魔法少女育成計画 己の大切な人を生かしたい   作:紀野感無

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「……っはぁ。けほっけほっ…」

気持ちよく寝ていたのに、無理やり叩き起こされた。

「立てレプリカ。仕事だ」
「ああ…?」

目の前には見覚えのある魔法少女が立っていた。ナントカ部門とか名乗っていた…ような。

「喜べよ。今回は特別に視覚・聴覚も封じてないし口枷もない。ま、手枷はしてるけどな。クク…あの『魔法少女殺し』と恐れられていたレプリカがこのザマなのはいつ見ても笑えるよ」

「……」

「なんだダンマリか?つまらん」

「仕事内容は?」

「…相変わらずお前のその態度、気に食わねえ…なっ!」

思い切り腹を蹴り上げられるが、コイツの性格からしてまだ序の口だ。本当なら殺してやりたいけど、今何か騒ぎを起こしても面倒になるだけなのは分かりきってるので涼しい顔をして過ごすに限る。それがまた気に食わなかったようで10分くらいサンドバックになったが。

「あーすっきりした。やっぱりイライラしてる時にはサンドバックを使うに限る。んで仕事内容だけど、コレな。んじゃ後は勝手にやっといてくれ。逃げようとか思うなよ?一応見張りついてるからな?」

「お前じゃあるまいし、逃げるとか狡いことしないよ」

また帰り際に後頭部を殴られたが、まあいつもに比べたら大人しい方だった。




いつか絶対殺す。


15話

 

ダァン!

 

「⁉︎」

 

地面が破裂したような音が鳴り響いく。襲撃者を含めた全員が音の鳴った方向を---レプリカが蹴り飛ばされた方向をみた。淡雪を名乗る魔法少女だけはつまらなさそうに見ていたが

 

「ほーん。これはこれは。いい意味で予想外、と言ったところですかねマイマスター?」

「そうね。さっきよりも再生速度も殺意も上がってるわね。ギリギリ及第点ってところじゃないかしら」

「おやまぁ手厳しい。アレだと下手すりゃあ私壊されかねないですぜ?そーなったらどうしますの」

「そりゃもう、泣いて大歓喜するわね。ありがとう!って土下座するかも」

「またまたお戯を。逆にわたくし泣いてしまいますわよお嬢様」

「きっつ。その口調二度としないでちょうだい」

 

 

 

「レプリカ!大丈夫なのか⁉︎」

 

ラ・ピュセル、珠、スノーホワイトは心配から駆け寄ろうとするも今までにないレプリカの気迫に思わず足を止めてしまった。

 

全員根拠はないけど確信ができてしまっていた。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「うるっせぇなぁ。どいつもこいつも。ああ、もう、大人しく寝させてくれよ」

 

レプリカはそんな三人を意に介さず、頭から血をドクドクと流しながらそんなことを口にしていた。

その目は、目の前には誰も存在していないかのように何も映しておらず、ただひたすらに目の前の敵(メイドたち)を見ていた。ズシャ、ズシャと血に濡れた足を引きずりながら歩く。

 

「……っ!」

 

そんなレプリカを止めようと前に出たのはラ・ピュセルでもスノーホワイトでもなく、珠だった。

 

「珠……どい、て」

 

「い、いや!それ以上動いたら…死んじゃうかもしれないよ!」

 

「関係、ない、よ。ボクは、君を……幸せにしなきゃ、死んでも死に切れない。

 

それに……命を賭して君を守るのは、ボクにとっては絶対なんだ。何を犠牲にしてでも成すべき事なんだ。……だから、ごめんね」

 

「っ、ダメっ!」

 

珠の横を通ろうとするレプリカを後ろから抱きつくようにして足止めをしようと試みる。だが一瞬止まりはするものの、再度前に足を進めていた。

 

 

ガシッ!

