魔法少女育成計画 己の大切な人を生かしたい   作:紀野感無

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今日は、私の研究をしたいだとかいう部署が、私を起こした。

前起こされた時から1週間ほど経っているというが、実感がわかない。
まあいい。私の研究をしたところで、私を作れるわけはない。

クローンといえど、私にはかなわない。

私ほどの、殺人マシーンはそうそう作れないだろうね。

せいぜい、無駄な研究を、頑張れ。





4話

☆淡雪ミヤビ

 

「「…………」」

 

「わっ!ちょ…ちが……」

 

「……」

 

スノーホワイトと共に部屋に戻ると

 

岸辺颯太が、珠を、押し倒していた。

 

珠は、顔を真っ赤にして、固まっていた。岸辺颯太は、慌てて離れるが、そんなものは気にせず、僕もスノーホワイトも、さっきわざわざ変身を解いたというのに、無言で、冷たい笑顔のまま、マジカルフォンを操作した。

 

そこからの動きは互いに示し合わせたわけでもないのにスムーズで、早かった。

 

私が珠に寄り添い、岸辺颯太を監視するように。

スノーホワイトが岸辺颯太に無言で近づいた。

 

「(まずい…どうすれば…)」

「ねぇ、何がまずいの?そうちゃん?」

「ひっ⁉︎」

 

「珠、何があったの。大丈夫、今からラ・ピュセルはボコボコにするから」

「い、いや、ちょっ、まっ……」

「岸辺颯太、ラ・ピュセル。君は、私との約束を、破ったと。守るという、約束を。それを君は……」

「ち、違うの!私のせいなの!」

 

「……ひとまず、説明して欲しいな。何があったのか。スノーホワイトも、それでいい?」

 

スノーホワイトが頷き、ひとまず岸辺颯太を正座させた。

 

 

 

 

「つまり……虫が出て騒いでしまって、そうちゃんを引っ張ってしまった?」

「は、はい。本当に……ごめんなさい」

 

まあ、珠は虫苦手だししょうがないか。

 

「……でも、なんで珠はあんなに顔を赤らめてたの?」

 

「「っ⁉︎」」

 

それを言った瞬間に二人が顔をそらしてまた赤くした。

……何をしたんだ。

 

「……へーえ、そうちゃん。へーえ」

 

「ち、ちがう!事故!事故です!決して!下心は!ないです!」

 

「珠、何されたの。でないと、私はこのまま殴ってしまいそうになる」

 

「……」

 

「レプリカ……いや、ミヤビさんのほうがいいかな?」

「お好きなように」

「珠の体裁を保つ為にも、聞かないであげて」

「……?」

 

 

一応解説しておくとすっ転んだ際にラ・ピュセルの手がたまたま胸に行ってしまったとのこと。

 

 

ピロリン♪

 

 

「……チッ。ごめん珠。呼び出された。私だけらしいから、ちょっと行ってくる。その間……2人と仲良く、遊んでいなよ」

 

「う、うん。ミヤビちゃん、無理しないで…ね?」

 

「無理は生まれてこのかた一度もしたことないよ。心配ご無用。……お二人とも、もし家族に何か言われたら『淡雪ミヤビに許可は取ってる』と、伝えて」

 

 

 

 

 

「は?」

 

「だから今晩仕掛ける。そのための案をお前も出せ」

 

「……言っている意味お分かりで?それをするのは宣戦布告とさして変わらない。つまりは、私たちも狙われるということになる」

 

「関係ない。全員返り討ちにすればいいだけ」

 

「……」

 

こいつは、呼び出したかと思えばしょうもないことを。

魔法少女でいられないのがそんなに不服か。

 

私を(無理やり)チームに引き入れたこのルーラという魔法少女は集会場である古びた神社に私を呼び寄せ、開口一番に「今晩仕掛ける」と言ってきた。

マスコットキャラのファヴにより人助けを最もしていない者から資格剥奪というのを聞かされてから何故こんなにも躍起になっている。

 

 

……いや、死ぬということが発覚したからか。

 

