伝承・無限軌道   作:さがっさ

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本当に更新遅れました……。
しばらく、更新頻度落ちないとか言っていたにも関わらず……やはりモチベーションは大事ですね。

とりあえず、第三話のその一です。
どうぞ


第三話 衝突する思いと暗躍の土塊 その一

「話があるんだ、箒」

「なんだ?一夏。今日のところはもう寝た方がいいぞ。まだ昨日の疲れが残っているのだろう?」

 

 一夏とセシリアの決闘が行われた次の日の夜中。自室で一夏と箒はそれぞれのベッドに腰を掛けていた。

 この共同生活も元々幼馴染としての面識があったからなのか最初は色々と戸惑った事もあったがようやく慣れてきたところである。男女が共に寝食を共にするとはと言われそうではあるが今のところ互いに問題は見つかっていない。

 

「いや、まあ今日も色々あったから休めたかと言えばそうでもないんだけどさ」

「いきなりクラス代表に決まったとなれば気を休めるどころでは無かったな」

 

 

 今朝のSHRの時のことだった。

 

 試合の疲れと、箒が言うには、スサノオの力を使ったことに伴う《心力》の消耗により思うように動かない体を何とか動かし、一年一組の教室まで何とか遅刻せずに来たところで眠気が襲い掛かり、うつらうつらとしながらも抗っているところにそれは突然とやってきた。

 

「では、オルコットさんがクラス代表を辞退したため、一年一組代表は織斑一夏君です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

 などと、副担任の山田先生から宣告を受けたのであった。

 遂に寝ぼけてしまったのかと、何とか意識を周囲に向け、見回すとクラスメイトは拍手をこちらに送ってきており、辞退を申し出た本人のセシリア・オルコットの方を見てみればこちらへと何故か軽く会釈をして前を向いた、すがるように箒の方へと視線を向けると驚きはしていたもののどこか勝算するように周りに合わせて拍手を送っていた。

 どうやら自身の耳がおかしくなったわけでは無いらしい。

 

「え、あれ?昨日の試合は中止でノーゲームじゃなかったのか?もしや何か決着がついてたのか?」

「違いますわ。先ほど山田先生がおっしゃられたように私が自薦を取り下げましたの。少々の条件付きではありますけど」

「条件付き……?」

 

 セシリアの発した条件という言葉からは少なくとも一夏に良いものが含まれているとは聞こえなかった。

 

「それは私から説明しよう」

 

 そう声を上げたのは教壇から少し離れた所からSHRの様子を見ていた千冬だった。

 

「襲撃があったために昨日の試合は中止になってしまったがそれが無ければおそらく織斑の一撃がオルコットに命中し試合は織斑の勝利であろうことはこちらからも見て取れた。が直前までオルコットが有利であり、現に織斑からは実質的にダメージを受けてはいない」

 

 千冬は一夏とセシリアの双方に鋭い視線を向けながら言葉を続ける。

 

「私としては白黒はっきり付けるために再戦を執り行いたいところだったのだがアリーナは襲撃により当分は使用ができん。どうした物かと考えていたら今朝オルコットが職員室まで来てな。条件付きで自薦を取り下げると申し出てきた。私としても後日行われるクラス代表戦までに代表を決めねばならんからな。織斑には悪いがその条件を呑むことにした」

「いやあの、俺の意見は挟んでもらえないんですか?」

「織斑そうはいってもだな、私としては自薦、他薦は問わないとした上でお前が他薦され、そしてもう一方の候補のオルコットも自薦を取り下げたとなっては、このままお前にクラス代表になってもらうのが妥当であるとおもうのだが?」

「いや、俺そもそも一度もクラス代表をやってもいいとは言って……」

「確かに言ってはいないがなりたくないとも言っていないだろう。そもそもなぜやりたくなかったら決闘を受けたのだ」

「うっそれは」

 

 今思い返してみると、決闘に夢中になっていて自身がクラス代表となる事をすっかりと頭から抜け落ちていた。喧嘩を売られたから買ったことについてはすでに後悔はないが、もう少し考えれば良かったのではないかと思う一夏であった。

 

「そこでオルコットの出した提案というのが前期のクラス代表を織斑に譲るということだった」

「ちょっと待った。前期ってどういう……?」

「つまり、お前はこれから半年、今年の九月末まではクラス代表だ。そして十月の頭にもう一度試合を行いそこで改めてクラス代表を決めるということだな」

「再試合……ってことか。でもそれまでの代表は俺じゃなくても……」

「それは私のプライドの問題ですわ。わたくしは代表候補生として選ばれた身でありながら素人同然とも言うべきあなたに追い込まれました。そんな形で代表を仮にでも引き受ける訳にはいきませんわ」

