ゼロの使い魔をひっくり返してみたらこうなった   作:笛ふき用

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諸説明~決闘

諸説明

 

 

場所について

 

 

「ここはどこなのよ!」

 

「ここは倭の国の甲雅の里だよ!」

 

「それってどこよ!」

 

「ていうかお前、そんなことも知らないとかいったいどこからきたんだよ!?」

 

「トリスティンよ! このバカ!」

 

 

月について

 

 

「ていうか何で月が一つしかないのよ!?」

 

「月は一つにきまってるじゃねぇか! ていうかお前の世界、月が一個以上あるのかよ!?」

 

「二つよ! 当たり前じゃない!」

 

 

寝床について

 

 

「とりあえず……その辺で寝てくれる? かな?」

 

「あんた私みたいなレディに板の床で寝ろって言うの? あんたそれでも誇り高き『NINJA』なの? ていうかこの部屋私が使うからあんたが出て行きなさいよ!」

 

 

零について

 

 

 授業中、教師の指示で『土遁・錬金の術』を試みた才人助であったが、あえなく爆発。罰としてルイズと二人、片づけをすることとなった。

 

「……ひどいだろ? 俺の忍術。火遁を使っても、水遁を使っても、爆発しかしないんだ。だから『零』。おちこぼれの『零』なのさ」

 

「あら、『NINJA』って戦うのが仕事なんでしょ? じゃああんためちゃくちゃ強いじゃない! ……ていうかなんて物騒なのかしら、こいつ。ダイナマイトを無限にぽいぽい放り投げられるようなもんじゃない……」

 

「……俺がすごい? 生まれた初めて言われた、そんなこと……。こいつ、悪いやつじゃないのかも」

 

「それに私を呼んだ口寄せだっけ? それだって成功してるじゃない! あんたは0じゃなくて1よ。私が保証してあげる!」

 

「俺が……一。ありがとな、『るいず』。俺、がんばるよ」

 

 

決闘

 

 

「申し訳ありません!」

 

 そう言って謝るこの世界では非常に珍しい金色の髪の甲雅忍術学校、給仕の少女、やすみ。彼女は今窮地に立たされていた。

 

 目の前に立つ大輪の椿の枝をその唇に咥えた忍者の卵にして、名門の四男坊である蔵門 義助(くらもん ぎすけ)が落とした手ぬぐいを親切に拾った事。そんな彼女の小さな親切が彼女を窮地に追いやったのだ。

 

 ――その手ぬぐいは実は彼の思い人の一人にしてくのいちの紋白 文白(もんしろ もんしろ)のものであり、調香が得意な彼女がつけた特別な香りがしていた。そしてその香りをかぎそれが彼女のものであることに気づいたもう一人の義助の思い人(じつはこちらはほんの遊び心であったのであるが)であり、後輩の六田 子猫 (ろくた こねこ)に見つかり、その女心を傷つけた為にその頬に手ひどい怒りの一撃をもらったのだ。

 

 つまり二股発覚による制裁である。救えない。

 

 そして義助はそのことを悔いるわけでもなく、逆に親切にそれを拾い上げたやすみに対してこういったのだ。

 

 ――給仕! お前が悪い! と。

 

 つまり二股していた自分の行いの八つ当たりを、やすみにやってのけたのだ、この男。つくづく救えない。

 

 脅えるやすみ。彼女は忍者の血を引くものではない、いわゆる土民と呼ばれる下級階級の娘であったがゆえに彼ら忍者後を引く上民からヒドイ扱いを受けていたのだ。その恐怖が自分に降りかかろうというその時! 

 

「ちょっと待ちなさいよ! そこのだっさいナルシスト気味のバカNINJA! 人のNINJAへの憧れを汚すんじゃないわよ!」

 

 颯爽と声を上げたのはこの世界には本来存在しないワンピースに身を包んだピンクの髪の少女ルイズ・ヴァリエールであった。

 

「るいずさん!」

 

「ヤスミ!」

 

 ある時学園をさまよっていたルイズに親切に道案内したことをきっかけに、彼女たちは友達になっていた。その友達が不当にいじめられている――正義感の強いルイズに許せることではなかった。

 

 そこから始まるルイズの容赦のない罵詈雑言。

 