 

「で?誰に仕掛けるわけで?」

 

「決まっている。スノーホワイトよ」

 

「……」

 

まあ、そうだろうね。現状一番溜め込んでいるのはスノーホワイトだ。ランキングでも一位だったわけだし。

 

「それで?」

 

「?」

 

「何か考えろと私は言ったわよ」

 

「少しは貴女も自分で考えてみては?……貴女の考えていることは、私及びユナエル、ミナエル、珠の4人でラ・ピュセルの足止め。そしてスイムスイムと貴女でスノーホワイト」

 

「正解よ。戦力過多とは言え確実に行く。ラ・ピュセルは確実に抑えておけ」

 

つまりは、私は危ないことしたくないからお前ら代わりにやれ、という事だろう。

 

「いいですが、その代わり条件がある」

 

「はぁ?部下の分際で私に条件?」

 

「一つ言っておく、私はお前の部下になった覚えはない。お前に強制的に入らされているだけだ。

 

今回の作戦には珠を参加させない。そしてこれを請け負う代わりに、珠と共にルーラ組は抜ける。それが条件だ。お前の元では、確実に珠が、危険にさらされるのはよくわかった」

 

「お前たちに行くあてでもあるわけ?」

 

「別に行くあてなど無い。いらない。私たちは2人で活動を、するだけだ」

 

ルーラの考えはわかっている。自分の都合のいい駒がいなくなるのが嫌なだけだ。

 

「それを呑むなら、私はいくらでも協力しよう。今夜限り、だけれどね。もし約束を破るなら、私はお前を殺す」

 

「いいだろう。だが断言してやろう。お前はともかく、珠は必ず私の元に戻るでしょうね」

 

「そんなこと、私がさせない」

 

 

 

 

 

 

「……」

 

予想外、予想外すぎた。まさか珠がまだ共に行動しているなんて思いもしなかった。私の姿が見られていないのが唯一の救いだろうか。

 

「レプリカ、なんのつもりだ」

 

「……君も知っているだろう。人助けをして、得られるキャンディーが、いちばん少ないものから、死んでいく」

 

「ああ」

 

「そして、昨日の夜、追加された機能を思い出せ。そうすれば……答えは自ずと出てくる」

 

「機能……?確かキャンディーのやりとりができる……はっ、まさか!」

 

「ああ、ルーラはこう考えた訳だ。『奪うのが手っ取り早い』と。それを否定もしないし、なんなら肯定する。だが、断言出来る。ルーラがそんな事をできるのは今回限りだ。私もね。そもそも私は珠を悲しませたくない。だが……今後を見越すと協力したほうがいいと、そう判断した」

 

「……?どういう……」

 

「御託は終わりだ。さっさと、始めさせてもらう。君がスノーホワイトを、助けに行く前にね」

 

 

 

 

 

「ぐっ……」

「遅い」

 

ラ・ピュセルの剣の軌道を、横から叩いてそらし、振り切った直後に腹に蹴りを入れる。なんとか耐えたようだが、追撃をするように近づき、腕を持って叩きつける。

 

それでも戦意喪失はしていないようで、即座に立ち上がり距離を取ってくる。

 

「今回は、前のように放り投げることはしない。最後まで、叩き潰そう」

 

 

 

 

 

「……」

 

結構痛い。斬られた部分はどうなるのだろうか。放っておけば治る程度なら、いいんだけど。

 

「くそがっ!あの駄犬!」

 

「まあまあ」

「珠はもともと向いてなかったというかー」

「そーそー。そもそもレプリカが参加させなかったのが悪いというかー」

 

「……私は、きちんと役目は果たした。ラ・ピュセルを止めておく、という役目を。それなのに目的を果たせなかったのはそっちだ。故に、悪いのはお前達だ。私ではない。そもそも……珠を侮るからだ。あの子は、自分の信念のために従えたなら、強い。それを、弱いと決めつけていたのは、お前達だろう?だから、珠1人が想定外の動きをしただけで、崩れ去った。

 

