ゼロの使い魔をひっくり返してみたらこうなった   作:笛ふき用

4 / 5
武器屋にて――弓瑠華の場合~ルイズ対弓瑠華、景品は才人助

武器屋にて――弓瑠華の場合

 

「……才人助の馬鹿。私には贈り物なんてしてくれたことないのに!」

 

 二人に気づかれないよう隠密の業を駆使して、才人助とルイズの買い物が終わるのを見届けた弓瑠華たち。幼馴染ともいえる自分にもしたことのない贈り物をポッと出の女の子にしたことがどうにも許せず、そう愚痴を言いながら足音荒くかわいそうな武器屋の扉を叩く弓瑠華、あと束さん。

 

 ――こうなったら私は逆に才人助に贈り物をしてやるんだから! と息巻きながら。

 

 そんな怒れるド派手なお色気美人の登場に、先ほどの一件で呆けていた店主も息を吹き返した! 乳と色気は偉大だ!

 

「いらっしゃいませ、おっぱ……もといお客様。本日は何をお求めで?」

 

「そうね……。このお店で一番いい刀を見せてくれる?」

 

 その言葉に、これはチャンスとばかりに店主は奥から実に凝った造りの刀を持ってきた。

 

「こいつは『外流満』の名工、出兵(しゅっぺい)卿が打った名刀でございます」

 

 そういって彼女の前に出されたのは、黒塗りの拵えのところどころに宝石をちりばめた、見た目豪華な刀であった。

 

 その美しさに目を奪われていた弓瑠華であったが、聞くべきことはきちんと聞いていた。店主の言葉、とくに『外流満』の名工という点に激しく反応する。彼女は自分の祖国である『外流満』をかなり誇りに思っているからである。

 

 曰く『外流満』の技術力は世界一ぃぃぃぃい! らしい。

 

 そして結果。

 

「買ったわ! おいくらかしら?」

 

 刀身を確認することなく買うことを決断。弓瑠華さん、あんた忍者失格だよ。

 

 だが! 彼女の真骨頂は! ここからであった!

 

「え~、三千金でごぜえます」

 

 ちらちら弓瑠華の乳を見ながらいう店主。既に彼は彼女の術中にはまっている!

 

 これは弓瑠華の罠だ!

 

「ねぇ、ちょっとお高くないかしら?」

 

 そういいながら男を惑わせる仕草や視線、そして肉体を使ってどんどん値切っていく弓瑠華。そして最後には――

 

「もうタダでいいっす」

 

 タダになっていた! 恐るべし、『外流満忍法・おいろけの術』!

 

 意気揚々と戦利品を手に帰る弓瑠華とおまけの束さん。残されたのは夢見心地の店主だけ。

 

 彼がその儚い夢から覚め、現実に直面するまであと少し。

 

 

 

 

 合掌。

 

 

 

 ちなみに。

 

「…………(ため息)」

 

 誰にも分からないほど小さなため息をもらす束さん。彼女は一連のやり取りの間、終始無言でした。

 

 

 

怪盗風家、画策する。

 

 

「どんだけ強力な『土遁・固定化の術』なのよ……」

 

 そういいながら忍術学園の宝物庫の壁を撫でる、学園長秘書の長建女史。

 

 いや、それは世を忍ぶ仮の姿。彼女の真の姿は、忍各国にその名を轟かす怪盗風家(ふうけ)なのである。

 

 ちなみに手口は得意の『土遁・土傀儡の術』で作り出した巨大な土傀儡による力づくととてもじゃないが忍ぶ事など考えていない力技であるが。

 

 某怪盗の孫を見習えよといわざるを得ない。ちょっとは忍べよ、お前さん。

 

 そんな彼女の力技を持ってしても、この壁は破れそうになかったのだ。さすが学園長、伊達に歳はとっていない。

 

 そんな彼女の元に、がやがやと喧嘩をするような声が響いてきた。

 

「ちょっと隠れないとね……」

 

 そういって隠れる長建女史。そのことで彼女は思わぬ幸運を拾うこととなったのである。

 

