魔法少女育成計画 己の大切な人を生かしたい   作:紀野感無

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☆森の音楽家クラムベリー

「……」

マスター用端末に目を向ける。
そこに映っていたのは現在行なっている魔法少女人材育成計画の参加者。

淡雪家の介入を許したので相当荒らされていると思ったが案外そうでもないらしい。

ラ・ピュセル、スノーホワイト、珠が生きているのは当然として他に5人も生き残っているのはいい意味で想定外だった。

今夜が終わればさらに減っているだろうが構わない。
残ったデザートは私がいただくだけなのだから。


14話

☆ラ・ピュセル

 

「なに…が…」

 

パァンという破裂音と共に横から気配が消えた。

先程までメイドらしき人物がいた方向を見るもそちらにも人はいない。

 

「あり?力込めすぎた?」

 

「っ⁉︎」

 

次に聞こえてきた方向は後ろから。

振り返ると首から上がなくなっている銀のセーラー服を纏った体と、先ほどいたメイド。

メイドの体は血に塗れており、惨状から何が起こったのかを理解するのは容易かった。

 

「……っ!こ…の……」

 

「おやまぁ。これはすごい。一撃で意識ごと刈り取る気だったんですけど。いやはや。腐ってもお嬢様の娘、と言ったところでしょうか。にしても再生する過程キッモ」

 

「が…ぁっ!」

 

「おっと」

 

だがその首も順次再生していき、完全に再生し切らない前にレプリカは攻撃を仕掛けるもいつのまにかメイドは先ほどの場所まで戻っていた。

断じて目を離していないのに、目で追えなかった。

 

「んー失敗失敗。もう少し力抜くべきでしたね。あの程度すら視認できないとは」

 

「クソが…何なんだよお前。急に現れたかと思えば、邪魔しかしない。何が目的だ……」

 

「およよ。ちゃんとお伝えしたではないですか。人のお話はちゃんと聞きましょうね?私悲しいです、貴女といいお嬢様といい、人のお話を聞いてくれないのですねシクシク」

 

明らかな嘘泣きをしながらもその目から発せられる殺気は一切衰えない。

 

怖い

逃げ出したい

 

そんな時だった。僕の腕を強く掴む二つの手があった。

 

それのおかげで死による恐怖が僕を一瞬支配するが、なんとか耐えることができた。

 

「ほっほう。あの方に聞いていた限りではレプリカはともかくラ・ピュセル(あなた)はひよっこ同然と聞き及んでいたのですが…これはこれは嬉しい誤算です。が…その後ろのお二方はそうでもないようで」

 

その二つの手はスノーホワイトとたまだった。チラと横目で見ると酷く怯えていた。特に珠はずっとミヤビをみて心配し、泣きそうになっていた。が、珠の顔が一瞬明るくなったと思うと肩に誰かの手が乗せられた。

思わず振り向いてみるとそれはレプリカだった。

 

「ミヤビちゃ…」

「たま。心配、しないで。ボクは、大丈夫だ、から」

 

レプリカはよろよろと僕の横に立った。

だけどあまりにも弱々しく、少しつついただけで倒れてしまいそうだった。

 

「レプリカ、本当に大丈夫なのか?」

「当たり前だ。あんなクソメイドごとき、すぐに殺してみせる」

 

「はっはっは。面白い冗談ですね。でも知ってます?寝言って寝てる時に言うんですよ?」

 

メイドの言葉に意を介さず、レプリカと会話を続ける。

 

「レプリカはアイツを知ってるのか?」

 

「数時間前に、一回。ボクが他の魔法少女の大多数に襲われた時に、急に出てきた。…詳しいことは正直何もわからない。けど、途方もなく強い。キミと最初に対峙した場所、覚えてる?」

 

「ああ。他の魔法少女がたくさん倒れてた…」

 

「覚えてるなら早い。実はアレはボクが引き起こした惨劇じゃない。全部、アイツが単独で殺したって言えばどれだけやばいか分かるか?」

 

「……嘘だろ?」

 

「大マジだ。元々ボクは…」

 

その瞬間、轟音と共に目の前からミヤビが消えた。

 

「敵から目を離すなんていただけませんねぇ。わざわざ私があなた方のお話を待つほどのお人好しにでも見えました?」

「お前っ!」

「おおっと」

 

これ以上好きにさせるのはやばいと本能で感じ、剣を巨大化させ振り抜く。

 

「っ⁉︎」

 

「んーのろっちぃのろっちぃ。ま、レプリカも貴方も『見習い』だと所詮この程度デスか。仕方ないと言えば仕方ないですけど、やはり物足りないデスネェ」

 

「な…」

 

剣を持っていた手が急に床に落ち動かなくなったかと思うとメイドが片足で剣の根元を踏みつけていた。動かそうにもピクリとも動かなかった。

 

「いつ…のまに…」

 

