シード「初めまして。この作品のメイン主人公を務めさせて頂く、フシギダネのシードです」
政実「今回からこちらの作品の方も投稿させて頂きますので、どうぞよろしくお願いします」
シード「よろしくお願いします。
それにしても……1話目にしては、ちょっと長めだよね?」
政実「あ、うん。一応注意はしてたんだけど、書きたいことを書いてたらいつの間にかこれくらいになってたんだよね」
シード「そっか」
政実「まあ、それに関してはちょっと反省点かなと思ってるけどね。
さて……前書きはここまでにして、そろそろ第1話を始めていこうか」
シード「うん」
政実・シード「それでは、第1話をどうぞ」
第1話 入学式と新しい友達
「ん……うん……」
窓から射し込んでくる太陽の光を感じて、僕は声を上げながらゆっくりと目を開けた。
ふあぁ……もう朝……かぁ。
まだ少しだけ眠気が残っている頭で考えながら、僕は布団からゆっくりと体を起こし、壁に掛けている時計に目を向けた。
……6時半かぁ。うーん……まだ少しだけ、例えばあと5分だけ眠っても、問題は無い……よね?
心の中で自分にそう問いかけ、そして再び布団に入ろうしたその時、部屋のドアをノックする音が聞こえ、ガチャッという音と一緒にドアが開くと、お母さんが部屋の中へと入ってきた。
「シード、そろそろ起きなさい? 今日は学校の入学式なんだから、遅れちゃったらカッコ悪いわよ?」
「は~い……」
お母さんの言葉を聞いて、僕は布団に戻ることを諦めた。そして返事をしながら、ゆっくりと布団から出た。
それにしても今日から僕も学園生かぁ……何だかあまり実感が湧かないけど、今日から頑張っていかないとね。
心の中でそう思っていると、お母さんが時計をチラリと見てから、静かな声で話し掛けてきた。
「それじゃあ、お母さんは居間に戻るから。シードも早く来なさいね?」
「はーい」
僕の返事を聞くと、お母さんはコクンと頷いた後、ゆっくりと部屋を出ていった。
さてと……それじゃあそろそろ、朝ご飯を食べに行こうかな。
そう思いながら、体をぐーんと上に伸ばした後、僕は居間に行くために部屋を出た。
部屋との間にある廊下を通って居間に入った後、僕はお父さん達に挨拶をした。
「おはよー、お父さん、お母さん」
「おはよう、シード」
「シード、おはよう」
お父さん達の声にコクンと頷きながら、僕はいつもの位置に着いた。すると、お母さんが背中の花から二本のつるを伸ばし、そのまま朝ご飯を掴んだ後、僕の目の前に静かに置いてくれた。
……うん。今日のスッゴく朝ご飯も美味しそうだね♪
目の前にある朝ご飯を見ながら思った後、僕は背中のタネからつるを伸ばし、
「いただきます!」
つるの先をしっかりと合わせて言った後、僕は朝ご飯を食べ始めた。
「ごちそうさまでした!」
つるの先をもう一度しっかりと合わせて言った後、僕は席から立ち上がった。
……さて、早くしないと二匹とも来ちゃうし、急いで準備しないとね。
そう思いながら、僕は学園に行く準備をするために、自分の部屋へと戻った。
「……えーと、これとこれと……それとこれだね」
自分の部屋へと戻った後、僕は次々とカバンの中に物を入れ始めた。
今日は入学式だけだから、教科書とかはいらないけど、筆記用具はたぶん使うだろうし、しっかりと準備しないとね。
そして持ち物を入れ終えて、カバンの蓋を閉めた時、窓の方からコンコンという音が聞こえた。
あ、二匹とももう来たんだ。
僕はカバンを体に掛けた後、窓の方までトコトコと歩いて行った。そしてつるを使って、窓をゆっくりと開けてみると、そこにいたのは予想していた通りの二匹だった。
「よっ、シード! おはよう!」
「おはよう、シード」
「うん、おはよ。グレン、バルト」
僕は窓の外にいる幼なじみ達―ヒトカゲのグレンとゼニガメのバルトにニコッと笑いながら挨拶を返した。
さて……二匹も来たことだし、僕もそろそろ外に出ようかな。
僕は窓につるを掛けながらグレン達に声を掛けた。
「今行くから、玄関の方で待っててね」
「おう! 分かったぜ!」
「了解した」
グレン達の返事を聞いた後、僕はゆっくりと窓を閉めた。そして部屋の中を一度見回した後、僕は部屋を出た。部屋を出た後、僕はさっきまでいた居間へと歩いて行き、ゆっくりと寛いでいるお父さん達に声を掛けた。
「それじゃあ、行ってくるね」
「ああ、行ってらっしゃい、シード」
「気をつけて行ってきなさいね、シード」
「うん!」
お父さん達に返事をした後、僕は居間から廊下へと出た。そして玄関まで歩いて行き、そのまま外へと出た。
外へ出てみると、グレンとバルトが玄関の横の方で楽しそうに何かを話していた。
あれ? 何だか楽しそうだけど、何の話をしてるのかな……?