「大体女に二股をかけるようなどうしようもない男の癖に、それがばれて八つ当たりとかNINJAとかそういう前に、あんた一回人生やり直してきたほうがいいんじゃないの!?」

 

 とか、

 

「大体なによ、その花の枝を口に咥えてるのは! もしかしてかっこいいとか思ってるわけ? このナルシスト! あんた鏡みたことあるの? 取り合えずそのファッションセンス、私が今まで見たなかで最低だからね!」

 

 とか。他にもいっぱい。

 

 彼女にすれば友人をいじめ、かつ憧れの『NINJA』の名誉を汚すような彼がどうしても許せなかったのだ。

 

 そしてその結果、当然――。

 

 こうなるわけである。

 

「女ァ! 決闘だああああああ!」

 

「やってやるわよおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 売り言葉に買い言葉とはまさにこの事。

 

 主である才人助が駆けつけたのは実にこの時。

 

 「なんでさ……」と何故かまったく別の作品の主人公の口癖をつぶやきながら、頭を抱えるしかない才人助であった。

 

 

 ――同刻、甲雅忍術学園学園長室にて。

 

「学園長先生!」

 

「何ですかな? 山田先生。騒がしい……」

 

 あいさつもそこそこに慌てた様子で手にあった巻物を学園長に見せる山田。

 

「これは……破幻の梵字? 伝説の口寄せ従者の?」

 

「はい。これと同じものがあの平賀殿の呼び出した女子(おなご)の右目にはっきりと!」

 

「……ということは」

 

「……ええ、これは大変なことになりました」

 

 そういったきり二人の間に満ちる沈黙。

 

 そこに、「申し上げます!」と飛び込んでくる一人の女性。

 

 彼女は学園長の秘書を務める秘書忍者である長建(ながたて)女史であった。

 

「あの平賀殿が口寄せした従者の女子(おなご)が、蔵門と決闘騒ぎを!」

 

 その一言に学園長と山田は すわ、これ好機とばかりに物見の水晶玉での観戦をすることとしたのである。

 

 

 

 少し時は進み、件の決闘場への移動中のこと。

 

「俺がやる」

 

 全ての事情を聞いた才人助はそう言った。

 

 話を聞いてみれば行き過ぎたところはあったものの、根本的に一応自分の友人でもある義助のやつが悪い上に、口寄せ従者とはいえルイズは女の子である。基本くのいちの友人たちが戦闘に出ることも由としないところがある才人助にそれが許せるわけもなく。

 

(それに……こいつにはさっきすっげえうれしいことをいってもらったからな)

 

 その恩をかえさなければな、と才人助は思ったのだ。

 

 

 そして決闘場所に選ばれた上鳥広場にて義助と、才人助が対峙する。

 

 何故相手が代わったのかまったく分からない義助が質問する。

 

「え? 僕が決闘を申し込んだのは、君が口寄せで呼び出したおかしな土民の女であって君じゃないぞ? 才人助」

 

「何言ってんだ、義助。元はといえばお前が悪いんだろ。それにいくら口寄せ従者とは言え、女の子に決闘を申し込むとはお前阿呆なのか? いつもの『女性は愛でるものとか』いう主義はどこに言った?」

 

 その一言にたじろぐ義助。そこに追撃する才人助。

 

「あと、そもそもお前が二股かけたのが悪いんだろ? そう思ったから『るいず』の代わりに主である俺がお前の決闘受けてやる! ……こんなに観衆があつまっちまったらお前だって何もやらずにやめましたとは言えないだろう?」

 

 友の配慮をありがたく噛み締めた義助は、前を向く!

 

「……済まない。だが決闘とあれば容赦はしないぞ! 才人助!」

 

「かかってこいやぁ! 義助!」

 

 そう言い放つや否や素早く印を結ぶ義助。

 

 そして現れたのは、七体もの少女のような造形をして武器防具を持った青銅製の傀儡であった。

 

「……でたな。戦乙女め」

 

 才人助の顔が真剣なものになる。

 

 そして――

 

「いけ! 僕の戦乙女よ!」

 

 その声とともに空中を疾走する七体の青銅傀儡! だがその攻撃を何とか凌ぐ才人助!

