magic color   作:御沢

4 / 8
未来から

フェイはクマを見て、にっこり笑う。

「さすがワンダバ!時間ぴったり!」

そして、キャラバンが地面に着陸。下りてきたのは、やっぱりクマ。どこからどう見ても、クマだ。

もう1人は、整端な顔立ちの少女。美人ではなく、とてもかわいい感じ。長い黒髪が、揺れている。

「もぅ!私もいるんだけど?」

「はは、ごめんごめん!」

クマ―――ワンダバというらしいについて出てきた少女が、口をとがらせながら言う。

「フェイ、どうだ?」

「ん~、ちょっと苦戦中」

苦笑いするフェイの後ろで、私と天馬は頬をつねりあう。

『・・・痛い』

「夢・・・」

「じゃ、ないよね?」

目をこすってみるけど、やっぱり夢じゃない。一体全体、どういうことだ!?

「やっぱり、この大監督・クラーク・ワンダバット様がいないとだめなようだな」

「え・・・監督!?」

「クマじゃない・・・ぬいぐるみの・・・監督なの?テンマーズの?」

私たちは声を上げる。さらに、フェイが指をこすると、デュプリは消えた。天馬は、また驚く。

「天馬、彼らは実体がないのよ。デュプリっていう、化身の一種。これも、さっき言ったように私の家で調べていること。・・・でも、なんでフェイ達は知ってるの?」

「まぁ、それは置いておいてくださいっ!」

またまた少女が、にこっと笑って言う。

「えっと・・・名前、聞いてもいいかしら?」

「あ、まだでしたっ!私、チカ・ルーンって言って、フェイの妹ですっ!」

『い、妹ぉ!?』

私たちの声が、また響いた。

 

 

「そうだワンダバ!あれ、とってきてくれた!?」

フェイが興奮気味に聞く。ワンダバが、得意そうな顔をする。

そして、拳銃のようなものを取り出して、遠くの方とフェイに向ける。本当に理解に苦しむ。

マイナスの付いた銃の先にいたのは・・・

「ティラノザウルス・・・よね?」

「すっごいじゃん!」

フェイはさらに興奮気味。そして、プラスの付いた銃も発射して、フェイの体が光る。私と天馬は、やっぱり理解に苦しむ。

光が消えたフェイの容姿は、ピンク色のどこか恐竜っぽい髪型に、赤い目になっていた。

「フェイ、大丈夫・・・?」

「あぁ・・・これが、ミキシマックスだ!ミキシマックスガンによって、僕の個性とティラノザウルスの個性が合わさったのさ。これが、この姿!」

「そうなんだ・・・」

私たちが唖然とする中、実況のおじさんが出てきた。

「そろそろ試合を、四万十川~」

・・・ここは沖縄のはずだけど、少し肌寒くなってしまった。

 

 

再びデュプリを出して、後半開始。

ミキシマックスの力は絶大で、ただでさえすごかったフェイは、さらにすごくなっていた。

天馬も目が慣れたようで、ボールの動きについていけている。しかも、それだけじゃない。

「ワンダートラップ!」

新必殺技も、試合の中で生み出した。私だって負けていられない。

天馬はその後、アグレッシブビートという技も完成させた。さすがだ。サッカーを愛しているだけある。

フェイにパスが通り、ゴール。これで、試合は振り出しに戻った。

しかし、アルファだって黙ってはいない。再び化身アームド。ものすごいスピードで、どんどん抜いていく。そして、ゴールを決められる。再び突き放されてしまった。

そのあと、再びゴールチャンス。私は、気を高める。アルファにだって出来ている。なら、私にだってできるはず・・・!