グレン達の話の内容が少し気になったけれど、まずは待たせちゃった事を謝るのが先だと思い、僕はゆっくりと近付きながらグレン達に声を掛けた。
「グレン、バルト、待たせちゃってゴメンね」
「……ん? あぁ、シードか。大して待ってないから別に謝んなくても良いぞ?
な、バルト」
「ああ。いつもグレンに待たされる時間に比べれば、本当に大したことないから気にしなくて良いぞ?」
「なっ!? バルト、お前なぁ!」
「あはは……」
いつものように始まったグレンだけが熱くなっていく言い合いに僕は苦笑を浮かべた。
……でも、今日は遅刻するわけにも行かないし、早くグレンを止めないとね。
僕はグレン達の間に立った後、グレンの方に体を向けてから静かに話し掛けた。
「グレン、今日は本当に遅刻できないから、一回落ち着いて。ね?」
「シード……」
グレンは怒った顔で僕の事をジッと見つめていたけれど、ため息を深く一回ついた後、諦めたような顔で言葉を続けた。
「はぁ……分かったよ。止めてくれてありがとな、シード」
「ううん。良いよ、別に」
僕はニコッと笑いながらグレンに言った後、今度はバルトの方へ体を向けた。
「……バルト。待っててくれた事とかはありがたいし嬉しいけど、今日は本当に遅刻出来ない日だって分かってるんだから、いつもみたいな事は今日だけは控えてもらっても良いかな?」
僕が声を少し低めて言うと、バルトは少し暗い顔になった。そして少し俯き気味になりながら、静かな声で返事をした。
「……ああ、俺が軽率だったよ。ゴメン、シード。グレンもゴメンな」
「ううん、分かってもらえたなら僕は良いよ」
「俺ももう良いぜ? 今日がそういう日だって分かってて、いつもみたいに突っかかっていった俺にも非はあるからな」
「シード……グレン……ありがとうな」
そう僕達に言うバルトの顔は、さっきまでと違って少しだけ明るくなっていた。
ふふっ、これでとりあえずは一件落着だね。
バルト達の様子を見て、心の中で小さく笑いながら思った後、僕は学園がある方の道に体を向けた。
「よし……それじゃあ、早速出発しよっか」
「おう!」
「ああ!」
こうして僕達は、これから行われる入学式に出るために、学園へ向けて歩き始めた。
歩き始めてから数分後、学園の事とかについて話をしている内に、僕達のようにカバンを肩や体に掛けたりしているポケモン達がちらほらと見え始めた。そしてそれから更に数分後、僕達がこれから通う学園――【ポケモン学園】の校門と校舎も徐々に見え始めた。
「あっ、見えてきたよ。ポケモン学園!」
「おっ、ホントだな!」
「……それにこの周りの様子、どうやら遅刻は免れたみたいだな」
「あははっ、そうみたいだね」
僕達が笑いながら話をしていたその時、後ろの方から誰かが走ってくる音が二つ聞こえた。
だいぶ急いでるみたいだけど、一体誰だろう……?