「おや、見えませんでしたか。いつの間にと言われましても、振り切った瞬間に跳んで踏みつけただけですしお寿司。……お寿司食べたくなってきたなぁ。

貴方もどうせなら私が美味しく頂きたいんですが…お嬢様からは私から貴方へ手は決して出さないようにと厳命されておりますゆえ。あくまでも私は…おっと。危ない危ない」

 

剣は使えないと判断して手を離し、顔面に向かって思い切り拳を振るう。が、それもいとも容易く受け止められる。

 

「まったく、レディの顔に傷をつけにくるなんてヒドイですネェ」

 

「お前は…」

 

「ん?」

 

「お前は、何者なんだ。一体なんの目的で…」

 

「おやおやまぁまぁ。アナタもですかそうですか。お嬢様といいレプリカといいアナタといい、人のお話聞かないんですねぇ。ぼくかなちぃ。

とまぁ冗談はさておいて。言ったでしょう?お嬢様にラ・ピュセル(アナタ)のデータをとってこいと命令された、と。正確にはアナタの相手をするのは私ではないのですがね。私の本来の任務はレプリカを止め…いだっ」

「何やってんだよお前」

「何って…味見してましたが」

「勝手なことするなって言ったよな?」

「そんなこと言いましたっけ」

 

もう何が何やらわからなくなってきた。

急にメイドの頭に何かぶつかったと思うと木々の中から3人の魔法少女らしき人物が現れた。どこかで見たことあるような雰囲気の魔法少女が1人、まるでアイドルのような衣装の魔法少女が1人、小悪魔の衣装でまるで無害そうな魔法少女が1人。

 

しかもアイドル風な魔法症状が持っている物に目を奪われてしまった。あれは腕?それと…眼球?

 

「うぷ…」

「おぇっ…」

「うっ…」

 

その光景を認識すると同時に吐き気が催してきた。口を塞いでなんとか逆流するのを防ぐ。

しかし僕は大丈夫でもスノーホワイトと珠は耐えきれず吐いていた。

 

「あららぁ。お嬢様?やはり思春期の子にソレは刺激がお強いようですぜ?てか私も見たくないんですけどきっしょくわりぃ」

「知るかっての。私の趣味に口出しすんなし」

「きもちわりぃ」

「ぶっ壊すぞ人形風情が」

「できる物ならどうぞどうぞ。まあできないんでしょうけどねぇ。プークスクス」

 

 

ズガァン!

メイドが笑った瞬間、顔が地面に埋もれていた。相当強く叩きつけられたのか地面が陥没していた。

 

 

「マジで壊すぞデク人形が」

「ほっほふらいてふぁけんしへくらふぁい(ちょっとくらい手加減してください)」

「チッ。大人しく壊れてろよ」

「んーーーっとうっ!丁重にお断り申し上げます清楚なお嬢様。後いい加減自分のこと清楚って言うのやめません?50代が18歳って言い張ってるくらい見苦しいですよ?」

「さてと、ごめんなさいねぇうちの人形が。本当はお前達に手を出すなって言っておいたんだけどあの不良品、なかなか私の言うこと聞かなくてね」

「おっと無視とは辛辣な」

「もうアイツには手を出させないから安心してちょうだい。それとそっちの2人にも手は出さないわよ。お前達みたいな雑魚に興味ないし」

 

僕に話しかけてきた、恐らくはリーダーらしき魔法少女は僕達を順に一瞥し、再度口を開く。

 

「いつまで寝てんのよミヤビ。内臓潰れた程度じゃ死なないでしょうに。早く起きてこないと、コイツら全員殺しちゃうわよ?もちろんアンタの大好きな珠もね」

「あ、お嬢様お嬢様。アレ、目と喉も潰してるんで暫く喋れないです。ついでに言うなれば毒もぶち込んでるので暫く復帰してきません」

「……」

「テヘッ」

「死ね」

「あだっ」

 

リーダーらしき魔法少女は深いため息をつき、僕を見てきた。

いや、正確には僕の後ろを見ていた。

 

「心配しなくても殺しゃしないわよ。相変わらず泣き虫ねぇ珠。そんなだから弱いままなのよアンタは」

 

「え…?」

「何で私のこと…」

 

「なんでって、ミヤビが大層大事にしてるニンゲンだから把握はしてるわよ。それにアンタの親とは元々顔見知りだしね。いやぁよく聞かされてたわよ『出来損ないのゴミ娘』って。ねえ落ちこぼれ泣き虫弱虫の珠?」

 

「ひっ…」

「おい、それ以上珠に近づくな。さもなければ」

 

震える手を何とか押さえつけ、剣の切っ先を言葉の主へ向ける。

これ以上この魔法少女たちを近づけてはならないと本能が告げていた。

 

「さもなければ?何をするのかしら。命を賭ける覚悟も出来ていないヒヨッコな貴方が何を成せると言うのかしらね?」

 

「試して、みるか?」

 

