グレン「どうも、グレンです。自然の中での昼寝って言うと、どこかの森の中とか野原とかでって事だよな?」
政実「そうだね。自分の部屋で昼寝をするのも良いけど、快晴の青空の下での昼寝も良さそうかなと思ってね」
グレン「ははっ、確かにスッゲぇ気持ちいいからな、それって。さてと……それじゃあそろそろ始めてくか」
政実「うん」
政実・グレン「それでは、第4話をどうぞ」
「んむぅ……」
週末の朝、俺はいつものように中々起きられず、強い眠気を感じながら布団の中でゴロリと寝返りを打った。学校が休みという事は、一日中幼馴染み達と遊びまくれるという事なんだが、誰かに押さえつけられているかのように中々目を開ける事が出来ず、俺は布団の中でひたすら寝返りを打ち続けた。
……でも、こういう一日も悪くはないかもしれないな。そうだ、今日はこのまま寝て過ごす事に――。
そんな事を考えていたその時、どこからか流れてきた甘い香りで目がバッチリ覚め、その出所を知るためにガバッと起きあがった。すると、「はぁ……」という呆れた感じの溜息が聞こえ、俺がそっちに顔を向けると、幼馴染みであるフシギダネのシードとゼニガメのバルトが窓から部屋の中を覗き込んでいるのが見えた。
「あ……おはよう、シード、バルト」
「うん、おはよう、グレン」
「グレン……いい加減、シードの『あまいかおり』が無くとも起きられるようになったらどうだ?」
「あはは……そうしたい気持ちはあるんだけど、朝ってどうにも眠くなるんだよなぁ……」
「……それなら、夜に早く寝たら良いだろ?」
「うーん……スゴく不思議なんだけど、俺は夜って中々眠くならないんだよ。それなのに、その日にあった事を何となく思い出していたらいつの間にか寝てるんだよなぁ……」
あれって、本当に何でなんだろうな……?
いつも疑問に思っている事について首を傾げながら考えていると、シードは「あはは……」と苦笑いを浮かべ、バルトは「やれやれ……」と更に呆れた様子で首を横に振った。そして、その二人の様子を見ながら大きな欠伸をしていた時、さっきまであったはずの眠気が完全に無くなっている事に気付き、俺はこのまま起きる事にした。
「ん……よし、それじゃあ朝飯を食ってくるからちょっとだけ待っててくれ」
「うん、分かった」
「グレン、朝食を食べながら眠るなよ?」
「流石の俺でもそんな事はしねぇよ!」
「冗談だ。それでは、また後でな」
そして、シードとバルトの顔が窓の下に消えた後、俺はバルトの冗談に聞こえない冗談に対して溜息をついてから朝飯を食べるためにそのままリビングへと向かった。リビングに着いてみると、そこにはのんびりと朝飯を食べているお袋の姿、そして机の上に並んだ朝飯が盛られた食器と空の食器があったため、親父は既に仕事に出掛けている事がハッキリと分かった。親父の仕事は、この町の警備員みたいな物で、仕事である平日は朝に出掛けて夕方頃に帰ってくる。しかし、今日のような週末でも時々仕事があるようで、昼頃には帰ってくるものの、帰ってきたらすぐに疲れた顔でリビングの耐火ソファーにぐだーっと寝そべり始める。
あの親父の様子を見る限り、警備員の仕事は疲れる物みたいだし、それくらいは仕方ないもんな。
そんな事を考えながらリビングの中に入ると、俺が入ってきた事に気付いたお袋が、少し呆れた様子で声を掛けてきた。
「グレン、おはよう。その様子だと今日もシード君達に起こしてもらったんだね」
「んー……まあ、そうだな。でも不思議なのはさ、何か朝はスゴく眠いのに、シードの『あまいかおり』を嗅ぐと、すぐに目が覚めるんだ。何でなんだろう?」
「さてね。けど、強いて言うなら……アンタは甘い物の臭いが目がバッチリ覚めるほど好きだからとかシード君の『あまいかおり』がアンタの目が覚める合図みたいになっちゃってるとかなんじゃないの?」
「あー……言われてみればそうかもなぁ。何というか、一応起きようと思えば起きられるけど、シード達が起こしに来てくれた日は、スゴく頭がスッキリする感じがするからさ」
「まあ、そうだろうね。さあ、それはそうと早く朝ご飯を食べちゃいなさい。シード君達をこれ以上待たせるわけにもいかないでしょ?」
「……っと、それもそうだ」
せっかくの休みだからっていうのもあるけど、シード達をあんまり待たせるのは流石に良くないからな。味わいながらささっと食っちまうとするか。