それが気になった僕は、立ち止まってからゆっくりと後ろを振り向いてみた。すると、少し離れたところからカバンを肩に掛けたピカチュウとカバンを体に掛けたイーブイの二匹が必死な様子で走ってきているのが見えた。
「……ん? どうした、シード……って、何かあいつらスッゴく急いでるな」
「うん、そうだね」
「俺達が言うのもあれだが、まだあそこまで急ぐ必要は無い気がするけどな」
同じように振り向いたグレンとバルトと走ってくるピカチュウ達を見ながら話をしていると、僕達とピカチュウ達の距離が縮まっていき、徐々にピカチュウ達の声も聞こえ始めた。
「はあっ、はあっ……シフォン、大丈夫?」
「はあっ、はあっ……全然大丈夫じゃないよっ……!
もう、ルークがもう少し早く準備すれば、こんなに走らなくても済んだんだからね!」
「はあっ、はあっ……だから、それについてはゴメンって!」
ピカチュウ――ルークとイーブイ――シフォンが必死な表情で走りながら話しているのを見ていると、グレンが腕を組みながら僕達に話し掛けてきた。
「なぁ……あいつらにまだ急がなくても良いって言ってやった方が良いかな……?」
「そうだな……ちょっと迷うところだが、ここは教えてやる方が良いかもしれないな」
「そうだね……」
僕達が同時に頷いた後、グレンが近付いてくるルーク達に声を掛けた。
「おーい! そこのお前達-!」
グレンが呼び掛けると、ルーク達は僕達の近くに立ち止まった後、不思議そうな顔で僕達の事を見た。
「はあっ、はあっ……え? 僕達の事?」
「ああ、そうだ」
「はあっ、はあっ……私達に何か用なの?」
「えっと……君達もポケモン学園の入学者……だよね?」
「うん、そうだけど……?」
「それならまだ時間に余裕あるし、そんなに急がなくても大丈夫だぞ?」
「……え?」
「うそ……?」
グレンの言葉を聞いた後、ルーク達は驚いた顔で周りを見回し、他の入学者達が大して急いでいない事を確認すると、顔を見合わせながらホッとした様子で声を上げた。
「「よ、良かったぁ……!」」
そして僕達の方へ向き直ると、ルークはニコッと笑いながら話し掛けてきた。
「教えてくれてありがとね、えっと……」
「あ……そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は……」
僕がルークに自己紹介をしようとすると、バルトが静かな声で僕に声を掛けてきた。
「シード、自己紹介は歩きながらにしよう。まだ時間に余裕があるとはいえ、立ち止まったままよりは歩きながらの方が良いからな」
「あ、それもそうだね」
「ここまで急いできたのに、間に合わなくなるわけにもいかないもんね」
「ま、そういう事だな。
よっし……それじゃあ、行こーぜ!」
グレンの言葉に僕達は頷いた後、学園に向けて歩きながら自己紹介を始めた。
「それじゃあ、僕から自己紹介するね。
僕の名前はシード、君達と同じポケモン学園の新入生だよ、よろしくね」
「じゃあ、次は俺だな。
俺はグレン、コイツらとは幼なじみで、ポケモン学園の新入生だ、よろしくな」
「そして次は俺だな。
俺はバルト、シード達の幼なじみで、同じくポケモン学園の新入生だ、よろしく」
「うん、よろしくね」
「よろしくね、三匹とも」
ルーク達の言葉に頷くと、今度はルーク達が自己紹介を始めた。
「それじゃあ、次は僕達だね。
僕の名前はルーク、さっきも言ったけど、君達と同じポケモン学園の新入生だよ」
「最後は私ね。
私はシフォン、ルークとは幼なじみで、同じくポケモン学園の新入生よ」
そしてシフォンの自己紹介が終わった時、僕達はポケモン学園の校門を通り過ぎ、昇降口の前まで来ていた。
「あ、いつの間にか昇降口まで来てたみたいだね」
「そうみたいだな。
……ん? 扉のとこに何か貼ってあるぜ?」
「あ、本当だ。一体何だろうね?」
