シード「どうも、シードです。確かに自己紹介ってそうなりがちだよね」
政実「うん。何か面白いこととか言えれば良いんだけど、結局は名前と趣味くらいしか話せないんだよね」
シード「あはは。まあ、そこは練習するしかないよね。
さてと、それじゃあそろそろ始めていこっか」
政実「うん」
政実・シード「それでは、第2話をどうぞ」
「ん……」
入学式の翌日、部屋の窓から射し込んでくる陽の光を感じて、僕はそんな声を上げながらゆっくりと目を開けた。
……もう、朝かぁ……。うーん……まだ少しだけ眠いけど、昨日みたいにお母さんに起こされちゃうのも流石にダメな気がするし、そろそろ起き出そうかな……?
そう考えて布団の中にいる事を諦めた後、僕は布団からゆっくりと体を出し始めた。
そしてすっかり体を出した後、上に向かって体をぐーっと伸ばした。
うん、起きた後に体を伸ばすのってやっぱり気持ちが良いね。
そんな事を思いながら気持ちよさに思わず口元を綻ばせた後、僕はドアの所まで歩いた。そしてツルを使ってドアノブを開けた後、僕はそのまま自分の部屋を出た。
そして廊下を通って居間に着いてみると、そこには既にお父さん達の姿があった。
そういえば、お父さん達っていつも朝起きるのが早いんだよね……まあ、仕事とかもあるし、仕方ないのかな。
そんな事を考えた後、僕はお父さん達に朝の挨拶をした。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「うん、おはよう、シード」
「ふふ、おはよう、シード。今日はお母さんが起こさなくても起きてきたわね」
「もう……お母さん、そういう事言わないでよー……」
僕が頬を膨らませながら言うと、お母さんはクスクスと笑いながら返事をしてくれた。
「はいはい、分かったわ。
さてと、今ご飯の準備しちゃうから、座って待っててね」
「はーい」
僕は返事をした後、いつも通りの位置に座った。すると、お父さんが優しく微笑みながら僕に話し掛けてきた。
「シード、昨日話していた……ルーク君とシフォンちゃんだったかな? その子達以外にもクラスで仲良くなれそうな子はいたかい?」
「うん。……と言っても、まだクラス内の自己紹介とかはしてないから、グレン達以外だと……前の席に座ってるピッピのルナと後ろの席に座ってるプリンのリンとしか話してないんだけどね」
「そうかそうか。まあ、焦らずにゆっくりみんなと仲良くなっていけば良いよ。シード達の学校生活はまだ始まったばかりなんだからね」
「うん、分かった!」
僕が返事をすると、お父さんは優しい笑顔でうんうんと頷いた。
そういえばクラスには、本当に色んなポケモンがいたよね。どんな子がいるのかちゃんと分かってない分、ちょっとだけ不安だけど、その反面同じ分だけワクワクしてるんだよね。
そんな事を考えていると、僕の目の前に静かに朝ご飯が置かれた。
でもまずはご飯を食べないとね。それじゃあ――
「いただきます」
食事の挨拶をした後、僕は朝ご飯を食べ始めた。
「えーと……今日は授業があるわけじゃないから、これとこれと……後はこれだね」
朝ご飯の後、僕は部屋に戻って今日の持ち物の確認をしていた。
今日はたしか自己紹介と学校内の紹介だけらしいし、これぐらいで良いよね。
そして確認を終わらせて、カバンをツルを使って閉めた後、僕はカバンを体に掛けた。
うん、準備完了。でも、まだグレン達は来てないみたいだな……。よし、今日は僕の方から迎えに行ってみようかな。
一匹でコクンと頷いた後、僕は戸締まりとかを確認してから部屋を出た。
そして居間へと差し掛かった時、僕は居間にいるお父さん達に声を掛けた。
「それじゃあ、行ってきまーす」
「うん、行ってらっしゃい、シード」
「シード、気をつけて行って来るのよ?」
「はーい!」
返事をした後、僕は玄関に向かい、ツルを使って玄関のドアを開けて外へと出た。
「さてと、今日はどっちの方から迎えに行こうかな?」
グレンとバルト、どっちの方から先に迎えに行くべきか、僕は家の前で少しだけ迷っていた。
うーん……どうしようかな。 でも、バルトの方が準備とかも早いし、先にバルトの方に行って、その後に……
グレン達が腕を組むみたいにツルを絡ませながら考えていると、近くから声が聞こえた。
「……あれ、シード?」
「腕……じゃないや。ツルを絡ませながら何をしてるの?」
「え?」
声の方を見てみると、そこにはピカチュウのルークとイーブイのシフォンの二匹が不思議そうな顔で僕の事を見ていた。僕はすぐにツルを背中の種の中にしまいながら挨拶をした。
「おはよう、ルーク、シフォン」
「うん、おはよう、シード」
「おはよ、シード。
それで何を悩んでいたの?」
「んーとね、今日は僕の方が早かったみたいだから、グレンとバルトのどっちから迎えに行こうか、ちょっと迷ってたんだ」
「へー、そうだったんだ。
それで、どっちから行くかは決まったの?」
「うん、バルトの方が準備とかも早いから、先にバルトの方から迎えに行くつもり」
「そっか」
ルークは返事をした後、何かを思いついたような顔になると言葉を続けた。
「あ、そうだ。僕達もそれに付いてっても良いかな?」
「うん、それは良いけど……シフォンは良いの?」
「うん、まだまだ時間はあるし。それに何だか楽しそうだしね♪」
「うん、分かった。……それじゃあ早速行こっか」