 

 

「……なんの真似だ」

「それはこっちのセリフだよ」

 

そんなレプリカを止めようというものがさらに2人いた。ラ・ピュセルが肩を、スノーホワイトが右手首をしっかりと強く握りしめていた。

 

「離せよ」

 

「……嫌」

「絶対に嫌だね。今のお前を逝かせるわけにはいかない」

 

「勝手なことを言わないでくれ。ボクを止める暇があるなら……珠を連れて逃げろよ」

 

その言葉でラ・ピュセルの中で堰き止めていた感情が一気に決壊した。

感情のままに、乱暴にレプリカの胸ぐらを掴んで叫ぶ。

 

「ふっざけんなよ!何が逃げろだ!いい加減分かれよ!珠にとって僕たちにとって!お前はもういなくちゃいけない存在なんだよ!それにお前は珠を救うためなら何でも使うヤツだろ!なら!僕たちくらい使って見せろよ!」

 

「それをして全員死んだらどうするんだよ。誰が珠を守るんだよ。誰が寄り添ってあげれるんだよ。……頼むから、()()の君まで『こっち側』まで来ないでくれ。僕はもう『そっち側』に戻れないんだから。だから…」

 

「『こっち』だとか『そっち』とかどうでもいい!僕は!僕たちは!珠は!お前を助けるために戦場(ココ)に来たんだよ!お前のために命すら張れない臆病者とでも思ってんのか!」

 

ラ・ピュセルの言葉でハッとしたのは他の誰でもない、珠とスノーホワイトだった。

 

より強く、レプリカの体を掴む。

そして自然と言葉が出てくる。

 

「そう…だよ。私は…ミヤビちゃんの力になりたくて…」

「私、見て見ぬ振りができなくて…それで…」

 

弱々しかった言葉が、だんだんと強くなる。

 

「ミヤビちゃんの、力になりたい…!」

「ミヤビさんの手助けをしてあげたい…!」

 

より手に力が篭る。

そして、それまで無言を貫いていたレプリカが、悲しげな声でつぶやいた。

 

「なんで…なんでそこまで(ボク)に固執するんだよ。大人しく三人で逃げて、三人で過ごせば…」

 

「友達だからに決まってるだろ!」

「友達だからだよ!」

「好きだからだよ!」

 

3人の言葉が綺麗に重なり、レプリカの目が大きく見開いた。

 

 

パチパチパチパチ

 

 

その雰囲気をぶち壊すかのように拍手が鳴り響いた。

 

「いやぁ、いい!青!春!ほんっと最っ高!お嬢様お嬢様!レプリカなんですけどやっぱり美味しくいただきたく存じます!大丈夫!ちょびっと齧るだけですから!」

「ダメに決まってんでしょガラクタ。しっかしこんな甘ったるい場面を延々と見せられる方の気持ちにもなりなさいよ全く。本当なら会話の隙すら与えずに殺してもよかったのよ?」

「私は別にいいんですけどねぇ。むしろ本来の私の製造目的からしたらこっちが本業!」

「やかましい」

 

ズドン!

 

そんなやり取りをしてる最中にも関係無しと言わんばかりにレプリカが何処からか持ってきたのか散弾銃を撃ち放った。

しかしガァンと鈍い音を発しただけで誰も倒れていなかった。

 

「……チッ」

「いったぁい!もう、何するんすかこのアンポンタン!(コレ)、直すの結構時間かかるんですけど⁉︎お高い部品も使ってるのに!コレ支払うの誰だと思ってるんですか⁉︎」

「話の最中に攻撃が云々とか言ってたデク人形にはお似合いじゃないの」

「あー、マスターまでそう言うこと言うんだ?知ーらないぞ知ーらないぞ」

「じゃあさっさと壊れ(いっ)てこいガラクタ」

「はーいっ。んじゃ一皮剥けたであろう淡雪ミヤビ嬢、お手合わせ願いましょう。あ、拒否権はないですのでね」

「喪音、お前はラ・ピュセル。いーい?アイツみたく片腕丸ごととかやめてよ?処置がめんどくさいんだから」

「わかってますよっ!つまり血をたくさん抜けばいいんですよね!」

「……まあそれでいいわ。藍は……」

 