僕達は貼ってある紙に近付くと、書いてある内容を確認した。
「これは……どうやらクラス分けの紙みたいだな」
「そうだね。えっと……あ、僕達はみんなカントーS組みたいだね」
「おっ、ホントだな! へへっ、何かみんな同じクラスなのって、何か嬉しいよな!」
「ふふっ、そうだね。
それじゃあ、早速僕達のクラスに行こっか!」
『おー!』
「ああ!」
こうして僕達は、カントーS組の教室へ行くために、校舎の中へと入っていった。
廊下の壁に貼られている案内を頼りに校舎の中を歩き続け、僕達はカントー組の教室に辿り着いた。そして教室の中を見てみると、同じカントーS組の新入生達が楽しそうに話をしていたり、座って静かに読書をしていたりと思い思いに行動をしていた。
「へー、何か色んなやつがいるな。水槽に入ってるやつとか、ドロドロしたやつとか」
「そうだね。
さてと、そろそろ僕達も教室に入ろっか」
ルークの言葉に頷いた後、僕達は一緒に教室の中へと入った。そしてふと黒板に目を向けると、黒板にも紙が一枚だけ貼られていた。僕達はその紙に近付くと、書かれている内容を確認した。
「これは……座席表みたいだね」
「そうだな。……けれど、これを見る限り、俺とシフォンだけお前達とは席が少し離れるみたいだけどな」
「え?」
もう一度座席表を見てみると、僕とグレンとルークが廊下側の席なのに対して、バルトの座席は真ん中の方、そしてシフォンの座席は窓側の方と少しだけ離れてしまっていた。
「あ、本当だ……」
「うーん……仕方ないといえば仕方ないけど、ちょっと残念だね……」
ルークが耳をペタンと倒して言うと、グレンが小さく笑いながらルークの肩をポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ、ルーク。たしかに席は離れてるけどさ、授業終わりとか昼休憩とかに集まれば良いさ。
な、バルト、シフォン」
「ああ、そうだな」
「うん、同じクラスなのは変わんないわけだしね」
バルトとシフォンが小さく笑いながら言うと、ルークの顔が少し明るくなった。
「そう……だね。それに登校の時とか下校の時だってあるもんね」
「そうそう! それに席だっていつまでも同じとは限らないしな」
「ふふっ、そうだね」
グレンの言葉に静かに笑いながら返事をした後、僕は自分の席がある辺りを見ながら言った。
「さぁ、いつまでも立ってるわけにもいかないし、早く自分の席に着こう?」
「そうだな。それじゃあ、また後で」
「また後でね、三匹とも♪」
そう言うと、バルトとシフォンは自分の席へと歩いて行った。そしてそれに続いて僕達も自分の席に向かった。僕が自分の席に着くと、後ろに座っていたプリンが明るく話し掛けてきた。
「これからよろしくね」
「うん、よろしくね。えっと……」
「あ、自己紹介がまだだったね。私の名前はリンだよ」
「リン、だね。僕の名前はシードだよ」
「シードだね。うん、了解!」
プリン――リンと話を終えると、今度は前に座っていたピッピが僕に話し掛けてきた。
「ふふ、よろしくお願い致しますね」
「あ、うん。えっと、君は……」
「私の名前はルナといいます」
「ルナ、だね。これからよろしくね、ルナ」
「はい、よろしくお願い致します」
ピッピ――ルナはニコッと笑いながら僕に返事をした。
ふふ、楽しい学園生活になりそうだなぁ。
……まあ、こう思うのはちょっと早い気がするけどね。
心の中でそう思っていると、前の方にあるドアからサーナイト先生が静かに入ってきた。そして教壇の前に立つと、僕達の方へと体を向けて、静かに微笑んだ。
「カントーS組の皆さん、おはようございます。入学式はもう少しで始まりますので、席に座ったまま待っていて下さいね?」
『はい』
僕達は声を揃えて返事をした。
このタイミングで入ってきたって事は……もしかしてこの先生が僕達の担任の先生だったりするのかな?
