魔法少女育成計画 己の大切な人を生かしたい   作:紀野感無

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「正直に言わせてもらうとですね、私は君が欲しい。君は私の力が欲しい。だから私と協力関係になる。Win-Winじゃないか。なぜこうも拒否するんですか?」

「何度も言ってるだろ。珠を利用しようとしていたお前と協力関係?死んでも嫌だね。それに、私が求めるのはお前の魔法であって、お前の脳とかはいらない。お前が、私の前で魔法を見せてくれれば、それだけでいい。そうすれば私は、お前を遠慮なく殺せる。

……この監獄さえなければ、だが」

「まあそうでしょうね。話すことができるとはいえ私も貴女も封じられてる身。
この監獄さえなければ、貴女を飼い慣らして見せるんですが」

「出来るものならやってみろ。その前に喉笛を噛み砕いてやる」



8話

☆スノーホワイト

 

「え?」

 

最初は聞き間違いかと思った。でも、次第に聞こえてた声は大きく、はっきりとしたものになっていた。

 

「っ!間に合って!」

 

聞こえてきたのは『助けて。殺される』という声。

時間が経つにつれて、似たような声が増えてきた。

 

男の人の声が1つ。女の人の声が1つ。小学生くらいの男女の声が、ふたつ。

 

女の人の声は、聞いた事が一回だけある。

記憶に間違いがなければ()()()()()()

 

「お願い。生きてて……」

 

不安をなんとか振り払い、全速力で声の聞こえてくる方へ走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ⁉︎」

 

次第に見えてきたのは、珠の家だった辺りから上がっている煙。

声がもう聞こえない。

 

「確か、この辺……」

 

珠の家の方へ向かうも、人混みに溢れている。消防車や警察も来ている。

嫌な予感を、拭えなかった。

 

「君!離れて!大丈夫!絶対助けるから!」

「……」

 

消防士の人に懸命に説得されている男の子がいた。

 

地面にへたり込み、虚無の笑顔をしていた。

その前では、珠達の家が、勢いよく燃えていた。

 

 

見間違えようもない。あれは、レプリカだ。

 

 

「れぷ……キミ!大丈夫⁉︎」

 

「……」

 

思わずレプリカと呼んでしまいそうになり、慌てて敬称で呼ぶ。

肩を揺らすも、まるで抜け殻のように何も感じない。

 

「君!知り合いならこの子を此処から離してくれ!」

「はい!」

 

レプリカを抱え、裏路地の方へ連れて行く。

 

「レプリカ、大丈夫?」

「……っ!」

「きゃっ⁉︎」

 

急に動いたかと思うとレプリカは私に向かって勢いよく腕を突き刺そうとしてきた。

 

急な出来事で思わず後ろに転けてしまった。

すぐに後ろへジャンプして距離を取り、レプリカの動きを注視していると突然、先ほどまでの虚無の顔はどこへ行ったのか、ハキハキと喋り出した。

 

「ん?ああスノーホワイト。やあ。キャンディー集めは調子いい?僕の演技、なかなかうまくいってただろう?心配しなくても僕は大丈夫さ。帰る家が燃えた、いや燃やしただけ」

 

次々と止めどなく言葉がレプリカの口から溢れてくる。自分の家が燃えたと言うのに。

 

しかしレプリカの顔はずっと笑っていた。中身のない笑顔で。

 

「はは。そうだよ。なんで忘れていたんだか。邪魔なものは、全部、消せばいいんだ。いままでとやることは変わらない。珠の安全を脅かすモノは全部、消せば、いいんだ。なんで回りくどいことを、やっていたのか。ははっ」

 

「レプリカ……どういう、ことなの?」

 

「そうさ、邪魔なものは全部消す。それがボクのやり方。ずっとそれをし続けていたのに、ラ・ピュセルのせいで、ボクの中の何かが狂った。ラ・ピュセルは悪くないさ。ああ、ボクの心の弱さが原因だ。強く、在らないと。そうだ、学校の奴らも、全て、一つ残らず、消せば、珠を害するモノは消えるんだ……。ふふ、早く、やらないと」

 

フラフラしながらもレプリカは立ち上がる。

私のことなんかもう見えていないかのように、どこかへ行こうとしていた。

 