そんな事を考えながらリビングの椅子に座り、目の前にある朝飯を見ながら手を静かに合わせた。
「それじゃあ、いっただきまーす!」
そして、目の前に並んだ美味い朝飯を食べながら今日シード達とやりたい事などについて考え始めた。
「んじゃ、行ってきまーす!」
数分の間に朝飯をしっかりと食べ、出掛ける準備を終わらせた後、家の中にいるお袋に声を掛けながら勢い良く玄関を開けた。そして、シード達を探すために辺りをキョロキョロとしていると、小さな溜息と同時にバルトの声が家の横の方から聞こえてきた。
「……起きた後の行動だけは、本当に早いな」
「あはは……でも、行動が早いっていうところは、グレンの長所みたいな感じだし、悪いわけではないよね」
そんな事を話しながらシード達が出てきた後、シード達へ向かって右手を振りながら近付いた。
「お待たせ! んで、今日はどうする?」
「そうだな……今日は俺達だけだから、適当にブラつくのもありか」
「俺達だけって……あれ、ルークとシフォンは?」
「ルークとシフォンは、今日は家の用事があるんだってさ。もっとも、僕の場合は明日家の用事があるんだけどね」
「俺も同じく」
「そういや、俺の方もだったな……そうなると、アイツらと朝から遊びまくるのは、またの機会って事になるのか」
「残念だが、そうなるだろうな」
「そっかぁ……まあ、それならその時に目いっぱい遊べば良いもんな。出来るなら、ライとかメイとかも混ぜてさ!」
ニカッと笑いながら言うと、シードとバルトは一度顔を見合わせた後に同時にクスリと笑ってからもう一度俺の方へと顔を向けた。
「うん、そうだね」
「それは俺も賛成だな。後は、シフォンの兄姉を混ぜてみるのも面白そうだな」
「おっ、それも良いな! 皆で遊べば、それだけ色々な事が出来て、スッゲぇ面白くなりそうだからな!」
「そうだな。だが……そんな事が出来そうな場所があったか?」
「へへっ、そんなの探してみれば良いんだよ! という事で、今日はそういう場所を探すために、色々な場所を探検しようぜ!」
「探検か……うん、スゴく楽しそうだね! バルトはどう思う?」
「愚問だな。俺が楽しく無さそうと思うわけが無いだろ?」
「ふふ、そうだね。ところで、どんな場所を探すのかはもう決めてるの?」
「いや、まだ具体的には決めてねぇけど、山の方とか川の方とかなら良さそうな気はしてるぜ?」
「山か……確か、どこかに立ち入り禁止区域があるらしいから、そっちには行かないように注意しながら探検しないといけないな」
「え……あ、うん……そうだな」
立ち入り禁止区域か……実は一度だけ行ってみたいと思ってたんだけど、コイツらを危険な目に遭わせるわけにはいかないし、今日は仕方ないか。
立ち入り禁止区域に行けないのは、少しだけ残念だったけど、それでも俺の心は今日の探検に向けてのやる気に満ち、今にも走り出したくなるほど、気持ちがワクワクドキドキとしていた。
「よし……それじゃあ早速出発だー!」
「おー!」
「ああ」
そして、俺達は皆で遊ぶ事が出来そうな場所を探す探検の旅を始めた。
出発した後、まず俺達は山の方へ向けて歩き始め、その間に皆で遊ぶ時にどんな事をするかについても話を進めた。俺達だけやただルークとシフォンを混ぜただけなら、鬼ごっこなり今のように探検なりをしてから昼寝をするコースでも良いが、俺達よりも小さなライとメイが混ざるパターンやシフォンの兄姉を混ぜたパターンとなるとまた話が違ってくる。なので、話し合いは思ったよりも難航していた。
「うーん……中々良さそうな考えが出て来ねぇなぁ……」
「そうだね……やっぱり一緒に行動する数が多いと、それだけ楽しさも増えるけど、それと同じくらい大変ではあるんだもんね」
「全くだな。個々の性格も考慮しつつ全員が満足できそうな事を探すとなると、やれる事もだいぶ絞られてくるからな……」
「特にライとメイを混ぜるパターンが一番ムズいよな。あのルークの弟と妹とはいえ、ちょっと目を離した隙にちょろっとどっかに行ってそうだからな」
「うん。少し話した程度だけど、あの子達はだいぶ元気の良い子達みたいだからね。やっぱりそこはしっかりと考える必要があると思うよ」
そんな事を話しながら歩いていたその時、先の方に見た事がある姿が見え、俺は少しだけ不思議に思いながらそのまま歩いていった。するとそこにいたのは、俺の親父だった。