心の中で首を傾げつつ考えていると、後ろからリンが小さな声で話し掛けてきた。
「ねぇ、シード…… あの先生が私達の担任の先生だったりするのかな……?」
「うーん……どうだろうね……リンはあの先生が担任の先生だったら良いと思う?」
「うん……! だってあんなに綺麗な先生が担任の先生だったら、毎日の学校が楽しそうだもん♪」
「なるほどね……」
リンと話を続けていると、前の方のドアからラランテス先生が顔を出した。サーナイト先生はそれを見ると、ラランテス先生へと近付き、ラランテス先生ととても小さな声で話し始めた。そしてラランテス先生との話が終わると、教壇の前まで戻って、僕達の方へ向き直ってから静かに口を開いた。
「これから入学式を講堂にて行いますので、廊下に席順通りに並んで下さい」
『はい!』
僕達は声を揃えて返事をした後、水槽に入ってるポケモン達は近くのポケモンに持ってもらったりしながら、次々と席から立ち上がった。そして近くのドアから廊下に出た後、席順通りに一列に並んだ。そして隣のクラスが歩き始めたのに続いて、僕達も静かに講堂へ向かって歩き始めた。
講堂に着いてみると、ステージ側には他のクラスの生徒達がクラス毎に並んでいて、壁側には先生達が静かに立っていて、そして体育館の後ろ側には生徒のお父さんお母さん達がカメラの準備をしたり、笑いながら話をしたりしていた。
えーと、お父さん達は……あっ、いた!
お父さん達はグレンのお父さん達やバルトのお父さん達と笑いながら話をしていた。それをチラッと見ながら僕はみんなと一緒に講堂の中を歩き、そして端の方から順に用意されている席に座った。
すると、先生達の中からマフォクシー先生が静かにマイクのところへと歩き出した。そしてマイクの前に立つと、一度礼をした後、静かに話し始めた。
「それではこれより、ポケモン学園第百期新入生の入学式を挙行致します」
マフォクシー先生はもう一度礼をした後、静かに元の位置に戻った。すると今度は、キリキザン先生が静かにマイクの所へと歩き出し、マイクの前に立つと、一度礼をしてからゆっくりと口を開いた。
「それではこれより、新入生の名前を読み上げます。呼ばれたら大きな声で返事をして下さい。
では……」
そして組毎に生徒の名前が次々と呼ばれ、アローラL組の最後の生徒の返事を聞くと、
「これで新入生の名前の読み上げを終わります」
と、静かな声で言った。そして一拍置いてからまたゆっくりと口を開いた。
「それでは次に、ジジーロン校長先生からのお言葉を頂きたいと思います。
それではジジーロン校長先生、お願い致します」
キリキザン先生の言葉と同時にジジーロン校長先生がゆっくりと檀上へと上がり始めた。そして演台の前に立つと、マイクを自分の方に向けてから、とても落ち着いた様子で話を始めた。
「えー……まず第百期新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんが第百期生ということで、我がポケモン学園もこの新校舎と旧校舎の歴史を合わせ、今年で百周年を迎える事となりました。
さて……皆さんも知っている通り、ポケモン学園は木造建築……つまり大部分が木――それも燃える事が無い特別な木で出来た学校であり、机や椅子などの備品もその木で出来ています。この燃える事が無い木、これはかの伝説のポケモン――アルセウスがこの世界を創り出した際に、パートナーである人間の考案で創り出した物であると言われています。そしてアルセウス達はその木を用いて、ポケモン学園の前身である学園を創り、その当時のポケモン達に別の世界に生きる人間達の知識や技術などを伝えたそうです。そして当時のポケモン達がその教えられた物事を争うことなく共有し合った事で、今の私達のような生活へと変化していったそうです。
