魔法少女育成計画 己の大切な人を生かしたい   作:紀野感無

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しばらく期間が空きすぎて申し訳ないです

大学生活二年目に突入するというのもあり、バイトに明け暮れていたというのもあり相当放置してしまいました。

これから週1程度で投稿できたらな、と思います


それではどうぞ


23話

「…」

「…」

 

荒野の中で私とラ・ピュセルは向かい合っている。

 

私は拳のみで、ラ・ピュセルは剣を構えている。

私の目標はラ・ピュセルの無力化。

 

それだけに徹すればいい。

 

無力化だけなら、方法はいくらでもある。

 

 

が、あえて真っ向からねじ伏せよう。

 

 

私は『魔法少女殺し』なのだから。

精神的にも物理的にも殺せてこそ、真正面からですらねじ伏せれてこその

 

魔法少女殺しだ。

 

 

 

 

 

☆???

 

いつだったか魔王パムに聞いたことがある。

 

「レプリカの強さの秘訣?

 

この質問をされるのは何度目のことやら。我が塾生は皆、強さに飢えているのかな?まあいい。そうさな、あいつの強さに関してだが魔法やら肉体能力など要因は様々だが…奴があそこまで強くなれたのは私が思うにある一つの要因が根本にある

 

すなわち、何か想い必ず守るという決意を持っているということ」

 

それを聞いた時、呆れてしまった。だってあまりにも…

 

「当たり前だって?

そりゃそうだ。魔法少女たるものはそういうものだ。

 

何かを想い、守るという強い意志を持つからこそ強い。

 

だが奴のはそれが桁外れに大きい。

 

もう最早、想いなどという言葉では片付けられん。

『執着』『固執』『貪欲』『妄執』etc…

一番近いのは妄執あたりかな?」

 

その辺の御託はいい。早く次に行ってくれ」

 

「む、話を早く進めろ?せっかちだな。

 

まあいい。では、奴が何を想っているか。

これこそ単純明快。

 

奴に関わった者は大体が知っている周知の事実。

 

 

魔法少女『たま』というただ一人の人間。

 

 

いつだったか、珠はその魔法の殺傷能力からある組織に引き抜かれかけたことがある。

レプリカ?まああいつは魔法がめんどくさいからな」

 

あいつの魔法をめんどくさいって言えるのは古今東西には魔王パムくらいしかいないだろう。

 

「生物の命を絶つ、ということに関しては珠が一番早くて簡単だ。なんせ傷を負わせたらそれで終わりだからな。

私も息の根を止めるだけなら色々とはあるがそれでも珠には及ばない。

なんせ殺そうと思う必要がなくただ傷をほんの少し、一ミリから2ミリつければ終わりなんだ。向こうは殺す気でくるが珠としては防御に徹し、死なないことに徹し、ほんのわずか傷をつけれる機会を伺うだけなんだから。まあ、本人の性格上、殺しなんてものは絶対にしないだろうかな。

詳細は省くが、三賢人と呼ばれる魔法の国で一番偉い魔法少女の一人が統率する組織に勧誘…いや違うな、拉致からの洗脳を施されそうになった時がある」

 

魔法少女殺しと呼ばれるようになった事件の事か?

 

「ああ、奴が『魔法少女殺し』なんて異名を持つきっかけとなった事件とは別だ。あれは阿呆な部署がレプリカを引き抜くために珠を人質にしたからだ。

 

話を戻そうか。三賢人に引き込まれそうになった時、どこからか情報を聞きつけたレプリカはな、あろうことかその組織に殴り込みに行った。私でさえ滅多にせん」

 

滅多、ということはごく稀にやるのか。

 

「まあ、喧嘩を売られたらな。だがそれを踏まえてもやるメリットがない。いくら私が現代魔法少女最強の称号を持っているとはいえ魔法の相性が最悪ならどーにもならん。

…友の為なら遠慮なくやるがな。

 

っと、また話が脱線したな。

 

奴が殴り込みに行った組織はな、()()()()()()()()()()()()で構成されている。

分かりづらいかな?ではこうしよう。

 

全員が魔王塾卒業生と同レベル、またはそれ以上だ。

 

その組織へレプリカはたった一人で殴り込みに行き、壊滅一歩手前まで招いた。

こう言っちゃレプリカに殺されるがな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

メリットはといえば、ただ一つ。

 

珠に手を出されなくなった、ということだけだ。

 

よく考えてみろ。自分じゃない、他人のためだけに魔法の国全てを敵に回すような行為、そしてそれの為に自分自身が死にかける。

そんな事がたった一人の友達、恋人のためだけにできるか?」

 