「そんなハンデみたいなのはいらないって俺は言ったはずだ。そんな形で譲られても俺も困る」

「もちろん無理にとは言いませんわ。あなたにも意地があるというのは試合を通して感じ取ることが出来ました。ですが、それを抜きといたしましてもあなたに引き受けて欲しいのです。クラス代表ともなればあなたには試合をする機会に恵まれるでしょう、そうして強くなったあなたを倒してこそ、わたくしは胸を張ることが出来ますわ」

 

 これではまるで提案というよりもお願いといったほうがいいんじゃないかと一夏は思いながらも、その提案を呑まないという気にはなれなかった。

 なぜだか以前までのとげとげしい雰囲気が和らいでいて、その上で目にはこちらへの敬意と挑戦の意志を感じ取ることができた。一夏はそんなセシリアを嫌いにはなれないでいた。

 

『契約者よ、ここは引き受けてはどうだ?』

(スサノオ?)

 

 突然、スサノオが話しかけてきた。今日起きた時はあまり良い反応を示さなかったのだが、一応こちらとコミュニケーションをとるつもりではあるらしい。

 

『今貴様に足りないのは実戦での経験だ。基礎の部分も我からすれば基準をようやく満たすと言った所であろうが、それ以上に実戦での経験が足りん。それを補う良い機会であろう』

(なるほど、そう考えれば引く受けるのもいい考えだな。でもどうしていきなり口を出し始めたんだ?)

『フン、ただ貴様が強くなることは我にとっても利益になるからな。それならば助言を呈すのもやぶさかではない』

 

 そうなのか、と心の中で返事をしつつ引き受けない理由もあまりないので、引き受けることに決めた。確かに面倒な仕事を任されるという事もあるだろうが。試合を引き受けてしまった以上、うじうじと言いだすのもみっともないだろう。

 

「もちろん、どうしても受け入れられないというのであれば拒否されても構いませんが……」

「いや、分かった引き受ける。半年後まで俺がクラス代表になってやるさ」

「ではよろしくお願いいたしますわ」

 

 そうして、一夏が半年の期間ではあるが一年一組のクラス代表となったのだった。

 

「とはいえ、一夏、良くクラス代表を引き受けたものだな。最初は嫌がっていただろう」

「まあ、最初はこんな事になるなんてまるで思ってもいなかったからな。入学して直ぐに専用機まで与えられて何もしないってわけにはいかないし。それにスサノオとも契約しちまったこともあるからな」

『……貴様が勘違いしているようだから言っておくが我は既に貴様と契約をしていたのだ。それを貴様が忘れていて今までさほどその効力を発揮しなかっただけにすぎん。そこは間違えるなよ』

 

 今の今まで口を挟まずにいたスサノオが口を出してきた。

 朝起きてから、スサノオは全く口を開かないとは言わないまでもほとんどその存在すら露わにしようとしなかった。

 一夏としては授業の邪魔をされては困るので特に文句は無いのだが。昔からこういった人に取り憑くというのだろうか、ともかく四六時中一緒にいると変な場面で話しだしてこちらが迷惑をかけると言ったことを聞くのだがどうやらスサノオはそうではないらしい。

 特にあれは何だ、これは何だと聞くことも無く。唯一口を開いたのは昼休みに食堂のメニューについて聞いたのみである。

 一夏としては迷惑にならないので今のところ特に文句は無いのだが。こうも黙り続けられてしまうのもなにやら気味が悪い。

 

「分かった、これから気を付けるよ。それで……ああ、そうだ。ともかく俺が力を付けるにはどうやら実践を積むことが大事みたいだからな。そりゃ普段の鍛錬が重要なのは知っているけど」

「そうだな。一夏、お前の剣はあれからまともに道場に通っていなかったというにはとても見えん。いい太刀筋をしていると私は思うが……お前も言うように実戦での経験が足りていない。先の試合でも駆け引きの発想は悪くは無いがたやすく見破られたり、誘い込まれたりといったことがあった。これからはそこも鍛えなければならないだろう。であるならば一夏の選択は間違っていないと思うぞ」

 

 

「それで、授業が終わった後はいきなりお祝いだーーて連れ出されたからな……いつ準備したんだろ。律儀に飾り付けまでしてあったし」

「私なんて、連れてこられていきなりクラッカーを手渡されれたのだぞ。何とか使えたからいいものを……」

「何とかねえ……」

 