「うん!」
「うんっ!」
楽しそうに声を揃えるルーク達を見て小さく笑った後、僕はルーク達と一緒にバルトの家に向かって歩き始めた。
「はい、バルトの家に到着」
僕の家から話をしながら歩き続ける事数分、僕達はバルトの家に着いた。バルトの家は全体的に青色に塗られていて、屋根は甲羅をイメージした物になっているため、遠くからでもバルトの家の場所が分かりやすいんだよね。
「へー、思ったよりも近いんだね」
「うん、だからどこかに集合するよりもそのまま誰かの家の前に集まった方が早いんだ。
……さて、それじゃあこっちの方に来てくれるかな?」
僕がバルトの部屋の窓に面した方へ行こうとすると、シフォンが首を傾げながら話しかけてきた。
「えっ、普通に玄関をノックした方が良いんじゃないの?」
「あ、それはね……」
僕がルーク達に説明をしようとしたその時、玄関のドアがガチャッという音を立てながらゆっくりと開いた。そして家の中からカバンを肩に掛けたバルトが出て来た。
ふふ、どうやらナイスタイミングだったみたいだね。
その事に心の中で小さく笑っていると、ルーク達の姿に気付いたバルトが少し驚いた様子で声を上げた。
「ルーク……!? それにシフォンまで……!?」
「ふふ、おはよう、バルト」
「おはよ、バルト」
「あ、ああ……おはよう」
バルトは不思議そうな顔で挨拶を返した後、少し離れたところにいる僕の姿に気づくと、納得した様子で声を掛けてきた。
「……なるほど、お前の仕業か」
「うん、そうだよ」
「やっぱりか。……まさか、朝からお前に驚かされる事になるとはな」
「あはは、ゴメンゴメン」
僕が笑いながら謝っていると、バルトはやれやれといった様子で浅く息を吐いた。
ふふ、たまにはこういうのも良いもんだね。
心の中で小さく満足した後、僕はバルト達に声を掛けた。
「さてと、それじゃあそろそろグレンも迎えに行こっか」
「そうだな。……だが、グレンの事だ。最悪まだ起きていない可能性もあるな」
「あはは、たしかにね」
すると、僕達の会話を聞いていたルークとシフォンが驚いた様子で声を上げた。
「えっ……!? グレン、まだ起きてないかもしれないの……!?」
「ウソでしょ……まだ時間があるっていっても、あと一時間くらいよ……!?」
「うん、そうなんだけど……グレンって一度寝ちゃったら中々起きないみたいでね……
昔、三匹で一緒に木の陰でお昼寝したことがあって、僕とバルトは二時間くらいで起きたんだけど、グレンだけは五時間くらい経ってからやっと起きたんだよね……」
「……ああ、そうだったな。
あの時は、本当にどうしたものかと二匹で迷っていたからな……」
「うん……周りはだんだん暗くなっていくけど、グレンを置いていくわけにもいかなかったし……。
だからグレンが起きてくれた時は、本当にホッとしたよ……」
あの時は本当に大変だったなぁ……。
僕達がその時の事を思い出して、懐かしみながら苦笑いを浮かべていると、ルークが何と言ったら良いのか分からない様子で声を掛けてきた。
「あはは……大変だったんだね……」
「まあ、ね。でもその事があったからこそ、今みたいにグレンの事についての予想も立てられるわけだから、結果的には良かったんだけどね」
「そうだな。さて……とりあえずグレンの家に行くぞ、早く行かないと本当に遅刻しかねないからな」
「うん」
「「うん!」」
そして僕達はグレンの家に向けて歩き始めた。
「……よし、グレンの家に到着っと」
バルトの家から歩いて数分後、僕達はグレンの家の前に着いた。グレンの家は全体的に赤色で塗られていて、屋根はグレン達の尻尾の炎をイメージした物になっている。
さてと、まずは起きてるか確認しないとね。
そして僕がグレンの部屋に面した庭がある方へ行こうとすると、シフォンが何かを思い出した様子で声を上げた。
「あ、そういえば……さっきも玄関からじゃなく、庭の方に行こうとしてたよね?
あれって何でなの?」
「あ、それはね……前にグレンと遊ぶ約束をしてた時があったんだけど、その時もグレンは中々起きてこなくてさ」
「そして親御さんに上げてもらったまでは良いんだが、部屋の中で眠っているグレンの事を中々起こすことが出来なくてな、どうしたものか考えた結果、シードの『あまいかおり』に頼ってみることにしたんだ」
「まあ、あくまでも試しにだったんだけどね。それでやってみたら驚くほどすぐに起きたんだ」
「その事を報告して、相談をした結果が起きていない場合は窓から『あまいかおり』を流して起こすことにしたというわけだ」
「まあ、その影響で僕とバルトを呼ぶ時も窓の方から声を掛けたり、窓を決めた回数分叩くみたいな感じでやるようになったんだけどね」
「へー、そうだったんだね」
「うん。さてと……みんなもこっちに来てくれるかな?」
「「うん! 」」
そして、ルーク達も揃った後、みんなで窓から部屋の中を見てみると、予想していた通り部屋の真ん中で眠っているグレンの姿があった。
「あ、やっぱり……」
「はぁ……昨日は珍しく起きたと思ったんだがな……」
「あはは……見事にグッスリと寝てるね」
「思ったよりも寝相は良いみたいね……」
「そうだね。よし、それじゃあ早速……」
そして僕が窓の隙間に向かって『あまいかおり』を出し始めると、『あまいかおり』は風に乗って部屋の中へと入っていった。
さてと、ちゃんと起きてくれるかな?
