学園都市に来て2年、このクソみたいな生活にもよォやく慣れてきた。
住めば都とはよく言ったもんだァ。学園都市に来るなりカリキュラムとかいう訳わかんねェことやらされたり今まで一度も行ったことねェ学校とやらにブチ込まれたり、今までとは全く違う生活にげんなりしたが2年もいりゃ嫌でも慣れるもんだ。
そんで今オレは高校に行くべく制服に着替えている。鏡に映った自分の制服姿を確認するが……。
うん、相変わらず似合ってねェ。死ぬほど似合わねェなオイ。初めてオレの制服姿見た時、オレを学園都市に誘った張本人の土御門が腹抱えて笑ったのも無理ねェな。勿論その後すぐに星にしてやったがな。
現在時刻、8時50分。今から高校まで走っても9時からの授業にはまァ間に合わねェな。
だがそれは、ただの人間だったらの話しだァ。生憎オレはただの人間じゃねェ、世界に20人といない聖人なんだよ。
面倒だから詳しい説明はナシにするが、聖人っつうのは神様の力の一部が身体に宿っていてそのお陰で普通の人間じゃできねェことも簡単にできんだよ。
まァ色々とリスクは伴ってるがな。
んな訳でオレは余裕綽々と外に出て玄関の扉を閉めたが、オレとは真反対な、今にも走り出しそォな勢いで隣人が飛び出してきやがった。流石のオレもこォいった不意打ちには対処できねェ。大方の予想通り、オレと隣人はぶつかった。
「いってぇ……あっ、神鬼! す、すまん!」
サボテンみてェなツンツンした頭の間抜け面がオレに手を差し伸べてきやがった。
勿論オレはそんな施しなんざ受けねェ。なんでかって? オレの快適な登校を邪魔しやがったからに決まってんだろ。
「格下ァ…テメェ朝っぱらから随分とやってくれんじゃねェかァ…!」
「ちょ、たんまだ神鬼! 今のは不可抗力だろ!?」
鬼の形相で睨んでんだろうオレに必死に言い訳してるこのツンツン頭は上条当麻。不幸の塊みてェなヤツで土御門の監視対象だった気がする。
オレがコイツを不幸の塊っつたのは比喩でも何でもねェ。
道を歩けば財布は落とすわ自販機に札入れたら飲まれるわと同情したくなるぐれェ不幸だ。まァオレから見りゃ知ったこっちゃねェがオレを巻き込むってなら話しは別だァ。
「関係ねェんだよコラァァァああああッ!!」
「ふ・・・不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
☆ ☆ ☆
「ったく、今日はつくづくついてねェ日だぜ…。どォ責任取ってくれんだコラ」
「俺の責任!? つーか小萌先生に怒られたのはお前のせいで……」
「何か言ったかな格下クン?」
明らかに変わったオレの雰囲気に気付きやがったのか上条は「いえなんでもありません」と言って引き下がった。命拾いしたな。もォ少しで星にするつもりだったぜ。
このやり取りだけ見りゃ疑いたくなるだろォがオレと上条はそれなりに仲はいい。隣人、しかも学校も同じっつうことでコイツからしつこく話し掛けてきたのがきっかけだがなァ。
土御門の野郎と比べりゃあ頭は悪いし強くもねェがそれを除けば嫌いなヤツじゃねェ。
忘れてた、あとはあの不幸体質と。
ブラブラと帰り道歩いてっと突然上条の野郎が止まりやがった。
またかと思いオレは上条の見てる視線を追った。案の定視線の先にはガラの悪ィいかにも不良面した男4人が1人の学生を囲んでやがる。見てるコッチが恥ずかしくなるぐれェのあからさまなカツアゲだな。
「神鬼、助けに行くぞ」
言うと思ったよその台詞。
オレはコイツに聞こえねェよォ溜息を吐いた。一体コイツのお人好し精神はどっから湧いてきやがんだァ? 毎度のことながら理解できねェよ。
