ああ、殺した奴の魔法を使えと。
そいつしか持ち得ない魔法?あっそう。
そんな奴らを差し向けたのはお前たちだろう。
勝手なことを。
が、逆らう手段が
まあ、もうしばらくは、遊ぼうか。
☆レプリカ
「……。何の用だ」
「おや、気づいていましたか」
「そんな敵意ダダ漏れで隠れたつもりとか思ってる?」
帰り際、曲がり角に向かって喋るとそこから一人の魔法少女が出てきた。
確か……森の音楽家クラムベリー。
「いえいえ、まだ赤子同然の新米魔法少女は感じ取れないと思っていましたから。だがどうやらあなたはただの新米ではないようですね」
「……昔から、敵意を感じ取る環境下にいたもので」
リアルに対面してよくわかる。
コイツはやばい。今は勝てる気がしない。
「そう警戒をしないでください。今とって食おうなど、そんな
「……?」
こいつの意図はなんだ。
よくわからない。特に喧嘩売った記憶もないんだけど。
「で、私に何の用だ。私は、今から帰るんだが」
「いえいえ、一つ手合わせを、と思いまして」
「やらない、と言ったら?」
「無理矢理にでも」
知ってた。
直感でわかった。こいつはある意味私と同類だ。目的のためならば、手段を選ばない。
「ご心配無く、殺す気はないです。先ほども言いましたが、そんなもったいない事はしません。今は軽い手合わせです。それに……
貴女の大切な方に手は出されたくないでしょう?」
それを言われた瞬間、私の体は素早く動いた。
間合いを詰め、右腕を刀の刀身に変え、クラムベリーの顔面めがけて突き刺す。
それを首を逸らすだけで避けられ、腹に膝蹴りをされる。
「ふむ、いい踏み込みと躊躇いの無さです。育てがいがある」
「何の話だ」
「こちらの話です。
「……昔から体だけは頑丈なもので」
「そうですか。それはそうと、あなたにいい話があるのですが、聞く気は?」
クラムベリーをにらみながら会話をする。
しかし、勝てるビジョンが浮かばない。さっきの交戦で、それをひしひしと身に感じた。
が、だからなんだと言う。
珠に危害を加えると言うのなら、誰であろうと容赦はしない。
こいつをこの場で殺す、それしか僕の頭にはなかった。
「…………」
「おや、まだ生きていますか。それは上々。こちらも殺す気でやったんですが」
最終的に、私はボロ雑巾となってその場に横たわってしまった。右腕は折れあらゆる所が痛い。
体はもう、ほとんど動かせない。
「なんで、私なんかを、狙った」
「単純なことです、あなたが今回の魔法少女候補の中で1番だと思った。それだけのことです」
「1番……?」
何を、言っている。
「おやおや、まさかキャンディー目的で襲われたと思いですか?残念ながら、私はキャンディーなど必要ありません。私が求めているのはただ一つ。圧倒的強者のみ。私すらを、凌駕し得るね。
ですのでご安心ください。私は貴女の大切な方には微塵も手を出す気などありませんので」
ああ、そうか。
つまりは僕はいともたやすくこいつの手のひらで踊らされたと、そういうことか。
「で……僕に、どうしろと」
「話が早くて助かります。取引をしましょう。
私は貴女の大切なものには手を出さない。その代わり、貴女は私と今後、1対1を、毎晩やりましょう。ああ、キャンディーのことはご心配なく。死なないように、しておいてあげます。それとこちらは初回特別サービス、というやつです」
そう言って顔の横に何か、小瓶のようなものを置かれる。
「有り体にいてば回復役です。魔法扱い、とでも言えば良いでしょうか。即時回復ではありませんが、1日経てばほとんど全快するでしょう。貴女が取引を受けるというのならば、これを差し上げます。
答えは、どうですか?」
そう言われるも、返事は決まっている。
「ああ、わかった。……けど、約束を違えてみろ、その時は、許さない」
「約束は守りますよ。それに私が興味あるのは強者のみ。それ以外にはそもそも興味がありません。それでは、これで失礼しますね。レプリカ」
体が動かせないが、クラムベリーが離れていったのはわかった。気配が無くなるまで待ち、何とか、悲鳴を上げている体を持ち上げ、横に置かれた薄緑色の液体の入った小瓶の蓋を開け、一気に飲み干す。
その瞬間体に走ったのは激痛。今まで受けた全ての暴力、痛みなど比にならないほどの激痛が一気に身体中を駆け巡った。
声にならない叫びを上げ、痛みに耐えきれず意識を失った。
「クラムベリー、性格ねじ曲がりすぎじゃないかぽん?」
「さて、何のことでしょう」
「確かにあの子瓶は回復薬だぽん。けど、一気に治すからその分の反動で……確か代謝とか言ったっけか。ソレのせいで治る前にショックで死ぬ。だから製造をやめたはずぽん」
「ああ、そう言えばそうでしたね。うっかりしてました。てすが、私の殺す気の攻撃に耐え切ったのです。あの程度、耐えて当然でしょう」
「……死んでも知らないぽん」
クラムベリーは、
その顔は、まるで新しいオモチャを見つけたかのように、笑っていた。
「にしても……こいつ、どこかでみた気がするぽん……」
ファヴは、レプリカのデータを、性格には
☆レプリカ
「……」
目がさめると、もう日差しが差し込んでいた。
どうやら気絶した後、一晩経ったらしい。