『あまいかおり』を出しながらジッとグレンの様子を見ていると、寝息を立てていたグレンの鼻が突然ピクッと動いた。
「……あ、今動いたね」
「うん、グレンは甘い物が大好きだからね」
「そういえば……前にかなり遠くにあるいかりまんじゅう屋の場所を嗅ぎ当てた事もあったな」
「後は……もりのヨウカンが美味しいお店も見つけたことがあったよね」
「……何だかそれだけ聞いてると、グレンの話というか、ポチエナとかガーディの話を聞いてるみたいよね……」
シフォンがちょっと呆れたように言っていると、眠っていたグレンの目が勢い良く開き、ガバッと体を起こすと、キョロキョロと周りを見回した。
あ……起きた。
そして、不思議そうに首を傾げるグレンに、僕は少し大きめの声で話し掛けた。
「おーい、グレンー!」
「……ん? おっ、シード!
それにバルト、ルークにシフォンまでいるじゃん!」
「やれやれ……ようやく、お目覚めか? グレン」
「へへっ、悪ぃ悪ぃ!」
「ふふっ、スゴくグッスリ寝てたもんね」
「……今日が学校じゃなかったら、それでも良いでしょうけどね」
「ははっ、確かにな!
んじゃ、ちゃちゃっと準備しちまうから、玄関で待っててくれ!」
「うん、分かった」
グレンの言葉に返事をすると、グレンはニカッと笑ってから走って部屋から出て行った。
「よし、後はグレンを待つだけだね」
「そうだな。
……せっかくだ、今日も賭けてみるか? シード」
「そうだね……でも、今日はルーク達も一緒だし、遠慮しとこうかな?」
「分かった」
バルトがコクンと頷くと、ルークとシフォンが不思議そうな顔で僕達の事を見た。
「賭けるって……一体何を?」
「5分以内にグレンが出てくるかどうかをだ。
因みにこの賭けの敗者は、次の休みの時のおやつ代を勝者とグレンに
「えっと……グレンはそれで納得してるの?
一応、自分が賭けの対象にされてるわけだし……」
「グレンも最初こそ
「今となっては、グレン自身が賭けの結果とその日のタイムを聞きに来るくらいになったな」
「そ、そうなんだ……」
バルトの言葉にルークが苦笑いを浮かべていると、玄関の方から大きな物音が聞こえてきた。
……あれ、今日は思ってたより早いな。
そんな事を考えていると、カバンを肩に掛けたグレンが僕達の方へ向かって走ってきた。
「あ、グレン。改めておはよう」
「おう! みんなもおはよう!」
「ああ、おはよう、グレン」
「うん、おはよう、グレン」
「おはよ、グレン」
「おう!」
みんなの挨拶に手を上げて答えた後、グレンはとてもワクワクした様子でバルトに話し掛けた。
「バルト! 今日は何分だった?」
「今日は……大体3分だな。
因みに今日は賭けてないから、今回は奢りとかは無しだな」
「え……そう、なのか……?」
賭けていなかった事を知った途端、とてもガックリしたように肩を落とした。
あはは……まあ、仕方ないよね。
そんなグレンの様子に苦笑いを浮かべていると、バルトがいつものように落ち着いた様子で僕達に声を掛けてきた。
「さて……グレンも来た事だ、そろそろ学校へと向かうとしよう」
「え……グレンはこのままで良いの?」
「……ああ、それなら……」
バルトは肩を落としているグレンの方を向くと、そのままの調子で声を掛けた。
「グレン。学校帰りには、例のいかりまんじゅう屋に寄る事にするから、さっさと学校に行くぞ」
「いかり……まんじゅう……!」
グレンは顔をぱあっと輝かせたけれど、すぐに何かを思い出したように声を上げた。
「あ……でも、結局金は各自持ちなんだったよな……?」
「そうだな」
「うー……まあ、仕方ないか……
でも、いかりまんじゅう屋に寄るのは絶対だからな!」
「ああ、分かっている」
グレンの言葉にバルトは落ち着いた様子で返事をした後、少し
「……と、こんな風にやるため、至って問題は無いぞ、二匹とも」
「あ……うん、そうだね……」
「あ……うん、そうね……」
二匹ともが似たような反応を返した後、バルトは僕達の事を見回しながら声を掛けてきた。
「さて……皆、今度こそ学校へ行くぞ」
「うん」
「おう!」