 明らかにタイミングを外してクラッカーが鳴らされた方を見てみれば、しきりに辺りを見回しながら両手でクラッカーを持っていた箒が周りの目が自分に向いていない事に気づいて安堵していたのをはっきりとこの目で見てしまった一夏としては、あれは何とかというべきなのだろうかと思ってしまう。いくら初めてであったとしてもあれは無いだろう。相変わらず変な所で不器用なやつである。

 

「……何だ、一夏。私に言いたいことでもあるのか?」

「イイエ、ナニモナイデスヨ。それにしても何かセシリア雰囲気変わったよな。昨日まで俺に敵意むき出しだったのに」

「……まあ、思うところもあったのだろう。彼女もどうやら《青龍》と契約をしたようだ。明日、彼女に事情を話そうと思っている。一夏に説明していないことも話すつもりであるから、時間は開けておいてほしい」

「分かった……でも、アイツが素直に来てくれんのかな?いくら契約しているからってこっちを警戒しそうだと思うんだけど」

 

 ある程度の事情は契約した《幽体》から聞いているかもしれないが、何処まで話しているかまでは分からないだろう。

 

「大丈夫だ。実は昨日の内に話はしてあるからな、問題は無いだろう」

「まあ、《幽体》と契約してってこと自体おかしなことだから、それを受けいれたってからには大丈夫なのかもな」

「そう言うことだ、ともかく明日話す事になっているからな」

 

 で、というように箒はこちらへと改めて向き直った。

 

「一夏、私に話があるのでは無かったのか?」

「そうだな、それが本題だった。いや実は、話は昨日にさかのぼるんだが」

 

 箒に相談するかは迷ったんだけどさ、と告げながらもやはり相談できるのは幼馴染であり自分の事情をよく知っている箒しかいなかった。

 

「昨日の夜、鈴が俺の見舞いに来てさ。まあいきなり部屋の明かりも点けずに入ってきたから一瞬侵入者だと思ったんだけど……まあそれは置いておいて、その時俺に言ってきたんだよ」

「……スサノオ様との契約を破棄しろと言ったのか?」

「あれ?なんで分かったんだ箒」

「私も鈴の事情はお前が最初の特訓の時に知ってな」

「そうだったのか……で俺がいやだって言ったら、今度はあたしと決闘しなさいってなっちゃってどうしたもんかって」

「そうか……一夏、できれば鈴との間に何があったのかもう少し詳しく話してくれ。どうしてそうなったのか教えてもらわないと私も困る」

「ああ、分かった。俺もなんでこうなったのかいまいちわかっていないんだけどな……」

 

 一夏は改めて昨日の出来事について話は始めた。

 

 

 

 

 深夜の保健室で一夏と鈴は向き合っていた。

 一夏は突然発して鈴の言葉に混乱せずにはいられなかった。

 どうして、彼女が《幽体》のことを知っているのか。

 もし知っていたとして、なぜいきなりスサノオとの契約を切れなどと言ってきたのか。

 今目の前にいる幼馴染は何をどこまで知っているのであろうか。

 

「で、どうするのよ。受けるの受けないの?アタシとしては今ここで契約を切ってもらった方がいいんだけど」

「いきなり言われて、はいそうですかって言えるわけないだろ。大体なんで鈴がスサノオのことを知っているんだよ?」

「何でと言われても答える気はないわ。でもいつから知っていたのかは教えてあげる。変だって気づいたのは再会した時よ、それから特訓で《打鉄》を起動したときにそいつの気配を感じたの。最もそれ以降全く現れなかったからアンタには話さなかったし、試合であんな事になるなんて思ってもみなかったわ」

「ほとんど最初から気づいてたのかよ。しかも肝心な所は言ってくれないしな。いくら幼馴染の言葉だからって、そんなことで納得すると思ったのかよ」

「あら、幼馴染の言うことより会ったばかりのそいつの言う事を聞くの?随分薄情じゃない。それh度信用が出来ないっていうの?」

 

 鈴が目を細めてこちらを見ている。

 一見笑っているようにも見えなくもないが目には真剣見があり、まるで安心が出来なかった。

 

「信用できないって訳じゃない。でもなんで契約を切らなきゃいけないのかって理由を教えてくれよ。少なくとも俺の知っている鈴は理由も言わずに押し付けてくる奴じゃなかった」

「……だって、危険じゃない。アンタが思ってるほど《幽体》との契約は甘くないわ。力を手に入れてハイ終わりで済むわけがないでしょ。絶対に相応のリスクが伴うわ。引き返せる内に契約を破棄すべきよ」

