IS~科学と魔術と… 番外編   作:ラッファ

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第32話

フォルテにとっては究極の決断を強いられる時が来ていた

信頼する先輩であり特別な関係の人は亡国のスパイ、その人からの誘い

受ければ一緒にいる事が出来るが、それは国や家族、学園の友人との決別を意味する

そんな彼女に浮かんだのは依然サラに言われた言葉

 

「(自分の心に従う、この”答え”が今は最善っす!!)」

 

彼女はそう決心するとダリルの横に立つ

つまり彼女は亡国側に着くと言う事だ。この選択に後悔が無いと言われればウソになる。でも今、この瞬間だけで言うならば、レインと共に行くのが彼女にとって正解なのである

 

「フォルテ…なら、二人で引き裂こうか。この世界と呪われた運命を」

 

「はいっス!!」

 

二人がそう言い終わるのと同時に二つの機体が彼女たちの前に立ちはだかる

一人はイタリアの国家代表、アリーシャ

もう一人は

 

「まさか二人も裏切り者が出るとは予想外やで…まぁ二人の関係を聞いたら納得は出来るなぁ…理解はできへんが」

 

日本の国家代表の咲夜である

するとレインは

 

「怪物レベルが二人、とはいえ急造のコンビでオレ達に勝てると思ってんのか!!」

 

「私達は無敵っス!!」

 

そうアリーシャと咲夜の二人がタッグを組み戦うのは今回が初めてである

ISに限らないがペアを組み戦う場合は連携が大きなカギとなる

それはISの性能であったり二人の技量も関係する。足りない部分を二人で補い、本来の力以上の力を発揮する。レインとフォルテはまさしくそれに該当する

二人の関係、タッグを組んだ年数を考慮すれば世界戦で顔なじみのアリーシャと咲夜では不利になってもおかしくは無い

が、国家代表二人はそんなことなど気にせず

 

「ナタルちゃんやイーリスちゃん悲しむなぁ…どうすればええと思う?アーリィ?」

 

「ぶったおせば良いと思うのサ!!」

 

「あの二人に勝てる気せぇへん。どないしよ?見てみ?あの二人ピンク色のオーラが見えるで?」

 

「私には殺気しか見えないのサ…」

 

雑談を行っているが、それを見逃すレインではない

 

「隙ありだぜババア!!」

 

そう言うとレインはISを纏い二人へと攻撃する

レインが纏うISの名はヘル・ハウンド

両肩には犬頭が装着されており、口からは炎が噴き出されている

そして手には双剣が握られており、刃からは熱気が伝わる

 

するとその攻撃を咲夜はランスを使い受け止める

素早い反応と防御こそが彼女の最大の武器である

 

「チッ、止めやがったな…」

 

「タッグと言えど分断すればシングルや!!アーリィ、そっちは頼むで!!」

 

「了解なのサ!!」

 

「来るっすね!!」

 

咲夜とアリーシャの作戦は単純

タッグを組み強力になるのであればその二機を引き裂き、一機一機を確実に潰すというものだ

慣れない二人でタッグを組むぐらいなら確実に倒せるほうを二人は選んだのだ

とは言えレインとフォルテも簡単に負けるわけには行かない

 

「フォルテ、私から離れんなよ!!」

 

そう言いながらレインは咲夜に攻撃を打ち込んでいくが、彼女はそのすべてをランスを使い丁寧に攻撃を防いでいく

レインの攻撃速度も決して遅くは無いが、それ以上に咲夜の防御技術が優れているのだ。

双剣を使い攻撃を加え、両肩に装備された犬頭の炎での奇襲も試みるが回避、またはランスで受け止められる

咲夜の機体の背中には太刀も装備されているが、それを抜かずランス一本で全て処理する

 

「化け物め…!!」

 

「これでもまだ加減してるんやで?なんなら機体にかけてるセーブを外す時間もやるで?」

 

そうレインに限らずフォルテ、そして今回京都に来ている専用機持ち全員に言える事ではあるが今の時点で機体にはある種のセーフティがかかっておりIS同士の戦闘で致死量に至るレベルのダメージは与えられないようになっている

そして咲夜はそのセーフティ外す時間をやると言う事は、言い換えれば

{私を本当に倒したいなら殺すつもりで来い}と暗に告げているものである

レインもその意味を知っているからこそ焦る

彼女は亡国機業のスパイとして潜入し色々な情報を得てはいたが咲夜の戦法に限って言えば裏の世界を経験している自分なら崩せると言うある種の自信はあったし、今回代表二人を相手にしてもうまく振り切れると思っていた。これは慢心と言うより亡国機業で修羅場を潜り抜けてきた経験に基づく自身である。

しかし実際に戦ってみてどうだろうか、まともなダメージなど一度も受けていない。全ての攻撃、全ての手法が防がれている

しかもセリフや表情を察するに手加減されているのも分かる

つまり自分が潜り抜けてきた修羅場以上に咲夜の経験と実力が上回っていたのだ

 

「(甘く見てたわけじゃねぇ…だが…)」

 

フォルテとアリーシャの方を軽く見ると向こうもフォルテが追い詰められている

アリーシャの纏うIS、テンペスタの能力なのか風が吹き荒れ、アリーシャが3人もいる。

 

この状況をどう突破する?

その方法が見つからない、完全に手詰まり

そう思ってしまうほどに、この状況は国家代表に有利なのである

 

 

 

 

 

そしてその状況を戦闘が行われているビルの近くから眺める一人の男性がいた

 

「ふぅ…限界、だな。向こうの人員についてはよく分からないがあの二人には実力に裏付けされた本物の強さを感じる。ここは私が出なければいけない場面か」

 

そう言っているのは亡国機業の魔術師であるアトラクと言う名の男性だ

彼はイオからこの場に待機し万が一の時はメンバーの逃走を援護しろと言う指示を受けているのだ

 

そして彼はズボンのポケットからソフトボールほどの大きさの塊を取り出すと

 

「フッ…!!」

 

それをビルに向かって放り投げる

するとその塊はビルの壁を伝うように上へと向かって行く

 

 

 

 

そして異変は直ぐに起きた

戦闘を行っている最中に塊がビルの屋上へと到達するとそれが突然爆発し、煙ではなくいロープが飛び出し、アリーシャと咲夜の二人へと向かって来る

 

「何や!?」

 

「伏兵!?」

 

二人はそう言いながらロープを回避するために複雑な挙動を取る

 

それをみて驚くレインとフォルテであったが、

二人は直ぐに退却する

 

そして二人と彼女たちの距離が遠くなると、ロープは意志を失ったかの様に地面に落ちる

放たれたのは術式加工されたアトラクの物である

あれは一定の場所に設置し相手を捕まえる事も出来るが魔術師が遠隔操作を行い敵をかく乱する事にも使える便利なものだ

 

ロープが地面に落下したのを確認してISを解除し地面に着地した二人は周りを見渡しつつ

 

「アカン、逃がしてしもた…」

 

「伏兵は予想外なのサ」

 

そう言いながら二人はビルを後にするのだった

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