「うん!」
「うんっ!」
バルトの言葉に返事をした後、僕達は色々な話をしながら学校へ向かって歩き始めた。
学校の近くに着いてみると、校門のところでキリキザン先生が登校してきた生徒達に笑顔で挨拶をしているのが見えてきた。
キリキザン先生って、見た目はちょっと怖いけど、もしかしたら本当はとっても良い先生なのかもしれないなぁ……
そんな事を考えつつ、僕はみんなと一緒に校門へと近付き、キリキザン先生に挨拶をした。
「先生、おはようございます」
「……ん? おぉ、ディア先生のクラスの生徒達か、おはよう!」
「おはようございます、先生」
「先生、おはよう!」
「おはようございます、先生!」
「先生、おはようございます」
「うむ! おはよう、皆!」
バルト達の挨拶に、キリキザン先生がしっかり挨拶を返してくれると、グレンが少し不思議そうな顔をしながら話し掛けてきた。
「……先生って、見た目はちっと怖ぇけど、実はスゴい真面目なのかもしれねぇな」
「……ふふ、そうだね」
グレンの言葉に僕は小さく笑いながら返事をした。
悪タイプや毒タイプのポケモンは、見た目だけでちょっと怖そうに、そしてちょっと悪そうに見られたりする事が多い。
でも、キリキザン先生みたいに、本当は真面目だったり親切だったりするポケモンだっているわけだから、やっぱり先入観とかを持たずに接していくべきなんだと思う。
クラスにも僕を含めて何匹か毒タイプのポケモンがいるわけだし、そういう事には気をつけつつ、仲良くしていかないとね。
昨日見かけた毒タイプのクラスメート達の事を思い出しつつ、そんな事を考えていたその時、ルークがふとキリキザン先生に話し掛けた。
「あ、そういえば……先生の名前って何て言うんですか?」
「ん、俺か? 俺はな……生活指導のスターク、というんだ」
「スターク先生、ですね。
分かりました!ありがとうございます!」
「おう、どういたしまして!
それじゃあ、お前達も今日一日頑張ってこいよ!」
『はい!』
キリキザン先生――スターク先生の言葉に声を揃えて返事をした後、僕達は再び生徒達への声掛けを始めた先生の声を聞きながら、僕達の教室――カントーS組の教室へ向けて歩き始めた。
教室に着いた後、僕達がそれぞれの席へと着くと、僕の前後の席に座っているピッピのルナとプリンのリンが笑顔で挨拶をしてくれた。
「ふふ、おはようございます、シード君」
「おはよっ、シード」
「うん、おはよう。ルナ、リン」
僕が笑顔で挨拶を返していると、廊下の方から誰かの足音が聞こえてきた。
そして、足音が教室の前の方で止まると、教室に僕達の担任の先生――サーナイトのディア先生が手に黒い本みたいな物――出席簿を持ちながら静かに入ってきた。
ディア先生は教卓の前で止まり、僕達の方へ体を向けると、ニコッと笑いながら声を掛けてきた。
「皆さん、おはようございます」
『おはようございます、先生!』
「……ふふっ、皆さん、今日も元気みたいで良かったです。
それではまず、出席を取りますので、名前を呼ばれた人は元気良く返事をして下さい。
ではまずは……」
窓側の席の生徒から順番にディア先生が名前を呼ぶと、生徒達もそれに次々と答えていった。
そして、
「シード君」
「はいっ!」
僕の名前が呼ばれた瞬間、僕は少し大きな声で返事をすると、ディア先生はクスッと笑ってから後ろのリンの名前を呼んだ。
ふふっ、どんな事でもやっぱり最初が肝心だもんね。
心の中で小さく笑いながらそう思っていると、リンが僕の背中のタネをツンツンしながら声を掛けてきた。
「……ねぇ、シード。ディア先生、今日も綺麗よねぇ……」
「……うん、そうだね」
リンの言葉に返事をしながら、僕はディア先生へと視線を向けた。
ディア先生は出席を取り終えると、僕達の事を一回だけ静かに見回し、クスリと笑ってから今日の事についての話を始めた。
……たしかにリンの言う通り、ディア先生は綺麗な先生だよね……。
「……やっぱりサーナイトっていう種族なだけじゃなく、何か美容法でもやってたりするのかしらね……?」
「……うーん、どうなんだろうね?