皆さんも今この場にいる新たな仲間達と切磋琢磨しながら、自分の力を高めていって下さい。
以上で、私からのお話を終わりにします。静かに聴いて頂き、ありがとうございました」
ジジーロン校長先生は静かに一礼をした後、ゆっくりと檀上から降り、元の位置に戻った。それを見て、キリキザン先生が静かに口を開いた。
「続いて、校歌斉唱。新入生と保護者の皆様はそのまま聴いていて下さい」
その言葉と同時に、先生達の中からメロエッタさんが静かに進み出ると、そのままピアノのところまで歩き始めた。そしてゆっくりと椅子に座った後、静かにピアノでポケモン学園の校歌を弾き始め、先生達はそのメロディーに載せて声を揃えながら校歌を歌い始めた。
先生達が歌い終わると同時に、メロエッタ先生のピアノの音も止んだ。そしてメロエッタ先生が椅子から立ち上がり、僕達に向けてペコリと一礼をした後、僕達は先生達に向けて拍手を送った。
これがポケモン学園の校歌かぁ……次歌う時までには、しっかりと憶えておこう。
そしてメロエッタ先生が先生達の所へ戻ると、キリキザン先生がまた静かに口を開いた。
「それではこれにて、ポケモン学園第百期新入生入学式を閉じます。
新入生の皆さんは先生達の指示に従って教室に戻って下さい。保護者の皆さまはこの後、入会式がございますので、この場にお残り下さい」
キリキザン先生の言葉と同時に、サーナイト先生が僕達の所へと歩いてきた。
「それではこれから教室に戻りますので、席から立ったら、静かに私に着いてきて下さい」
僕達は静かに席から立ち上がると、一番端に座っていた生徒から歩き出し、そのまま講堂を出て行った。
教室に戻ってきた後、僕達は席順通りに静かに座ると、サーナイト先生が教壇の前に立ち、静かな声で話し始めた。
「皆さん、お疲れさまでした。今日はこれでおしまいです。明日は校内の案内などがありますので、持ち物は今日と同じで大丈夫です」
サーナイト先生はそこで一度言葉を切った後、僕達の事を見回しながら声を掛けてきた。
「皆さんから何か質問はありますか?」
すると、後ろに座っているリンが元気良く手を上げた。
「はーい!」
「はい、リンさん。何ですか?」
「サーナイト先生は、私達の担任の先生なんですか?」
「えーと……そうですね……本来なら明日その事について、お話ししようと思っていたのですが……まあ、せっかく質問してもらったので良いことにしましょうか」
サーナイト先生はクスッと笑ってから言葉を続けた。
「それでは……これから1年、皆さんの担任を務めます、サーナイトのディアと申します。皆さん、これからよろしくお願いしますね?」
『はい!』
僕達がディア先生の言葉に大きな声で返事をすると、先生はニコッと笑ってから楽しそうに言葉を続けた。
「ふふっ、皆さんの自己紹介も聴きたいところですが、それは明日のお楽しみにして、今日は終わりにしましょう。
それでは皆さん、気をつけて帰って下さいね?」
『はい!』
「ふふ、それでは皆さん、さようなら」
『さようなら!』
僕達の言葉を聴くと、ディア先生は優しく微笑みながら教室を出て行った。そしてそれを見て、他のみんなが次々と帰り始めると、グレンが大きな声で僕に声を掛けてきた。
「よーし、帰ろうぜ、シード!」
「うん」
グレンに返事をしながら、僕は体にカバンを掛けた。
あ、そうだ……せっかくだし、ルーク達とも一緒に帰ってみたいし、声を掛けてみようかな?
