人がそう言うと機体にエネルギーをため、イグニッションブーストの体制に入る

エネルギーのチャージが終わり両者は一気に加速、そして交差する。

そして地面に着地すると、サラが膝をつき、直後に持っていたソードが真っ二つになる

対して鈴は立ち上がっている

 

それを確認したのかスピーカーから

 

「この試合、勝者…」

 

そう流れる寸前でサラは放送席に通信を入れ

 

「アナウンスはまだ早いです」

 

そう言った直後、鈴の機体に変化が起こる

鈴の機体が煙を吹き、力が抜けたかのように彼女は地面に膝を突き、武器を手放す。手放さざるを得なかった。そして鈴の機体のエネルギーがゼロと表示されたため、スピーカーからは改めてアナウンスが流れ、決勝は簪対サラの組み合わせとなった事が告げられる

 

その直後、こちらのアリーナでも大きな拍手がされる

 

アリーナではと言うと、鈴は疲れ切ってしまったのか一度機体を解除し、地面に座り込んでいた

そこにサラがやってくると、鈴に対し

 

「良い試合でした」

 

「こちらこそ。最後の一撃、ちょっとヤバいかな?って思ったけどやっぱりこうなったか…」

 

「それは私も同じです。」

 

「決勝戦、頑張ってください」

 

「もちろんです。負けた人たちの分まで頑張ります」

 

そう言うとサラは鈴に手を貨し立ち上がらせると、鈴は機体を装着し両者ピットに戻るのであった

準決勝が終わり残すは決勝戦のみ、IS学園最強が決まる瞬間は近い

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