「……あれ、親父?」
「ん……おお、グレンじゃないか。それにシード君とバルト君も」
「こんにちは、グレンのお父さん」
「こんにちはです」
「ああ、こんにちは。3匹揃ってこんなところにいるとは、中々珍しいな」
「親父こそこんなところにいるなんて珍しいじゃん。いつもは街の方で警備の仕事をしてるはずだろ?」
「そうだな。だが、最近立ち入り禁止区域で、様々なポケモンの姿が目撃されているらしく、中にはお前達のような小さなポケモン達もいるとの事で、今日はこうして立ち入り禁止区域近くの警備をしているんだ」
「って事は……この先にあるのが、例の立ち入り禁止区域って事か。けど、どうして立ち入り禁止区域なんかになってるんだ?」
首を傾げながら訊いてみると、親父は少し険しい表情でその理由を話してくれた。
「……実はな、昔からこの辺りには妙なポケモンがいるという話があるんだ。それで、それに興味を持った奴が、数年ほど前にこの先にある現在立ち入り禁止区域に指定された場所に行き、翌日立ち入り禁止区域から少し離れた場所でボロボロの状態で発見された。発見した奴や街の皆は、一体何があったのかと訊いたんだが、ソイツはブルブルと震えながら「助けてくれ……助けてくれ……」と言うだけで、全く何の情報も得られなかった。そのため、街の皆はとりあえずソイツが向かった辺りを立ち入り禁止区域に指定し、俺達のような警備員以外は誰も近付かないようにしたというわけだ」
「へー……そんな事があったのか」
「ああ。だから、山の方で遊ぶのは別に良いが、立ち入り禁止区域には立ち入らないようにしろよ?」
「分かってるよ。そりゃあちょっとは興味があるけど、自分から危険な目に遭うつもりはないからな」
たとえ楽しそうだとしても、シードとバルト、そしてルークとシフォンを危険な目に遭わせてまでやる事でも無い。俺にとって、楽しそうな事よりも甘い物よりもコイツらの事が大事だからな。
そう思いながら親父の目を真っ正面から見つめると、親父は俺の目をジッと見つめ返し、やがて安心したように静かに笑った。
「それなら良い。さあ、いつまでもこんなところにいないで、子供は子供らしく元気に遊び回ってこい」
「……へへっ、そうさせてもらうぜ。それじゃあ仕事頑張れよ、親父」
「ああ、ありがとうな、グレン。シード君とバルト君も気をつけてな」
「「はい、ありがとうございます」」
そして親父と別れた後、俺達はそのまま山を下り、絶好の昼寝スポットがある野原の方へ向けて歩き始めた。
「さてと……ここからどうする?」
「うーん……皆で遊ぶ事が出来そうな場所はまだ見つからないし、一回街の方に戻ってみる?」
「……この場合、それもありかもしれないな」
野原に着いた後、俺達は各自で持参した弁当を食べながらここからの事について話し合いをしていた。因みに、俺の弁当は肉の量が多めのハンバーガーで、シードのはフルーツサンドやミックスサンド、そしてバルトのは海藻や小魚を混ぜ込んだおむすびだ。そして、シードとバルトは朝早く起きてこの弁当作りを手伝ってきたと言うのだから、俺からすれば本当に驚きだ。
うーん……俺も料理の一つや二つ出来るようになった方が良いのかな……?
そんな事を考えながら弁当を食べていた時、シードがニコリと笑いながら話し掛けてきた。
「グレン、良かったら料理の練習を手伝おうか?」
「……え、何で分かったんだ?」
「……そんな事、お前の様子を見ていればすぐ分かる。何か悩んでいる時にお前はいつも顎に手を当てているし、時々チラリと俺達の弁当を見ていた事から、料理について考えているのが丸わかり。そして、俺達が弁当作りを手伝ってきた事を話した時、お前がとても驚き感心していた事も考えた結果、その結論に至ったというわけだ」
「僕達は時々お母さんの料理を手伝う事があるけど、グレンは基本的に食べる専門だもんね。でも、料理を覚えたいって思うのはスゴく良い事だと思うし、僕達で良かったら喜んで手伝うよ」
「シードの言う通りだ。それに俺達も料理をする仲間が増えるなら、それはそれで嬉しい事だと思ってるからな」
「お前達……うん、ありがとうな」
シード達に対してニコリと微笑みかけると、シード達もしっかりと微笑み返してくれた。
料理の練習か……正直料理が出来るようになるかは不安だけど、やってやれない事は無いはずだし、地道に頑張ってみるとするか……!