「ま、待って!レプリカ!」

 

「待たない。僕はもう十分待った。

 

珠の家族だから、いつかはあの子を見捨てずに受け入れてくれると、5年以上待った。

 

でも変わらなかった。

 

だから、殺した。

 

僕は結局、在り方を変えることはできない。

 

僕は僕のやり方を貫くために、力をつける。

 

……じゃあね、スノー・ホワイト。珠を、ヨロシク。次会う時は、敵だ」

 

 

全てに憎しみを抱いているかのような目をしているレプリカを、私は止めることができなかった。

かける言葉が、何一つ見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、どうしました。貴女から呼ぶとは珍しい」

 

「……手合わせ願います。師匠」

 

「構いませんが……何か心境の変化でも?」

 

「話すことは、無い。やらないなら……」

 

「そうですか。……今日はあまり手抜きでは相手しない方が良さそうですね」

 

 

 

 

 

☆淡雪・エレガ・ノース

 

「ふふ、やっぱり」

 

『……わかっていたのか?』

 

「当たり前よ。あの子が、出来損ないに向ける敵意をいつまでも放っておくわけないもの。流石は私の子よねぇ」

 

『……アンタにずっとついていたけど、改めてお前のヤバさを認識してるよ』

 

「今更ねぇ。でもお前もあまり人のこと言えないわよね?私の為に何でもこなすんだから。一体何人の魔法使いと魔法少女をその毒牙にかけたのかしら?」

 

『私は、お嬢様に従うよう、作られましたから』

 

「そんな棒読みでお嬢様と言われてもねぇ。やっぱり造られた魔法少女はロボットと大差ないわ。唯一の利点は裏切らないこととはよく言ったものよ」

 

『お褒めに預かり光栄です』

 

「どこをどう聞いたら褒めたと思ったわけ?」

 

『感じたことを素直に言葉にしただけでございます』

 

「……年々、生意気になってきてるわね」

 

『お褒めに……』

 

「だから褒めてねえっての。それと急な敬語やめてちょうだい気持ち悪い」

 

とある魔法少女からパチって複製した水晶玉から我が子の行末を見ながら、今日も退屈な生ぬるい殺し合いを人造魔法少女とする。

 

さて、どうなるのかしらね。楽しみで仕方ないわぁ。

 

 

 

いつか、私が全部独り占めしてあげる。愛しい我が子。

 

 

 

 

 

☆森の音楽家クラムベリー

 

「(これは……)」

「考え事ですか?」

「いえいえ。少し、ね」

 

私は今まで、レプリカのことを単なる『戦闘の才能の持ち主』と考えていたが、その認識を改める必要がありそうですね。

戦闘の才能は勿論のこと、『命を刈り取る』才能の持ち主と考えるべきでしょうか。

 

命を刈り取るためなら手段は選ばず、超効率重視。

勝負の勝ち負けは本人にとっては関係なし。

殺すことが全て。そのための過程はどうでもいい。

常にどうすれば殺すことへ繋がるのか。

 

そんな動き方になっている。

 

「まだまだ動きは荒削りですが、ね」

 

無造作に伸ばしてきた腕を掴み上空へ跳ね上げる。ついでに音の爆撃を鳴らす。

案の定耳を塞いでいたので飛び上がり、踵落としを顔面にキメる。

 

「……!ほう、防ぎますか」

 

「か……はっ」

 

咄嗟に体が反応したのだろうか。

顔面を潰す気でいたのに、伝わってきた感触は腕の感触。

折れているでしょうが、それでもあの不安定な体制と音の爆撃の中防御をするのは、嬉しい誤算だった。

 

「ふふ……戦いの中で成長しているようですね。感心感心。……おや、もう時間ですか」

 

マジカルフォンからアラームが鳴り、予定の時間が過ぎたことを知る。

 

まだまだ殺し合いたいところですが、今日のところは終いに……

 

「何、終わった、雰囲気、出してるんです」

 

「終わりです。1日で詰め込みすぎるのは良く有りませんから。まずはその体を治してきなさい。適度に修行し、適度に休むのも重要です。それに……

 