ところで……そういう事が知りたいって事は、リンは綺麗になりたいって事なの?」
「……まあ、なれるのなら、なりたいわよね。
ディア先生に限らず、昨日見たラランテス先生だって綺麗だったし、やっぱり女の子って『カワイイ』か『キレイ』のどっちかにはなりたい物だから」
「……ふーん、なるほどね」
リンとそんな会話をしていると、ディア先生の話している内容がふと耳に入ってきた。
「……さて、今日の予定についてですが、今日は昨日出来なかった皆さんの簡単な自己紹介と校内の案内をして、今日一日は終わりとなります。
今日一日で全ては覚えられないとは思いますが、これから皆さんが通う学園の事なので、少しずつでも覚えていけるようにしましょう」
『はい!』
「ふふっ、とても良い返事です。
それでは、これで朝のHRは終わります。1時間目は皆さんの自己紹介の時間ですので、名前の他にクラスの皆に伝えたい事などを一つ考えておいて下さいね」
『はい!』
僕達が声を揃えて返事をすると、ディア先生はニコッと笑ってから出席簿を持ち、そのまま教室を出て行った。
自己紹介か……何を話そうかな……。
ディア先生が言っていた自己紹介の他に言う事について悩んでいると、ルナがクスリと笑ってから声を掛けてきた。
「シード君、そんなに悩まなくても大丈夫だと思いますよ?」
「え……そうなの?」
「はい。自分の好きな物や趣味、後は……なりたい物やこれからの学園生活で頑張りたい事、名前の他に言う事であれば、このどれかで良いと思いますよ」
「……なるほどね。ありがとう、ルナ」
「ふふ、どういたしまして」
ルナがニコッと笑いながら答えていると、ルナの前の席に座っているルークがクスクスと笑いながらルナに声を掛けてきた。
「ふふっ、ルナは相変わらず優しいんだね」
「いいえ、そんな事はありませんよ。
困っている時はお互い様、ですから♪」
「ふふ、なるほどね」
そうやって、ルナとルークが仲良く話をしていると、それを見たリンが小さく笑いながら話へと混ざってきた。
「優しいと言えば、ルークだってそうじゃない?」
「え、そうかな?」
「うん。お兄ちゃんだからとはいえ、いっつもライ君とメイちゃんの遊びの相手をしてあげてるんだしね」
「あはは……それは僕にとって当然の事だから、優しい理由になるのかは分からないけどね」
「そうかしら? 当然の事だからこそ、それをしっかりとやれてるのはスゴいと思うけど?」
「そう、かな……?」
「ええ。だから、ルークももっと自分の事を誇っても良いんじゃない?
それに保育園の頃から、ルークは誰かが困ってたらすぐに話を聞きに行って、問題が解決するまでちゃんと付き合ってあげてたし、ルークは充分優しいと思うわ」
「リン……ふふ、ありがとう」
「どういたしまして」
ルークの言葉にリンは小さく微笑みながら返事をした。
ルークとリン、そしてルナは同じポケモン保育園の出身だからこそ、こういった話も出来るし、僕達とは違った方からの良さを見つけることが出来る。
やっぱりこういうのも一種の強みみたいな物なのかもしれないな。
そんなルーク達の様子を眺めていると、ルークが何かを思い出したように声を上げた。
「あ、そういえば……シードは自己紹介の時に何を言うかは決めたの?」
「うーん……そうだね……
僕は趣味にしようかな?」
「そっか、じゃあ僕もそうしよっと!
ルナとリンは?」
「私も趣味にしようと思います」
「それじゃあ私は、あえて好きな物にしようかな?
連続で趣味にするよりも、そういう変化があった方が面白そうだからね♪」
「ふふっ、たしかにそうだね」
ルーク達とそんな会話をしていたその時、教室の黒板の上の辺りに付いている白い箱のような物――スピーカーから鐘の音――チャイムが鳴り響いた。
チャイム……って事は、そろそろ自己紹介の時間だね。
そんな事を思いつつ、チャイムの音を聴いていると、廊下の方からディア先生の足音が聞こえてきた。
そして、ディア先生は教室に入ってくると、教卓の前でピタッと止まってから僕達の方へと体を向け、ニコッと笑いながら声を掛けてきた。
「さて、それではこれから皆さんの自己紹介の時間となります。
皆さんの前で一匹で話すと言う事で、緊張するかもしれませんが、慌てずに落ち着いて自己紹介をして下さいね」
『はい!』
「ふふ、それでは窓側の席から始めていきましょうか。
それでは、お願いしますね?」
「はい」
そして、窓側の一番前の席に座っているアーボから順番に自己紹介が始まった。
自己紹介の内容はその生徒によって様々で、コイキングやトサキントのように陸では行動出来ない水タイプは、ワンリキーのような格闘タイプやケーシィのようなエスパータイプのポケモンに手伝ってもらいながら自己紹介をこなしていった。
そして、前の席のルナの自己紹介が終わり、遂に僕の番が来た。
「それでは、次……シード君、お願いしますね」
「はい!」
僕は元気良く返事をして席を立ち、皆の事を見ながら自己紹介を始めた。
「僕はフシギダネのシードと言います。
趣味は散歩や読書、後はガーデニングなどです。