心の中で決意を固めながら手に持っていた最後の一口を口に入れ、それをしっかりと飲み込んだ時、安心感と暖かい日差しからか途端に強い眠気が襲い始めた。
……うん、でもまずは睡眠が必要だな。
「ふあぁ……少し眠くなってきたし、街に戻る前にここらで昼寝でもしようぜ……」
「ふふ……そうだね。こんなに良い天気だし、とても気持ちよく眠れそうだけど、皆そのまま夕方まで寝ちゃいそうだよね……」
「安心しろ、シード。俺達は普通に起きられるだろうし、グレンには予めカゴのみを持たせておけば、しっかりと起きられるだろうからな」
「そうそう、眠くなったらカゴのみをパクリッ――って、それだと昼寝にならないだろ!」
「ん……カムラのみの方が良かったか? それともチイラのみの方か?」
真顔でそんな事を言いながらカバンからカムラのみとチイラのみ、そしてカゴのみを取り出すバルトに対して俺は大きな溜息をつきながら疑問を投げかけた。
「……まさか、そのボケをやるためだけにその三つを持ってきたのか?」
「そうだが?」
それがどうかしたのかと言わんばかりに不思議そうな表情を浮かべるバルトに、俺はもう一度大きな溜息をついた。バルトは普段からとても真面目な奴だが、時々こんな風に真顔で冗談や変なボケをかます事があるので、正直それに対してどう返したら良いのか分からない時がある。
はあ……まあ、良いか。とりあえずささっと昼寝に取り掛かるとしよう。
そんな事を考えながら弁当を包んでいたハンカチをしっかりと畳んでからカバンへとしまい、そのままその場にゴロンと寝転がった。そしてシード達も同じように隣に寝転がったのをチラリと見て確認した後、大きな欠伸を一度してからシード達に声を掛けた。
「それじゃあ……お休み」
「お休み、グレン、バルト」
「ああ、お休み」
バルトの声を聞いた後に静かに目を閉じた瞬間、意識はスーッと沈んでいき、それと同時に両隣から感じる安心感に俺は小さく微笑みながらそのまま眠りについた。
「ふあ……これで今日も終わりか」
その日の夜、軽く目を擦りながら押し寄せてくる眠気を感じ、小さく欠伸をした。そして少しだけボーッとする頭で昼頃の事を思い出した瞬間、思わず「……まさか、あんな事があるなんてな」と、苦笑いを浮かべながら独り言ちてしまった。昼寝後、誰かにゆさゆさと揺さぶられて目を覚ますと、そこには親父の他にシードとバルトの親父さんが立っており、シードとバルトも突然の事に目を白黒とさせていた。そして、何故親父達がいるのかと訊くと、どうやら親父の仕事終わりに合わせてシード達の親父さん達が迎えに行き、その帰りに偶然ここに立ち寄ったら、並んで眠っている俺達を見つけ、それを見守りながらずっと付いていてくれたのだという。その後、親父達にお礼を言った後、俺達は揃って街へと戻り、そのままそれぞれの家へと帰ったんだが、理由を話してくれていた時の親父の優しい顔が、何故かスゴく印象に残っていた。
「……夢の中でシード達とは違った安心感みたいなのを感じた気がしたけど、それが親父だったのかもしれないな」
いつか……本当にいつかだけど、俺も誰かに安心感を与えられるような存在になりてぇなぁ……。
そんな事を考えながら部屋の電気を消して耐火布団に入った後、昼頃と同じように静かに目を閉じた瞬間、シード達と話した料理の練習の件を何となく思い出し、思わず口元が綻ぶのを感じた。
「……そうだ、いつか親父達に俺が料理を作ってやるのも良いかもしれない。料理だけじゃなく、何か甘い物も……」
そんな事を考えながら気持ちが楽しくなって来るのを感じていた時、徐々に意識がスーッと消えていき、そのまま眠りの渦へと飲まれていった。
政実「第4話、いかがでしたでしょうか」
グレン「今回は、俺達だけの休日だったわけだけど、ルーク達の休日とか他の奴らを交えた休日とかもこれからはあるのか?」
政実「うん、それはもちろんあるよ。まだ出せてない他地方メンバーもいるし、出てき次第色々と書いてみる予定かな」
グレン「ん、分かった! んで、次回の投稿予定はいつも通りってので良いんだっけ?」
政実「そうだね」
グレン「了解了解。そして最後に、この作品に関しての感想や意見、評価などもお待ちしています」
政実「さてさて、それじゃあそろそろ締めていこうか」
グレン「おう!」
政実・グレン「それでは、また次回」