貴女は他にやるべきことがあるのでは?」

 

「……そうでした、アイツラを、殺さないと……珠の、為に……行かなきゃ」

 

その言葉で我に帰ったのか、レプリカはまるで恨みのある亡霊のようなことを呟きながらフラフラした足取りで去っていった。

 

「一波乱ありそうですね。まあ関係ありません。強くなるのならなんであれ歓迎しますよ。淡雪家」

 

 

 

 

 

 

☆岸辺颯太

 

「え……」

「なん……」

 

僕は今日もキャンディー集めと珠との訓練が終わり、家まで送り届け、帰宅する

 

 

つもりだった。

 

 

珠の家へ近づけば近づくたび、聞こえてきたのは大量のサイレン。

見えてきたのは、珠の家があったあたりに集まっていた沢山の人。

 

 

嫌でも、何が起こったのか予想できた。

 

 

「ミヤ……ビ……ちゃ……お母……お父……

 

 

珠は現実が受け入れられてないようで、その場にへたり込んでしまった。

 

何かしなければ。

心ではそう思っていても体が動かない。

 

何をすればいいのか分からなくなっていた。

 

珠の家族を助けに入るか、それとも珠をこの場から遠ざけるべきか。

 

「あ……の、お母さんは……ミヤビちゃんは……」

 

混乱して周りが見えておらず、珠は気づいたら消防士の近くまでふらふらと近づいていた。

 

「みんな無事だ!大丈夫!絶対みんな助けてみせる。だから、今は離…」ドガァァァァァァァァァン!!!!

 

 

きっと何かに引火したのだろう。

大爆発を起こし、屋根の一部から火柱が見える。

 

一体、珠が何をしたというのか。

彼女はただ、必死に変わろうとしていただけなのに。

 

なぜ世界は彼女にこのような仕打ちしかしない。

 

 

この世界はそれほど彼女が嫌いなのか。

 

 

 

 

 

 

 

「ヴェス・ウィンタープリズン」

 

「……突然襲ってくるとは、何の用だ」

 

「いえ、一つ、手合わせを、しに来ました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

昨日は色々とありすぎた。

まずはやるべき事を確認しなければ。

 

「珠は警察に保護。ラ・ピュセル、スノーホワイトはまだ登校していない。いつも通りなら別々に登校する。クラスが違うとはいえ……少し、念には念を……」

 

珠をこれまで虐めていた奴は、できる限り頭に入ってる。そいつらを一箇所に集める時間もいる。

 

「善は急げ、だ。行くか」

 

粛清の時だ。

 

 

 

 

☆岸辺颯太

 

「あ、そうちゃん!」

「小雪。大丈夫だったのか?昨日、あれから連絡取れなかったから……」

「うん、私は大丈夫。それよりも珠さんとミヤビさんは……」

「珠は、今は念のため警察の人が保護してくれてる。ミヤビは……ごめん、昨日からどこにいるのか……マジカルフォンで呼んでも出ないし…」

 

「昨日は忙しかったからね、君の呼び出しに応じる暇がなかっただけだ」

 

「「⁉︎」」

 

突然、本当に突然ミヤビ……今はレプリカか。レプリカが背後に現れた。

 

「ミヤビさん。忙しかったって……?昨日、お家が燃えちゃったのに。それに聞きたいことが…」

 

「ああ、珠達の家族を殺して、家を燃やしたのは僕さ。それが何か?」

 

「な……何を!」

 

「要らない存在だったからだ」

 

酷く冷たい目で、レプリカは淡々と小雪へ告げた。

 

もう全てに諦めたかのような、そんな目だ。

 

「…なんで、僕たちの前に姿を現した」

 

「ああ。そうそう。忘れてたよ。で、スノーホワイト、もう僕への質問は?」

 

「……なんで、珠さんのそばへいてあげなかったの?珠さんは、貴方にとって大切な人なんでしょう?」

 

「ああ、そうだね。僕にとって珠はこの世のどんなことよりも大切だ。たとえ珠以外の全ての生物が死に絶えようとも、珠さえ生きていれば、僕はそれでいい。

 

あの子が幸せであるなら、それでいい」

 

「なら……」

 

 