これから学園生活、精いっぱい頑張っていこうと思っていますので、よろしくお願いします」
僕の自己紹介が終わると、周りから徐々に拍手が起こり始め、すぐに全員が拍手をしてくれた。
そして、僕がペコリと一礼をしてから席に着くと、拍手は静かに止み、それと同時にディア先生がリンに自己紹介を促した。
ふぅ……緊張したけど、何とか出来て良かったぁ……。
自己紹介を無事に終わらせられた事に安心している内に、最後のワンリキーの自己紹介が終わり、それと同時にスピーカーからチャイムの音が鳴り響いた。そして、ディア先生はスピーカーへチラリと視線を向けた後、すぐに僕達の方へと視線を戻した。
「さて、次の時間はこのポケモン学園の中を案内しますので、時間になったら廊下に静かに並んで下さいね?」
『はい!』
僕達が揃って返事をすると、ディア先生はニコッと笑いながらコクンと頷いた。そして、出席簿を持ったまま教室を静かに出て行った。
次は学校内の探検かぁ……ふふっ、何だかワクワクするなぁ……♪
そんな事を考えていた時、
「学校内の探検かぁ……! くぅー! 今からワクワクするなぁ……!」
グレンがとても楽しそうに声を上げた。
あはは……グレンって探検とか冒険が好きだから、やっぱりそうなるよね。
そんな事を思いながらチラッとバルトの方を見ると、バルトはグレンの事を見ながらやれやれといった風に小さくため息をついていた。
……ふふ、やっぱりバルトも同じような事を思ったみたいだね。
そして、グレンの方へ視線を戻した時、前に座っているルナがクスクスと笑いながら話し掛けてきた。
「ふふ……自己紹介の際も思いましたが、グレン君はとても明るい子のようですね」
「うん、僕達はあの明るさにいつも助けられてるんだよ。それに僕達が何かで迷った時とか元気がない時にグレンの声を聞くと、何だか元気が湧いてくるんだよね」
グレンはちょっと騒がしいように見られる事もあるけど、やっぱりあの元気の良さがないと僕としては物足りなく感じるし、それはバルトも同じなんだと思う。
……まあ、たまには静かにしてて欲しい時はあるんだけどね。
そんな事を考えながらグレンの事を見ていた時、後ろの席のリンが楽しそうな声で話し掛けてきた。
「まあ、明るさとか他のポケモンへので言ったらルークも中々なのよね。グレンほどでは無いかもしれないけど、積極的に誰かと仲良くなりに行こうとしたり、困ってるポケモンを見つけたらすぐに助けようとしたりするし……」
「ふふ、そうでしたね。それに――」
そう言いながらルナがルークの方を向いてみると、ルークはグレンや他のポケモン達と仲良く話をしていた。そして、それを見てルナはクスリと笑いながら言葉を続けた。
「今の様子を見る限り、それは変わらないみたいですね」
「みたいね。まあ、私達もそうやってルークと仲良くなったわけだから、ある意味で助かったかもしれないわね。あそこには色んな性格のベイビィポケモン達がいたから、ルークと仲良くなった事がきっかけで、他の子とも仲良くなれたような気がするしね」
「ふふ、そうですね。ですが、同じクラスになれたのは私達だけで、他の皆は別のクラスになってしまいましたけどね」
「そうね。まあ、その内の三匹は隣のクラスにいるし、他の子もたまに会いに行けば良いだけなんだけどね」
「そうですね。今日は予定があるので無理ですが、何かの機会にでも会いに行ってみましょうか」
「うん!」
ルナの言葉にリンはとても嬉しそうに答えた。
ルーク達の保育園時代からの友達かぁ……
ふふ、一体どんなポケモン達がいるのか、今から楽しみだなぁ……
ルナ達の話を聞きながらそんな事を考えていた時、突然ルナ達がハッとした表情を浮かべ、僕の方へ顔を向けた。
「……す、すいません。シード君を置いてけぼりにしてしまって……」
「ご、ごめんね……! 私達だけで話しちゃって……!」
「ふふ、大丈夫だよ。ルナ達の話を聞いてるだけでも楽しいから。それに、話に出てきたポケモン保育園時代からの友達にも興味が湧いたしね」
「あ、それなら機会があったら紹介してあげるわ。ね、ルナ」
「はい。隣のクラスの三匹もそうですが、他のクラスに行ってしまった子達も楽しい子達ばかりですから」
「うん、ありがとう」
僕達が笑いながら話をしていた時、スピーカーからチャイムの音が聞こえてきた。
「あ、もう次の時間みたいだね」
「そうですね。次は……学校内の案内、でしたね」
「うん。あ……よく考えたら他のクラスも同じだろうし、もしかしたらその最中にあの子達とも会えるかもしれないわね」
「ふふ、そうですね」
「ふふ、だったら良いね」
そんな事を話していた時、廊下の方からコツコツコツ、とディア先生の足音が聞こえた。そして、先生は教室へと入ってくると、僕達の事を見ながら優しい声で呼びかけた。
「それでは、学校内の案内を始めますので、静かに廊下へ並んでください」
『はい』
揃って返事をした後、僕達は静かに廊下に一列に並んだ。すると、隣のカントーL組の生徒達も同じように廊下に並び始めたのが視界に入ってきた。
「……やっぱりどこのクラスも同じなんだね」
「ですね。えーと……」