最初は、できる、と言おうと思ったが何故かうまく言えない。

 

「ではもう少し、失敗してしまった時のデメリットを言おうか。

もし失敗したのなら、自分ともう一人の命はない。

しかも相手の集団は戦いもとい殺し合いのエキスパート。

対してこちらは一人。

だが別に殴り込みに行かんでも洗脳とは言え忠誠心のようなものを植え付けるだけ…だったかな?まあよく覚えてはないがもう一人に関してはたとえ見過ごしたとしても全くいつもと変わらない。それを踏まえても出来るか?」

 

無理だ。

 

「そうだな、それが正しい答えだ。だが奴はそれを一人でやってのけた。あいつ曰く『何度か死にかけた…いや、死んだ』らしいがな。

あいつの魔法は際限がないから何が起きても不思議じゃない。たとえば、命を複数に、寿命を長寿に、英雄の力を身に纏う、分身を作る、なんでもありに近い」

 

あんたがいうか、あんたが。

 

「私のはすべてオリジナルさ。レプリカのはまさに『贋物』あいつ自身のオリジナルの魔法なんてものはこれっぽっちもない。

あるのは贋物を掛け合わせて作っているものだけさ。

魔法少女なのにオリジナルの魔法を使えない、なんて魔法少女好きなものからしたらくだらないと一蹴するだろうな」

 

クク、と楽しそうにパムは笑っている。

 

「とまあ、話はだいぶ逸れたが奴は根本から私たちと違うのさ。

私たちは戦う際に優先すべきことは『死なない事』『任務の場合は任務の遂行』『情報収集』などなど、まあ時たま『自らの快楽を満たす』なんて輩もいるがレプリカの場合はそうじゃない。

 

何においても最優先事項は『珠』なのさ。

 

任務?関係ない。仲間?関係ない。自分の立場?関係ない。利益?関係ない。

 

この世全ての命?関係ない

 

奴にとっては珠さえいれば全人類滅んだっていいだろうな。魔法の国も滅びようがどうでもいい。なんなら珠が生きているのならこの地球が壊れてもどうでもいいだろうな。

 

おそらくは私情のみで戦いに明け暮れていたのは魔王塾にいるときくらいだろう。

それ以外はおそらく全てが珠のため。

珠さえ無事なら自らが、他人が、この世界が、この宇宙がどうなろうが知ったことじゃない。

 

それがレプリカの異常、狂気を物語っていて、かつ奴があそこまで強くなれた理由さ」

 

…なんというか、ものすごい…なんと言えばいいんだろうか。

 

「狂愛者?」

 

それだ。

 

「まあ間違ってはないな。愛の形は千差万別。だが奴のは千差万別のさらに外にあるようなものだ。分類すること自体がおこがましいな。だが、同時にあれほど一人の人間を想える、愛せるというのは少し羨ましくもある」

 

羨ましい…?私はそうは思えないな。

そこまで他人に尽くすのは、自己欺瞞に近いような気がする。

 

ただの破滅の道にも思える。

 

「その辺は人それぞれだな。ただ私は羨ましいと思うがなぁ…。しかし、あいつ、そろそろ私を超えるんじゃないか?」

 

何を言っているのか、あれだけ魔王塾でボコボコにしておいて、今でも時々勝負…?殺し合い?をしているらしいが全戦全勝らしいじゃないか。

 

「まあ対処法はいくらでもあるからな。大半の魔法少女はそれに気付く前にやられる、もしくは気づいても対処ができないことが大半だが。

 

だが勘違いするな。

私は勝負で全戦全勝なのであって()()()()()()()()()()()()()()()()()()

上からの命令で殺しあうな、なんていう制約を設けられた上での叩きのめし合いだからな。

 

殺し合いとなったらあいつは自分の身など御構い無しだ。そんな奴ほど手強いものはない。

 

奴と戦って生き延びた魔法少女が複数いるそうだが、そいつら全員レプリカの本当の怖さを知らないだろう。無論、私を含めてな。

 

殺し合いならば百戦錬磨、それが魔法少女殺し『レプリカ』だ。

 

もしこの先、奴と対峙することがあるのなら大人しく引き下がるのを推奨するよ」

 

 

 

 

 

 

 

☆ラ・ピュセル

 

「…?何をしてるんだ?」

 

「…」

 

レプリカは急にユラッと倒れたかと思うと両手を地面についた。

まるで四つ足歩行をするかのように。

 

「何をしてる!油断するな!」

 

「え?ぐっ⁉︎」

 

パムの叫びに一瞬気を取られた。その瞬間だ。10メートルは離れていたはずのレプリカは気づくと目の前にいた。

 

頭を掴まれそこから横腹に蹴りをぶち込まれた。

 

そのまま頭を持たれて勢いよく投げつけられた。

受け身をうまくとれず地面をバウンドしてしまう。

 

「ガハッ…」

 

「お前なぁ、何してんだ」

 

倒れて上を見上げるとそこには魔王パムの顔があった。

とても呆れている顔だった。

 

「私は言ったはずだ、殺す気で行け、とな。それを何相手の態勢が変わっただけで呆けて見てんだ。バカなのか?