「だとしてもだ。契約を俺の都合でやっぱりやめました。何て筋が通らないだろ。それに俺も契約する危険性だって分かってないわけじゃ――――」

「分かってるなんて軽く言わないでよ!」

 

 言葉を遮ってきた鈴はやはり怒っていた。

 ベッドの柵を掴む力が強まり、ミシミシと音をたてその細い体のどこからそんな力があるのかいまにも柵を素手で砕きそうである。

 

『鈴、少し落ち着いたらどうだい?彼だって、まじめに考えてはいるさ』

 

 鈴のIS、《甲龍(シェンロン)》の待機状態である黒いブレスレッドから声が響く。

 一夏はこのスサノオと同じ耳を通さず、胸に直接響く声から声の主がいかなる存在であるのか、分かったかもしれなかった。

 

『ああ、自己紹介がまだだったね。僕は鈴と契約している《幽体》、《四聖(しせい)白虎(ビャッコ)》だ。よろしく』

 

 一夏が身構えていると案外丁寧にあいさつされた。

 スサノオの様に傲岸不遜な態度だと思っていたのだが、親しみやすい性格のようだ。

 

「白虎、自己紹介なんていいわよ。どうせ直ぐに関係なくなるんだから」

『鈴、僕としてはそうことを急ぐべきではないと思うよ。大体、彼が望んで契約をしたようであるならば、僕たちが口出しをすることじゃないんじゃないのかい?』

『そうだな。そいつの言うとおりだ』

 

 そこで、スサノオが初めて言葉を発した。

 鈴はスサノオが口を出したことで露骨に警戒を強めて、一夏の右手首の白いブレスレッドへ向ける敵意を強める。

 それを受けるスサノオであるが、まるで意に介することも無く、話し続けた。

 

『他の契約は知らないが、我と契約者との契約は互いに同意があってなされたものだ。そして、我はたかが小娘に忠告された程度で契約を破棄するような輩と契約等するはずもない。貴様が何を吹き込むのかは勝手であるが、無駄な努力だとは言っておこう。子奴はそう簡単に契約を破棄するような奴では無い』

「ッ!!」

 

 スサノオが断言すると、鈴の額には青筋が既に浮かび上がっていたにも関わらず、さらに深く刻まれる。

 あまりの怒りに、今にも一夏からブレスレッドをひったくって壊しにとびかかりそうな様子ではあるのだが、一夏がけが人であるという事を考慮しているのか寸での所で踏みとどまっていた。

 

『ふむ、どうやら中々信頼関係はできているようだね。鈴、ひとまずは問題が無いように僕は思えるけどね』

「あんたの大丈夫の尺度は緩いのよ!ちょっと位死にそうでも問題ないって言ってるようなもんじゃない!」

『まあ、そのくらいの危険は彼も承知の上で契約をしたということだろう?そもそも、《幽体》と契約をするということは少なからず危険を伴うからね』

「だから私はやめろって言っているのよ。わざわざ危険な目にあう必要は無いでしょ!」

 

 今までやり取りを黙って聞いていた一夏であるが、やはり鈴の言い分は癇に障った。

 こちらを心配しているというのは伝わるが、何故そこまで言われなければならないのだろうか。

 

「おい、鈴。いくら俺が弱いからってそこまで心配されるいわれはないだろ?どうして急にそんな事言いだしてんだよ。そんなに俺が《幽体》に関わっちゃいけないってのかよ」

「ええ、そうよ。アンタは《幽体》何かに関わっていないで、ISに乗ることに集中してればいいわ!」

「ISに集中してればいいって何だよ!ISだって危険な事には変わりないだろ。今回の試合の襲撃だって、そうじゃないのか?ISに関わってたって危険な事には変わりないんじゃ」

「そうね、それは否定しないわ。でも《幽体》に関わったら余計危険に巻き込まれるのよ。それでいいわけないでしょ。いいからそいつと契約を解消しなさい」

「嫌だ、断わる。だいたい鈴に関係あるのかよ。俺が無茶をする分にはいいだろ!」

「ア、アンタってやつは……!」

 

 一夏の一言に鈴の怒りの矛先が一夏にも向けられた。

 それを受けても一夏はまるでひるまない、前言を撤回する気はさらさらなかった。

 

『鈴、彼がここまで頑固なのは予想していたことだろう?だから戦えって言ったんじゃないか』

「ええ、そうね。最初にガツンといってやればアタシの本気度が分かってもらえると思ってたけど……こうなったらそれしかないわね」

「…………」

「あら、怖気づいたの?それならさっさと―――」

『いや鈴、今日の所はここまでにしよう。昨日の今日どころか、つい昼の襲撃があったばかりだろう。こう立て続けにことが起きて疲れているだろうからね、返事はまた後で、ということにすればいいだろう。時間が全くないというわけではないんだからね』