「出てきてッ!大天使ミカファールッ!アームドッ!」

出てきたミカファールは、形を変え、予想通り私の体に融合した。―――アームド成功だ。

「楓!」

「天馬は言ってたよね、何とかなるって。何とかなったね!」

ガッツポーズをしながら天馬に言う。

アルファの蹴ったボールは、私に阻まれてゴールできず。

そのあとも試合が続いていたが、アルファが立ち止まって、誰かと連絡を取る。

そして、まるで嵐のようにUFOのようなものに乗って、立ち去って行ってしまった。

「なんだったの・・・?」

 

 

試合は急に終わって、私たちは浜辺に移動した。

フェイが天馬に事情を教えているから、私はチカさんに教えてもらうことになった。

「チカさん、よろしくお願いします」

チカさんは、くすぐったそうな顔をした。

「チカでいいです。私、楓さんより年下ですから。後、ため口でいいですっ♪」

相変わらず、元気な子だと思った。感じのいい子で、一緒にいて楽しい。

「そう・・・。なら、よろしくね、チカちゃん」

「はいっ!」

嬉しそうに返事をする彼女。純粋そうだけど、何か事情を抱えているような気もした。

「さぁて!何でも質問してくださいですっ!」

胸を張って言うチカちゃんに、私はとりあえず簡単そうな質問をぶつける。

「チカちゃんたちは、どこから来たの?あのキャラバンは、雷門のものよね?」

「はい。でも、あれはタイムマシンの一種です。イナズマTMキャラバンっていうそうです。私たちは、200年後の未来から来ました」

「未来から!?そう・・・じゃあ、あいつらは何なの?プロトコル・オメガって・・・」

「きっと本人も言っていたとおもうんですけど、ルートエージェントです。今、200年後ではちょっと、セカンドステージ・チルドレンっていう子供たちと、戦争が起こってて・・・原因が、サッカーにあるって考えてるみたいです。だから、サッカーを消去しようとしてるんですよね・・・」

なるほど。これで、大方の理由は推測できた。戦争を根本から消し去る―――起こらないようにするには、サッカーが盛んだった私たちの時代にやってきて、サッカーを消すのが1番の解決策だということだろう。

チカちゃんは、今度は砂浜に絵を描きだした。簡単な絵で、1本の線が書いてある。

「お兄ちゃんに聞いた話だとですね、この線が本来の楓さんだと思ってください。でも、こんな感じで、パラレルワールドっていうのがいくつもあって・・・」

その線の横に、細い線をいくつも書いていくチカちゃん。そして、私の本来の線に、バツ印を付ける。

「ここで、歴史介入―――インタラプト修正が行われちゃったわけです。そしたら、別のルートができますよね?インタラプトっていうのは、歴史を修正できる分岐点です」

そう言って、バツ印から別の太い線を描く。そうか、つまり・・・

「ここでうまくいけば、こっちの補正された道を歩む、ってことね」

「はいっ。パラレルワールドも、重要になってくるそうですっ」

なるほど。何とも面倒くさい話だ。

「ねぇ、これを訂正するにはどうすればいいの?」

「うーん・・・天馬さんや楓さんの介入に失敗しましたからねー・・・とりあえずまずは、雷門サッカー部を取り戻さなきゃ出すっ!円堂さん、でしたっけ?その人が、サッカー部を作った所に行きましょうっ!」

「それって・・・タイムスリップってことよね?」

「はいっ!じゃあ行きましょうっ!」

 

 

そういった瞬間、ワンダバがキャラバンに乗って、やってきた。

「チカ!楓くん!行くぞ!」

「はーいっ!」

チカちゃんがキャラバンに乗り込むのに続き、少し緊張気味に乗り込む。・・・中は、普通のキャラバンと変わらないようだ。

天馬とフェイを迎えに行って、フェイに話を聞く。ある時間に行くためには、その時間に関係のある道しるべが必要なようだ。

それが、アーティファクトというらしい。つまり、11年前に行くには、サッカー部の強い意思のこもったものが必要らしい。ならば・・・

「サッカー部の看板とか?すごく関係あるでしょ?」

「そうそう!そういうのがいるんだよ!」

そして、いったん現代へと戻ってくる。

 

 

サッカー部の部室は、前来た時と違い、物置と化していた。

「招き猫・・・ダンボールの山・・・使われてないんだから、当然ね」

「でも、円堂監督は、この部室は自分たちが来るずっと前からあったって言っていた。何かあるはずなんだ」

天馬とともに必死になって探し、とうとう見つけたサッカー部の看板。

―――私と天馬は、ハイタッチをかわした。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。