「だからこそ、今の僕は、()()()()()()()()()()()()()()

 

ラ・ピュセル。いや、岸辺颯太。お前、約束は、覚えているんだろうな」

 

 

「……っ、ああ、勿論だ。僕は、この命にかけても、珠を守る。勿論、スノーホワイトも、僕の手の届く人はみんな、守る」

 

「ああ覚えているならそれでいい。

約束を違えた時は、覚悟をしておけ。僕は……前ほど優しくない」

 

お腹に鈍い痛みが走ると同時に、立つことができなくなった。

いつの間にか目の前にレプリカがいて、殴られた、らしい。かろうじて目を動かして小雪を見ると、小雪も同じように、殴られていた。

 

記憶があるのはここまでで、気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆レプリカ

 

今日はみんなよく叫ぶ。たかだか爪を一枚ずつ剥がしたり、関節を一箇所ずつ逆に折り曲げたりしているだけの、痛みのみの苦痛なのに、よく叫ぶ。

 

「いだいいだいいだい!」

 

「五月蝿いなぁ。貴女先生でしょう。ほら、生徒の模範になって。大人しくしててくださいね。僕はまだ連れて来なきゃいけないのがいるんですから」

 

今はだいたい、50人くらいか。

中学に上がってから、珠をいじめた、または見て見ぬ振りをしていたゴミ達。珠が助けを求めても、誰も助けなかったクズ。

外では、何とか救出しようと騒いでいるが、ただの人間が魔法の壁を壊すなんて芸当、できるわけがない。

 

「後は……覚えがある限りだと、5人、くらいか」

 

スイムスイムの魔法で、壁をすり抜け、また探しに行く。

生徒の大半は逃げているらしいが……

 

 

 

誰一人逃がすものか。お前らは、全員、殺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

【新情報】

 

毎度お馴染みファヴだぽん。

 

実は、とんでも無いことが発覚したんだぽん。

 

みんなお馴染みのレプリカなんだけど……

 

実は実は、とっても悪い魔法少女だってことがわかったんだポン。

 

これは完全にファヴの選定ミスだぽん。誠に申し訳ないぽん。

 

レプリカから魔法少女の力を取り上げたいんだけど……悲しいことに、ファヴにはその権限はないんだぽん。

 

だから、みんなにはレプリカの討伐をお願いしたいんだぽん。

 

レプリカを討伐してくれた人には、今後永遠に魔法少女でいられるように!ねむりんみたいに失格になり死亡してしまうことはありません!

レプリカを討伐してくれた魔法少女が選択した魔法少女も、今回はオマケでずっと魔法少女でいられるようにするぽん。

 

でも、それだと全員、っていう子もいると思うぽん。

元々、多くなりすぎて毎週減らすようにしたので本末転倒になっちゃうぽん。

 

なので……最大で2人まで、と致しますぽん。

 

それでは、レプリカ討伐は今このメールが届いた時点からスタートしてほしいぽん。

 

みなさん、各自頑張ってください、ぽん。

 

あ、そうそう。

レプリカ討伐されるまではマジカルキャンディによる脱落者は出ません。

ですが、討伐後はキャンディーによる最下位の脱落は再開されますので、時間がある時は集めておくことをお勧めしますぽん。

 




【臨時ニュース】

本日の朝9時頃、○○中学校の生徒、教師含め70人が惨殺される事件が発生しました。犯人と思われる者は、銀色のブレザー、スカートを着ていたようです。
みなさん、充分お気をつけください。
見つけた際は、速やかに警察へ連絡を。

警察は現在、身元の判明と、被害者のつながりを調べており………



「……ふーん、かなりボヤけて写真には映るんだな。思った以上に、正体バレに関しては力を注いでるのか。……もう少し、大胆に動いても良さそうだな」

次は……ユナエルと、ミナエル、か。

でもスイムスイムが邪魔だな。……纏めて相手してもいいが、かなり面倒になるのは火を見るよりも明らかだし。

「奇襲をかけて、一人ずつ、確実に、()るか」

レプリカについて(本編には全く影響しません)

  • 好き(受け入れられる)
  • 嫌い(受け入れられない
  • どちらでもない
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