ルナはカントーL組の生徒達の事をじっと見始めたかと思うと、すぐに何かを見つけたような表情を浮かべながら嬉しそうに小さく声を上げた。
「……ふふっ、見つけましたよ。私達の保育園時代からのお友達を♪」
「え、どこ……?」
「……ほら、あそこにいるルージュラさんです」
ルナが指す方を見ると、そこには他の生徒達と仲良く話すルージュラの姿があった。
そういえば、ルージュラの進化前はベイビィポケモンのムチュールだったっけ。
「何だか他の生徒と仲良く話してるみたいだね」
「はい。あの子――リズさんは、世話を焼くのが好きな子ですから、その特徴を初日から発揮した結果、ああなったのだと思います」
「なるほどね」
僕達がそんな事を話していると、ディア先生とカントーL組のエルレイド先生が話をしているのが目に入ってきた。
そして話が終わると、エルレイド先生はカントーL組の生徒達と一緒に歩き始め、そのまま廊下の向こうへと消えていった。
カントーL組……ちょっと体が大きい生徒が多いけど、隣のクラスなわけだし、仲良くしていかないとね。
心の中でそう思っていた時、ディア先生が僕達の事を見ながら静かに声を掛けてきた。
「それでは、私達も行きましょう。一年生は同じように学校内を歩いていますが、上級生は授業中ですので、あまり私語などはしないようにして下さいね?」
『はい』
ディア先生の言葉に返事をした後、僕達はさっきのカントーL組のように学校内を歩き始めた。
歩き始めてから数分後、昇降口の前に来ると、ディア先生が静かに口を開いた。
「さて、ここ――本校舎一階には、一年生の教室やこの昇降口などがあります。そして二階には二年生の教室、三階には三年生の教室があります。他の学年の生徒の教室に用事がある事はあまりないと思いますが、用事があった時にはこの本校舎に来てくださいね」
『はい』
ディア先生の言葉に返事をしていた時、昇降口の方からデンリュウ先生と一緒にチコリータやヒノアラシなどの生徒達が歩いてきた。
そして校舎に入ってきた時、デンリュウ先生はディア先生がいる事に気付くと、ニコニコとしながらディア先生に話し掛けた。
「あ、ディア先生。カントーS組は本校舎の説明からだったんですね」
「はい、そうです。ジョウトS組の方は、グラウンドからの説明だったみたいですね、リック先生」
「ええ。それでは、私達はそろそろ行きますね」
「はい、それでは」
ディア先生が会釈をしながら言うと、デンリュウ先生――リック先生も会釈で応えた後、ジョウトS組の生徒達と一緒に本校舎の中を歩いて行った。
ジョウトS組……チラッと見ただけでも色々な生徒がいたなぁ……
そんな事を思っていた時、ディア先生が再び静かに口を開いた。
「それでは、次にグラウンドの方へ出てみましょう」
『はい』
そして僕達は昇降口を出て、グラウンドの方へと歩き出した。
「……はい、着きました。ここがポケモン学園のグラウンドです」
グラウンドを前にディア先生がニコッと笑いながら僕達に言った。
グラウンドは思っていたよりもとても広く、走るためのトラックの他にも様々なスポーツをするためのスペースがあり、複数のクラスが一度に体育の授業をしても問題ないと思えるほどだった。
……って、それはそうか。僕達の学年だけでも14個のクラスがあるわけだし、それくらいじゃないと色々と問題が起きちゃうもんね。
そんな事を考えながらふと別の方に視線を向けた時、ニドキング先生と一緒にキモリやアチャモなどの生徒達がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。そして僕達がいる事に気付くと、ニドキング先生はドスンドスンという足音を立てながら僕達へと近付いてきた。
「ディア先生、お疲れ様です!」
「あ、お疲れ様です、イオス先生。ホウエンS組は別校舎からだったんですね」
「その通りです。カントーS組はこれから別校舎ですかな?」
「はい、そうです」
「はっはっは、そうですか。先程、別校舎でシンオウS組とアローラS組にも会いましたので、もしかしたらディア先生達も会うかもしれませんね」
「ふふっ、そうですね。それでは、私達はこれで」
「はい、それでは」
ニドキング先生――イオス先生は静かに頷くと、ホウエンS組の生徒達を連れて本校舎の方へと歩いて行った。
ふふ、イオス先生もスターク先生みたいに見た目はちょっと怖いけど、話しやすそうな先生なのかもしれないな。
歩いていくイオス先生達を見ながらそんな事を考えていた時、ディア先生がニコッと笑いながら僕達へ静かに声を掛けてきた。
「それではそろそろ別校舎へ行きましょうか。皆さん、遅れずに付いてきて下さいね」
『はい』
揃って返事をした後、僕達はディア先生に続いて再び歩き出した。
歩き始めてから数分後、僕達は本校舎と同じくらい大きな建物の前に立っていた。
うわぁ……別校舎もすごく大きいなぁ……
綺麗な白色に塗られている本校舎と違って、別校舎は茶色い木目調の建物のようだけど、古そうな様子は一切感じられなかった。
それにしても……ここって何があるんだろ?