そう思った後、僕はルークに声を掛けてみた。
「ねぇ、ルーク。良かったら一緒に帰らない?」
するとルークは少し申し訳なさそうな顔になった。
「うーん……ゴメンね。一緒に帰りたいのはやまやまなんだけど、ちょっとこの後行かなきゃいけない所があるんだ……」
「行かなきゃいけない所? 」
バルトが不思議そうに訊くと、
「ポケモン保育園よ」
いつの間にか近くにいたシフォンがルークの代わりに答えてくれた。
「ポケモン保育園って、ベイビィポケモンが通うところだよな。って事は……弟か妹でもいるのか?」
「うん、弟と妹の両方がいるよ。今日は午前中で終わりらしくて、それでシフォンと一緒に迎えに行くことにしてたんだ」
「シフォンと一緒にって、シフォンにも弟さんか妹さんがいるの?」
「ううん、私はただの付き添い」
「前に何回か付き添ってもらってたら、弟達がシフォンにすごく懐いちゃってね。それ以来、僕が迎えに行く時でシフォンに予定が無い時には、一緒に迎えに行ってもらうことにしたんだ」
「なるほどね」
ルークの説明に納得していると、グレンが何か思い付いたような顔でルーク達に訊いた。
「……なぁ、ルーク、シフォン。それに俺達もついて行っても良いか?」
「え?」
「グレン……一体どうしたの?」
僕がそう訊くと、グレンは小さく笑いながら返事をした。
「ほら、親父達は説明会に出てるから、俺達は今から昼食うまで暇だろ?」
「まあ……そうだな」
「それに、お昼を食べた後はいつもみたいに遊ぶだけのつもりだったもんね」
「だろ? だったらルークの弟妹達の迎えに付き添ってみるのもありかなと思ってな」
「うーん……でも、ルークは良いの……?」
僕が訊いてみると、ルークはニコッと笑いながら返事をした。
「うん、もちろん良いよ。ただ、弟達はちょっと元気が良すぎるから、疲れちゃうかもしれないけどね 」
「ああ、その点なら問題ないぞ? グレンもいつも元気が良すぎるからな」
「そうそう。いつも園児並みに元気いっぱい~……って、お前なぁ!」
「……と、この通り、元気なら問題ないから、安心してくれ」
「う~……その通りだけど、何か納得いかねぇ~……!」
バルトの言葉にグレンは納得がいかない様子だったけど、ルークとシフォンは笑いながらコクンと頷いた。
ポケモン保育園かぁ……行ったことがないから、どんなところなのか楽しみだなぁ。
僕は微笑みながら思った後、みんなに声を掛けた。
「よし……それじゃあ、早速行こっか」
「おう!」
「ああ」
「うん」
「うん!」
こうして僕達は、ルークの弟妹を迎えに行くために、ポケモン保育園へ向けて歩き始めた。
学園から歩き始めて十数分後、僕達はポケモン保育園に辿り着いた。
ここがポケモン保育園かぁ……。
ポケモン保育園はポケモン学園よりは広くはなさそうだったけれど、それでも充分広そうに見えた。
「さてと、早速あの子達を迎えに……」
ルークがそう言ったその時、建物の中から二匹のピチューが顔を出した。そしてルーク達の事を見た瞬間、顔をぱあっと輝かせながらパタパタと足音を立てながら走ってきた。そして二匹はルークとシフォンに抱きつくと、とても嬉しそうに声を上げた。
「わーい、ルークお兄ちゃんだー!」
「シフォンお姉ちゃんもいる-!」
その様子を見て、ルークは優しい笑みを浮かべながらピチュー達に声を掛けた。
「ふふっ。ライ、メイ、保育園では良い子にしてた?」
「うんっ! もちろんだよ! ねっ、メイ!」
「うんっ! 今日も良い子にしてたよー!」
「そっか、それなら良かったよ」
ルークはニコッと笑いながら言った後、僕達の方へと顔を向けた。
「みんな、この二匹が僕の弟と妹なんだ」
「それも双子のね」
シフォンが微笑みながら言うと、ライ君とメイちゃんが不思議そうな様子で僕達の事を見ながら、ルークに話し掛けた。
「ルークお兄ちゃん、このお兄ちゃんたちだれ-?」
「お兄ちゃんのおともだちー?」
「うん、そうだよ」
「「わー、そーなんだぁー!!」」
ルークの返事を聞くと、ライ君達が笑顔を浮かべながら声を揃えて言った。
ふふ、本当に元気な子達だなぁ……。
ライ君達の事を見ながら思っていたその時、僕達に向かって一匹のミミロップが歩いてくるのが見えた。ルークはそのミミロップに気付くと、ニコッと笑いながら話し掛けた。