精一杯の敵意、殺意で持って返答するも、まるで無邪気な子供のような笑みを浮かべていた。

だけど心の底から怖くなってしまった。そんな僕に構わず早口で喋り始めた。

 

「いいわよ試してみましょう!まずはどうする?その剣で私の首を刎ねてみる?それとも滅多刺し?ああそれとも珠、お前の魔法で私に風穴開けてみる?最初の一瞬だけ痛みがないのか、それとも激痛と同時に風穴が開くのか試してみたかったのよ!さあどれをやる?それか全部でもいいわよ!私痛いの大好きだから!それに、私の体結構頑丈になってるのと魔法のおかげでちょっとやそっとじゃ死ににくいから安心して殺しに来てちょうだい!それとも私を女として陵辱してみる?ああ心配ないわよ。孕むかどうかは私でコントロールできるし快楽神経を痛覚に全部変えてあるからそっちでも痛み感じれるの!さあ好きなのを試してみて!

 

アナタにその覚悟があるなら、だけどねぇ?」

「お嬢お嬢。オタク特有の早口になってるですます。それで清楚は無理がありますですです。とりあえずデスルーラしてみます?」

「お前は一旦黙ってろ人形」

「嫌でーす。ラプンツェルでしたっけ?清楚を自称しておられるこちらのお嬢様はご覧の通り超が付くほどのど変態ですのでね。ノーマル相手に使う物差しで見てると痛い目見ますよ。そこのレプリカのようにね」

 

「僕はラ・ピュセルだっ!それよりも、お前たちは何者なんだ!何が目的で僕たちを狙う!」

 

「自己紹介がお望み?別にいいけれど、どーせ信用しないでしょう。ま、いいでしょう!よーくききなさい。私の名は…」

「お嬢の名前は淡雪・エレガ・ノースです。君たちが仲よーくしてる淡雪ミヤビの実の母ですます。で、私はたんなる雇われメイド兼お嬢様の暇つぶし相手。こっちの地下アイドルが着てそーなキラキラ衣装が喪音。声が他人を惑わすと言われ魔女裁判にかけられ火炙りにされそうになった子で、悪魔コスが藍。魔法の才能をお嬢様が見出した元孤児院」

「私のセリフを取るな!」「メイドさん、自己紹介くらい自分でします!」「メイドさん…」

「Oh、なぜにみんなそのような不満タラタラな顔をするんですか。話がややこしくなりそうだから先んじて説明しただけだというのにぃ」

 

僕は一体、今日だけで何度驚けばいいのだろうか。

そんな思いをなんとか飲み込むことでしか目の前の現状を受け入れることができなかった。

 

 

 

 

 

☆淡雪ミヤビ

 

体が重い。

 

何も聞こえない。

 

もう寝てしまいたい。

 

 

-ダメだ。早く起き上がれ。珠を守るのが淡雪ミヤビ(オマエ)の責務だろう-

 

 

わかってる。けれど、ラ・ピュセルたちに託した。あとは僕が消えればいい話なはずだろ。

 

 

-何を勘違いしているんだ。オマエは命ある限り珠を守るんだよ。自らの存在意義すら手放すなんて、そんなオマエは僕が許さない-

 

 

だけど、これ以上僕は何をすればいいんだよ。やれることは全部やった。何も成せなかった。

 

これ以上僕に何を求めるんだ。

 

 

-そんなもの決まってるだろう?死ぬまで珠を守り続けるんだよ。死んでも居ないくせに死ぬ気でやった?勘違いも甚だしい。オマエは死ぬまで命を使い潰して珠を守る、それだけが存在意義だ。最愛の珠にゴミだ疫病神だ殺人鬼だと罵られようともね。元々そういう覚悟だったろうに。それともその程度の覚悟だったのか?-

 

 

僕の命でできることなんてたかが知れているだろ。

 

 

-そんなことは関係ない。ほら、聞こえてくるぞ?オマエの最愛の人間の悲鳴(コエ)が。助けを求める声が-

 

 

耳に神経を集中させると、確かに聞こえてくる。

 

ラ・ピュセルが戦っている音が。巻き込まれて怪我を負っているスノーホワイトの苦痛に満ちた声が。

 

 

珠が泣いている声が。

 

 

それを体が認識した瞬間、重かった体が最も簡単に動かせる。

死力などとうに尽くしたはずの体が、気力などとうに尽きた体が。

 

 

-そら、逝ってこい-

 

 

ああ、逝ってくる。

 

珠を笑顔にできるまで死ねるものか。




もう原作ストーリーのカケラもない……もう少し原作準拠に作ってくべきだったのかなと思わなくもない(

んまぁ、終わりの結末は決めてあるのでもう少し頑張ってない頭を捻ります

待ってくださる方は気長に待っててくださいお願いします(小声)



読んでくださりありがとうございました
感想や評価などをくださると嬉しいです

レプリカについて(本編には全く影響しません)

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  • 嫌い(受け入れられない
  • どちらでもない
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