「本当に、治ってる。けど……もう二度とごめんだ。」
今までで1番と言って良いほど、死んだと思った。それほど、あの激痛はやばかった。
「ひとまず、家に帰るか」
あの回復薬は、効力だけは本物のようで、腕も、全身も、ありとあらゆる外傷が治っていた。
が、二度と使いたくない。
「いや、違う。家には帰らなくて良いんだ。どうせあのクソ親どもだ。僕が帰ろうが帰らなかろうがどうでも良いはずだ。あいつらの目的は、私の持っている金だけだ」
私の、肉親の遺した遺産が得られるかも、と思ったからこそ、あの家族は私を受け入れたのだろう。
「さて、学校に、あのクソいじめ野郎どものところに、行くか」
☆岸辺颯太
「そうちゃん?どうしたの?」
「颯太さん……?」
「いや……うん、ごめん……淡雪さんがどこかにいるかな、と思って」
「ミヤビちゃんですか?……その、昨日から帰ってきていないんです。今までは、そんなことはなかったんですけど」
そう言いながら段々と落ち込んでる珠を何とかなだめながら途中で別れ、それぞれの教室に行く。
「どうしたの?ミヤビさんに用事?」
「え?ああ、うん。ちょっと、ね」
昨日、僕は淡雪ミヤビに、レプリカに襲われた。そして行動を共にしていたスノーホワイト----小雪と珠はルーラ組に襲われた。
その時に不思議だったのが、レプリカは途中から明らかに手を抜いていた。
まるで早く助けに行け、とでも言わんばかりに。
それについて聞きたかったが……今は叶わない。
「(ひとまず、珠さんがいじめに合わないように、助けないと。淡雪ミヤビとの約束を守れなかったらと思うと、ゾッとする)」
授業が終わると同時に珠さんの元へ行こうと、固く決意をした。
「……え?」
「お、お願いです!ミヤビちゃんを……助けてください!」
昼休憩になり、すぐに珠さんの元へ行くと、泣きながらそう言われた。
何とかなだめるも珠さんはずっと助けて欲しいと、言っていた。
五分ほどかけて何とか落ち着かせ、事情を聞くと今日は淡雪さんが来ていて、例のいじめっ子達に連れていかれたという。それを助けようとしたら淡雪さんに止められ、そのまま連れていかれた、らしい。
「私、あの人たちに睨まれて、体が動かなくなっちゃって、ど、どうしよう。ミヤビちゃんに何かあったら……」
「……珠さん。淡雪さんは、どこに連れていかれたか、わかる?」
「ご、ごめんなさい。わからない……です。本当なら私がしっかりしないといけないのに、どうしよう。ミヤビちゃんに何かあったら……」
後悔と悔しさでいっぱいなんだろう。珠は泣きながら何度もごめんなさいと繰り返し、その場にうずくまった。
「……大丈夫、任せて。きっと助けるから」
泣きじゃくっている珠の肩を持ち、顔を上げ、面と向かって告げる。
「絶対に、助ける。何があっても。大丈夫、僕はこれでも運動部なんだ。運動神経には自信がある。魔法少女になれなくても、これしきの事、軽くこなしてみせるよ」
「くそッ、あれだけ大見得切ったのに、見つからない……」
後から来た小雪に珠さんを託して、僕はいそうな場所を順々に回った。
が、そのどこにもいない。
思い当たる場所は、全部探し尽くし……
「……いや、まだある。一つだけ……行ってない場所が」
「……いた」
屋上まで足を運ぶと、数人の声がした。
前に通った時とは違い、通りやすくなっていた。
それも踏まえて、ここを通ったのだと確信が持てた。
ゆっくりとドアを開けると、淡雪ミヤビと他数人の男子生徒が。その中にはいじめっ子の主犯もいた。
そして淡雪ミヤビ以外の全員がその場に倒れていた。
「大見得きったくせして、その程度?笑わせてくれる」
「こ……の。がっ⁉︎」
「個々の力で敵わないと分かっているのに、何故協力をしないのかな。数さえ揃えれば勝てるなんて、何処かの誰かさんと一緒だ」
淡雪ミヤビは、例の男子生徒に馬乗りになり、何かを言おうとするたびに殴り、黙らせていた。
その手は血に濡れており、目は何も映していないかのように、冷酷な瞳を、していた。
思わず寒気がするほどに。
「で?もう一度言ってみなよ。珠を、どうするって?僕の耳が遠くなっていたのかもしれない。もしかしたら、これは不毛な争いで、僕は君に謝るべきなのかもしれない。
ほら?もう一度、言ってみろ。珠を、どうするって?」
聞いておきながら、ミシミシと音が聞こえるような明らかに殺す勢いで首を締めつけている。まるで答えさせる気がないかのように。
そう感じた瞬間に、ドアを勢いよく開け走り出し淡雪ミヤビへ向かってタックルを仕掛けた。
僕の登場が予想外だったのか驚いた顔でほぼ全員が僕を見ていた。
「ミヤビ、何で殺そうとしていた」
けど、ミヤビは無表情で僕を見てきた。
背筋が凍るような、そんな感覚がした。
でも、一つ気づいたことがある。
淡雪ミヤビは全身に傷を負っていた。顔は腫れていてアザがあり、腕や足からは血が出ていた。
「最初は、こいつらの思惑通りに、殴られ、蹴られて、それでも無抵抗で気の済むまでやっていたさ。それで珠には手を出さないようにすると、考えたからね。現にこいつらも、そう言っていた。
でもコイツラは、この後に何をすると言ったと思う?