「あっ、ロップ先生。お疲れさまです」
「お疲れさまです、ロップ先生」
「ふふっ、ありがとう、ルーク君、シフォンさん。ルーク君もすっかりお兄さんになったみたいね」
「はい、おかげさまで」
ミミロップ先生はルークの言葉に笑顔を浮かべた後、僕達の方へと顔を向けた。
「ライ君、メイちゃん。ルーク君達がいるから問題は無いとは思うけど、気をつけてお家に帰ってね?」
「「はーい! せんせい!」」
「うん。それじゃあ、また明日ね」
「「うんっ! せんせい、さようなら~!」」
「はい、さようなら」
ライ君達が声を揃えて元気良く返事をすると、ロップ先生はニコッと笑ってから僕達の方へと顔を向けた。
「大丈夫だと思うけど、皆も気をつけて帰ってね?」
『はい』
僕達が声を揃えて返事をすると、ロップ先生は満足そうに頷いた後、保育園の方へと歩いていった。そしてそれを見送った後、ルークが僕達の事を見回しながら言った。
「よし……それじゃあ、帰ろっか」
「「うん」」
「「おう!」」
「「うんっ!」」
僕達は返事をした後、話をしながらポケモン保育園を後にした。
「にしても……保育園ってあんな感じなんだな~」
「そうだな」
保育園からの帰り道の途中、グレンとバルトが保育園の事について話を始めた。
あ、そういえば……。
「ねぇ、ルーク」
「ん? シード、どうかしたの?」
「ルークもあの保育園には通ってたの?」
「うん、そうだけど……でも、どうして?」
「さっきロップ先生がルークにすっかりお兄さんになったみたいねって言ってたから、そうなのかなと思ってね」
「あ、なるほどね。後、同じクラスのルナとリンもそうだよ」
「へー、そうなんだね」
僕とルークがそんな話をしていたその時、グレンが何かを思いついたように声を上げた。
「あ、そうだ!」
「グレン、どうかしたの?」
「ルーク達さえよければ、午後から一緒に遊ばねぇかなと思ってな」
「午後からかぁ……うん、午後はライ達の相手をする予定だったから、遠くに行くんじゃなかったら、僕は大丈夫だよ」
「私も大丈夫よ」
「ぼくも~!!」
「わたしも~!!」
ルーク達の返事を聞くと、グレンは楽しそうに頷いてから僕達に話し掛けてきた。
「お前達も問題はねぇよな?」
「うん、せっかく仲良くなったんだもんね」
「ああ、ここで断る理由は一つもないな」
僕達が微笑みながら返事をすると、グレンはニカッと笑った。
「オッケー! それじゃあ、昼飯を食ったら……」
グレンが楽しそうに計画を話すのを聞きながら、僕は小さく笑った。
ふふ、今日も楽しい日になりそうだな。
そんな事を考えながら、僕は皆と一緒に家に向かって歩き続けた。
「ふふっ、今日も楽しい一日だったなぁ……」
その日の夜、僕は自分の部屋で日課の日記を書きながら独りごちた。
今日は今日で楽しかったけど、明日はもっと楽しい日になれば良いなぁ……。
そんな事を考えている内に、今日の分の日記が書き終わったので、僕は日記を閉じてから、机の上にある棚にしまった。
ふあ……明日も学校があるし、そろそろ寝ようかな?
そう思った後、僕は布団までトコトコと歩き、そのまま布団へと入った。
それじゃあ……おやすみなさい……
そして僕は眠るために目を静かに閉じた。
政実「第1話、いかがでしたでしょうか」
シード「1話目は入学式回と簡単な世界観の説明回になったね」
政実「うん。因みに他の設定とかについては、話を進めていく中で紹介していくつもりだよ」
シード「うん、了解。あ、それと……メイン主人公が僕って事は、サブ主人公もいるって事なの?」
政実「サブ主人公というかは、基本的にはシードが主人公だけど、時々グレン達とかシードとは別のクラスのポケモンを主人公にした話を入れていくから、そういう表現にしてるだけだよ」
シード「なるほどね。
さてと……次の更新予定はいつ頃になりそうなの?」
政実「だいたい1週間くらいで更新出来るようにはするつもりだよ」
シード「そっか。
そして、この作品についての感想や意見をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いします」
政実「よし……それじゃあ、そろそろ締めていこうか」
シード「だね」
政実・シード「それでは、また次回」