現在の時刻は午後1時30分
生徒たちも昼食を取り終え生徒会長決定戦に参加する生徒は午後の練習等を始めている時間である
とはいえ訓練機で参加する生徒の場合、人数が多い事からアリーナを一つのグループが一日中使えると言う訳ではなく、午前中にアリーナを使用した生徒は午後からは使えないと言うルールのため午前中にアリーナを使用していたメンバーは自室で授業のまとめをしたり休んでしたりしている。
そしてティナはと言うと部屋に一人でいるのも暇なため寮の外を散歩している。
本来なら学園都市にいる一夏のために情報収集もしたいと考えているがIS学園の図書室には魔術的な物を調べることが出来ないため、外を散歩することにしたのだ。
そうして歩いていると
「あれ、ティナじゃないどうしたのこんな所で?」
そう言いながら現れたのは彼女のルームメイトの鈴であった。
「散歩よ散歩、部屋に一人でいるのも寂しいから」
「成る程。そう言えばティナは生徒会長決定戦に参加するわけ?」
「まさか。私は一組の子たちのグループのサポートよ。」
生徒会長決定戦では競技に参加する生徒以外にも整備課の生徒や自分の信頼している友人をアリーナの控室に入れることが出来るのだ。
理由としては全学年が参加するトーナメントであり、機体の損傷等も多くなることから事故の防止を目的として整備課の生徒たちを控室に入れることを認めている。
ちなみに整備課と言うのは2年生から導入される学科であり、この学科では機体の整備やより細かい技術などを学ぶことを目的に作られた学科である。代表決定戦では整備課の生徒たちがくじ引きで協議に参加する生徒たちに充てられるか、知り合いに整備課の生徒が居る場合は直接依頼してもいいと言う事になっている。
ティナの場合は整備と言うよりもアドバイス要因として控室に入って欲しいと依頼されているのだ。
彼女の言葉に対して鈴は
「あー、ティナはもう予約済みって訳かー…やっぱ早めに声かけておけばよかったわー」
「もしかして本番アドバイザー抜きで行くの?」
「まさか。他のクラスメイトに頼むわよ」
彼女の疑問を鈴は笑いながら否定する。
鈴も友人は多いタイプでありこの手の問題は自力で解決するであろうとティナは考えている。
そして彼女は鈴に対して聞きたい事が有った
「そう言えばどうして鈴は専用機じゃなくて訓練機でこの大会に出るの?」
彼女がずっと鈴に対して聞きたかったこと。一年生の大半の専用機持ちの生徒は専用機で参加するのに対し鈴と簪だけは訓練機で参加するのだ。
その問いに対して彼女は
「後味の悪くならない戦いがしたいから…かな。まぁこれを聞いた時上層部はカンカンだったらしいけど結果さえ残せば見逃すって言ってたわ」
そう訓練機で参加すると言うのは彼女の独断で有り、これを聞いた上層部は相当怒っていたが、彼女の”訓練機でも結果を残せば文句は無いんでしょ?”との言葉に渋々納得したのだ。彼女の場合訓練機の操縦時間も長いため上層部も強く反対できなかった。
するとティナは
「成る程ね。でも訓練機持ちの子たちも決して弱くは無いわ。油断してると初戦で負けるかもね」
「安心して、私の辞書に油断や慢心なんて言葉は無いわ。」
彼女はそう言い残すとその場を去っていく。向かった方向にはアリーナが有るため彼女は午後から訓練をするのであろうとティナは思う。
そして彼女は通信用の霊装を使い一夏に通信を送ろうとするが…
「(全く反応が無い…理由は二つ学園都市内部で一夏以外の魔術師が通信系統を遮断する魔術を発動しているかただ単に一夏が気が付いていないかのどっちかね…時間から考えて後者かしら…?)」
一夏から一向に反応が無いため彼女は学園都市内部の状況を知る事が出来ない。
ティナとしては手詰まりになってしまったのだ。
そう考えていると彼女の携帯電話が鳴る。連絡先は彼女の母親であるレイシーからであった
<もしもーし、貴方の愛しの母親のレイシーよ。ティナちゃーん元気にしてたー?>
そうは言うがレイシーとは学園祭の時に有っており、そんなに時間がたっても居ないにもかかわらずこの口調であるためティナは呆れながら
<元気に…ってついこの間学園祭で会ったでしょう?>
<そうなんだけど…やっぱり心配なのよ。>
<そう言うものかしら?>
<そう言う事。ティナちゃんもいずれ分かる時が来るわ>
<それで要件は何?ただ冷やかしで電話をしたわけじゃ無いでしょ?>
<いつになく厳しいわね…>
彼女はそう言いながらも話を続ける
<要件は一つよ…生徒会長決定戦、私も見に行っていいかしら?>
口調の割には割とどうでもいい内容であったため、ティナは一瞬呆れてしまうがすぐに言い返す
<ちなみに…理由は?>
<理由?生でISバトルを見たいからかなー?テレビでは見たことが有るんだけれど今まで生で見たことが無いから>
<却下。と言うか私出ないし>
<えー…>
<”えー”じゃないわよ…全くもぅ>
そう言いながら彼女は呆れる。元近衛侍女の母親だがこういう祭りや行事には目が無く子供のように純粋に楽しむのだ。
こういうところは変わらないレイシーに対し彼女は呆れながらも、言葉を続ける
<それに元近衛とは言えこうも頻繁にイギリスを出るのはマズイんじゃないの…旅行ならともかく準科学の私たちの所に入りびたりは不味いわよ。学園都市みたいに協定を結んでいるわけじゃ無いんだから…>
彼女はそう言う。ティナや一夏がIS学園に居ること自体がグレーゾーンでありそこに引退したとはいえ近衛侍女のレイシーが来るのは危ないのではないかと彼女は思っているのだ。するとレイシーは
<そう言う問題なら大丈夫よ。イギリスにもいろんな考えを持つ人が居るんだしね。それと一夏君の件もうまく収まりそうだから彼にそう伝えておいて頂戴>
<上手く収まるって…母さんが言い切れるの”元王室派”の人間がそこまで発言力が有るなんて思えないんだけれど…”清教派”は最大主教がどうにかするにしても”騎士派”が納得するなんて思えないし>
彼女の問いに対してレイシーは
<”騎士派”なら心配しなくていいわ。ちょっとした裏ワザを使わせてもらったから>
<裏ワザ…?>
<それは秘密。それじゃまた連絡するわー>
そう言いながらレイシーは電話を切ってしまう。
とはいえ今の通話から一夏がイギリスに渡ったとしても身内から命を狙われると言う事態を一先ずは避けられたことにホッとする。
そうして安心していると
「あーっ、ティナちゃんこんな所にいたんだー。探したんだよー」
そう言いながら谷本が彼女の方に走ってくる
「谷本さんどうしたのそんなに走って?」
「これから食堂で作戦会議…と言うか対策会議をしようと思って…それで探してたんだー」
彼女はそう言ったためティナは二つ返事で了解すると彼女と共に再び食堂に向かうのだった。