淡雪家の当主・ミヤビの母親を名乗る人物は命令を下した後大きく下がる。あくまでも観測に徹するつもりらしい。

 

「……ラ・ピュセル。スノーホワイト。……それと、珠」

 

「なに」「どうしたの?」「ミヤビちゃん…?」

 

「……」

 

レプリカは何かを決したのか、三人に何かを伝えようとしていた。

 

「なんだよ。まだ逃げろってのか?もう聞き飽きたよ。それに…アッチは僕にも用があるらしいからね。逃げようにも逃げれないだろうし」

 

ラ・ピュセルはすでに覚悟はできているようで剣の切先を敵へ向ける。珠も、スノーホワイトも覚悟はできておりレプリカを守らんと、大切な人の前に立つ。

 

「……いや、違う。いまさら許してくれだとか、僕のことを置いて逃げろとか、そんな事を言うつもりも考えも無い。だけど…いや、これ以上は野暮だね。三人とも、少しだけ、力を貸してほしい。母親(アイツ)を倒すために」

 

その言葉に、初めてとも言える【淡雪ミヤビ】としての頼みに、願いに、三人は間髪入れず、前を向きながら答える。

 

「「「勿論(だよ)!」」」

 

 

 

「ふふ、威勢だけは良いわね。それに…良い目をしてるわ。あぁ……壊したらどうなるのかしら。楽しみだわ……苦痛に歪むと、どうなるのかしら…」

 

 

 

☆クラムベリー

 

「…おや?これはこれは。わざわざこの様な辺境へ来るとは。どうされたのですか?」

 

「いや何。上から命令されたんだよ。急ぎで仕事をな。それをやるついでにこの近辺でお前が試験をしてるのを思い出して顔だけでも出そうと思っただけさ」

 

予想外の人物が突如現れ少し驚いた。悪魔の様な風貌、そして少し過激なコスチューム。見間違えようもない魔法少女だった。

 

「そうですか。…相変わらずなようで」

 

「そっちもな。相変わらずいい眼をしている。…それはそうと、今回の試験はどうだ?合格者は出そうか?」

 

「ええ。候補は何人か」

 

「それはそれは行幸だ。お前が輩出しているのはどれも優秀だからな。今回も楽しみにしている」

 

「それはどうも。…そういえば、仕事、と言ってましたがどのような仕事なのですか?貴女程の方が出なければならない様な存在がいるとは思えませんが」

 

「あーそれなんだがな。どーにも上が言うには()が暴れてる、らしい。それとどこぞの没落貴族の当主もセットとのこと。だから様子見ついでに居たら捕獲してこいだと。はーやだやだ。捕獲なんて得意分野じゃないと言うのに」

 

「その割には嬉しそうな顔をしていますね」

 

口では嫌がりながらも口角が上がっているのを抑えきれていないのがよくわかる。やはりこの人も根っからの戦闘狂らしい。

 

「ふふ。そりゃあな。考えてもみろ。私はやった記憶がないのに『私』が暴れている。つまるところ私のクローンか何かだろうさ。魔法の類が何かは知らんが仮にも『現代最強』を名乗っているヤツと戦えるんだぞ?ワクワクしない方がおかしい」

 

「そうですか。それよりも、早く行かなくて良いのですか?上からの命令なのでしょう?怒られますよ」

 

「その時はその時さ。それはそうとクラムベリー。久しぶりに手合わせしないか?」

 

「遠慮しておきます。今貴女と()りあうほど暇ではありませんので」

 

「む、そうか。それは残念だ。じゃあ私は仕事に戻るとするよ。じゃあな森の音楽家クラムベリー」

 

「ええ、さようなら」

 

そうしてかつての師とも呼べる魔法少女はどこかへ消えた。

 

 

「……摘み食いされなければいいですが」

 

理性的な面はあるにはあるが根っからの戦闘狂(私と同類)だから少しだけ心配だ。アレは私のモノだ。

 

たとえ魔王といえど譲る道理はない。

 

「ふふ、期待してますよ。レプリカ」

 







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レプリカについて(本編には全く影響しません)

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