お前とレプリカではお前が殺す気になってようやく同じ土俵だ。

 

自惚れるな、先程勝ったことで調子に乗っているのかもしれないがお前はまだまだ弱い。技術的にも精神的にも、何もかもが、だ。

 

それを踏まえた上でもう一度やってこい」

 

そこからパムに羽で無理やり持ち上げられてレプリカの方へ放り投げられた。

それを何とか態勢をとり着地する。

 

「っ⁉︎」

「やっ…」

「このっ!」

 

前を見ると既にレプリカは目前に迫っていて下から顎に向かって握り拳を振り抜いてきた。

それを間一髪で避け右膝で蹴り入れる。

 

けど当たった感触がなかった。

 

「うわ⁉︎」

「隙あり過ぎ…」

 

そこから今度は首にラリアットをかまされた。

そのまま地面に叩きつけられる。

 

地面を使って首を締め付けられる。

 

 

息ができない。

 

 

暴れて逃れようにも、レプリカに攻撃して逃れようにも当たっている感触が腕以外一切ない。

 

…いや、ちがう。感触が無いんじゃない。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

絞め殺される寸前だというのにそれがわかった瞬間に冷静に考えれた。

 

 

そして、1つ思い出した。

 

 

まず最初にレプリカではなく僕が背をつけている地面へ向かって思い切り足を振り下ろした。

 

振り下ろした場所を中心に丸いクレーターが出来上がる。

しかしこの程度でレプリカが見逃すわけがない。

 

現に腕の中から脱出が出来ていない。

 

でも()()()()()()()()()()()

 

僕は思いっきり、とにかく思いっきり息を吸い込んで……

 

 

「わっ!」

 

 

レプリカの耳元で出来る限りの大声で叫んだ。

 

レプリカは顔を一瞬引きつらせた。

そこに首に回されている腕を掴み目に向かって殴り、また液体のような感触がした。

 

そして腕をレプリカの目の部分に埋まった状態で()()()

 

「っ…」

 

「やっぱり」

 

腕を止めた瞬間に尻尾で薙ぎ払うと今度は当たった。

それで確信に近いものを得た。

 

いつだったか、パムにレプリカの弱点を聞いた時に言われたことをようやく理解した。

 

 

(レプリカの魔法は種類が多く汎用性がとてつもなく高いのが強い。が、逆に言えばそこが弱点でもある)

 

 

陥没した地面に叩きつけたレプリカはしばらくそのまま動かなかった。

 

「…あー、くっそ…油断したなぁ…」

 

「ようやくわかったよ。ずっとスイムスイムの魔法を使っていたんだな」

 

「ご名答…。ケホッ。さてと…向こうは向こうで待ちきれなくなったらしい。戦力を減らされる前にとっとと決着をつけようか」

 

レプリカがパムのいる方向を見ると、そちらでも戦闘が始まっていた。

 

魔王パムとほか5人ほどが戦い始めた。

 

「ま、大丈夫…でしょ。ただのストレス発散…だろうしね。…御託はこのくらいにしとこう。さっさと再開しよう。さあ、本気で殺しにこい、『魔王の騎士』」

 

「ああ、全身全霊で挑ませてもらう。『魔法少女殺し』」

 

そして友達(ライバル)と覇を競い合うという至高の時間を

 

嘗て僕が求めてきたものを

 

嘗てクラムベリーに真正面から否定されたものを

 

相手を殺しに行っているというのに、僕はめいいっぱい楽しんだ。




嘗てラ・ピュセルは力を試したい、ライバルと競い合いたい。
そう夢見ていた。

でもそれは森の音楽家クラムベリーによって粉々に叩き潰された。

これは本家での出来事。

この物語では更にレプリカという異分子によってクラムベリーも少なからず狂気度が上がっています。なので本家よりももっと惨たらしく、徹底的に叩き潰されています。


でもラ・ピュセルは最後までスノーホワイトのために、そしてレプリカの為に戦い抜いた、という裏設定もあります



読んでくださりありがとうございます

レプリカについて(本編には全く影響しません)

  • 好き(受け入れられる)
  • 嫌い(受け入れられない
  • どちらでもない
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