『この後は珠だ。あいつにも地獄を味あわせてやる』
だってさ?だから僕は反撃した。
結局クズは、殺さなきゃ治らない。それを再確認しただけになった。
なあ?何で珠があんなにもいじめられていると、思う?」
ミヤビはそう僕に問われる。
けど、正直珠さんと喋っていて、彼女は他人を馬鹿にしたりだとか、そんなことは全然なかった。
むしろとても優しく、周りに好かれてもおかしくないと思う。
虐められるのが不思議なほどに。
「珠は、運動が苦手で、勉強が苦手で、でもそれを頑張って克服しようとずっと、ずっと頑張っていた。
それでも、結果は伴わなかった。でもしょうがない。人は生まれつき、得意不得意があるんだから。
でも周りの人間は、先生は、親は、そんな珠を『なぜ出来ない』という目で見る。馬鹿にする。挙げ句の果てには珠が強く言えないのをいいことに、無視し、『虐めの対象』にし、『遊ぶ道具』にした。
周りの人間は止めるわけでもなく、それを楽しんでいた。いや、助けたら自分も標的にされる、とでも思ったのかな?
だが、珠をいじめるのを、全員が黙認していた。楽しんでいた。邪魔だと除け者にした。珠を貶すことで、周りに認められていた。自分を認めていた。
『こんなクズとは違う』と。
僕は、そんな輩に情けをかけれるほど、人間ができていない。
他人を貶めることで他人に認められる?
そんなの糞食らえだ。
私は、私の好きな人を貶めてまで、他人と付き合う道理は、無い。
なぁ?他人と能力を比べる時点で、お前は、お前自身を認めていないのと一緒だ。
これで、君の求める答えに、なった?正義の味方気取りの子供」
ミヤビは淡々と機械のように喋り終え、僕の返事を聞く前にいじめの主犯のところへ歩いていく。
「ま、待て!」
「待たない。それにまだやることがある」
「まだ?」
「ああ、コイツらには救いはないのはよくわかった。かつての奴らと同様だ。全員殺す。こいつの親族もろとも、こいつの大切なやつも、ね」
「テメ……手を出してみろ!ぜってえ許さねえ!」
「それだよ、僕が君たちに考えているのはそれと同じだ。他人は良くて自分はダメ?ふざけるなよ?」
完全に蚊帳の外だったが、ミヤビがさらに何かをしようとしたのを見てミヤビの手首を思い切りつかんだ。
そうだ、そもそもここにきたのも
「それ以上は、させない」
「……?何で君がこいつらを助ける。こいつらの味方をするなら、君にも、容赦はしない」
「構わない。だが、それ以上君が道を踏み外すのを見過ごすわけにはいかない。珠にも頼まれているから。君を止めに来た」
「僕を?珠が?そんなわ……け」
突然、ミヤビの言葉が途切れた。ミヤビが背中の方に目を向けようとし、それでも動かなくて僕が目を向けると主犯の子がいた。
何かを、突き刺したかのようにミヤビの背中に張り付いていた。
「これ……いじょう、やら、せるか」
離れたかと思うと、手に握っていたのは血に濡れていたナイフ。ミヤビが倒れると同時に男も倒れた。
僕は何が何やら分からなかったが、とにかくまずいということだけはわかり、救急車を呼んだ。
レプリカについて(本編には全く影響しません)
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好き(受け入れられる)
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嫌い(受け入れられない
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どちらでもない