 

「相変わらずの体術だな! 才人助! ほれぼれするよ!」

 

 そう声をかけてきた決闘相手ににやりと口元をあげながら答える才人助。

 

「お前みたいに忍術ができないんでな! これくらいしかとりえがないのさ!」

 

 そんな目の前で繰り広げられる本物の忍者の戦いにルイズはというと……。

 

「きゃあああああああああ!! 本物の『NINJYUTU』! あれ何? どういう仕組み? 『DO-TO-N』? なんてオリエンタルなのかしら! 科学を馬鹿にしてるとしか思えないじゃない! それに『サイト』もすごい! まるで本物の『NINJA』みたい!」

 

 ルイズのその姿は、まるっきり日本の時代劇撮影所にはじめて行った熱烈な海外の『NINJA』フリークそのものであったという……。そしてルイズよ、タマゴとはいえ彼はれっきとした『忍者』であると言っておこう。

 

 だがやがて手数に勝る義助の攻撃によって、窮地に立たされる才人助。

 

 もうダメだ――とルイズが目をつぶりそうになったその時!

 

 一瞬、ルイズの右目が光ったと思ったら、どうしてだか分からないのだが七体全ての青銅傀儡は土に返り、その隙を見逃さなかった才人助が、義助にくないを突きつけて勝負あり。

 

 その結果にルイズとやすみは手を取り合って喜びあった。

 

 かくして決闘はおちこぼれ忍者平賀才人助の勝利に終わったのである。

 

 

 同刻再び学園長室。

 

「もはや間違いありませんな」

 

「うむ……」

 

「彼女は伝説の『破幻の瞳』の持ち主ですな、これは一大事。すぐさま統領たちに伝えねば!」

 

 そんな逸る山田を抑えて学園長は重々しくこういうのである。

 

 

「……今は待たれよ、山田教諭。軽率な事をしてはいかん。今はまだ見守るべき時じゃ……」

 

これは蛇足であるが、そんな重苦しい空気の中、へむへむへむとおかしな声で笑うナニカの声が聞こえたとか聞こえなかったとか……。

 

おかしな話もあったものである。




あとがきみたいなもの。

基本異世界トリップものの基本のひとつは、トリッパーがその世界の常識がおかしいよね? というところから始まりますよね。えぇ、テンプレですよ、テンプレ。

そして、あれ? なんかサイト君、才人助になってもM側?

……忘れよう。それが一番だ。


名前を考えるのが一番楽しかったのは秘密。



人物紹介


やすみ

忍術学園の食堂に勤める土民の給仕の少女。この国では極めて珍しい金髪さん。自分と同じこの国では見ない髪色のルイズに親しみを持つ(ちなみにピンクブロンドと金髪以外は何でもあり)。この後自分を助けてくれた「るいずさん」と「才人助」に恋をしてその間で揺れ動く案外節操のない乙女。意外とどっちもいけるらしい。

補足 シエスタ → スペインとかでの長めの昼休みのこと → 昼休み → やすみ


蔵門 義助(くらもん ぎすけ)

名門忍者の一族、蔵門家の四男坊。才人助とは友達。得意系統は土で、得意な術は【土遁・土傀儡の術】である。何故か口に椿の枝を咥えているいわゆるナルシスト。そして女の子が大好き。シネバイイノニ。

補足 ギーシュ → ぎーしゅ → 義+しゅ → 義助(ぎしゅ) →  義助(ぎすけ)


紋白 文白(もんしろ もんしろ)

甲雅の名門忍者の家である紋白家のくのいちの少女。得意系統は水で、調香や薬作りが得意。黒髪を縦ロールにしている。実家は色々あって貧乏。苦労人。がんばれ。

補足 モンモランシー・モンモランシー → モンモン → もんってつくもので可愛い感じって何? → モンシロチョウ? → 紋白 文白

六田 子猫 (ろくた こねこ)

忍術学園のくのいちの卵で、才人助たちの後輩。義助に二股をかけられていた可哀想な子だが、実はミーハーで案外腹黒。自業自得のような気がしないでもない。

補足 ケティ・ラ・ロッタ → ロッタ ケティ → ケティ → キティに音が似てる → キティ=子猫 → ろった こねこ → 六田 子猫

無理やりである。


学園長先生。

とりあえず彼の口寄せ従者は犬。それ以外認めない。
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