 

ルイズ対弓瑠華、景品は才人助。

 

 

 忍術学園学生寮、才人助の部屋。今そこはまさしく修羅場と化していた。

 

 赤コーナー、お色気爆発の須藤 弓瑠華嬢。そのわがままぼでぃを才人助の体になすりつけ、あだっぽい笑みを浮かべながらも、本能的に敵だと確信している目の前の少女を睨みつける。

 

「あら、従者さん。お名前は……『るいず』だったっけ? 私が私の才人助に何をしようがあなたに関係ないじゃない」

 

 青コーナー、異世界『ハルゲギニア』から口寄せされた才人助の従者、ルイズ・ヴァリエール嬢。そのかわいらしいお顔をひくひくさせながら、腕を組んでその光景をみておられる。

 

「あら……、あなたそれでも本当に『KUNOICHI』なの? そんなに無駄に色気振りまいて! 少しは忍びなさいよ、このおっぱい女!」

 

 間に挟まれながら、乳の誘惑に耐える為、必死で般若心経を唱えているのが、甲雅忍者平賀才人助。当然この女傑同士の間に割って入る力などなく、ただただ無力である。

 

 そんな赤と桃の頂上決戦、喧々諤々の論争はやがて、才人助をかけた決闘へと話が発展したようでこうなった。

 

 

「お~い、何で俺はこんなとこに吊るされてるわけ?」

 

「黙りなさい、犬」

 

「そうよ、黙ってて才人助」

 

 いつの間にか望楼の下に縄でぐるぐる巻きにされ吊るされた才人助。もちろんこの程度の縄抜けなど彼には朝飯前なのだが、それをやってしまうとさらに事態がやばい方向へと悪化してしまうを本能で感知したためおとなしく蓑虫になっているのであった。

 

 だって目の前の二人からもれ出ている闘気がやばかったんだもの、とは後の彼の談。

 

 勝負の方法は簡単。才人助の吊るされた縄を切ったほうの勝ち。勝ったほうが……、そういえばどうなるかは決まっていなかった。ただただお互いに対する意味の分からない敵愾心が彼女達を駆り立てていたから。これぞまさに運命、またの名を原作力。

 

 たかがおかしな平民に何が出来るのかと思い、先手は譲って差し上げるわという弓瑠華嬢。何も知らない以上仕方ないのであるが、そいつは負けフラグである。

 

 するとその右目で、才人助とその背後にあった全て、つまり宝物庫の壁をも見据えたルイズが、「ふっ!」という声とともにまたたきする間もなくホルスターから抜いたS&W M29『デルフリンガー』の見えざる弾丸によって、才人助の黒髪をひと房、さらに縄をぶっちぎり、ついでにドゴンという音を立てて後ろにあった宝物庫の壁は破壊された。

 

 ヒビではなく、穴が開いた。

 

 これはルイズの放った魔弾の破壊力のみによるものではなく、その直前その術を解除する破幻の瞳によって宝物庫にかかっていた強力な『土遁・固定化の術』が解除されていた為なのだが……。

 

 そんなことを知らないこの場の一同にとって、それはなんの慰めにもなりはしない。

 

 事実は一つ、詰まらない私闘(キャットファイト)の結果、宝物庫の壁破壊。それのみである。

 

「……え?」

 

「…………あら?」

 

「………………洒落になんねぇ」

 

「……………………はっ!」

 

 呆然とする4人。その後いち早くその混乱から立ち直った怪盗・風家により学園の秘法『破壊の筒』は盗み出されたのであった。




人物紹介

長建女史

学園長の秘書で緑色の髪と眼鏡が似合う妙齢の美人。なにやら秘密を抱えているらしいが……。

ミス・ロングビル → ミス=女史 ロング=長い ビル=建物 → 長建女史

怪盗・風家

各国で盗みを働く今話題の怪盗。得意技は『土遁・土傀儡の術』。30m級の巨大な土傀儡を操る熟達の土遁使い。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。