「……そうね、今日のところはこの辺にしておくわ。でも次は返事を聞かせてもらうわよ……後、ゴメンね。こんな時間に押しかけて。あと―――試合良かったわよ」

 

 そう言い残して鈴は一夏が横たわるベッドから手を放し、背を向ける。

 一夏は鈴が険しい表情をしていたのが和らいだ一瞬ように見えた。

 

「じゃあね。私が言うのはおかしいかもしれないけど、ゆっくり休んでなさい」

 

 鈴はカーテンを締め、保健室を去っていったのだった。

 

 

 

 

「そう言うわけで、俺としては契約を解除する気は無かったんだけど。鈴が必死に訴えるからには何かあるんじゃないかって思ってさ」

「…………」

「箒?」

「あ、ああ問題ない。つまり私に聞きたいのは契約に伴う危険性ということかだな?」

「ああ、スサノオに聞くっていうことも出来るんだけど。こいつ契約に従うの一点張りで。そりゃ嘘はついていないんだろうけどさ」

「承知した。といっても危険性は一夏も気付いてはいると思うが……まず、契約した時の条件が厳しい場合がある事だな。《幽体》は無理な条件を突き付けたり、または何気ない条件の様に見えて欺いたりと言ったことがある。古くから言われているいわば悪魔との契約という物だな。しかし、この場合においては」

「スサノオが俺をだますとは考えにくいしなあ。無理矢理な条件を出されたわけじゃなかったからな」

「私としては一夏が細かい条件を覚えていないことが不安ではあるのだが……しかし、スサノオ様のような神格であればお前を乗っ取り《憑依》することもたやすいはずだ。そのような小細工を好むとも思えない」

 

 それは一夏も考え付いた。しかし、それはスサノオには当てはまらない。そもそもの力がすさまじいものであるのは、素人の自分であっても分かる。鈴と契約していた《幽体》の白虎よりも強いだろう。いざ本腰を入れて乗っ取られそうになったとしても抵抗も出来るかどうかも怪しい。逆に言えば今すでに一夏に《憑依》を試みていないというのはその気がないためであろう。

 それに加えて、まだ一日程度の付き合いでしかないが、スサノオはそんな回りくどいやり方は好まないだろうことが感じ取れた。

 一夏が覚えていない契約という不明瞭な部分があるが、今のところ敵ではないだろう。

  

「でも鈴だってそれくらいは分かっているだろうし、そうでなくても白虎の方は気が付いているんじゃないか?」

「私は白虎とそれほど会話を交わしていないが……私も似たような印象を受けた。何より、《幽体》はその性質上、性格を偽るなどということはまずないのだ」

「性質上?どういうことだよ?

「それは明日説明する。しかしそうだとすると、鈴がそこまで急ぐ理由は私には分からないな……」

「そうか……まあ、時間はもう少しあるし今度あったら何とか理由を聞き出す事にする」

「そうだな……それがいいのだろう。すまないな、あまり力になれなかった」

「いいさ、気にすんなよ、箒。俺もちょっと話せて落ち着けたと思うしな」

「そうか、それなら良かった。さ、今日のところは寝てしまおう。明日も授業があることだしな」

 

 そう言い残し、箒は部屋の明かりを常夜灯に切り替えベッドで横になった。

 一夏もそれに続く形でベッドに入り、目を閉じる。

 どうやら、IS学園に入ってからの忙しい日々は途切れそうに無かった。

 




はい、とりあえずこんな感じです。
お祝いパーティーとか、ISを使った授業の下りなんかも原作とあまり変わらないんじゃとなりカット。
反応を少し変えるだけでもと思ったのですが、書きづらくなってしまい、自問自答の末却下となりました。
今後もカットする箇所もございますのでご了承の程よろしくお願いします。
後、タグに不定期更新を追加しました。
さすがに、週一で投下できなくなってきたので不定期ということにいたします。
とはいえ、最低月に一回は特別な事情が無い限りは更新していきますのでご安心を。

セシリアとの会話は次回に回して、その次あたりからクラス代表戦に入れればと思います。
第二話はさすがに分割しすぎたのではとも思ったので、出来るだけテンポ良く行きたいです。

ご意見、ご感想の程よろしくお願いいたします。評価の方ももどうぞよろしくお願いします。 
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