東方旁魄郷   作:fulldrive

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点火

ガ..ガガ...被験者、001。移植手術完了シマシタ。

 

ピッ...ピッ...ピッ...ピッ...ピッ...

 

ほっ、と研究室で手術を見守っていた研究員達が安堵する。

 

「心拍数...安定。呼吸も正常。成功ですね、博士」

 

「そうだな。ふぅ...皆、ご苦労だった。これで我が国の軍事力の更なる発展が可能になった」

 

 

博士が見つめている少年。

彼は海外で原子力発電所事故(メルトダウン)で家族を喪い、孤児となった少年だった。

 

彼らは海外旅行中に事故に巻き込まれたのだという。

家族は皆即死。彼だけ何故か(・・・)生き残っていたそうだ。

 

故に少年はこの躰は呪われている、と思っていた。

何故家族の元に逝かせてもらえなかったのだろう、何故自分はこんなにも意地汚く、歪んだ世間の同情という泥を啜りながら生きていかねばならないのだろうか、と。

 

彼は幼くして達観していた。

 

博士はこの少年に老成した気を感じた。

全てを諦めた、否全てに絶望した目を彼はしていた。

 

そして博士はとある研究員からこんな話を聞いていた。

 

『彼の周囲にはどうやら素粒子が常にまとわりついているらしい』と。

 

博士は聞いた当初、そんなことはどんなものにでもまとわりついている、当たり前のことを言うな、と研究員に叱りつけたが徐々に彼が言っていたことが分かってきた。

 

 

そう、彼はどうやら素粒子を操れるようだ。(・・・・・・・・・・)

 

といっても完全ではないようだが。

それがはっきりわかったのは彼が1度紙で手を切り負傷した時だった。

 

なんと彼の切り傷はみるみる治っていったのである。

 

後でその傷があった場所の周辺に素粒子の動きがわかる特殊な薬品をかけて調べてみたところ(少年は『傷に沁みる』と嫌がっていたが)、確かに素粒子が傷を塞いだ形跡があった。

 

さっきの表現だと少し誤りがあるだろう。正しくいうならば驚くべきことに傷口の細胞を素粒子が複製(・・)して傷口を塞いでいたのだ。

 

 

博士は決意した。

彼の希望(のぞみ)を叶えよう、と。

 

 

 

 

博士の研究室には変わった男が一人いる。

彼は幻想郷という所に一時期行ったことがあると語っていた。

博士が考えていたことを実現する為には彼の協力が必要だった。

 

 

「博士、お待たせしました」

ごとり、と彼が持ってきた箱。

中身は八咫烏の羽。

 

幻想郷で核を操る力を持っている烏の羽だ。

 

そこから得られたデータを少年に移植し、彼を歩く爆弾(Intelligence Bomb)にしようという計画だ。

 

常軌を逸しているが、皆それで納得した。

 

 

 

 

が、

 

 

 

 

ビービービービービー...

 

「博士!被検体の様子が!!」

 

炉心融解(メルトダウン)だ!急いで冷却を!!」

 

「駄目だ!!間に合わない...!!」

 

 

辺りは閃光と爆音に包まれた。

 

摂氏1000℃を超える熱風が研究員達の影も残さず焼き尽くす。

 

 

博士は死の光に巻き込まれる瞬間、悟った。

 

 

 

 

彼は死にたがっているが死にたいわけではないのだ。と

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、博士はこの世から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在 博麗神社

 

 

 

「え?」

彼は何をしているのだろう。

 

私に鉄の塊を向けている、中から殺傷力の高い飛翔体を発射するこの塊を。

 

 

「動かないでくれ、当たってしまう」

パシュッ、

 

 

ぐちゃっ、

 

...何かが潰れた音が聞こえた。

 

音がした方を向こうとする霊夢を烏は顔を両手で挟んで止めた。

「むぐ...」

 

「あまり見て気分がいいものじゃないぞ。処分は僕がしておく。霊夢、君はここで待っててくれ」

コクコクと頷くとようやく彼は挟むのを止めてくれた。

 

 

言われた通りじっと待っていると何かを燃やす音が聞こえたと思ったら何かが蒸発する音が聞こえた。

 

「...何やってんの...?」

 

「何ってゴミ(死体)処理だが?」

 

「何で人殺してんのよー!!」

ゼイゼイと肩で息をしている霊夢に対し、烏は涼しい顔で

 

「何言ってる、こいつは僕達を狙ってた。そもそもこいつ人間じゃない、機械人形だ」

何やら聞きなれない単語が出てきた。

 

「ん?魔法人形じゃないの?」

 

「ああ、こいつらは魔力じゃなくて電力で動k――」

 

 

直後、彼は霊夢がよく知っている人物のスペルカードで吹き飛ばされていった。

 

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