そんな事を考えながら別校舎を眺めていた時、ディア先生が穏やかな笑みを浮かべながら静かに口を開いた。
「この別校舎には理科室や家庭科室といった特別教室が入っています。皆さんが特別教室を使うのはもう少し先の話になりますが、その時には今来たように外から回ってくるか、本校舎と別校舎を繋ぐ渡り廊下を通ってくるようにして下さいね」
『はい』
「ふふっ、それではそろそろ別校舎の中へと入りましょうか」
『はい』
揃って返事をした後、僕達はディア先生に続いて別校舎の中へと入り、そのまま別校舎の一階を歩き始めた。
えーと……理科室に茶道室、剣道場に柔道場かぁ。うーん、本当に色々な教室があるなぁ……
そんな事を考えながら歩き、階段に辿り着いた時、階段の上からコジョンド先生とツタージャやミジュマルなどの生徒達が歩いてくるのが見えた。そして僕達がいる事に気付くと、コジョンド先生は穏やかな笑みを浮かべながらこっちに向かって歩いてきた。
「あら、ディア先生。カントーS組もちょうど別校舎の案内中だったのね」
「はい、エアル先生。イッシュS組もそうだったんですね」
「ええ。と言っても、私達はもう別校舎は終わっちゃったけどね。
それじゃあ、私達はこれで」
「はい、では」
話を終えると、コジョンド先生――エアル先生はイッシュS組の生徒達と一緒に僕達の横を通り過ぎていった。
イッシュS組……僕達が言うのもあれだけど、何だか個性的な見た目の生徒達がいっぱいいたなぁ……
廊下の向こうへと消えていくイッシュS組の様子を見ながらそう思っていると、
「さて……それでは二階へ上がりましょうか」
ディア先生がニコッと笑いながら僕達に声を掛けてきた。そして、それに揃って頷いた後、僕達は別校舎の階段を上り始めた。
そして、別校舎を一通り見て回り、再び一階へと戻ってきた時、ディア先生は渡り廊下の方へ顔を向けながら静かに口を開いた。
「さて、それでは今度はこっちの渡り廊下の方へ行きましょう」
『はい』
ディア先生の言葉に返事をした後、僕達は静かに歩き始めた。そして歩き始めてから数分後、僕達が講堂の扉の前にさしかかった時、扉の向こうから大きな声と色々な物音が聞こえてきた。
あれ、何かやってるのかな……?
講堂から聞こえる音に疑問を抱いていると、ディア先生はクスリと笑いながら静かに口を開いた。
「どうやら、明日の対面式に向けての準備をしているようですね。来年は皆さんも同じように対面式の準備をする事になるので、それだけは覚えておいて下さいね」
『はい』
ディア先生の言葉に返事をした後、僕達は再び歩き出した。
そうだ、僕達だって来年には後輩が出来るんだ……その時に恥ずかしくないように、この一年生の間に色々な事を学ばないとね……!
心の中で静かに決意を固めながら、僕はその後も皆と一緒に学校内を歩き続けた。
心の中で沸々と
一通り学校内を見て回った後、僕達は教室へと戻ってきた。
それにしても……本当に色々な教室や建物があったなぁ……場所を覚えるのが大変そうだけど、出来るだけ早く覚えるようにしないとね。
そう考えながら席へと座り、全員が席に座り終えた時、ディア先生がニコリと微笑みながら僕達に声を掛けてきた。
「皆さん、お疲れ様でした。様々な教室や施設があり、覚えるまでに苦労をするかもしれませんが、ゆっくりで良いので、ちゃんと覚えるようにして下さいね」
『はい』
「では、本日はこれで終わりです。皆さん、気をつけて帰って下さいね?」
『はい!』
僕達が揃って返事をすると、ディア先生はニコッと笑いながらコクンと頷いた後、出席簿を持って教室から出て行った。そしてそれと同時に、他のみんなもガタガタッと席を立ち始め、話をしたりしながら次々と帰っていった。
「シード君、ルーク君。それでは、また明日」
「シード、ルーク。また明日ね!」
「うん、また明日ね」
「また明日ー!」
ルナとリンの挨拶に答え、二匹が帰っていくのを見送った後、僕とルークは顔を見合わせながらニコリと笑い合った。
ふふっ、やっぱりまた明日って言える友達がいるのって、幸せなことな気がするなぁ。
そんな事をぼんやりと思っていると、
「帰ろうぜ! シード! ルーク!」
「既に俺達は準備出来ているぞ」
「早くしないと、置いてっちゃうよ!」
近くからそんな声が聞こえたため、ふっとそっちに顔を向けると、その言葉通り帰る準備を整えたグレン達が僕達の事を微笑みながら見ていた。
それを見て、僕とルークはもう一度顔を見合わせた後、一緒にコクンと頷いてから――
「「うん!!」」
一緒に大きな声で返事をした。
さーて……下校中はどんな事が待ってるかな……♪
そして、みんなとの下校中に起きる出来事に胸を膨らませながら、僕はニコリと笑った。
「ふふっ、今日も一日楽しかったなぁ……♪」
その日の夜、僕は日課の日記を書きながら今日の事を思い出していた。
グレン達以外のクラスメートや学園内の特別教室、そして途中で見かけた他のクラスの生徒達。これからどんな風に関わっていく事になるかは分からないけど、良い感じに関わっていければ良いなぁ……。
「……うん、これでよしっと」
そう言いながら日記を閉じ、ツルを使って棚にしまった後、僕は前もって敷いておいた布団へと入った。
ふあぁ……明日も学校だし、そろそろ寝ようかな……。
「……お休みなさい」
そう独りごちた後、僕は静かに目を閉じた。
政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
シード「この感じだと……次回は、対面式回って事なのかな?」
政実「いや、そこはちょっと未定かな。そこまでやりたい気持ちはあるけど、他にも書きたい話があるからね」
シード「うん、分かった。
ところで、次回の投稿予定はいつ頃になりそうなの?」
政実「他のとの兼ね合いもあるからそれも未定かな」
シード「うん、了解♪
そして最後に、この作品についての感想や意見、評価などもお待ちしています」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
シード「うん」
政実・シード「それでは、また次回」