はは、滑稽だなぁ。自称有能のルーラさん?お前は、所詮その程度の存在だ」

 

「なめるなっ!ルーラの名の下に命ずる!レプリカよ……」

 

と、命令をされそうだったので、されきる前に動く。

コイツの魔法は『なんでも命令できる』ものだが、言い切られなければどうということはない。

 

喉を突き、一瞬声を奪い、同時に胸に肘打ちをかます。メキメキと音を立ててルーラは吹っ飛んだ。

 

「ゲホ…ガハ……」

 

魔法少女なら、肋が折れる程度、大したことはないだろう。

 

「……手を出したいなら、ご自由に」

 

双子の天使のユナエル、ミナエルとスクール水着の魔法少女スイムスイムに言うと、双子の天使は怖気付いて後ろに下がっていた。スイムスイムは……わからん。コイツ何考えてるのかさっぱりわからない。

 

が、見る限り手を出してくる様子はないようだ。

 

「手を出したのは、お前だ。これは、お前が売った喧嘩だ。だから、私はそれを買ってやろう。さあ、死ぬまで、戦おうか」

 

確かめたいことも、あるしね。

 

 

 

 

「ぁ……ぁ、う……」

 

「ね、ねえ。もうそれくらいにしてあげたほうがいいんじゃないかなーって」

「そ、そうそう。ルーラも、もう舐めた口聞かないと思うっていうかー」

 

「……互いに、異常な力を持った者同士が、ぶつかって、無事で済むとでも?それに、ルーラ(こいつ)は、珠をバカにしすぎた。それは、私にとっては万死に値する。私にとってコイツは、生きる価値なんか、ない」

 

「そ、そこまで言わなくてもいいんじゃなーいかな、と思ったり」

「そ、そうそう。流石にかわいそーう、と思ったり」

 

ルーラを流石に可哀想と思ったのか、双子の天使は辞めるよう促してくる。が、関係はない。死ぬまで、拷問するだけだ。

 

さて、腕を捻じ曲げるはやった。

指の爪を剥がすのもやった。

歯をへし折るのもやった。

顔をひたすら殴るのもやった。

膝関節を砕くのもやった。

 

あとは何ができるかな。

 

 

 

 

 

どうせ死ぬ運命に変わりないんだから、もっと出来ることを、したいな。

 

 

 

 

「ねえ」

 

「?」

 

「ルーラは?」

 

「もう動かなくなったから、捨ててきた。あとは知らない」

 

「そう」

 

「で。君との約束は、果たしたわけだ。だから、今後私と珠は君たちのチームと協力はしない」

 

「わかった」

 

スイムスイムと淡々と話し合い、区切りをつけたところで神社を出る。入口のすぐ近くにズタボロになって喋ることすらできなくなったルーラがいた。森の中に捨ててきたはずなんだけど、執念で戻ってきたのかな?

 

「……!……!」

 

何かを言おうとしている、が何も聞こえない。空気の漏れる音だけだ。

 

しかしその目は、絶対に殺してやる、という憎しみの目だった。

 

無駄だというのにね。

 

 

もう、死ぬのにね。

 

 

私はマジカルフォンを操作して、順位を、見せつけてやる。もうひ日付は変わっている。

そして、今日は結果発表の日だ。

 

ランキングを下にスライドさせていき、一番下。

 

『ルーラ』の文字を表示させルーラに見せる。

それを見て、憎しみの目から、恐怖の目に変わっていった。

 

 

死ぬのを自覚するなんて、どんな気持ちなんだろうね。

まだ生きたい、とか思うのかな。

今回与えられる死ってどういうものなんだろうね。

一番最初に死んだねむりんという魔法少女は心臓発作だったが、さてはてルーラはどんな死に方になるのかな。

 

 




名前が、思い出せなくなってきた。
自分の名前は、レプリカでない名前は、なんだったか。

『ミヤビ』だけは、覚えていられる。が、他のことが、人間だった頃の私の情報が、思い出せない。


……いや、いらないから別にいいか。

レプリカについて(本編には全く影響しません)

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