「1人で行けやクソ野郎。あんな野郎どォなろォと知ったこっちゃねェし助ける理由もねェ」
「確かに関係ないけど…困ってる人を助けるのに理由なんかいらねぇだろ」
ハァ………。
どォやったらそんな恥ずかしい台詞真顔で言えるのかねェ。んな台詞に靡くほどオレは優しくねェんだよ。
「いるに決まってんだろ。この世界は全て因果関係でできてんだよコラ。理由を飛ばして結果だけ出るほど簡単じゃねェんだよ」
「なら、俺と一緒にあいつを助けてくれ。これで理由ができただろ?」
まァ確かに理由だな。スッゲェ小さく、スッゲェ納得いかねェ理由だがな…。
言っちまったもんは仕方ねェ、手ェ貸してやるよ格下ァ。
「3人だけ引き受けてやる。あとの1人はテメェでなんとかしな」
そォ言ってオレは不良共に近付いて行く。オレに気付いた1人が何かオレに言ってやがる。
聞こえねェ、つーか聞く気もねェ。オレはどォでもいいことは聞かねェ主義なんだよ。
無視するオレが気に食わねェのか不良の1人が殴りかかってきた。オイオイ、なんだその踏み込みのなってねェパンチ。それぐれェのパンチならあの不良神父でもできんぞ。
オレはソイツの手を取るとそのまま綺麗な背負い投げをする。
誰か一本!、って言ってくれねェかなァ。自分でも惚れちまうぐれェ綺麗に決まったのによォ。
オレの前で上条の野郎がドンパチしてやがる。そしたら上条の後ろから殴りかかる野郎がいた。オレはソイツの襟元を掴むと純粋な聖人の怪力だけで後ろに投げ飛ばす。オレより身の丈デケェヤツも聖人にかかれがこの通りだァ。投げ飛ばされた野郎は地面に背中を強打して気を失いやがった。
あと一匹。オレが視線を前に戻すと残り一匹の野郎がニヤニヤして立ってやがった。
うぜェ。死ぬほどうぜェ面だ。世の中のためにも消えた方がいい野郎だコイツは。
「なかなか強いじゃねぇか。だがな……」
野郎の掌に炎が集まっていきやがる。なるほど、コイツ能力者だったのか。ニヤニヤしてた理由はコレか。
「見たところ…レベル3ってとこか」
「そうさ。さぁ大人しく金目のもん置いていきな。じゃねぇと黒焦げになるぜ?」
……………白けた。
「あっそ。オレが黒焦げになる前にテメェが沈むがなァ」
オレは一瞬で野郎の懐に飛び込む。焦った野郎が炎をぶつけよォとするが遅ェんだよ。欠伸が出る。
オレは野郎の鳩尾に一発見舞う。これ以上ねェぐらいに綺麗に入ったオレの拳は一瞬で野郎の意識を奪った。
ハァ……つまんねェ。科学でも魔術でも三流ってのは同じだな。虚勢の張り方だけは一人前だァ。
「相変わらず強いな、神鬼は」
どォやら上条も終わったらしい。見たところ顔面に一発もらった以外は特に何もねェみてェだ。
「こんな雑魚に負けるほど落ちぶれちゃいねェんだよオレは」
どォやら絡まれていた学生は逃げたよォだな。ったく、助けてやったんだから礼の一つぐらい言えよ。まァ最初から期待なんざしてねェけど。
んな時、オレの携帯が鳴った。今はやりのスマホとかじゃなくパカパカ携帯だァ。学園都市の携帯は無駄にハイテク過ぎっからあんま好きじゃねェんだよ。なに? まだパカパカ携帯かよ〜? オイ今笑ったヤツ表に出ろ。
どォやら着信じゃなくメールだったらしい。送り主は土御門。また悪戯かと思ったがメールの内容を見た瞬間んな予測は吹っ飛んだ。
「……悪ィ、上条。ちィとばっか用事思い出したから先に帰ってくれ」
「え? わかったよ。んじゃまたな」
上条の後ろ姿が消えたのを確認してオレは、土御門の指定した場所に向かった。
学園都市に来て2年、久しぶりの大仕事だァ。
To be Continueーーー